中途採用の筆記試験の作り方
まずは、筆記試験の基本について説明していきます。
中途採用の筆記試験の種類は?【例題つき】
筆記試験の種類は大まかに分けて以下の4つです。それぞれの例題を参考にしながら作成してください。
一般常識試験
その名の通り、常識的な知識を測るためのテストです。国語や数学、英語などの学力が試される内容や、最新の時事問題が出されることもあります。
<国語>
(1)次の漢字の読みを書きなさい。
・会釈( )
・造詣( )
・気鋭( )(2)次の語句の対義語を書きなさい。
・温暖( )
・需要( )
・抽象( )<数学>
(1)A社では1個あたり定価2,500円の商品を定価の4割で仕入れている。この商品を定価の10%引きで売った場合、1個売れた時の利益はいくら出るか?(2)箱の中に赤いボールが3つ、青いボールが5つ、黄色いボールが2つ入っている。3つのボールを同時に取り出した時に、すべての色が違う確率は?
<時事・常識・雑学など>
(1)2018年5月9日、東京で開催された日中韓サミットで安倍首相は誰と会談を行ったのか書きなさい。(2)日本政府が2020年東京五輪の暑さ対策として、標準時間を早めるために検討しているものは何なのか書きなさい。
適性テスト
さまざまな質問から、ストレスへの耐性、チームワークの得意・不得意、コミュニケーション能力などの性格や思考を測るテストです。その結果から、自社に合う人材かどうか、希望職種に適しているかどうかなどを判断します。
以下の質問について、「かなり当てはまる」「やや当てはまる」「やや当てはまらない」「ほとんど当てはまらない」のいずれかで答えなさい。
① 人の目から見た自分の姿が気になる
② 正しいと信じたことは意見を曲げない
③ 嫌だと感じたことは嫌だとはっきり言う
④ 人の感情を理解するのが得意だ
⑤ 人を疑ってしまうことがよくある
小論文
決められたテーマと文字数で、時間内に文章を書くテストです。わかりやすい文章を書けるかどうか、論理的思考力やテーマにまつわる知識があるかどうかを判断します。専門知識が必要とされる業種や職種の場合は、業務に関する内容がテーマとして指定されることもあります。
以下からテーマをひとつ選び、800字以内にまとめなさい。
「10年後の自分の姿」
「少子高齢社会について」
「在宅医療のあり方とは」
「これまでの人生で最大のピンチだった出来事」
「これまでの人生で一番印象的だった出来事」
個々の職種にまつわる試験
専門的な職種の場合は、業務上必要となる知識や技術がどの程度あるのか、それが実践レベルなのかどうかを図るための試験が行われることもあります。具体的には、SEやプログラマーを採用する際のプログラミング試験などです。
C言語に関して正しいものをすべて選びなさい。
① 整数の先頭が0の場合は16進数として扱われる。
② strcat関数とstrncat関数の違いは文字列を連結できるかできないか。
③ ファイルをオープンする場合はfopen関数を使う。
④ typedefはコンパイラで解釈され、#defineはプリプロセッサで解釈される。
試験を行う目的を明確にしておく
中途採用で筆記試験を行う場合は、その目的を明確にしておく必要があります。そのためには、自社で働く人に持っていてほしい能力とは何なのか、それを図るにはどんな試験が必要なのかを考えます。また、試験で必要となる素材は、外部の専門業者を利用するほか、技術や知識に関して「最低限これだけはできていてほしい」という内容をまとめてテストを自作するのも良いでしょう。
取り組む姿勢もチェック
試験に取り組む姿勢から、応募者の本気度や人間性を判断することができます。時間内に問題を解き終わっても気を抜かずに見直しをしているかどうか、解答用紙を雑に扱っていないかどうかなどをチェックしましょう。
中途採用の筆記試験におけるメリット・デメリット
筆記試験のメリット3つ
【1】応募者のふるい落としができる
特に応募者多数などの場合は、筆記試験でふるい落としを行えば一定の基準をクリアした応募者のみを面接に招くことができるため、採用活動の効率化につながります。また、不採用通知を行う場合、筆記試験の結果を理由にすることで、応募者を納得させるという意味もあります。
【2】応募者の資質を客観的に測定できる
中途採用においては、採用ターゲットが社内で統一できていない、採用担当者によって応募者の評価が異なるといったことが起こりがちです。しかし、筆記試験を行うことで応募者を一定の基準から判断でき、客観的な見方も可能になります。
【3】応募者の本当の性格を把握できる
説明会や面接の際、応募者は採用してもらえるようにある程度自分を演じたり、少しでも印象を良くするために意識したりします。そのため、採用担当者は応募者の本当の性格に気付けない場合もあります。しかし、筆記試験はさまざまな設問から応募者の内面的な部分を探る役割を持ち、対面しただけでは把握できない応募者の性格を知るツールになります。
データだけで判断してしまうというデメリットも
筆記試験は効率的な採用活動には欠かせないものですが、応募者を試験結果というデータのみで判断してしまう危険性もあります。筆記試験はあくまでもひとつの目安として考え、面接などと併せて総合的に活用することを心がけましょう。
中途採用の筆記試験にまつわるQ&A
最後に、筆記試験に関するよくある疑問とその解答を紹介していきます。
そもそも、どんな場合に実施すべき?
筆記試験は、応募者多数により面接前のふるい落としが必要な場合や、試験で特定の能力を測る必要がある職種の場合などに行われることが多いです。また、応募書類を見て有望だと感じた応募者は筆記試験なしで面接を行い、「基本的な知識やスキルがあるかどうか判断した上で、面接するかどうかを決めたい」と感じた応募者にはまず筆記試験を行うという形をとることもできます。
筆記試験は、大手企業や上場企業に加えて、専門的な知識やスキルが必要とされる技術系の業種・職種の中途採用で行われることが多く、特にパッケージ・ミドルウェア開発に携わる職種では8割以上が筆記試験を実施しています。
参考:転職サイトdoda「筆記試験の実施率、試験内容は? 採用担当者のホンネ 中途採用の実態調査」
問題の難易度はどの程度がベスト?
試験問題の難易度は、筆記試験で面接に進む応募者をどの程度絞りたいかによります。難易度を高くして、筆記試験の成績上位数名のみ面接を行う方法もありますが、難易度を上げすぎて高得点をとれる応募者がいないというケースも考えられますので注意が必要です。多くの企業では70%程度の正答率を合格の目安にしているようです。
筆記試験の結果はどの程度信頼できる?
専門業者が作成した筆記試験や適性テストは、膨大なデータや統計をもとに作られていることが多く、信頼性や客観性があります。ただ、筆記試験のみで応募者の素質や適正を判断することはできず、試験結果が良くても実務でそれを生かすことができないという場合も珍しくありません。あくまでも、応募書類や面接などと併せて参考材料のひとつとして見ることが大切です。
まとめ
中途採用の筆記試験は採用活動の効率化につながるものであり、面接や応募書類だけではわからない応募者の一面を知ることができます。自社に合った試験内容や方法を選んで、選考に役立てましょう。
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