キャリア採用とは?中途採用との違いや進め方、成功ポイントを徹底解説! COLUMN

キャリア採用とは?中途採用との違いや進め方、成功ポイントを徹底解説!

企業が即戦力人材を募集する際に、よく使用される「キャリア採用」という言葉。しかし、正しい意味が理解されていなかったり、それにより中途採用と混同されてしまうことがあります。

本記事では、キャリア採用の意味や目的、メリット・デメリットのほか、導入しやすい職種、キャリア採用やその他の分類における判断基準、成功ポイントや進め方について解説します。注意点などについて解説します。

今後キャリア採用を検討したいとお考えの方は、参考にしていただければ幸いです。

目次

キャリア採用とは

はじめに、キャリア採用の意味や目的、中途採用との違いや増えている背景を説明します。

キャリア採用の意味・目的

キャリア採用とは、中途採用の一種であり、自社と同じ業界の経験や、募集職種の経験がある人を採用する手法です。

「経験者採用」と呼ばれることもあり、企業は即戦力を期待して採用活動をおこないます。そのため、就業経験者を対象に「未経験可」で募集する場合は、キャリア採用の対象となりません。キャリア採用は、経験豊富な人材の採用という点で、企業の成長戦略やビジョンの実現に重要な役割を果たします。

中途採用との違い

キャリア採用は、他企業で業界や職種の経験を有している求職者を対象とし、その経験や能力を活かして成長させることを重視します。一方、中途採用は経験の有無に関係なく、就業経験がある求職者を指します。経験を活かすか、経験を問わないかが違いです。双方、就業経験があることが共通していますので、キャリア採用は中途採用の一つの形態になります。

キャリア採用が増えている背景

長年、日本で機能してきた終身雇用制が崩壊し、転職が当たり前となった昨今、人材の流動性が著しく増加しています。
このような状況下、急速なビジネス環境の変化に対応するため、業界や職務の経験を有する外部人材への需要が高まっています。また、自社が求めるスキルを持つ人材を獲得するため、ジョブ型雇用や即戦力人材への需要が拡大しています。企業の成長を加速させるために、自社に不足する経験やノウハウを持つ人材を求める動きも見られます。
ジョブ型雇用について詳しく知りたい方は、「ジョブ型雇用とは? 注目される背景や導入事例などを紹介」の記事を参考にしてください。

キャリア採用3つのメリット

次に、キャリア採用のメリットを見ていきます。

事業成長を促進できる

自社にはない職務経験やノウハウを持つ人材を採用することで、事業成長を促進できるメリットがあります。

新規事業で必要な知識や開発ノウハウ、事業展開の戦略など、人材育成に大きな時間をかけることなく、事業成長の加速化が可能です。自社にないノウハウを有する人材の存在は、周囲の社員にも良い影響を与え、事業成長のマインドを高める効果も期待できます。

社外ノウハウが得られる

キャリア採用の場合、今まで自社になかった新しい視点やノウハウが得られることもメリットのひとつです。

変化が激しい時代のなかで会社が成長していくためには、新しい考え方や価値観を取り入れることが不可欠です。特にIT技術の進化が著しい現在では、従来通りのやり方に固執してしまうと、変化に取り残される可能性もあります。

キャリア採用した人材は、社外の考え方や価値観を持っています。自社では当たり前におこなってていたことが、実は非効率だった、もっと違うやり方があったと発見できることは少なくありません。

外部からの新しい視点や発想を取り入れることで、会社としてより時代の変化に柔軟に対応できるでしょう。

教育コストが削減できる

採用後の導入教育で発生するコストを抑えられる点も、キャリア採用のメリットです。

ビジネスマナーに代表される社会人としての基本が備わっている点は中途採用と同様ですが、キャリア採用の場合は、業界や職種についての教育コストも削減することができます。

もちろん、会社の理念やビジョンなどについては教育の必要があるものの、実務においてはすぐに活躍できるため、教育コストは未経験を採用する場合と比べると抑えられるでしょう。

キャリア採用をする際のデメリット・注意点

メリットの多いキャリア採用ですが、注意をすべき点もあります。ここでは、キャリア採用のデメリット・注意点を紹介します。

給与水準が高くなりやすい

キャリア採用では経験豊富な人材を採用するため、給与水準が高くなる傾向があります。

IT人材など他社でも人材の需給が高い職種では、給与水準の高騰傾向が特に顕著になります。

同職種の経験者の給与相場を参考にしながら給与を設定しなければ、応募が集まらない可能性もあるでしょう。

教育コストなどの削減効果や採用人材が活躍した際のリターンも考慮しながら、求職者にとって魅力的な給与水準を検討してください。

採用コストが高い

未経験者可の中途採用求人とは異なり、必要な職務経験や知識を持つ候補者は、転職市場での需要に対して供給が少ないことが一般的です。

こうした人材を採用するには、人材紹介などの採用単価が高い手法が必要になります。適切な人材要件や市場の需要を考慮し、自社の要件や環境に合った採用予算を設定することが重要です。

採用手法について詳しく知りたい方は、「【2023年版】採用手法12選を徹底解説|最新トレンドや選定ポイントも紹介」の記事を参考にしてください。

専門スキルほど競争が激しい

専門領域の人材は、転職市場での需要が過剰であり、採用の障壁は通常かなり高いものです。

とくに希少なスキルや経験を持つ人材は、市場での競争が激しく、採用プロセスが長期化することも珍しくありません。このような専門領域の人材を採用するには、リファラル採用やダイレクトリクルーティング、ヘッドハンティングなど、自社が求める人材要件を満たす候補者を見つけるため、さまざまな採用チャネルを活用することが重要です。

採用プロセスやリファラル採用、ダイレクトリクルーティングについて詳しく知りたい方は、「【新卒・中途別】採用プロセスとは?流れや改善に効果的なフレームワークを解説」、「リファラル採用とは?メリット・デメリット、報酬目安、運用のコツを解説(事例あり)」、「ダイレクトリクルーティングとは|メリットや成功例を紹介」のそれぞれの記事を参考にしてください。

キャリア採用を導入しやすい職種

キャリア採用では、特定の職務経験や高度なスキルを持つ人材が求められます。以下は、一般的にキャリア採用が多い職種の例です

営業・営業企画系の職種

業績数字につながりやすい営業や営業企画系は、キャリア採用が多い職種でしょう。

ただし営業のなかでも扱う商材・クライアントの特徴・営業プロセスは各社さまざまです。単に「営業経験者募集」というだけでなく、どのような顧客接点経験を持った人を募集するのか、情報の粒度を上げて募集要項に掲載するようにしてください。

また営業企画では、マーケティングの重要性の増加とともに、キャリア採用が増加している傾向にあります。SaaSなどのサービスの普及に伴い、ツールの活用経験者やテクノロジーに長けている方の募集が目立つようになっています。

人事・経理などのバックオフィス系の職種

人事・経理・財務・総務・法務などのバックオフィス部門は、専門分野であるため、キャリア採用が多い職種です。

専門知識を所有している方はもちろん、その知識を活用し現場の運用経験が一定年数以上ある方が求められるケースが多いでしょう。

さらにコンプライアンスや働き方改革など、時代に応じて企業に求められる潮流もあるため、最新の知識にアップデートしている方の需要も高まっています。

IT・研究などの専門職

高度なITスキルや特定の専門的な研究分野が必要となる職種は、キャリア採用の代表的な職種でしょう。

特に最近はDXを急速に進める必要があることから、IT人材は各社のニーズが高い職種といえます。自社のシステム部門だけではDXを推進するのが難しいケースでは、キャリア採用でIT人材を採用することが増えています。

研究・開発職については知識面を重視しがちですが、任せたいプロジェクトなどがある場合は、知識だけでなくプロジェクトマネジメント経験を求めるケースもあるでしょう。

キャリア採用/中途採用の判断基準

就業経験を有した求職者を求める場合、キャリア採用か中途採用のいずれが望ましいか、判断に迷うこともあるでしょう。ここでは、キャリア採用と中途採用の判断基準を紹介します。

キャリア採用が適している場合

人材要件として、専門性を求める場合はキャリア採用が適しています。

「キャリア採用を導入しやすい職種」の章で紹介した人事・経理などのバックオフィス系の職種やIT・研究などの専門職において、高い専門性を要求される場合、職務経験を持つキャリア採用が最適です。営業・営業企画系においても、自社や取引先が属する業界経験を持つ候補者を求める際に、キャリア採用が特に有効です。

中途採用が適している場合

キャリア採用とは異なり、狭い領域における高い専門性が必要でないケースが対象になります。

不足している年代層を補うなど、年齢構成を均衡化する際には、中途採用は適しています。また、他社の人材を受け入れることで新たなアイデアや視点を取り入れる環境を作り上げる場合も、中途採用が有効でしょう。

キャリア採用を成功させるポイント

注意点を踏まえて、キャリア採用を成功させるためのポイントをご紹介します。

給与水準をはじめとした働く環境を整える

前述したように、スキルが高い人材を採用するには、給与水準をはじめとする魅力的な労働条件を整える必要があります。

給与条件、残業時間など、自社がアピールできる職場環境や人事制度がある場合は、募集要項に記入しましょう。

転職を検討している人は、給与アップやスキルアップ、働く環境の変化など、それぞれ新しい会社に求める条件が異なります。

そのため、面接で求職者が現在の環境から何を改善したいかを丁寧にヒアリングし、自社でそれらを実現できるかどうか確認しましょう。

スキル以外の風土マッチングに配慮する

キャリア採用では経験やスキルが重視されがちですが、自社にフィットする人柄であるかを確認することも大切です。

経験やスキルは申し分ないものの、会社や部署の雰囲気に合わない場合、十分な力を発揮してもらえなかったり、早期離職につながったりする可能性もあります。

面接では経験やスキルについてのみ確認するのではなく、応募者の人となりを理解できるように質問内容を検討するとよいでしょう。

キャリア採用の進め方

最後に、キャリア採用の進め方を解説します。

【1】人材要件の決定

最初におこなうことは、人材要件の決定です。

採用戦略や今後の事業展開に基づき、求める職種要件やスキル、保有資格、志向性、価値観などを明確に定義します。ただし、要件を過剰に設定すると、適合する求職者が極端に減少する恐れがあります。必須条件(MUST)、望ましい条件(WANT)、不要な条件(NEGATIVE)を区別し、優先度を明確にすることが成功のポイントです。

人材要件について詳しく知りたい方は、「人材要件とは?設定する目的や作成のフレームワークを具体的に解説」の記事を参考にしてください。

【2】採用ターゲットの決定

次に、採用ターゲットを決定します。

定められた人材要件に基づき、求める専門性や職務経験に加えて、仕事に対する価値観や志向性などを具体的に採用ターゲットとして設定します。求める人材像を描き出すために、採用ペルソナを設計すると、より効果的です。

採用ペルソナを詳しく知りたい方は、「採用ペルソナとは?メリットや項目、ステップを徹底解説!テンプレートも紹介」の記事を参考にしてください。

【3】適正年収の算出

続いて、適正年収を算出します。

採用予定のポジションに応じて、適正な報酬を検討し、許容できる年収を算出します。希少価値の高い人材や需要が見込まれる場合は、自社が許容できる年収を上回ることもありますので、適正な年収の算出は重要です。場合によっては、人材要件の見直しも検討が必要になります。

【4】採用チャネルの決定

適正な年収を算出した後は、採用チャネルの決定です。

求める人材の専門性や特性を踏まえ、自社の状況やニーズに合った採用チャネルを検討します。採用時期や予算、人的リソースも考慮し、適切な採用チャネルを選定することが重要です。とくに、専門領域の人材を採用する際には、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用など、積極的な採用チャネルが効果的です。

【5】面接でのスキルマッチング

選考段階では、面接でのスキルマッチングをおこないます。

専門領域の人材を採用する際には、採用ポジションの現場社員が面接に同席することをおすすめします。現場社員には、求職者が現場の実務レベルや専門性に適合しているかどうかを面接でスキルマッチングするようにしてください。

【6】入社意欲の引き上げ

キャリア採用において、入社意欲を高める手段として、選考段階や最終選考後に入社意欲の引き上げが不可欠です。

面接などの選考段階では、現場社員から、仕事の詳細や具体的なプロジェクトの話などを通じて、働くイメージや仕事の魅力を伝えます。そして、選考段階や最終選考後には、求職者の疑問や不安を解消し、入社に対する意欲を高めるような情報提供やフォローアップをおこなうことが重要です。

まとめ

本記事では、キャリア採用の意味や目的、メリット・デメリットの他に、導入しやすい職種、キャリア採用やその他の分類における判断基準、成功ポイントや進め方について解説しました。

キャリア採用は、社外から即戦力となる専門知識を持った人材を獲得できるという利点があります。しかし、経験やスキル面だけを重視して採用すると、自社に馴染めずに早期退職してしまったり、本来の力を発揮できない可能性があります。

経験やスキル面を見つつ、人物面でも自社に合っているのかどうかも見極めて採用することで、キャリア採用の効果を最大限に得ることができるでしょう。

また、中小企業向けの中途採用ノウハウをまとめた資料もご用意しています。採用活動を「採用計画」「求人募集」「選考実施」の3フェーズに分け、中小企業における採用戦略ポイントを解説しています。ぜひお役立てください。

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