中途採用に適した時期とは? 年間スケジュール例も紹介
中途採用を行う時期によって転職者の集まり方が異なるため、時期の特徴を知ることが大切です。会社にとって最善の人材を獲得するために、中途採用に適した時期を把握しておきましょう。
中途採用に適した時期は戦略によって異なる
中途採用を行うのであれば、できるだけ良い時期を選択するのがポイントです。自社の採用計画に適した時期を見つけていきましょう。
なるべく大勢に接したいなら求職者が多い1~3月・9~11月
年度の変わり目に近い1~3月、上半期を終えた9~11月は、「心機一転新しい職場で頑張ろう」と考える方が多いです。
また、どちらもボーナス支給後のタイミングであるため、求職者の人数は増える傾向にあります。なるべく大勢の転職者の中から自社の求める人材を見つけたいなら、1~3月・9~11月がおすすめです。
1~3月に中途採用を行うと、4月入社の新卒社員と一緒に研修を行えますし、年度切り替えに伴う退職者や新規事業のための人材補充に備えることができるでしょう。
9~11月は新卒採用の準備がひと段落する時期であり、企業側が中途採用に向けて動き出すのに適したタイミングといえます。
しかし、1~3月・9~11月は求人数が増えるだけでなく、企業側の需要も高まる時期であるため、それだけライバルも増えるということを忘れてはいけません。
戦いやすい環境を選ぶなら採用閑散期の7~8月・12月
7~8月・12月はボーナス支給のタイミングであり、ボーナスをもらってから転職しようと考える求職者が多いです。また企業側も新卒採用に向けた準備で忙しい時期であるため、中途採用にまで手が回らないケースが多いです。このような理由から、求職者や求人数はほかの時期に比べて少なく、7~8月・12月は閑散期といえます。
しかし閑散期ということは、他の企業も中途採用を実施していない時期ということです。ライバルが少ない状況であるため、知名度の低い企業でも有利に良い人材を獲得できるかもしれません。中途採用において戦いやすい環境を重視するのであれば、閑散期を狙ってください。
5~6月、9月もバランスを見て
5~6月・9月は求職数・求人数ともにそれほど多くはありませんが、求人件数が本格的に増える前のタイミングであるため、ライバルが少ない状況で求職者にアプローチできる時期といえます。
ただし、5~6月は4月に入社したばかりの新入社員への対応に追われたり、新卒採用試験の準備が行われたりする時期でもあります。新人社員への対応や新卒採用の準備が疎かにならないように、バランスを見て中途採用を進めましょう。
中途採用の年間スケジュール例
中途採用を行う前に、採用スケジュールを作成することが大切です。中途採用の場合、採用までにかかる日数は募集する人数によっても異なりますが、採用計画から入社まで約2~3ヶ月、長くても半年を見ておくと良いでしょう。採用までの流れは以下の通りです。
- 採用計画を立てる
- 母集団を形成する
- 採用選考を実施する
- 入社までのフォローをする
上記の流れを意識し、それぞれの時期に合わせた採用スケジュールを作成してください。
繁忙期に採用を行う場合
求職者の多い繁忙期に採用を行う場合、求職者の数が多いため、選考にかかる時間が他の時期よりも多くなりがちです。しかし、時間をかけすぎてしまうと競合他社に人材を奪われる可能性もあるため、繁忙期に採用を行う際はスピーディーな選考を心がけてください。
1~3月の繁忙期に求人募集を行う場合を例に、繁忙期の中途採用スケジュールを見ていきましょう。
1~3月に求人募集を行うと4月1日付の入社となることが多いため、そこから逆算して計画を立てるとスムーズに行えます。求職者は入社までの期間に退職の手続きや引継ぎなどを行う必要があるため、入社前フォローは1ヶ月ほど見ておくと良いでしょう。
また、先ほどもお話ししたように、繁忙期は求職者が多いため応募者がすぐに集まるものの、ライバル企業に応募者を取られる可能性も十分あります。選考時間をなるべく短くしたり、一時的に増員したりすることで選考をスムーズに進めると良いでしょう。4月に新しい社員を迎えられるように、上記のスケジュールを参考に採用計画を立ててみてください。
閑散期に採用を行う場合
閑散期は求職者が集まりにくい時期です。そのため、採用選考中も求人を出し続けることがポイントといえるでしょう。12月に求人募集を行う際のスケジュールをご覧ください。
業界にもよりますが、一般的に12月は仕事が忙しい時期であり、求職者も転職に時間をかける余裕がありません。閑散期には選考にかける時間より、いかに求職者を集めるかがポイントです。閑散期には1人でも多くの応募者を集めるために、母集団形成を重視したスケジュールを作成することが大切です。
新卒採用との兼ね合いも忘れずに
即戦力となる人材を獲得できる中途採用は企業にとって重要な活動ですが、それにばかり力を入れると新卒採用が疎かになってしまうため注意が必要です。
中途採用を行う際は、新卒採用にかける時間も考慮して採用計画を練る必要があります。新卒採用の予定がある企業は、新卒採用スケジュールを確認しながら中途採用の計画を立ててください。
2019年度の新卒採用日程は6月から選考開始となっていますが、それ以前から説明会やインターンシップなどの準備もあるため2月頃から人事採用担当の方は忙しくなります。このタイミングで中途採用を行う場合は、新卒採用と並行して中途採用業務も行えるような計画性が求められます。
繁忙期の採用のポイント
繁忙期は求職者の人数が多いだけでなく、求人数も多い時期です。他の時期と同じように採用選考を進めていくと、良い人材を採用できない可能性も少なくありません。繁忙期に中途採用を行う場合のポイントを押さえておきましょう。
選考スピードは早めに設定
中途採用が活発な繁忙期は、多くの求職者に接触できる時期ではありますが、競合他社も多いため、内定までのスピードが遅いと他社に応募者を取られてしまうケースもあります。
例えば、自社ではまだ書類選考の段階なのに他社では一次面接まで進んでいたり、選考に時間をかけすぎて内定を出すまでに求職者の志望度が低下したりすることはよくある話です。せっかく採用したい人材が見つかっても、選考スピードの遅さが原因で競合他社に取られてしまうのはもったいないことです。
繁忙期の中途採用を計画している場合、求職者は自社だけでなく複数社への応募を同時並行で実施していることを理解し、選考を進めていくことが大切です。
中途採用計画を立てる際は、「選考を行う業務比率を上げる」「選考フローを見直す」「他社の採用活動状況をチェックする」ということを意識すると良いでしょう。ライバルとの採用競争に勝つための戦略を立て、内定までの期間を早めに設定してください。
他社に負けない強みをアピール
競合他社が多い繁忙期は、自社の強みをアピールして応募者に自社を選んでもらう努力が重要となります。応募者が競合他社と比較したとき自社の方が優れていると感じてもらえるように、強みや特徴をホームページや求人情報などで具体的に伝えていきましょう。
強みの例としては、以下のものが挙げられます。自社に当てはまるものがないか確認しながら、他社に負けない強みを見つけてください。
- 企業としての魅力(創業◯◯年の老舗企業、安定した経営基盤など)
- 教育・研修体制(充実した教育体制、資格支援制度の充実など)
- 待遇・職場環境(給与水準が高い、完全週休2日制、産休育休取得率100%など)
- 仕事のやりがい(人々の生活に役立つ仕事、顧客との距離が近いなど)
自社の魅力や強みは働いていると「当たり前」のものになりがちであるため、意外と気付きにくいものです。中途入社した社員に自社を選んだ理由をヒアリングしたり、顧客に自社の長所について聞いたりすることで、求職者へのアピールポイントを見つけましょう。
他社に負けない魅力をしっかりアピールし、数ある企業の中から選ばれる企業を目指してください。
閑散期の採用のポイント
続いて、求職者が少ない閑散期に採用活動を行うポイントをご紹介します。
じっくりと人柄を見ることも可能
閑散期に中途採用には応募者があまり集まらないというデメリットがある一方、一人ひとりに十分な時間をかけられるというメリットもあります。
他社との差別化や多くの応募者への対応が求められる繁忙期とは異なり、閑散期は応募者やライバル企業が少ないため、焦らずに選考を行えます。履歴書をしっかり読み込んだ上で面接を行えるため、人柄をじっくり見て採用を決めることができるのです。人柄重視で人材を獲得したい場合は、あえて閑散期に中途採用を行うのも一つの手です。
母集団形成に工夫を施す
母集団形成とは「自社で採用する候補となる人材を集めること」で、求職者が少ない閑散期は母集団形成に工夫を施すことが大切です。
まずは自社が求めるターゲット像を明確にし、求人広告や自社のホームページ、SNSを活用していきましょう。少しでも多くの人の目に留まるようにさまざまな媒体を利用し、積極的に情報発信してください。
また、効率良く人材を集めたい場合は人材紹介会社を利用するのも一つの手です。多少お金はかかりますが、求職者自体が少ない閑散期に人材紹介会社を利用すれば効率良く自社の採用基準に合った人材を紹介してもらえます。採用に至らなければ料金は発生しないため、閑散期になかなか人が集まらずお困りの場合は、有料サービスの利用も検討してみてください。
通年採用という選択肢も
最後に、採用時期を決めず、年間を通じて採用活動を行う通年採用についてご紹介します。ここでは、通年採用の特徴やどのような人材が集まりやすいのか見ていきましょう。
費用をコントロールできる
通年採用は常時求人を行うことになるためコストがかかるイメージをお持ちの方も多いでしょう。しかし、通年採用に適した募集方法を選択することで、費用をコントロールしながら採用活動を実施できます。
たとえばIndeedのような求人サイトは、時間が経つと掲載順位が下がってしまうものの、掲載期間に制限がなく無料で利用できるので、通年採用に向いているといえるでしょう。有料枠で掲載しても1日の費用を設定できるため、決められた予算内で求人を行うことが可能です。有料の場合は無料枠よりも上位に掲載されるというメリットがあるため、自社の採用計画と照らし合わせながら利用を検討してみてください。
Indeedでの求人方法について詳しくは
→Indeedに求人を無料掲載する方法と、無料・有料の効果差について解説。
また、2019年1月23日よりサービスがスタートしたGoogle for jobsも通年採用向きの媒体であるといえます。自社の求人情報を掲載するには構造化データを記述する必要があるものの、お金をかけずに求人情報を掲載できます。費用効果を考えずに採用活動が行えるため、通年採用を検討している企業はGoogle for jobsを利用してみるのも良いかもしれません。
Google for jobsでの求人方法について詳しくは
→Google for jobsが日本でも提供開始!採用担当者が知っておくべきこと。
通年採用が適したポジション・職種
いつ求職者が出てくるかわからないような採用難易度の高い職種の場合、通年採用が適しています。例えば、求人数よりも求職者数が少ない建設業界や医療・福祉業界、介護業界などは通年採用が適しているといえるでしょう。
また、プログラマーやエンジニアも需要が増加している職種であるため、通年採用を行うと効率良く人材を獲得できるかもしれません。
求職者数が少ない業界は、いつでも求職者を受け入れられるように通年採用を実施し、年間を通じて門戸を開いておくことが重要です。
まとめ
中途採用を行う時期によって、応募人数や競争率、採用方法などが異なることがわかりました。時期別の傾向や特徴を把握しておくことで、より効率的な採用活動が可能になります。「採用活動はどの時期に行っても同じ」と思わず、自社の求める人材を獲得するために、適した採用時期を考えてみてはいかがでしょうか。
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