自社の離職率は平均より高い?主な原因と離職率を下げる方法 COLUMN

公開日:2019.11.14

更新日:2020.08.17

自社の離職率は平均より高い?主な原因と離職率を下げる方法

人事部にとって、「離職率」は応募数や採用数と並んで気になる数字ではないでしょうか。人材を獲得するまでの段階でどれだけ力を入れていても、その後、「辞めてしまう人の割合=離職率」が高止まりしていては、本当の意味での採用成功とはいえません。

今回は、採用に関わる方なら知っておきたい代表的な調査データや、離職率が高い原因とその改善策を紹介します。

目次

離職率の最新事情

離職率とは、ある一定期間に在籍していた社員のうち、離職した人の割合です。実は「離職率」には厳密な定義はなく、あくまでも分母となる社員数のうち、辞めた人の割合を指します。

産業別や新卒3年以内の離職率など、代表的な指標については公的な統計が調査・公開されています。調査によって分母が異なるため単純な比較はできませんが、自社の離職率が平均的かそれ以上かなど、改善を図るべき状況の判断基準として参考になる数字です。

全産業の離職率は14.6%

厚生労働省の「平成30年雇用動向調査」によると、2018年の1年間における全産業での離職率は14.6%となっており、同じ期間の入職率(15.4%)を若干下回っています。前年の離職率と比べても0.3%減少しており、全体の傾向としては「入職超過」であり売り手市場が続いているといえます。

ただし、労働者の背景により離職率には大きなバラつきがあります。男女別では、女性が結婚や出産・育児を理由として離職する割合は、依然として男性より高くなっています。人手不足が加速する中、経験を積んだ社員の離職は企業にとって大きな痛手です。今まではやむを得ない離職と捉えていたケースでも、今後は対策が必要になってきます。

離職率が高い・低い業界は?

同調査によると、業界別で離職率が最も高いのは「宿泊業、飲食サービス業」の26.9%で、全産業平均を約12%も上回っています。続いて「生活関連サービス業、娯楽業」が23.9%となっており、接客・サービスに関わる業界における定着率の悪さが課題となっていることがわかります。

<産業別 離職率ランキング>

順位 産業名 離職率
1 宿泊業、飲食サービス業 26.9%
2 生活関連サービス業、娯楽業 23.9%
3 教育、学習支援業 16.6%
4 医療、福祉 15.5%
5 不動産業、物品賃貸業 13.7%
6 卸売業、小売業 12.9%
7 情報通信業 11.8%
8 金融業、保険業 11.1%
9 運輸業、郵便業 10.5%
10 学術研究、専門・技術サービス業 10.1%
11 製造業 9.4%
12 複合サービス事業 9.3%
13 建設業 9.2%

※参考:厚生労働省「平成30年雇用動向調査」2 産業別の入職と離職
※「サービス業(他に分類されないもの)」は除外
※主要産業のみとしているため、「鉱業,採石業,砂利採取業」及び「電気・ガス・熱供給・水道業」は除外

一方、離職率が低いのは製造業の9.4%や複合サービス事業(郵便局、農業・漁業協同組合など)の9.3%など、いずれも10%以下です。同様に建設業も9.2%となっていますが、5人以下の事業所が調査対象になっていないため、少人数の事業所(一人親方)を含めた離職率はこれより高い可能性があります。

離職率が高いとどうなる? 企業への影響

離職率が高いと、求職者が「職場環境に何かしら問題があるのでは」と不安を抱くかもしれません。離職率を企業の良し悪しの判断基準にしている求職者もいるため、企業イメージが悪化する可能性があります。

さらに、退職者が出たことで仕事が回らなくなった場合には、新たに人材を確保しなければいけません。そうなると、採用コストだけでなく、新卒・未経験者の場合は一から育てる労力がかかります。また、早期離職率が高いと、組織の力に変えられるはずだったノウハウが蓄積されにくくなります。

離職率の計算方法

自社が属する業界の平均離職率を上回っていないか、チェックしてみましょう。ここでは離職率の計算方法を紹介します。

離職率(%)=一定期間の離職者数÷起算日の在職者数✕100

この「一定期間」と「起算日」をそれぞれ設定することで、必要な範囲の離職率を計算します。

例1)年度初めに200人在籍している会社で、1年間に8人辞めた場合
離職率=8÷200✕100=4%

例2)毎年20人新卒採用しており、ある年度入社の新卒社員が3年間で5人辞めた場合
離職率=5÷20✕100=25%

離職率が高い原因とは? 改善のポイント

平均的な離職率と比べて大幅に高い場合は、早急に解決すべき課題があるかもしれません。では、離職率を下げ、定着率を改善するためには何が重要なのでしょうか。以下、改善に取り組むためのポイントを紹介します。

よくある離職理由と改善策例

高い離職率を下げるためには、従業員が退職・転職を決意した理由を探ることが重要です。辞めていくメンバーとの話し合いは気まずいかもしれませんが、課題を放置しないためにしっかりと本音をヒアリングしましょう。複数の退職者が共通して挙げた理由があれば、優先的に対策を取るべきです。

※引用:労働政策研究・研修機構「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ
※実線の赤枠、破線の緑枠はそれぞれ女性回答、男性回答割合が異性の回答より5pt以上多いものを示す

離職理由として挙げられることが多いのは、給与や労働時間、健康への影響など労働環境に起因するものです。まずは業務に追われるあまり、過酷な働かせ方が当たり前になってしまっていないか見直すことをおすすめします。

また、代表的な対策としては下記のような例があります。

課題 対策
給与や残業時間など、労働環境への不満 ・給与改定、福利厚生の充実
・業務効率化による残業時間削減
・テレワークの導入など勤務形態の多様化
やりがいを感じられない、正当な評価をされていないという不満 ・客観的で定量的な評価制度の確立
・インセンティブの導入
教育の不足や提示されていた仕事内容とのギャップによる不安、不満 ・入社後研修(Off-JT)と現場教育(OJT)の強化
・メンター制度の導入
・求人情報や業務説明の見直し

短期的には評価制度の明確化や社内でのヒアリングといった低コストで始められる施策を導入し、長期的には会社の成長に伴う給与アップを検討するなど、バランスの良い対策と改善を目指しましょう。

離職率の改善を採用戦略につなげよう

離職率改善の取り組みは、従業員にとって魅力的な会社の長所を増やすことでもあります。社員に好評だった制度は、採用上のアピールポイントとして採用サイトなどで公開してみてはいかがでしょうか。

福利厚生やユニークな制度、職場の雰囲気などを伝えるには、企業のWebサイトを中心に適切なコンテンツを発信することが重要です。「オウンドメディア リクルーティングとは? メリット、導入手順、コンテンツ事例まで易しく解説」では、企業が発信すべき採用情報とその方法について、詳しく紹介しています。

定着度に反比例? 参考にしたい離職率

最後に、就活生や転職希望者がブラック企業を見極めるために参考にする「新卒3年以内離職率」や、中小企業の離職率について説明します。

【2019年】新卒の3年以内離職率は32%

「新規学卒就職者の離職状況」によると、2016年3月に大学を卒業・就職した人が3年以内に離職した割合は32%でした。一般的に3年後離職率とも呼ばれており、新卒入社の社員がどれだけ定着しているかの指標として重要です。勤続年数ごとの内訳は1年目の離職率が11.4%、2年目が10.6%、3年目が10%と特徴的な変動はなく、新卒入社の社員はおおむね1年に1割辞めているようです。

学歴別就職後3年以内離職率の推移※引用:厚生労働省「学歴別就職後3年以内離職率の推移

「最近の若者はすぐ辞めてしまう」とのイメージを反映しているようにもとれますが、調査が開始された1987年(昭和62年)以来およそ25%~35%の間を推移しており、近年に限ったことではありません。若手の3割が数年のうちに退職してしまうことは一般的であり、分母が少ない中小企業では1人退職しただけでも値が高く出てしまうため、数字だけを追うのは非現実的なケースも存在します。

ただし、就活生の目には特に「離職率が低い企業=ホワイト企業」と映ることも確かです。離職率が高かったり非公開にしたりする場合は、改善に取り組むことはもちろん、職場の環境や入社後のフォロー体制をアピールして応募者の不安軽減に努めましょう。

離職率の「七五三現象」

大卒者の3年以内離職率がおよそ3割前後なのに対して高卒、中卒ではそれぞれ5割前後、7割前後で推移しており、そのことをまとめて「七五三現象」といいます。大卒者の場合と同様に、調査が始まって以来この傾向は大きな変動なく続いています。

高卒の3年以内離職率が大卒より高くなる背景には、独特の就活ルールが挙げられます。高卒の場合は学業を優先するため、並行して2社以上の選考を受けられない「一人一社制」の期間があり、基本的に内定が出た時点で就職活動を終了するようになっています。そのため選択肢が多い大卒の就活と比べると接触できる範囲に制約があり、構造上ミスマッチが発生しやすいと考えられます。

中小企業の離職率は約17%

雇用動向調査によると、「100~299人」規模の企業の離職率はおおむね16~18%(平成25~30年)と、ほかの規模の企業より高めに推移していることがわかります。業種により「中小企業」の定義は異なりますが、300人以上の大規模な企業と比較すると100~299人の企業は入職率・離職率ともに高めの傾向にあり、人材の入れ替わりが激しい層であるといえます。100人未満の企業では離職率はむしろ低めの傾向があり、人間関係の密接さや家族経営であるなど、従業員数の少なさによる連帯感の強さが影響しているのかもしれません。

企業規模別離職率の推移※参考:「雇用動向調査」年次別推移 第3表 性、企業規模別入職・離職率(2018年)をもとに作成
※平成27年以前は再集計前の数値であり、平成28年以降とは接続しない。

中小企業において仕事を続けたくない理由のトップは給料が少ないことです。日本公庫総研レポート(No.2018-4)によると、現在勤務している企業で働き続けたくない理由として、「収入・昇給に対する不満」21.3%、「労働条件・労働時間・休暇に対する不満」8.3%、「昇進・昇格などの人事評価に対する不満」7.7%で約4割を占めています。

ただし同調査では、多少の不満があってもある程度がまんする割合も高く、待遇への不満が即離職へつながるわけではないことも明らかにされています。資金力が弱い場合は、待遇以外にも従業員が不満を抱える要因が増えないよう、社内の環境に気を配ることが大切です。

※参考:日本公庫総研レポート No.2018-4「人材の定着を促す中小企業の取り組み

10年以上勤続する人は45.8%

一方、勤続年数の長い割合を見ると、10年以上勤続している人は45.8%と、約半数にのぼっています。

労働政策研究・研修機構(JILPT)の「データブック国際労働比較2019」によると、勤続年数別の割合は、10年以上15年未満が14.4%、15年以上20年未満が8.9%、20年以上が22.5%です。

まとめ

平均的な離職率を下回るためには、離職の原因を突き止めて適切な対応を取ることが肝心です。従業員数によってはどうしても離職率が高くなってしまい、「離職率をゼロに近付ける」といった極端な数値目標は適さない場合があります。採用戦略と関連させて、効率的に人材を定着させる方法を模索しましょう。

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