採用活動におけるペルソナの作り方 メリットや具体例を紹介 COLUMN

公開日:2021.12.21

更新日:2022.06.02

採用活動におけるペルソナの作り方 メリットや具体例を紹介

企業の発展のためにも、能力や人柄が自社にマッチした人材を採用することが必要です。しかし、思ったように求める人材から応募が集まらない、応募はあるものの自社にマッチした人材でないとお困りの人事担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで今回は、自社にマッチした人材の採用に効果のあるペルソナについて、意味や作り方について解説します。また、ペルソナの具体例も紹介していますので参考にしてみてください。

目次

採用活動におけるペルソナとは?

ペルソナはサービスや商品を利用すると想定される架空のユーザー像を意味するマーケティング用語です。近年、採用活動においてもペルソナを活用する動きが一般化しつつあります。ここでは、採用活動におけるペルソナの意味と用いるメリットについて解説します。

採用したい人物情報を具体化したもの

採用活動におけるペルソナと採用したい人物の年齢や性別、経験・スキルなどの情報を具体化したものです。日本では少子高齢化によって労働人口が減少しています。人材の確保が難しくなっている中、自社の求める条件に近い人材を一人でも多く採用するため、採用活動にもペルソナが活用されるようになりました。

ペルソナとターゲットの違い

ペルソナとターゲットの違いは、設定する人物像の具体性です。例えば、ペルソナであれば、「21歳男性、サッカー部に所属しており、チームメイトからの信頼が厚い」というように一人の架空の人物を詳細に作り込みます。それに対してターゲットは「20代男性、運動部所属」というように大まかに設定します。

採用活動でペルソナを用いるメリット

採用活動でペルソナを用いるメリットは、面接官による採用基準のムラが出づらくなり、ミスマッチの防止に役立つ点です。ペルソナを設定していない場合、採用担当者や面接官の主観的な判断になりやすく、ミスマッチや自社の求める人材を取りこぼす原因となります。ペルソナによって社内で共通意識が持てると、採用担当者と選考に慣れていない配属部門の担当者の間で、採用基準に沿ってコミュニケーションが取れるため、採用活動を効率良く進められます。

採用活動におけるペルソナの作り方

ここでは、採用活動でペルソナを作るのに必要な6つのステップと作成時の注意点について解説します。

ペルソナ作成の6ステップ

ペルソナを作成するときは以下の6ステップを踏んで作成します。ここでは、各ステップで行う具体的な内容を解説します。

【1】採用目的を明確にする
【2】求める人物像の条件を書き出す
【3】経営層と現場とイメージを合わせる
【4】新卒・転職市場に合わせて要件を調整する
【5】社内への共有と求人情報の掲載を行う
【6】採用状況に応じて改良する

【1】採用目的を明確にする

まずは、「何のためにどのような人材を採用するか」という目的を明確にしてください。 採用の目的によって作成するペルソナが異なります。例えば、欠員が出て業務が回らなくなっている状況であればスキルや経験を重視し、事業拡大に向けて人員を増やしたい状況であれば組織に適応できる人柄を重視してペルソナを作成します。

また、採用目的を考えるときは、経営層や現場へのヒアリングが必要です。経営の今後の方針とマッチし、現場の課題解決につながるように目的を設定しなければ、ミスマッチの原因になりかねません。

【2】求める人物像の条件を書き出す

採用目的を考慮した上で求める人物像の条件を以下の項目に沿ってできる限り多く書き出してください。

基本情報 年齢
性別
学歴・職歴
年収
趣味
能力 スキル・経験
資格
価値観や行動特性 企業に求めること
仕事をする上で大切にしたいこと
キャリア志向
就職活動の軸

活躍している社員にインタビューを実施し、大学時代に力を入れていたことや入社理由などを聞くと人物像の条件をスムーズに書き出せます。また、活躍している社員に適性検査を受けてもらい、適性検査の結果をもとに人物像の条件を導く方法もあります。

【3】経営層と現場のイメージを合わせる

書き出した条件をもとに仮のペルソナを作成した上で、経営層や現場に共有し、イメージをすり合わせます。ただし、どちらの要望にも応えようとすると非現実的なペルソナになりかねません。両方の意見を聞いた上で、書き出した条件にMUST(必要条件)・WANT(あると望ましい条件)・NEGATIVE(不要条件)に分類して優先順位をつけ、現実的なペルソナを作り上げていく必要があります

【4】新卒・転職市場に合わせて要件を調整する

経営層や現場の意見を踏まえて作成したペルソナを、現在の新卒・転職市場に合わせて要件を調整し、ペルソナを完成させます。例えば、設定したペルソナの希望年収が実際の中途採用市場と比べて大幅に低いと、求職者からの応募が集まりません。自社の求める人材に応募してもらうためにも、採用市場にマッチした条件に調整してください。

【5】社内への共有と求人情報の掲載を行う

ペルソナが出来上がったら、社内へ共有した上で、求人情報を作成して自社の採用サイトや求人サイトに掲載します。求人情報を作成するときは、ペルソナにとって知りたい情報を盛り込むよう心がけてください

また、新たに人材を受け入れる部署の社員には面談や面接に参加してもらう場合があるため、必ず共有してイメージをすり合わせてください。連携がうまくいかないと、自社の求める人材の採用を逃す可能性があります。

【6】採用状況に応じて改良する

採用活動をスタートしても思ったように人材が集まらない、ペルソナに近い人材からの募集が少ないなどの問題が発生する可能性があります。採用活動がうまくいかない原因を分析した上で、経営層や現場と再度意見を交わしペルソナを改良してください。

ペルソナを作るときの注意点

6つのステップを踏むときに注意すべき点が2つあります。ここでは、以下2つに注意すべき理由を紹介します。

・自社の魅力を把握してから作る
・正解が一つだけではないことを意識する

自社の魅力を把握してから作る

求職者にとって自社にどのような魅力があるかを理解した上でペルソナを作成してください。自社の魅力の理解が不十分だと、自社にマッチする人材の条件が分からず、社風にマッチしていないペルソナになる可能性があります。ペルソナの設計を誤ると、選考中に求職者にアピールすべき魅力・強みを誤り採用につながらない、入社後にミスマッチが発生するといった事態になりかねません。

他社より優れている点や自社の魅力を発見するために、新卒・中途入社にかかわらず新入社員に自社を選んだ理由についてヒアリングすることがおすすめです。

正解が一つだけではないことを意識する

ペルソナは一人の架空の人物像を作り上げることですが、採用活動におけるペルソナの正解は一つだけではありません。設計した一つのペルソナに固執していると人材の対象範囲が狭くなり、優秀な人材の採用機会を喪失するリスクがあります

リスク回避のために、人材を配置する部署や採用するタイミングを考慮して、複数のペルソナを設定することがおすすめです。例えば、「将来の幹部になり得る人材」「主力事業の軸となる人材」というように、活躍してほしい内容によって複数のペルソナを用意しておきます。

【新卒・中途】ペルソナ設定の具体例

ペルソナ設定の6ステップに沿ってペルソナの具体例を新卒採用と中途採用の2パターン作成しました。ここでは、ペルソナ作成時に考慮した点と併せて具体例を紹介します。

【新卒】営業職を募集する例

日用品メーカーのA社は、代理店営業の人材を増やすために新卒採用で営業職を募集することになりました。A社はチームワークを重視する企業風土で、繁忙期には残業が増える傾向があります。ここから、コミュニケーション能力が高く、ある程度体力・忍耐力のある人材になるように下記のペルソナを設定しました。

項目 設定内容
基本情報 年齢 21歳
性別 男性
学歴 〇〇大学 □□学部(文系)
部活・サークル 野球部
アルバイト ファミリーレストラン
趣味 映画鑑賞
能力 長所 協調性があり、周囲を巻き込む力がある
短所 おせっかいと思われることがある
学生時代に力を入れたこと チームメンバーに積極的にアドバイスをして、チームの基礎力向上に貢献し、全国大会ベスト8進出
価値観
行動特性
志望業界・業種 業界未定、営業職希望
企業選びで重視している点 ・社内のコミュニケーションが活発か
・新人のうちから活躍できるか

ペルソナを設定する上で以下の2点を考慮しています。

・部活やアルバイトで人とのコミュニケーションに慣れており、チームワークを大切にしていそう
・部活にアルバイト、学業も両立しているならば、忙しさに耐性がありそう

【中途】エンジニアを募集する例

IT企業のB社では、クライアントのシステム開発に携わっていた社員が退職してしまい、欠員補充のためにSEを募集することになりました。B社は実力主義で、年齢に関係なく評価しています。また、営業と同行しクライアントに提案するケースもありコミュニケーション能力の高い人材が必要と考えています。これらの要素から、エンジニアとしての経験が豊富で、普段から相手に情報を分かりやすく伝える習慣のあるペルソナを下記に設定しました。

項目 設定内容
基本情報 年齢 36歳
性別 女性
学歴 〇〇大学 △△学部(理系)
趣味 オンラインゲーム
年収 500万円
家族構成 夫と息子と3人暮らし
能力 現職(前職)の仕事内容 SE
スキル 納期や予算を考慮して適切なシステムを構築できる
資格 応用情報技術者
価値観
行動特性
仕事で大切にしていること クライアントやチームとの積極的なコミュニケーション
転職理由 ・適切な評価を受けたい
・リモートワークと出社を柔軟にできるようにしたい
企業選びで重視している点 ワークライフバランスが取れるか

ペルソナを設定する上で以下の3点に考慮しています。

・システム開発に関わるにあたって、必要なスキルや資格を保持している
・子どもとのコミュニケーションで、相手に伝わりやすいように言葉を言い換える力がありそう
・家計の管理を普段からしており、予算や工数を意識して業務を進められそう

まとめ

採用活動におけるペルソナとは、採用したい人物の年齢や性別、経験・スキルなどの情報を具体化したものです。ペルソナを作ることで、採用活動の効率化やミスマッチ防止につながります。採用ペルソナ作成時には「ペルソナ設計シート」をご活用ください。

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コピーライター、人事(採用担当)を経て、大手人材会社でディレクターとして、クリエイティブ企画や経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務などに従事。現在はIT企業勤務の傍ら、マーケティング・人材採用の領域を専門に中小企業支援を行っている。

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