普及が広がるキャリア採用とは?中途採用との違いや成功ポイントを解説 COLUMN

公開日:2023.06.01

更新日:2023.06.01

普及が広がるキャリア採用とは?中途採用との違いや成功ポイントを解説

「新しい事業立ち上げにともない、自社にないノウハウを持った人材を外部から採用する必要がある」

「現場から即戦力人材が欲しいという希望が出ているが、うまく採用できるか不安だ」

ビジネス環境変化が激しい昨今、新たな製品・サービスを開発したり、新規事業を立ち上げたりする企業が増えています。

このような背景から、最近よく耳にするようになったのが「キャリア採用」という言葉です。しかし従来型の「中途採用」と何が違うのかよくわからないという声も一定数聞かれます。

今回は、「キャリア採用」の定義から、キャリア採用を導入する際のメリットや注意点などについて解説します。

今後キャリア採用を検討したいとお考えの方は、参考にしていただければ幸いです。

目次

キャリア採用とは

キャリア採用とは中途採用の一種であり、自社と同じ業界の経験や、募集職種の経験がある人を採用する手法です。

「経験者採用」と呼ばれることもあり、企業は即戦力を期待して採用活動をおこないます。

キャリア採用が増えている理由

キャリア採用が増えている理由として、ビジネス環境の変化の激しさや、スピードが増している点などが挙げられます。

かつては、社内で必要となったスキルがある場合、自社の社員を育成することで補填する余力がありました。しかし昨今は、「社員の成長を待つ余力がないため、すでにスキルがある人材を外部から調達したい」という動きが加速しているのです。

なお中途採用全般として、昨今は採用の難しさが露呈しています。

ある調査によると、2022年度上半期の中途採用において、人員を確保できなかった企業は58.7%にのぼり、確保できた企業の39.3%を大きく上回っている状況にあります。

参考:中途採用実態調査【リクルートワークス研究所】

通常の中途採用を続けていても人材確保が難しいため、具体的な希望条件を提示して欲しい人材を絞り込むキャリア採用へのニーズが増しているのです。

もちろん条件を絞り込む以上、応募そのものは減るリスクもあります。だからこそ、ターゲット人材に響きやすいメッセージを考える採用戦略も必要になるでしょう。

また他の理由として、「中途」という表現を避けたい意図もあります。

「中途」という言葉には、「途中で入ってきた」「新卒とは異なる存在」など、ややネガティブな響きが含まれます。

その影響で、新卒採用者と中途採用者の間に溝が生まれたり、中途社員が疎外感を持ってしまったりすることも少なくはありません。

新卒採用では、求職者の将来的なポテンシャルを見極める一方、中途採用はこれまでに培ってきたスキルや実績といったキャリアをもとに判断します。その違いから、「中途採用」ではなく「キャリア採用」と表現する企業が増えたという背景もあります。

キャリア採用と中途採用との違い

前述したように、キャリア採用は中途採用の一種であるため、「キャリア採用と中途採用の違いがわからない」という疑問を持っている方も多いのではないでしょうか。

中途採用は、「新卒以外」という広義な意味で使われます。正社員経験がない未経験の方、第二新卒の方も中途採用の対象者ととらえられます。

一方、キャリア採用は即戦力である経験者を募集しているケースがほとんどでしょう。

第二新卒や正社員未経験の方の場合、社会人としての経験があっても即戦力には満たないといえます。

キャリア採用として募集をおこなう場合は「◯◯ができること、◯◯の経験が3年以上」と、求めるスキルや経験を明確に募集要項に明示することで、条件に合致した人からの応募が期待できるでしょう。

キャリア採用が多い職種

一定以上の経験やスキルを求めるキャリア採用ですが、一般的にキャリア採用が多い職種について紹介します。

営業・営業企画系の職種

業績数字につながりやすい営業や営業企画系は、キャリア採用が多い職種でしょう。

ただし営業のなかでも扱う商材・クライアントの特徴・営業プロセスは各社さまざまです。単に「営業経験者募集」というだけでなく、どのような顧客接点経験を持った人を募集するのか、情報の粒度を上げて募集要項に掲載するようにしてください。

また営業企画は昨今マーケティングの重要性が増していることから、急激にキャリア採用が増えている分野です。SaaSなどの普及から、ツールの活用経験者やテクノロジーに長けている方の募集が目立つようになっています。

人事・経理などのバックヤード系の職種

人事・経理・財務・総務・法務などのバックヤード部門は、専門分野であることからキャリア採用が多い職種です。

専門知識を所有している方はもちろんのこと、その知識を使った現場の運用経験が一定年数以上ある方が求められるケースが多いでしょう。

さらにコンプライアンスや働き方改革など、その時々に企業に求められる潮流もあるため、最新の知識にアップデートしている方の需要も増しているといえます。

IT・研究などの専門職

高いITスキルや一定の専門的な研究分野が必要となる職種は、キャリア採用の代表的な職種でしょう。

特に昨今はDXを急速に進める必要があることから、IT人材は各社のニーズが高い職種といえます。自社のシステム部門だけではDXが進められないケースでは、キャリア採用でIT人材を採用することが増えています。

研究・開発職については知識面を重視しがちですが、任せたいプロジェクトなどがある場合は、知識だけでなくプロジェクトマネジメント経験を求めるケースもあるでしょう。

キャリア採用をするメリット

キャリア採用をおこなっている企業から、よく聞かれるメリットについて代表的な二点を紹介します。

即戦力が期待できる

キャリア採用の大きなメリットは、現場で即戦力として活躍できる人材を採用できることです。

募集職種での経験がある人材や必要とされるスキルを持った人材を採用できるため、早期に自社に貢献してもらうことが期待できます。

最低限の導入教育のみを実施したら、すぐに業務スタートができるスピード感はキャリア採用ならではの特長でしょう。

特に競合との競争が激しい事業や、変化の大きい事業などでは、即戦力となる人材の採用は大きな利点となるはずです。

社外ノウハウが得られる

キャリア採用の場合、今まで自社になかった新しい視点やノウハウが得られることもメリットのひとつです。

変化が激しい時代のなかで会社が成長していくためには、新しい考え方や価値観を取り入れることが不可欠です。特にIT技術の進化が著しい昨今では、従来通りのやり方に固執してしまうと、変化に取り残される可能性もあります。

キャリア採用した人材は、社外の考え方や価値観を持っています。自社では当たり前にやっていたことが、実は非効率だった、もっと違うやり方があったと発見できることは少なくありません。

外部からの新しい視点や発想を取り入れることで、会社としてより時代の変化に柔軟に対応できるでしょう。

教育コストが削減できる

採用後の導入教育で発生するコストを抑えられる点も、キャリア採用のメリットです。

ビジネスマナーに代表される、社会人としての基本が備わっている点は中途採用と同様ですが、キャリア採用の場合は、業界や職種についての教育コストも削減することができます。

もちろん会社の理念やビジョンなどについては教育の必要があるものの、実務においてはすぐに活躍できるため、教育コストは未経験を採用する場合と比べると抑えられるでしょう。

キャリア採用をする際の注意点

メリットの多いキャリア採用ですが、注意をすべき点もあります。キャリア採用を実施している企業から聞かれる代表的な注意点を二点紹介します。

給与水準が高くなりがち

キャリア採用では経験豊富な人材を採用するため、給与水準が高くなる傾向があります。

IT人材など他社でも人材需給が高い職種では、給与水準の高騰傾向が特に顕著になります。

同職種の経験者の給与相場を見ながら給与を設定しなければ、応募が集まらない可能性もあるでしょう。

教育コストなどの削減効果や採用人材が活躍した際のリターンも考慮しながら、求職者にとって魅力ある給与水準を検討してください。

社風や風土に馴染むとは限らない

もう一つ注意すべき点は、キャリア採用した人材が社風やカルチャーに馴染まない可能性があることです。

前職の経験や、自分なりのやり方がある程度身に付いた状態で入社するため、同職種であっても、細かい仕事の進め方やコミュニケーション面でミスマッチを起こす可能性があります。

前職でのやり方に固執してしまい、転職先の企業のカルチャーに慣れず、人間関係に摩擦が生じてしまうケースには注意が必要でしょう。

キャリア採用を成功させるポイント

注意点を踏まえて、キャリア採用を成功させるためのポイントをご紹介します。

給与水準をはじめとした働く環境を整える

前述したように、スキルが高い人材を採用するには、給与水準をはじめ、魅力的な労働条件を整える必要があります。

給与条件、残業時間など、自社がアピールできる職場環境や人事制度などがあれば、募集要項に記入しましょう。

転職を検討している人は、給与アップやスキルアップ、働く環境の変化など、それぞれ新しい会社に求める条件が異なります。

そのため、面接で求職者が現在の環境から何を改善したいかを丁寧にヒアリングし、自社で叶えられるかどうか確認しましょう。

スキル以外の風土マッチングに配慮する

キャリア採用は経験やスキルが重視されがちですが、自社にフィットする人柄であるかを確認することも大切です。

経験やスキルは申し分ないものの、会社や部署の雰囲気に合わない場合、十分な力を発揮してもらえなかったり、早期離職につながったりする可能性もあります。

面接では経験やスキルについてのみ確認するのではなく、応募者の人となりを理解できるように質問内容を検討するとよいでしょう。

まとめ

キャリア採用は、社外のノウハウを持った即戦力人材を採用できるという利点があります。

しかし、経験やスキル面だけを重視して採用すると、自社に馴染めずに早期退職してしまったり、本来の力を発揮できない可能性があります。

経験やスキル面を見つつ、人物面でも自社に合っているのかどうかも見極めて採用することで、キャリア採用の効果を最大限に得ることができるでしょう。

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