採用フローの作り方のキホン【チャート図つき】
最初に、採用に関わるさまざまな立場の人が理解しやすいフローを作るための流れを説明します。
採用計画立案
採用フローの設計と採用計画の策定は、表裏一体の作業です。採用計画を練り、スケジュールや選考内容を確定することで、スムーズに採用フローを設計できます。
まずは母集団形成から内定・入社までのスケジュールを組み、会社全体で取り組む採用活動をピックアップしましょう。採用広報解禁や内定式など、タイミングが決まっている事項を基準に、競合に遅れをとらないよう注意しつつ採用日程を決めていきます。
このとき、ある一日の面接時間のような個別の細かいスケジュールまで決める必要はありません。あくまで全体像を過不足なく把握することが重要ですので、予定の作り込みに気を取られすぎないように気をつけましょう。
入社までのスケジュールが確定したら、採用の各段階におけるアクションの洗い出しに移ります。
採用フローの構成要素を決定
採用フローの構成要素となるのは、採用活動における「アクション」です。多少骨が折れますが、採用活動のスタートから入社までのすべてのアクションをもれなく取り上げましょう。対外的には「エントリー」や「一次面接」など応募者が参加するフローを提示するのが一般的ですが、社内で採用フローを設計するときは一度採用の全段階をまとめる必要があります。
採用フローの構成要素には、以下のような項目があります。
<採用情報に関わるもの>
- 採用広報解禁
- 募集要項公開
- 応募受付開始
- 書類選考結果通知
- 面接選考結果通知
- 内定通知
<応募者が参加するもの>
- プレエントリー
- 企業説明会
- 本エントリー
- 応募書類提出
- 筆記試験、適性検査
- 面接(一次~最終)
- 内定承諾
- 内定式、内定者研修
- 入社
職種や公開範囲に応じてフローを追加・削除
採用フローの項目を出したら、職種ごとの選考や応募者など、それぞれの立場の対象者にとって必要なフローを抜き出します。場合によっては「リクルーター社員と候補学生」など、関わりの強い複数の立場をセットにして組み合わせても良いでしょう。
募集要項や採用サイトを公開したタイミングで、応募者の関心が高い選考過程も明示しておくと、情報発信の透明性や採用の公平性をアピールできます。
<採用フロー全体のチャート図>
全体のチャート図には、「採用担当者から経営者に日程調整を依頼」「リクルーターのフォロー」など双方向の行動を矢印やコメントで記載しておいても良いでしょう。
ここから対象者に応じて必要な要素を抜き出します。
<応募者に提示する採用フロー>
採用フロー設計に取り組むときは、全体から個々への落とし込みを意識してみてください。
採用フローのパターン
選考過程の有無や回数によって、採用フローのパターンは大きく6つに分けられます。応募者が参加するフローは、企業説明会、書類選考、筆記試験、面接数回の順にそれぞれ別日に設定されていることが多いですが、2つの過程を同日にまとめたり、順序を変えて絞り込みをしたりといった設定も可能です。
ここでは違いをわかりやすくするため、プレエントリーから内定までのフローを比較します。
標準型
説明会開催後に、書類選考、筆記試験、面接と進めていく一般的なフローです。面接の担当者は一次が現場社員や人事、二次が部長クラス、最終が役員クラスであることが多くなっています。
説明会・選考一体型
説明会・選考一体型は、企業説明会と一次選考を同日に行うため、標準型よりもスピーディーに選考を進められます。学生にとっては会社へ足を運ぶ回数が少ない分交通費の負担が減るのが魅力となるため、全国から人材を集めたい場合におすすめです。
一方で、応募数が多すぎると説明会会場のキャパシティを超えてしまう可能性もあり、エントリーに一定の条件を設けるなど、計画的なコントロールが必要になります。
筆記試験・面接試験一体型
筆記試験・面接試験一体型は、筆記試験と一次面接を同日に行う採用フローです。筆記試験と一次面接の結果を総合的に判断したい場合に適しています。当日は拘束時間が長くなるため、控室の確保やスケジュール、面接の順番などを綿密に計画したうえで、案内係を配置するなど会場の混乱を防ぐ配慮が必要です。
試験選考型
試験先行型は、会社説明会前に、ある程度応募者を絞り込むのが特徴です。人気企業では選考の倍率が数千倍に達することがありますが、すべての応募者を受け入れるのは困難な場合も考えられます。
注意したいのは、「説明会にすら参加させてもらえないのか」という門前払いの印象を与えないようにすることです。説明会参加を申し込もうとした時に初めて試験の存在に気づくような提示方法ではなく、あらかじめ選考があることがはっきり伝わるフローを見せるようにしましょう。
インターンシップ型
インターンシップ型は、採用活動の一環としてインターンシップを取り入れたフローです。実施期間は1日~数ヶ月と幅広く、採用フローに組み込まれていることもあれば、採用開始前の夏期インターンの評価によって面接や筆記試験を免除するパターンもあります。就業体験を通して学生の実践的なスキルを把握できるのがメリットです。
社員紹介・リクルーター型
リクルーター面談やリファラル採用など社員とのつながりをベースに採用を進める場合、一般的な採用フローより過程が少ないのが特徴です。選考過程を免除する代わりに、綿密なコミュニケーションを通じて相手のスキルを見極めなければなりません。
※リクルーター制度について詳しくは→「リクルーター制度を始める前に!知っておきたい基礎講座」
採用フロー作成のメリット
選考過程が少ない場合、採用フロー作成の必要性をあまり感じないかもしれません。しかし、採用フローを整理することで、選考過程の明確化はもちろん、振り返りに活用できるメリットもあります。
進捗を共有しやすい
採用フロー作成により採用活動の各段階の行動が明確になるため、進捗を共有しやすくなります。採用に関わる社員との認識のズレがなくなるため、手戻りなく採用活動を進めることが可能です。
特に、現場の社員や経営者など、採用担当者以外の社員が多く携わっている場合に効果を発揮します。人事部にとっては当たり前の過程でも、他部署にとってはなじみがないケースもあるためです。
採用活動の改善に取り組みやすくなる
採用フローが作成されていれば、採用活動で課題やトラブルが発生したときの照らし合わせが容易になり、改善に取り組みやすくなります。
採用活動のステップを細かく分けて採用フローを設定するとともに、進捗の各段階における正確な計測・記録をできる限り残すことが重要です。エントリー数や通過数、辞退率などを細かく把握することで、次年度に向けて採用活動の改善点を明らかにできます。また、年度内の採用においても、進捗度合いに応じて追加の施策を講じることが可能です。
このように採用フローを使いこなすことで、採用戦略実現の一助になります。
まとめ
採用戦略の検討やスケジュール調整に追われる中で、採用フローの整備は後回しになってしまっていないでしょうか。計画と並行して採用フロー作成しておくことで、その後の採用活動をわかりやすく整理することができます。採用活動の全体像から個々のフローに落とし込んでいけば、簡単に採用フローが作成できますので、難しくとらえずに取り組んでみてください。
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