求職者が内定辞退をする理由とは?
そもそも、なぜ求職者は内定辞退をしてしまうのか。まずは、その理由について見ていきましょう。
雇用条件や待遇が合わないと判断した
内定をもらった後に雇用条件や待遇が合わないと判断し、内定を辞退する方は少なくありません。募集要項の内容と面接の場で聞いた雇用条件が異なっていたり、面接で知った勤務地や職種が自分の希望する条件を満たしていなかったりする場合です。
「求人誌や求人サイトに載せている情報が不十分」「採用担当と配属先との認識に相違がある」といったケースで、このような問題が発生します。内定を出してから辞退されないためにも、公開する募集要項は具体的かつ正確に記載しましょう。
面接官などの社員の対応に不信感を抱いた
社員の対応や言動が原因で内定を辞退する求職者もいます。求職者にとって面接官は企業の顔といっても過言ではありません。そのため面接官から不安や不信感につながるような対応をされてしまうと、会社でうまくやっていく姿をイメージしにくくなってしまいます。
また、「この企業に決めてしまっても良いのだろうか……?」という思いが少しでも生じれば、求職者の働く意欲が低下してしまいます。企業に対する悪いイメージを持たれないように、誠実な対応を心がけましょう。
より志望度の高い企業から内定が出た
内定を辞退する理由として、「より志望度の高い企業から内定が出た」というものもあります。
納得の理由ですが、同業他社に優秀な人材を取られてしまうことを意味します。選考中から求職者の意向を確認し、「競合他社との違いを明確に説明する」「自社の魅力をアピールする」「雰囲気の良い面接を行う」など志望度を高くするための関わりを意識してください。
タイミング別・内定辞退防止策
選考の進み具合によって、内定辞退の防止策は異なります。ここではタイミング別内定辞退防止策についてお話ししていきます。
選考期間中の辞退防止策
選考期間中は、自社への志望度を高めるべく積極的に関わることが大切です。「どうしてもこの会社でなければダメだ」という思いを持ってもらえれば、内定辞退を防ぐことは難しくありません。
優秀な人材を逃さないように、選考期間中から求職者に対して以下のようなアプローチを行いましょう。
【1】面接や説明会で自社の魅力を伝える
面接や説明会で自社の魅力を伝えることは、求職者の志望度を高めることにつながります。
たとえば説明会では自社で生き生きと働く社員に会社の魅力を伝えてもらったり、年の近い社員と話をする機会を設けたりすることで、実際に働く姿をイメージできるように働きかけましょう。
また面接ではホームページや会社説明会だけでは伝えきれない会社の魅力について話すことも大切です。職場の雰囲気や会社の今後の展望、給料など求職者が知りたいと思うことを伝える時間を設けてください。
求職者と話ができる説明会や面接は大変貴重な機会です。色々な場面で会社の魅力を伝え、求職者の会社への志望度や好感度を上げていきましょう。
【2】内定の出し方を工夫する
内定の出し方を工夫することで、内定辞退を防ぐことは可能です。内定をメールでのみ知らせる企業も少なくありませんが、それでは少し味気ないですし、求職者の心には響きません。電話で直接伝えたり、役員や社長が握手を交わしながら直接伝えたりするなど、印象的な場面を演出すると良いでしょう。また、すれ違う社員から「おめでとうございます」「一緒に働くのを楽しみにしています」などと伝えるのも良いかもしれません。社員一同で歓迎している雰囲気を出すことが大切です。
そして選考スピードも重要な要因です。ぜひとも確保したい人材には、少なくとも面接の3日後まで、できれば当日に内定の連絡を行いましょう。ただし新卒採用の場合は、求職者である学生が以下の2パターンに分かれることを考慮しなければなりません。
A:自社が第一志望である
B:自社が第一志望ではない
Aの場合は、その学生が求める人材であるならば早めに内定を出すべきです。一方Bの場合、仮に第一志望である他社から内定が出たとすると、その学生の就職活動は終わってしまいます。そのため先に内定を出した方が良いことに違いはありませんが、内定を出す前に「志望度を逆転させるために面談の場を設ける」「第一志望が落ちたら確実に自社の内定を承諾すると確信した状態にしておく」といった対応を取ることも重要になります。
Bの場合、自社への志望度が高まっていない状態で内定を出しても辞退される恐れがあります。そのため、しっかりと志望度の見極めを行ったうえで、他社の選考状況を確認しながら戦略的に内定出しのタイミング・選考スピードを考えましょう。
内定後の辞退防止策
内定後から入社までの期間に適切な辞退防止策を講じていないと、内定者を逃してしまう可能性が高くなります。内定者に「この会社で働きたい」という思いを持ち続けてもらうために、計画的に内定者のフォローアップをしていくことが求められています。
【1】定期的にコミュニケーションをとる
定期的にコミュニケーションを取ることは、有効な対策の一つです。
入社までの期間にモチベーションが下がったり、仕事に対する不安や心配事をフォローしたりするために採用担当者は積極的に内定者と連絡を取りましょう。
また、新卒採用の場合は電話やメールで連絡を取り合うだけではなく、懇親会を開催することも大切です。懇親会やランチ会など定期的に企画し、接触回数を増やしてください。
ただし内定者の住んでいる場所が会社から遠かったり、卒業研究や授業が残っていたりする学生である場合、過度の懇親会の開催は逆に負担となってしまいます。内定者のスケジュールを確認しながら2ヶ月に一回程度での開催を目指すことをおすすめします。
【2】社員・役員に会わせる
社員や役員と会わせることで、自分が会社で働くビジョンを明確にすることができます。
内定者は入社までの期間、働いていけるのか、この会社に決めてしまって良かったのか、などさまざまな不安を感じながら過ごしています。そこで働くことへのモチベーションを低下させないように、社員や役員と顔を合わせる機会をセッティングすることが重要です。
内定者が親しみを感じられるような年の近い社員と話をする機会を設けることで入社後の不安を解消できますし、社員との関わりは前向きに入社を検討してもらうきっかけにもなります。
また、役員から会社の事業について具体的な話を聞いたりビジョンを共有できたりすれば、働くことへのモチベーションをアップさせることも可能です。
入社意欲をなくさせないために、社員全員で内定者と関わっていく姿勢が必要です。
内定辞退の連絡への対応方法【例文付き】
内定辞退の連絡が来た場合、適切に対処できないと悪い印象を口コミサイトに書かれたり、再度の応募の可能性が途絶えたりします。アプローチ次第では内定辞退を引き止められることもあります。
この記事を参考に、内定辞退の連絡を受けた際の正しい対応方法を身に付けましょう。
電話で連絡があった場合
内定辞退の連絡は電話で来ることも多いです。電話で辞退の連絡があった際は理由を必ず確認すること、必要に応じて再度話し合いの機会を設けてもらうことがポイントです。
具体的な電話対応を見ていきましょう。
求職者:○○と申します。今お時間よろしいでしょうか? せっかく内定をいただきながら、身勝手なお願いで誠に心苦しいのですが、本日は御社の内定を辞退させていただきたくご連絡を差し上げました。
あなた:差し支えなければ辞退の理由を伺ってもよろしいでしょうか?
求職者:(内定辞退の理由)
あなた:ありがとうございます。後日改めて連絡させていただきます。お忙しい中ご連絡いただきありがとうございました。
メールとは異なり電話対応では返答の内容を考える時間がありません。まずは理由を伺ったうえで、返答を保留するのがベターでしょう。早めに上司と対応を検討し、2、3日中には返答するようにしてください。
アプローチ次第では引き止め可能
一緒に働きたいと思わせるような優秀な人材の場合、もう一度自社で働く余地はないか検討してほしい場合もあるでしょう。
そんなときは電話やメールではなく、直接会う機会を設けられないか提案することが大切です。一緒に働きたいという思いを誠実に話し、本人の希望に沿うように会社として対応する意思があることを伝えていきましょう。
それでも内定者の意思が変わらない場合は、残念ですが仕方ありません。しつこく引き止めず潔く受け入れることが必要です。
メールで連絡があった場合
メールで辞退の連絡があった場合、速やかに返事をし、相手に悪い印象を残さないことが大切です。以下では、了承する場合、引き止める場合、両方の例文をご紹介します。
例文(了承する場合)
件名:内定辞退の受諾の件
○○○様
株式会社○○ 人事部の□□でございます。
この度は弊社の社員募集にご応募いただき、誠にありがとうございました。
弊社といたしましても誠に残念ではございますが、採用選考辞退のお申し出を承りました。なお、これまでお預かりしました履歴書などの応募書類は当社にて破棄いたしますことをご了承ください。
末筆ではありますが、○○○様の今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。署名
了承する場合のポイントは、「内定辞退を受け入れたことをわかりやすく伝える」「文末に内定辞退者の今後を応援する文章を添える」ことが挙げられます。相手が気持ちよく次のスタートを切れるような文章を心がけてください。
例文(引き止める場合)
件名:内定辞退のお申し出について
○○○様
株式会社○○、人事部の□□と申します。
この度は弊社の社員募集にご応募いただき、誠にありがとうございました。ご辞退を決められた理由や背景についてもう少し詳しくお話をお聞かせいただきたいのですが、お時間をいただくことは可能でしょうか?
○○○様のご希望を再度お伺いして、弊社としましても可能な限りの対応を検討致したく存じます。
もし可能でしたら再度面談の日程をご相談させていただけますと幸いでございます。何卒宜しくお願い申し上げます。
引き止める場合は、それまでの面談や面接を通して顕在化した「自社の働き方や処遇のアンマッチ」について、会社側に譲歩の用意があることなども伝えると良いでしょう。求職者にとってのデメリットを補うような条件を提示することがポイントです。
まとめ
内定を出したものの辞退する応募者は少なくありません。辞退されてしまったらできることはないと考える方もいますが、選考中・選考後のかかわり方次第で引き止めることは十分可能です。優秀な人材を確保するためにも、内定辞退の防止策を学び実施することが大切です。
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