採用基準作成の6つのステップ 作成のポイントや注意点も解説 COLUMN

公開日:2020.02.20

更新日:2021.11.19

採用基準作成の6つのステップ 作成のポイントや注意点も解説

採用基準とは、選考で合否を適切に判断するために作成する基準のことです。採用のミスマッチを防ぎ、求めるスキルを持つ人物を見極めるためには、明確で検証可能な「線引き」が不可欠です。しかし、採用基準を作ろうと思ったものの、どのように進めればいいか、注意すべき点があるかを把握しきれていない採用担当の方もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、採用基準の決め方や重要性、作成時の注意点について解説しています。

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目次

採用基準の決め方

採用基準の決め方を順番に紹介します。採用基準は、以下6つのステップで進めるとスムーズに作成できます。

・【1】就活・転職市場のトレンドを把握
・【2】業務に必要なスキルをヒアリング
・【3】コンピテンシーモデルを設定
・【4】基準を書き出し、優先順位を決める
・【5】人材要件との整合性をチェック
・【6】各選考フローに反映

ステップごとに考慮するポイントを解説した上で、適切な採用基準例も紹介します。

【1】就活・転職市場のトレンドを把握

採用基準が世間の流れと逆行していたり、採用ターゲット層の価値観と乖離していたりすると、採用活動が難航する懸念があるためトレンドの把握が必要です。例えば、ワークライフバランスを重視する人が多い20代を採用するのに、「仕事が第一で、飲み会でのコミュニケーションが重要だ」という志向を基準にするのは賢明とは言えません。

業界や職種によっても有効求人倍率には大きな差があり、現状を踏まえた基準を設定することも大切です。人手不足の業界・職種にもかかわらず基準が古いまま(=人手が足りていたときは通用していた基準)だと、欠員の補充もままならないなど、事業に悪影響が出る可能性があります。

【2】業務に必要なスキルをヒアリング

現場社員や採用する部署の管理職にヒアリングし、業務上不可欠なスキルや資格を明確にすることが重要です。スキルや資格の条件を満たしていないのに誤って合格と判断してしまうと、入社後にミスマッチによって早期離職する可能性があります。

応募者、採用担当者をはじめとする関係者の時間を浪費しないためにも、必須条件の確認・周知は非常に重要です。

【3】コンピテンシーモデルを設定

優秀な社員の行動特性をもとに「コンピテンシーモデル」を以下の流れで作成します。

(1)高いパフォーマンスを発揮している社員を選定する。
(2)集約・整理されたコンピテンシーから必要な項目を決定する。
(3)ヒアリングを行い、業績に関連する行動と、その行動に至った考え方を把握する。
(4)高いパフォーマンスを発揮できる考え方と行動をコンピテンシーモデルに設定する。

ヒアリングを行い、成果に結びつく行動と、その行動に至った考え方を洗い出しが必要です。理想的な社員がいない場合は、求める人物像をベースに項目を作ります。コンピテンシーについてさらに詳しく知りたい方は「コンピテンシーの意味とは?面接への活用法、モデル作成のメソッドも解説」をご覧ください。

【4】基準を書き出し、優先順位を決める

ここまで挙げた項目をすべてまとめ、必須条件、十分条件の分類や、優先順位を決めてください。条件をある程度絞ることで、基準が過度に厳しくなることを回避し、僅差の評価の応募者から合格者を選ばなければならないときの判断材料にもできます。

【5】人材要件との整合性をチェック

実際に運用する前に、改めて人材要件とのズレがないか確認します。人材要件は採用の根拠となる人物像であり、採用基準はそれを「ふるい」として機能するよう落とし込んだものです。合否判断の整合性が揺らがないよう、方向性が矛盾していないかチェックが必要です。

【6】各選考フローに反映

書類選考、筆記試験、一次~最終面接まで、各段階でどの採用基準を適用するかを決定します。コミュニケーション力に関する項目を面接時の基準にするなど、試験の方法別に分類するほか、選考が進むにつれてハイレベルな基準になるよう、段階を設定するのも効果的です。

【参考】適切な採用基準例

ここまでのポイントを踏まえ、活用しやすい採用基準の例を紹介します。

<適切な例/経理職の場合>

【書類選考】
必須条件:大学卒以上、会計・経理の実務経験1年以上、日商簿記3級、普通自動車運転免許
歓迎条件:管理会計・決算・監査の実務経験、経理の実務経験3年以上、日商簿記2級以上、税理士資格

【筆記試験】
・合計◯点以上、かつ分野1で◯点以上、分野2で◯点以上で合格
・合計点が基準に達していても、どちらかの分野の基準を下回った場合は不合格

【面接】
・志望動機を明確に説明できるか
・話す内容が矛盾したり、二転三転したりしないか
・業務の工夫や改善について、自分の経験にもとづき動機、行動、結果を含めて説明できるか

【最終面接】
・志望動機を明確に説明し、深掘りの質問に対して論理的に回答できるか
・当社でのキャリア形成について、見通しを持って説明したり、希望を伝えたりできるか
・当社の事業領域に関する知識を問う質問に答えられるか

「条件」は応募者の能力・適性に関する項目に絞り、選考の基準はなるべく「可・不可」を判断しやすい視点でまとめるか、コンピテンシーモデルと対比できるような設問にしておくと便利です。

採用基準の重要性

採用基準は属人的・感情的な評価によって合否に悪影響が出るのを防ぐのに有効です。また、自社の求める人材を獲得しやすくなるためミスマッチ防止も期待できます。ここでは、選考基準が重要となる理由について解説します。

選考の属人化を防ぐ

採用基準を作成しておくと、採用担当者が離職したり、選考プロセスごとに面接官が違ったりしても同じ基準で評価できるようになり、選考の属人化防止につながります

採用基準がない場合、面接官によって「良い」と思うポイントが異なり、採用する人材の質がばらつきます。例えば、面接が苦手なだけで人材要件に合致している人材を不採用にしてしまう可能性があります。反対に、面接での会話が得意で好印象であっても、スキル面では要件を満たしていないかもしれません。

入社後のミスマッチを防ぐ

明確な採用基準は、自社の業務に必要なスキルや経験を持っているか、自社の社風に合うかを見極めやすくなり、入社後のミスマッチ防止に効果的です。

採用基準が曖昧だと、例えば、学歴や職歴だけを見て採用してしまい、能力はあっても職場環境に馴染めずに早期離職する社員が出てくる可能性があります。採用基準がないまま採用活動していると、自社とマッチしない人材を採用し続ける可能性があります。悪循環にならないためにも、採用基準は必要です。

採用基準を決めるときの注意点

採用基準を決めるときの注意点は「新卒と中途で基準を分ける」「適性・能力に関係ない項目を設定しない」ことです。これらに注意しないと起こりうるデメリットと、基準を作成するときのポイントを解説します。

新卒と中途で基準を変える

新卒採用では将来性のある人材を、中途採用では即戦力人材を採用するのが一般的であるため、基準を変えなければ思ったように人材を確保できません。ここでは、新卒採用と中途採用の基準を作る上でのポイントを紹介します。

新卒採用は応募者の人柄を重視する

新卒採用の場合、実務経験がないため、応募者の性格や考え方などの人柄を重視する採用基準を作ります。応募者の人柄と自社の社風がマッチするかを見極めることで、ミスマッチによる早期離職を防止できます

応募者の人柄を見抜くポイントは、チャレンジ精神や協調性、誠実性があるかを確認することです。優秀な社員の行動特性をもとに作ったコンピテンシーモデルがあると、採用基準が作りやすくなります。

中途採用は応募者のスキルや経験を重視する

中途採用の場合は、即戦力となることを期待しているケースが多いため、人柄に加えてスキルや経験を重視して採用基準を作ります。エンジニアであれば「アジャイル開発手法を用いての開発経験のある人材」、営業職であれば「海外企業への営業経験がある人材」というように、自社の求める人材の条件をできるだけ具体的に設定してください。

ただし、近年は中途採用でも、人材の将来性を見込んで採用するポテンシャル採用に取り組む企業が出てきており、スキルや経験を重視しないケースもあります。ポテンシャル採用の場合は、新卒採用の基準に加え、社会人基礎力が身に付いているかを基準とするのが一般的です。ポテンシャル採用について詳しく知りたい方は「ポテンシャル採用とは?メリット・デメリット、大手企業での事例を紹介」をご覧ください。

適性・能力に関係ない項目を設定しない

採用基準はできる限り具体的であることが望ましいものの、適正や能力に関係のない要素を含めると就職差別につながる可能性があります。就職差別につながる可能性があるのは、「本人に責任のない事項」と「本来自由であるべき事項」の大きく2つです。細かな項目は以下の表のとおりです。

本人に責任のない事項 ●本籍・出生地に関すること
●家族に関すること
●住宅状況に関すること
●生活・家庭環境に関すること
本来自由であるべき事項 ●宗教に関すること
●支持政党に関すること
●人生観・生活信条に関すること
●尊敬する人物に関すること
●思想に関すること
●労働組合・学生運動などの社会運動に関すること
●購読新聞・雑誌・愛読書に関すること

選考基準の話からは逸れますが、これらに加えて、身元調査や合理的・客観的に必要性が認められない選考段階での健康診断の実施にも注意が必要です。どちらも、本人に責任のない情報が入る可能性があり、結果的に就職差別になりかねません。

採用基準の見直しが必要なケースとは

すでに採用基準を作成・運用している場合でも、次の状況が見られたら改善を検討した方が良いかもしれません。

書類選考の通過者が少ない

十分な応募数があるにもかかわらず、書類選考で多くの応募者を落としている場合、書類選考の採用基準が厳しすぎるか、項目が多すぎる可能性があります。採用の入り口を狭めてしまうとチャンスが減ってしまいます。面接の採用基準に回せる項目がないかも含め、見直しをしてください。

応募数が極端に少ない

そもそも応募数が極端に少ない場合は、採用基準が非現実的だったり、基準に対して給与が低かったりする可能性があります。期待するスキル・経験など条件が数多く挙げられていると、応募を敬遠されてしまう場合も。まずは募集要項、採用基準ともに「必須条件と歓迎条件に分ける」ことから始めてください。

現場と人事の合否の感覚が一致していない

現場社員と採用担当者の考え方や感じ方が異なるのは往々にしてあることですが、採用基準を設定しているはずなのに合否の不一致が多いようであれば、基準自体に問題があるかもしれません。解釈に幅が出そうな曖昧な内容になっていないか、現場と意見交換をしつつ再検討が必要です。

まとめ

採用基準は、書類選考から最終面接まですべての選考過程において不可欠です。普段は見過ごしがちな細かい点ですが、「できるだけ曖昧な表現を排除する」ことで、誤解を生みにくく明確な基準に近づきます。スムーズな採用選考の実施を目指し、意識してみてください。

ただし、肝心の「求める人材からの応募」がなければ苦労して設定した採用基準も水の泡です。採用基準を具体的に落とし込む過程では、実際の求人が求職者に「いかに伝わりやすく、いかに響くか」を意識することも重要です。応募がある学生の質にお悩みの採用担当者の方は「『欲しい人材からの応募がこない』を解決する方法。」をぜひご覧ください。

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監修/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、株式会社クイックに入社。ディレクターとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)に携わる傍ら、経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務にも従事。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。

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