事前に質問を準備するメリット3つ
中途採用面接の現場では、さまざまな立場の社員が面接官として対応するため、事前の準備なしに面接官対応を依頼すべきではありません。ここではまず、事前に質問を準備するメリットを解説します。
面接の質を均一化できる
一つ目は、面接の質を均一化できることです。
即戦力を見抜く中途採用面接の現場では、急遽、駆り出される現場社員や、不慣れな現場社員が面接官の対応をするケースが多くあり、面接の質を保てない恐れがあります。また、人によっては 求職者を下に見るような態度で臨むこともあるでしょう。こうした面接における質のばらつきは、求職者における不信感を募らせる原因にもなり、選考離脱につながりかねません。統一された採用基準の下、事前に質問を準備しておくことで、面接の質を均一化することが可能です。
採用ミスマッチを防げる
二つ目は、採用ミスマッチを防げることです。
採用ミスマッチを防ぐには、自社の採用ターゲットに合わせた採用基準を定めることが重要です。しかし、採用基準を定めても、面接の現場でもそれを見極めていなければ、採用ミスマッチを防ぐことはできません。面接の現場で、採用基準に合わせた質問をすることで、採用ミスマッチを防ぐことができます。
求職者を相対的に比較できる
三つ目は、求職者を相対的に比較できることです。
複数の求職者を面接しても、それぞれで質問した内容が違う場合、求職者同士を相対的に比較することは困難です。人によって聞くべき質問をしていない場合、求職者同士を比較することはできません。事前に質問を準備しておくことで、質問毎に設けた項目で相対的に求職者同士を比較することが可能です。また、質問を聞きそびれてしまうミスを防ぐことで、同じ尺度で求職者同士を相対的に比較することができます。
質問設計で押さえるべき3つのポイント
中途採用面接の事前準備は、やみくもに質問を作っても効果的な面接はできません。ここでは、質問設計で押さえるべきポイントを解説します。
採用基準が判断できる質問を作る
一つ目は、採用基準が判断できる質問を作ることです。
自社の求める人材を採用するには、求める人材像とマッチしている求職者であるかを見極める必要があります。しかし、面接を現場任せにしてしまうと、面接官独自の基準で面接をおこなうなど、自社の採用基準に合わない求職者を採用してしまう恐れがあります。自社の求める人材像に合わせた採用基準を定めるとともに、採用基準が判断できる質問を作ることで、採用基準を運用することが重要です。
中途採用では即戦力を図る質問を準備する
二つ目は、中途採用では即戦力を図る質問を準備することです。
中途採用は、新卒採用のようなポテンシャル採用ではなく、基本的には即戦力採用です。採用判断の軸がブレないよう、即戦力を図る質問を必ず準備してください。また、実際の面接の場では、即戦力を図るには、現場社員から質問を深堀りして判断することが一般的です。そのため、即戦力を図る質問は、大項目を整理する程度に留めておき、現場社員が即戦力として通用するかをその場で深掘りして確認してもらうことがやりやすいでしょう。
退職・転職理由は必ず盛り込む
三つ目は、退職・転職理由は必ず盛り込むことです。
中途採用では、前職で不満がある場合や、キャリアアップなど前向きな理由で転職活動をする場合など、求職者の転職理由は各様です。なかには、問題を起こして退職を余儀なくされているケースもあります。
退職理由や転職理由が前向きな理由であれば、すぐに退職してしまうことはないでしょう。しかし、不満が理由で退職したようなケースでは、同じような理由ですぐ離職してしまう恐れがあります。また、問題を起こして退職したようなケースは、自社にさまざまな悪影響をもたらすリスクも生じます。こうしたリスクを防ぐため、退職理由や転職理由を深掘りして、矛盾や虚偽はないかなどを慎重に見極めることが不可欠です。
目的別、面接で聞くべき質問18選
まず、実際の面接で聞いておくべき質問や、聞いてはいけない質問について実例を挙げて紹介します。質問内容とその質問の意図を理解することが大切なので、ぜひ参考にしてみてください。
応募者をリラックスさせる質問
面接で合否の判断に必要な情報を聞き出すためには、話しやすい雰囲気を作ることが大切です。まずは、応募者をリラックスさせる質問から面接を始めるといいでしょう。
- 弊社のことは以前からご存知でしたか?
- 昨晩はよく眠れましたか?
- 休日はどのように過ごしていますか?
このような、誰にでも答えることができて、かつ合否に直接関係ないような質問をすることが大切です。また、話しやすい雰囲気を作っていくために、休日の過ごし方など、プライベートの質問をすることもおすすめです。
退職理由・転職理由を確認するための質問
中途面接では、必ず聞くべき質問です。採用後すぐに応募者が辞めてしまうようなことがないか、問題を起こす社員でないかを見極めるために、前章で触れたとおり、必ず質問しましょう。
- 退職するに至った背景を具体的に教えてください
- ○○株式会社の就業履歴が短い理由を説明してください
- 退職理由と転職理由の因果関係を教えてください
会社の不満など、前向きでない退職理由・転職理由の場合、採用後に新たな不満が生じて、辞めてしまうリスクがあります。早期離職につながるような退職理由でないか、必ず確認してください。
なお、短い職歴があった場合、入社してもすぐに退職されるリスクがありますので、特にしっかりと確認する必要があります。また、問題を起こして退職した応募者は、退職理由や転職理由を偽る可能性があります。そのため、理由が不自然な場合、深掘りして整合性を確認することが重要です。
経歴・スキルを確認するための質問
応募者のこれまでの職務経歴やスキルについては、具体的な内容を確認する質問をしましょう。
- 前職ではどのような業務を担当されていましたか?
- △△については、何年ほど経験がおありですか?
- 担当された業務に対して、最も苦労したことは何ですか?
エピソードを交えて具体的に教えてください。
これらの質問により、経歴について具体的な事実を聞き出すことができ、大きな合否の判断材料を得ることができます。また応募者は、自身をよく見せようと経歴・スキルを誇張するケースもあります。そのため、特に専門職の場合は現場の社員に同席してもらい、専門的な質問を深堀りし、確認してください。
志望動機・意欲を確認するための質問
志望動機や意欲についての質問は、応募者の仕事に対する考え方や自社に対して何を期待しているのか、どのようなキャリアを積みたいのかを探るために必要です。
- 当社を志望した理由をお聞かせください。
- 転職先を選ぶうえで、どのようなことを重視されていますか?
- 当社でどのような目標を達成したいと考えていますか?
これらの質問によって、実は自社では達成できない目標を定めていたことなどが発覚する場合があります。また、志望動機が弱い場合、自社の理解も薄くミスマッチとなる可能性が高くなるでしょう。入社後のミスマッチを防ぐためにも、しっかりと志望動機・意欲を確認しましょう。
仕事の軸を見極めるための質問
応募者の仕事の軸を見極めるためには、責任感や目標意識の質問が効果的です。
- 仕事におけるノルマや目標についてどのように考えますか?
また、その理由も教えてください。 - あなたが仕事をするうえで、大切にしている価値観を教えてください。
- 10年後にどのような仕事をしたいと考えますか?
このような質問によって、応募者が何のために働くのか、また自分の軸を持っているかどうかを確認することができます。
人間性を見極めるための質問
応募者の人間性を知るためには、応募者の資質や性格、価値観に関する質問を投げかけてみましょう。
- あなたの強みについて教えてください。また、その強みを弊社でどのように活かせると考えますか?
- あなたは、周囲の人からどのような人と言われますか?
- あなたの長所と短所について教えてください。
また、短所を克服するために努力していることがあれば教えてください。
応募者が自社の社風や価値観に合うかを判断するために欠かせない質問です。応募者の本質的な部分を探るために、必ず確認しましょう。
中途採用の面接時にNGな質問
質問内容によっては聞くこと自体が無意味であったり、応募者の自社に対する印象を悪くしたりしてしまうこともあるので注意が必要です。面接時に避けるべき質問についても理解しておきましょう。
思想・信条・出生地・家族の職業などに関わる質問
公正な採用選考をおこなうため、職業安定法第5条の4における指針では、思想・信条・出生地・家族の職業など差別につながる可能性がある個人情報の収集は認められていません。違反したときは、法に基づく改善命令が出されることもあります。この改善命令に従わなかった場合、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる恐れがあります。
公正な採用選考の下、応募者の基本的人権の尊重に配慮し、適性・能力とは関係ない事柄で採否を決定しないようにしてください。また、購読新聞や愛読書についての質問も個人の思想に関わると判断されないよう留意しましょう。公正な採用選考について詳しく知りたい方は、下記の厚生労働省のサイトをご参考ください。
(※参考)厚生労働省:「公正な採用選考の基本」
プライベートを深堀りする質問
プライベートについては、あまり深く質問すべきではありません。適度な範囲でのプライベートに関する質問は、応募者をリラックスさせ、ありのままの魅力を引き出す効果があります。
しかし、度を越してしまうとプライバシーを侵害する恐れもあり、公正な採用選考に影響をきたすこともあるでしょう。職務に関する事項であれば、合否判断に関する範囲で深堀り質問することに差支えはありません。ただし、守秘義務に関する事項まで追及するようなことはせず、常識的な範囲に収めてください。
ハラスメントになる質問
面接官は、面接時の質問がセクシャルハラスメントやパワーハラスメントなどにならないよう徹底しなければなりません。
性別によって質問内容を変えることはセクハラにあたり、法律で禁じられています。応募者に対して有利な立場であることを利用して無神経な質問をすることはパワハラにあたります。応募者の妊娠や出産、育児に関するいやがらせの質問はマタハラです。
いわゆるパワハラ防止法(労働施策総合推進法)は、労働者以外は直接の規制対象にはなっていません。しかし、職場におけるハラスメント関係指針では、求職者など労働者以外でもパワハラ対策をすることが望まれるとされています。
事前に、質問内容の精査やNG質問のリストアップをするほか、面接のロールプレイングをおこなうなど、ハラスメント対策を徹底しましょう。
いい人材を見極める8つのコツ
ここでは、応募者が良い人材であるかどうかを見極めるコツについて紹介します。
【1】中途採用は2名以上で多角的に判断する
中途採用の面接をおこなう場合は、できるだけ2人以上の面接官を用意しておくことが大切です。応募者の評価基準をしっかり定めていたとしても、面接官によって応募者に対する印象が異なってしまうからです。面接官は複数人配置し、評価に偏りが出ないような工夫をすることで公平な面接ができるようにしましょう。
【2】専門職の場合は現場の社員を同席させる
募集している職種が専門的な場合、面接には現場スタッフを同席させるようにしましょう。面接官には、応募者が現場の実務レベルに適した人材であるかどうかを判断することが難しい場合があるからです。また専門職の場合、現場スタッフのほうが仕事の魅力をしっかり伝えたり、仕事についての具体的な話をすることができるでしょう。
どうしても現場スタッフを同席させることが難しい場合は、面接後に会社見学を実施したり、現場スタッフとの顔合わせをするケースもあります。こうすることで、採用時のミスマッチを防ぐ効果が期待できます。このような配慮があれば、会社にとって最適な人材を確保しやすくなるでしょう。
【3】リラックスした雰囲気づくりを
いい人材を見極めるためには、リラックスした雰囲気づくりを意識することが大切です。応募者・面接官の双方が緊張したまま面接を進めていては、いい人材を見極めるどころか、正しい判断をすることも難しくなってしまうからです。笑顔や落ち着いた話し方を意識すると、お互いに話しやすくなり、応募者の性格や人柄なども判断しやすくなります。
緊張をほぐすために合否に関係がないような質問をしたり、面接官のほうから自己紹介をしたりすることも効果的です。また、応募者の能力を引き出す一番のテクニックは傾聴です。意識して、話しを聞きながらしっかりと頷いたり、「それは興味深いですね」と相槌を打ったりしてみてください。黙って聞くのではなく、その都度リアクションをとってあげることで応募者は安心感を覚えます。
【4】思考・行動の軸に着目する
いい人材を見極めるためには、応募者の思考や行動の軸に注目しましょう。それらは応募者の仕事ぶりに関わる部分であり、さらに人間性やチームで働くことへの適性にも直結するからです。そのためには、面接では過去のエピソードや苦労話を聞いたり、ある状況下でどのように考えて行動するかを質問することが効果的です。
【5】発言はとことん深堀りする
応募者の発言をとことん深掘りすることも人材を見極めるためには重要です。応募者の本質的な部分を見極めることができなければ、採用・不採用の判断をすることができないからです。応募者の発言に対してただ相槌を打つだけでなく、「それはなぜですか?」「具体的に教えてください」などと質問してみましょう。
その際、荒さがしをするような聞き方では、何気ない話題でも圧迫面接と受け取られることもありますので注意が必要です。なんとか上に引き上げようという態度で接すれば、多少突っ込んだ質問をしても好感を持ってもらえます。
【6】退職理由の前向きさや整合性を確認する
中途面接でいい人材を採用するには、退職理由の前向きさを確認することも重要です。退職理由が前向きな応募者は、入社後も前向きな姿勢で仕事に取り組み、長く活躍してもらえることが期待できるでしょう。しかし、後ろ向きな応募者は、入社後に不満が生じたら、すぐにでも辞めるリスクがあります。
ただし、応募者も前向きな退職理由にすべきと理解しているため、退職理由が後ろ向きであったとしても偽る可能性もあるでしょう。いい人材を見極めるためには、こうした退職理由の虚偽がないかを深堀りし、退職理由の整合性を確認することも必要です。
【7】転職理由と志望動機との関係性を確認する
長く勤めてもらえる人材を見極めるには、転職理由と志望動機の関係性を確認することも欠かせません。応募者には、とにかく今の職場がイヤで現実逃避をしたい人、転職活動が長引いてどのような会社でもいいと思う人などさまざまです。こうした応募者は、後々、採用ミスマッチとなる恐れが極めて高いといえます。
自社に入社することで希望が叶えられるような転職理由をもつ応募者ならば、入社後も長きにわたって活躍してもらえるはずです。いい人材を見極めるために、必ず転職理由と志望動機との関係性を確認してください。
【8】逆質問の機会を設ける
面接官が応募者に質問するのではなく、応募者から面接官に質問することを逆質問といいます。新卒採用、中途採用のいずれも、逆質問の時間を設けることが有効です。面接官から応募者に対して「なにか質問はありませんか?」と聞いたときの逆質問の内容によって、応募者の自社に対する志望度を図ることができるからです。
- 自社に対する下調べを十分におこなったことがわかる、現場の仕事内容について質問
- 応募者と同年代の社員がどのようなスキルを持っているのかについての質問
- 同年代の社員がどのような職務を担当しているのかについての質問
このような質問をされた場合は、入社後に期待できる人材であると判断するひとつの材料になります。
いい人材を見極めるコツについては、「初心者でも安心!面接官マニュアル 【現場で使える質問集付き】」でも解説しております。合わせてご参考ください。
採ってはいけない人材を見抜くポイント
人数規模がある程度多い企業では、少なからず問題社員はいるものです。しかし、どのような企業でも、問題社員を抱えてもいいとは思っていないでしょう。ここでは、問題社員の採用を極力回避するための「採ってはいけない人材を見抜くポイント」を説明します。
【1】経歴詐称がないか注意
経験やエピソードのほかに、応募者が経歴詐称をしていないかどうかを見極めることも大切です。具体的には、短期間で辞めた会社を経歴として記載していないケースや、ある業務の経験について虚偽記載しているケースなどがそれにあたります。
在職期間については、前職を辞めてから半年以上ブランクがある場合、その期間に何をしていたのか確認してみましょう。実は他社で働いていたことが判明するかもしれません。
経験や能力については、その業務に取り組む際の注意点や手順に関して詳しく質問してみると、真偽を判断しやすくなります。専門的な業務の場合は同席している現場の社員に質問を任せましょう。
【2】実績ではなく見解を述べていないか
問題社員には、意見は述べても実績をあげられない人が多い傾向にあります。実績をあげられない結果、社内で活躍できる場が少なくなるケースも珍しくありません。
このような問題社員は、実績をあげていないため、事実を述べることができません。たとえ述べたとしても虚偽である可能性が高いといえます。実績を事実ではなく、「〇〇と思う」「〇〇と判断している」など、事実に対して見解だけを述べている応募者は要注意です。
自己評価だけが高く、実績を伴わない人材は、入社後に周囲に迷惑をかける恐れが極めて高いでしょう。深掘りして、事実であるかの整合性を必ず確認してください。
【3】過度に自社批判や上司批判をしていないか
採用面接の場で、過度に自社や上司を批判する応募者は、自社にとって望ましい人材ではありません。こうした応募者は、入社後に周囲に負の影響を与えます。その批判が周囲に広まり、事実でなくても若手のやる気を削ぐなど、悪影響が生じる恐れがあります。
このように、批判ばかりをする者の存在は「社内の雰囲気を悪くする」「人材育成にも支障が生じる」など企業にとって望ましくありません。過度に自社批判や上司批判をする応募者は、人材要件として外すことをおすすめします。
忘れていない?面接前の準備
ここまで、面接時に役立つテクニックを紹介しました。ここからは、面接前の準備について解説します。今一度、漏れがないか確認してみてください。
評価基準を可視化・共有する
面接によって応募者を見極めるためには、中途採用の評価基準を明確にし、採用関係者の間で共有しておく必要があります。面接官の価値観や好みによって採用・不採用を決めてしまった場合、会社に本当に必要な人材を確保できなくなる可能性があるからです。
応募してきた人材について何を優先的に評価するのかを可視化し、採用担当者の間で共有しておくことで、このような事態を防ぐことができます。ミスマッチをできるだけ防ぐために必要な準備であるということを理解しておきましょう。
評価基準については、事前に面接評価シートを作成しておくことをおすすめします。面接評価シートの作成方法については以下の記事で詳しく解説しています。初めて作成する方や面接の精度を向上させたい方は、ぜひ参考にしてください。
面接評価シートの作り方とは?作成のメリットや含める項目を紹介
応募者が実力を発揮できる環境を整える
面接前には、応募者が自分の実力を発揮できるような環境を整える必要もあります。人の出入りが多い場所や、他人の話し声が聞こえる場所、個室ではない場所で面接をおこなった場合、応募者が落ちついて自分のことを話すことは難しくなります。
仕事の電話や打ち合わせの声が筒抜けになるような狭い事務所の場合は、近所のカフェなどを利用して面接をおこない、その後社内見学してもらうという形式を取るのもいいでしょう。ほとんどの場合、面接に臨む応募者は緊張しています。その状態で応募者が自分の本来の力を発揮できるようにすることは、人材の見極めという点からも大切です。
履歴書・職務経歴書を読み込んでおく
面接をおこなう前に、応募者の履歴書や職務経歴書をしっかり読み込んでおくことも大切です。なぜなら限られた面接時間のなかで、応募者の経験や人柄、性格を見極め、経歴詐称を見抜く必要があるからです。
事前に履歴書や職務経歴書を読み込み、質問する内容を考えておくことで、面接中に必要な事項を聞き逃す心配がなくなります。なお、応募書類を事前に送付してもらうのではなく、面接時に持参してもらう企業は、面接前に適性試験や15分間程度の簡単な会社説明会をおこない、その間に応募書類を読み込むのがいいでしょう。また、応募者をより深く理解するために、応募から面接までの期間に電話面談を挟むケースも増えています。
面接の流れを頭に入れておく
事前に、面接の流れを頭に入れておくことも欠かせません。基本的に、面接は以下のような流れで進むケースが多いでしょう。
1.挨拶/自己紹介
2.アイスブレイク
3.会社の説明
4.面接官からの質問
5.応募者からの質問
6.今後の流れの説明/見送り
面接時間は限られているかと思いますので、時間配分も決めておきましょう。面接官が複数人いる場合は、事前に一連の面接の流れと時間配分を共有しておくことで、互いの認識が揃い、面接をよりスムーズに進行させることができます。
面接の流れについては以下の記事で詳しく解説しています。中途採用を担当する方はぜひ参考にしてください。
【採用面接官マニュアル】流れ・質問例など即活用できるコツを解説
臨機応変に対応できるよう話を通しておく
面接をおこない、応募者が自社に欲しい人材であることが判明した場合、臨機応変に対応することができるよう、役職上位者に話を通しておくことも大切です。転職希望者は複数の選考を受けている場合が多く、いい人材ほど他社から内定が出て入社が決まってしまうことがあるからです。そのため、役職上位者に事前に話を通しておき、応募者の感触がよければそのまま最終面接をおこない、素早く内定を出せるようにしておくことも準備として必要になるでしょう。
【おさらい】面接官が持つべき心構え
最後に、よりよい面接をおこなうために面接官が持つべき心構えとして「面接官に選ばれた理由を理解する」「面接をおこなう目的を意識する」を紹介します。
面接官に選ばれた理由を理解する
面接官に選ばれた理由を理解すると、面接官としてありたい姿が具体的になり、最適な振る舞いができるようになるかもしれません。面接官に選ばれる理由として、たとえば「応募者の能力を的確に評価できる」「応募者を口説いて入社意欲を上げられる」 があります。
応募者の能力を的確に評価できるということは、自社に対する応募者に適性があるかどうかを見極められるということです。日ごろから広い視野を持って人を見ている方、人のネガティブな部分だけでなくポジティブな部分に気づける方はこのタイプに当てはまるといえるでしょう。この能力に加えて、どのような理由で面接を通過させたのかを、具体的かつ論理的に次の担当者に伝えることができる表現力を身に付けると、よりよい面接官になれるでしょう。
応募者を口説いて入社意欲を高める能力は、昨今の売り手市場において非常に大きな需要があります。自社の魅力について説得力を持って伝えたりできる方はこのタイプに当てはまるでしょう。ただし、応募者を口説いて採用するということは、その人の人生に大きな影響を与えてしまうことにもなるので、最後まで応募者をフォローする責任感が必要になります。最終的にはこれらの両方に当てはまることがよい面接官の必須条件です。
大切なのは目的をしっかり意識すること
面接官を務めるうえで、面接をおこなう目的をしっかりと意識することも欠かせません。面接をおこなう目的として基礎的なものは以下の2つです。
目的1:人材の見極め
面接においては、人材を見極めることを意識するのが大切です。ここで重要なのが、礼儀や服装、履歴書の内容など目に見える特徴だけでなく、さまざまな質問をしながら応募者の背景や仕事への適性なども確認する意識が必要だということです。
即戦力を求めることが多い中途採用では、どうしても履歴書などから見える経歴やスキル、または見た目や受け答えの印象に注視しがちになってしまいます。もちろん、これらも重要ですが、応募者の性格や価値観などが自社の文化や社員と合っているかどうかの見極めは、入社後の定着率や活躍に大きく影響してくることも忘れてはなりません。
目的2:自社に対する魅力づけ
中途採用面接のもうひとつの目的は、自社に対する魅力づけです。バブル期並みの売り手市場となっている現在の中途採用において、人材の見極め以上に重要な要素となっています。
エン転職がおこなったインターネット調査によると、応募者の約7~8割が面接を受けて入社意欲が変化したと回答しています。そのため、人材の見極めをおこないながら「いかに自社の魅力を伝えていくか」をしっかり意識しなければなりません。
応募者に選んでもらうという意識を持ち、適切な情報を提供したり、応募者の魅力や転職動機などを言語化して伝えたりして、会社をより魅力的に感じられるようにすることが大切です。
応募者にとって面接官は企業の顔になるため、面接官の印象を左右する「服装」への配慮も忘れずに。基本、服装は社風や演出したい雰囲気に合わせて選びますが、まずは清潔感のある身なりを心がけましょう。
クイックでは、ミスマッチ解消や内定承諾力を引き上げるための面接官トレーニング「【選社軸がわかる】面接官トレーニング 応募者理解編 ★有料公開研修」をご用意しています。面接の精度を向上させたい方は、ぜひ参加をご検討ください。
中途採用面接の質問設計におすすめのサイト・書籍
これまで、中途採用面接の質問準備について解説してきましたが、本章では、中途採用面接の質問設計におすすめのサイトや書籍を紹介します。
中途採用面接で採ってはいけない人を見極める「3つの質問」(小宮一慶の週末経営塾)
このサイトは、「ダイヤモンド・オンライン」で連載されている「小宮一慶の週末経営塾」の会員限定記事です。
いい人材を見極めるポイントとして、「素直さ」「熱意」「地頭の良さ」の3つに着目し、それぞれの見極め方と採ってはいけないケースが解説されています。また、働く姿勢を見極めるために見るべき要点もふれており、中途採用面接の質問設計をする前に確認することをおすすめします。なお、会員登録が必要ですが、無料で閲覧可能です。
株式会社ダイヤモンド社:小宮一慶の週末経営塾「中途採用面接で採ってはいけない人を見極める「3つの質問」」
新版 人材を逃さない見抜く面接質問50
この書籍は、実践的な採用面接の質問マニュアルです。
とおり一辺倒の質問では、準備してきた回答しか引き出せない一方、ひねった質問では、求職者が緊張して当たり障りのない答えになり、面接の評価を明確におこなえない実情があるでしょう。本書は、こうした失敗を防ぐため、「応募者から本音を引き出し能力を判断できる的確な質問」や「応募者の答えから相手の本質の見抜く方法」を解説しています。初めて面接官を対応する人や、面接官としてのスキルを上げたい人におすすめの一冊です。
株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワン:キャロルマーティン著/岡村桂訳「新版 人材を逃さない見抜く面接質問50」
まとめ
中途採用面接で使える効果的な質問やコツのほか、採ってはいけない人材を見抜くポイントや、面接前におこなうべき準備について解説してきました。自社にとって最適な人材を確保するための面接をおこなうには、これらについてしっかり理解しておくことが大切です。事前にしっかり準備し、会社・応募者双方のためになる面接ができるようにしましょう。
さらに中途採用の採用ポイントを詳しく知りたい方は、以下採用活動をフェーズ別で解説している資料も合わせてご確認ください。
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採用活動を「採用計画」「求人募集」「選考実施」の3フェーズに分け、中小企業における採用戦略ポイントを解説。さらに、よくある課題と解決につながる採用手法も併せてご紹介。
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