【事例付】採用CX(候補者体験)とは?成功に導く採用戦略構築ポイント COLUMN

【事例付】採用CX(候補者体験)とは?成功に導く採用戦略構築ポイント

求職者を選ぶ時代から選ばれる時代にシフトしている昨今、採用CXを設計し、一連の採用プロセスで戦略的に求職者を動機付けしていくことが不可欠です。

本記事では、この採用CX(候補者体験)を戦略的に設計し、一連の採用プロセスで求職者を右肩上がりに動機付けしていく、実践的なノウハウを解説します。

目次

採用CX(候補者体験)とは?

企業が「求職者から選ばれる時代」を生き抜くために不可欠な採用CX。ここでは、この採用CXの概要や注目される背景を説明します。

採用CX(候補者体験)とは

採用CX(Candidate Experience)とは、日本語では「候補者体験」と訳され、マーケティング分野におけるCX(Customer Experience:顧客体験)を採用分野に取り入れた概念です。

「CX」は、消費者が商品・サービスを「認知」してから、「欲求」「記憶」を経て「購入」に至るまでの一連のプロセスで、価値ある顧客体験を提供する考え方を指しています。

この考え方を取り入れた「採用CX」は、自社の「認知」から「興味」「応募」を経て、「選考」「入社」に至る各プロセスに着目し、候補者体験を高めることをいいます。

それぞれのプロセスで価値ある候補者体験を提供することで、入社動機を右肩上がりに向上させることが採用CXの本質です。

採用CXが注目される背景

ここでは、採用CXが注目される三つの背景を解説します。

【1】人材流動性の高まり

一つ目は、人材流動性の高まりです。

終身雇用が崩壊している昨今、採用競争が激化し、転職市場が活発化するなど人材の流動性が高まっています。

これを受けて、採用難に縁がなかった企業までもが人材不足に陥り、採用強化に取り組まざるを得なくなったことが背景の一つです。

【2】候補者から選ばれる時代へ

二つ目は、候補者から選ばれる時代にシフトしていることです。

採用競争の激化を背景に、候補者を選ぶ時代から選ばれる時代にシフトし、今まで以上に候補者体験の質を高めることの重要性が増しています。

特に、自社の価値観に合った候補者を採用するため、戦略的な採用CX(候補者体験)の設計が求められています。

【3】クチコミなどの情報入手容易性

三つ目は、クチコミなどの情報入手が容易になっていることです。

Webを通じた求職活動が当たり前になっている昨今、TwitterなどのSNSやOpen workといった従業員のクチコミサイトの登場により、候補者は企業のクチコミに容易にアクセスが可能です。

「ポジティブなクチコミ」は企業評価を高める一方、「ネガティブなクチコミ」は企業の採用活動に悪影響をもたらすことから、採用活動の各プロセスで採用CX(候補者体験)を高めることが重要になっています。

企業で採用CX(候補者体験)が必要な理由

採用競争が激化している昨今、多くの人事担当者は採用課題を抱えているでしょう。

ここでは、採用CXが企業に必要な理由として、人事担当者が抱える採用課題とその構造的な問題点を解説します。

人事が抱える採用課題

まず、人事担当者が抱える主な採用課題を紹介します。

【1】母集団形成の悩み

第一に、母集団形成の悩みです。

応募がない、応募数が少ないといった「量」の問題と、求める人材や優秀な人材が来ないといった「質」の問題の双方があります。母集団形成は、この質と量双方の問題の解決が不可欠です。

【2】選考の悩み

第二に、選考の悩みです。

会社説明会→一次面接→最終面接と選考が進むたびに、辞退者が増える問題を抱える企業も多いでしょう。こうした問題は、書類選考や面接の評価基準が定まっていないことが大半ですが、評価基準を策定し、採用関係者の目線合わせをおこなうことが重要です。

【3】入社後の悩み

第三に、入社後の悩みです。

入社してもすぐに辞めてしまう、期待したほどの活躍をしてくれないといった入社後の悩みを抱える企業も多くあります。よくあるケースとしては、価値観が合わない、条件が思った内容と違うといったものです。こうした採用ミスマッチを防ぐには、採用への共通した認識の下、採用コミュニケーションを統一することが大切です。

採用が成功しない構造的な問題点

「なぜか最終面接で落ちる候補者が多い」「価値観が合わない候補者が集まる」

このような問題が起きている場合、企業に構造的な問題点が存在していることが大半です。

ここでは、この構造的な問題点を解説します。

【1】社内の採用への認識(経営、人事、現場の三者間)が統一されていない

一つ目は、社内の採用への認識が統一されていないことです。

これによって、経営者や人事、現場社員のそれぞれで求める人材像の認識がバラバラになり、「募集時の訴求ポイントがズレる」「面接の見極めポイントが一致しない」といった構造的な問題点が生じるのです。

また、自社の魅力や強みの認識のズレにより、候補者に自社の魅力を伝えるポイントが人によって相違し、候補者が混乱する恐れもあります。

【2】採用コミュニケーションが統一できていない

二つ目は、採用コミュニケーションが統一できていないことです。

「母集団形成→選考→内定→入社」の各プロセスには、人事や面接官、リクルーターのほか、広告会社や研修会社など、さまざまな立場のコミュニケーターが存在します。

各プロセスでコミュニケーターが伝える内容を統一できていないと、候補者が自社の魅力を認識しにくくなります。場合によっては、自社に不信感を抱く候補者もいるでしょう。

このような状況では、候補者を動機づけることは困難になります。

構造的な問題点を解決する採用CX(候補者体験)

構造的な問題点を解決するには、採用CXの戦略的な設計が不可欠です。これにより、経営や人事、現場などの採用関係者が共通した認識の下、一貫した採用コミュニケーションをおこなうことが可能です。

具体的には、採用マーケティングの下、採用マーケットや自社の環境に適した採用戦略を策定し、「母集団形成→選考→内定→入社」の各段階における採用CXを戦略的に設計します。

流れやプロジェクトについて詳しく知りたい方は、「クイックの採用戦略・実行支援プロセスを全公開 ~進め方のポイントを解説~」の記事をご参考ください。

また採用マーケティングについては以下記事で詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。

採用マーケティングとは?メリットやフレームワーク、7つの実施ステップを解説

採用CX(候補者体験)5つのメリット

ここでは、採用CXにおける5つのメリットを紹介します。

採用認識を統一化できる

第一に、採用認識を統一化できることです。

自社の目的や採用ターゲットを明確化し、採用戦略を策定するため、採用認識を統一化することができます。採用活動の根幹となる採用戦略が明確になることから、個別施策や各プロセスで伝える自社の魅力など、統一した採用認識の下、一貫した採用コミュニケーションをおこなえるメリットがあります。

候補者を右肩上がりに動機付けできる

第二に、候補者を右肩上がりに動機付けできることです。

「母集団形成→選考→内定→入社」の各採用CXを戦略的に設計することで、それぞれのタッチポイントで効果的な体験・経験の提供が可能になります。これにより、選考が進むほど右肩上がりに候補者を動機付けしていくことができます。

採用マーケットや競合に合わせた採用戦略を設計できる

第三に、採用マーケットや競合に合わせた採用戦略を設計できることです。

採用マーケットや競合環境を分析し、自社の採用ターゲットに適した採用戦略を立てるため、候補者のニーズに適応した採用活動の展開が可能です。

自社に適したコンテンツメイクが可能

第四に、自社に適したコンテンツメイクが可能なことです。

「母集団形成→選考→内定→入社」の各採用CXにおいて、統一した戦略・コンセプトの下で、個々のコンテンツを設計するため、求める人材にマッチしたコンテンツメイクをおこなうことができます。

PDCAサイクルを回すことができる

第五に、PDCAサイクルを回すことができることです。

採用CXを戦略的に設計するには、採用戦略の策定が不可欠です。この採用戦略を策定することで、目的達成に向けた計画の立案・実行・評価・改善のPDCAサイクルを回すことが可能になります。

人事が知るべき採用CX(候補者体験)の導入ステップ

採用CXを設計するには、どこから手を付けていくべきでしょうか。ここでは、人事が知るべき採用CXの導入ステップを解説します。

【1】採用目的の確認
【2】採用目標の設定
【3】採用ターゲット・自社らしさの明確化
【4】採用コンセプトの策定
【5】採用CX(候補者体験)の構築
【6】採用チャネル・採用手法の選定

順を追って説明します。

【1】採用目的の確認

一つ目は、採用目的の確認です。

企業が採用をおこなう目的は、「事業戦略の遂行」「不足人員の補充」「組織の活性化」などが挙げられます。目的によって求める人材像が異なるため、採用目的の明確化が重要です。新規事業を立ち上げるのであれば「チャレンジ精神旺盛で自走できる者を採用する」というように、採用目的を確認することが第一歩です。

【2】採用目標の設定

二つ目は、採用目標の設定です。

採用目的を達成するために、採用活動のゴールとなる採用目標を設定します。

具体的には、「いつまでに」「どの組織・部署で」「どのような年齢層で」「何名必要か」など、採用人員数や採用時期を明らかにします。また、新卒採用と中途採用に分けて採用目標を立てると、計画を達成しやすくなるでしょう。

【3】採用ターゲット・自社らしさの明確化

三つ目は、採用ターゲット・自社らしさの明確化です。

採用ターゲットに自社が選ばれるためには、「誰に」「何を」伝えるか、採用マーケティングの基礎を改めて見直すことが重要です。

自社の採用ターゲットは、採用マーケットのどのようなセグメントに属しているか、そのセグメントにアプローチするにはどのような採用チャネルで自社の魅力を発信するかなど、「誰に:採用ターゲット」「何を:自社らしさの明確化」をしっかりと設計しましょう。これによって、自社にとって新たな採用の可能性が見えるほか、自社に適した採用チャネルや手法が見えてきます。

【4】採用コンセプトの策定

四つ目は、採用コンセプトの策定です。

採用手法、チャネルの検討に重点をおいている企業が多くありますが、その前段となる採用コンセプトの策定に時間をかけてしっかりと作りこむことが重要です。

設計した採用ターゲットと自社らしさの明確化に基づき、候補者ニーズに合わせて、「自社の独自価値」を提供する採用コンセプトを策定します。この自社の独自価値は、「採用ターゲットが共感する自社の価値観」と「競合との差別化」を満たすものを指します。

【5】採用CX(候補者体験)の構築

五つ目は、候補者体験の構築です。

良質な候補者体験を作るためには、「母集団形成→選考→内定→入社」の各過程で、候補者の志望度を右肩上がりに上げていくことが重要です。それぞれのタッチポイントで自社の魅力を刷り込み、候補者体験のなかで浸透させていけるよう、採用CX(候補者体験)を設計しましょう。なお、採用CXの設計について、タッチポイント毎に「目的」「訴求すべき情報」を明確化することで、具体的なコンテンツの検討が可能になります。

【6】採用チャネル・採用手法の選定

六つ目は、採用チャネル・採用手法の選定です。

ここまでの設計を経て、最後に採用チャネル・採用手法を選定します。明確化した「目的」「訴求すべき情報」の下、それぞれのタッチポイントに応じた具体的なコンテンツを検討し、自社に適した採用チャネル・採用手法を決定しましょう。

採用CX(候補者体験)導入で押さえておくポイント

ここまで説明してきた採用CXの導入ステップを経ずに、採用チャネルや手法の検討に重点をおいている企業が多くあります。

採用マーケットで競合に打ち勝ち、自社が求める人材を採用するためには、いきなり採用チャネルや手法を設計すべきではありません。採用CXの導入ステップを着実に進めて、手法ではなく設計に重点をおいてください。

採用CXの設計については、以下記事でも詳しく解説しています。

クイックの採用戦略・実行支援プロセスを全公開 ~進め方のポイントを解説~

採用CX(候補者体験)には、求める人材像の設計が不可欠

採用の構造的な問題点として、経営層・人事・現場のそれぞれで求める人材像が統一できていないことが多くあります。

経営層は企業の成長を重点に置いた「イノベーションニーズ」、人事は採用人数を集める「ボリュームニーズ」、現場は即戦力を求める「短期ニーズ」というように、それぞれの立場で求める人材像が異なります。そのため、「母集団形成→選考→内定→入社」の各々のタッチポイントで、採用コミュニケーションの統一ができない問題点が生じるのです。

こうした事態を避けるため、経営層・人事・現場の目線を合わせ、求める人材像をすり合わせることが重要になります。

採用戦略のキモ | 意外と難しい「自社の魅力」の出し方

「自社の魅力が思いつかない」

「競合に差別化できる魅力があるわけない」

このように感じている人事担当者もいるのではないでしょうか?

働いている人々がいる以上、自社の魅力は必ずあるはずです。ここでは、自社の魅力の出し方を解説します。

自社の魅力の出し方

採用ターゲットに共感してもらい、自社に興味を惹きつけるには、自社らしさを明確化して、「自社の魅力」を発信することが重要です。

そのためには、自社の魅力を理念・ビジョンなどの「目標の魅力」、制度・待遇・福利厚生などの「特権の魅力」、仕事のやりがいや意義・成長などの「活動の魅力」、人や風土などの「構成員の魅力」に分けて考えてください。こうしてカテゴライズすることで、自社の魅力を構造的に抽出することが可能です。特に、競合と差別化できる魅力を整理することを重点におきましょう。

差別化できる魅力がない場合はどうする?

競合と差別化できる魅力がない場合は、いくつかの特徴を組み合わせてストーリーとして打ち出すことで、自社の魅力を引き出すことが可能です。

たとえば、「裁量権が高い」「自由な風土」「柔軟な勤務体制」といった自社の魅力を抽出した場合、次のようなストーリーを作ることができます。

「若手でも大きな裁量の下、自分のやり方で、働きやすい環境で活躍できます!」

組み合わせによって、さまざまな見せ方が可能ですので、採用ターゲットのニーズにあった自社の魅力を打ち出してください。

採用設計は外部によって磨かれる

採用設計を自社内でおこなっても、自社の魅力や弱み・外部の脅威に気付かず、あるべき方向性へ導けないことがあります。なかには、固定観念の下、分析のうえで導き出した採用戦略の方向性を変えられないこともあるでしょう。

あるべき姿に向けた採用設計をするには、外部の客観性を取り入れることが効果的です。外部により採用設計の適正性や合理性を検証するほか、自社の魅力を客観的に引き出してもらうことで、採用設計を磨くことが可能です。

弊社では、採用設計のすべてを言語化し、「人材要件設計」「ペルソナ設計」「自社の魅力」「競合分析」「コンセプト設計」「候補者体験設計」といった計画書に落とし込み、採用関係者の合意形成までを図るコンサルティングサービスを展開しています。

採用コンサルティングサービス

弊社の採用コンサルティングサービスにご興味がある方は、以下の記事で具体的なプロジェクトの流れを詳しく紹介していますので、ぜひご覧ください。

クイックの採用戦略・実行支援プロセスを全公開 ~進め方のポイントを解説~

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まとめ

本記事では、この採用CX(候補者体験)を戦略的に設計し、一連の採用プロセスで求職者を右肩上がりに動機付けしていく、実践的なノウハウを解説しました。

採用競争が激化する昨今、競合に打ち勝つためには、採用チャネルといった「手法」ではなく、その前段となる戦略・コンセプトの「設計」の検討に重点をおくべきです。

求職者から選ばれる時代を勝ち抜くために、採用CXを戦略的に設計し、本記事で解説した「採用CXの導入ステップ」を着実に踏み、求職者を動機付けしましょう。

弊社では、企業に最適な採用コミュニケーションを設計し、採用活動を成功へと導く採用コンサルティングサービスを展開しています。採用戦略構築のポイントを詳しく知りたい方やサービスに興味のある方は、「採用課題を解決に導く採用戦略構築のポイント」をご覧ください。採用課題を解決に導く採用戦略構築のポイントを詳しく説明しています。

また、採用戦略構築から実行・改善まで、一貫した候補者体験の設計の下、各企業に最適な採用支援を提供しています。採用のお悩みがある企業様はぜひお問い合わせください。

その他にも弊社では、最適な候補者体験を軸に独自の採用戦略を設計し、自社のリソースを最大限発揮して採用を成功に導くセミナーを無料で開催しています。

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