採用プロセスとは?
採用プロセスとは、計画策定から募集、選考、入社まで、一連の採用活動全体のフローを指します。
採用課題の抽出、施策・計画や予算の策定、母集団形成を経て、選考、採用決定から内定後のフォローまで、各段階のプロセスがあります。これらの各プロセスを継続的に改善していくことで、母集団形成や辞退率の改善、ミスマッチの防止など、自社の採用プロセスの最適化が可能です。
人事が知るべき基本的な採用プロセス9つのステップ
採用プロセスには、踏むべき基本的なステップがあります。
ここでは、基本的な採用プロセスを紹介します。参考にしてください。
- 【1】課題抽出
- 【2】施策の決定
- 【3】採用計画策定
- 【4】予算決定と人員アサイン
- 【5】母集団形成1-ナビサイト
- 【6】母集団形成2-説明会・セミナー
- 【7】採用選考
- 【8】内定通知
- 【9】内定フォロー
【1】課題抽出
採用活動で第一におこなうべきことは、課題の抽出です。
例年通りの採用活動を実施していても、「就活ルールの変更」「採用市況動向の変化」などの外部要因によって、採用プロセスの過程で歩留まりが悪化することがあります。「各プロセスに手が回らない」「すべきことを実施できていない」などの内部要因で、成果を上げられないこともあるでしょう。こうした課題を抽出するために、前年度の採用活動を振り返り、採用プロセスのボトルネックを洗い出し、課題を抽出します。
【2】予算・施策の決定
抽出した課題を踏まえて、各採用プロセスの予算・施策を決定します。
母集団形成に課題があるならば、「ナビサイトの見直し」や「新たな採用手法の導入」を検討します。選考段階であれば、「選考方法」や「選考フロー」、「選考ツール」の見直しが考えられます。内定後の段階の場合は、内定フォローの「手段」や「ツール」、「イベント」の改善が考えられるでしょう。採用ターゲットのニーズを考慮し、右肩上がりに入社動機を高められるよう、候補者体験を設計することが重要です。
採用手法の詳細を知りたい方は、「【2023年版】採用手法12選を徹底解説|最新トレンドや選定ポイントも紹介」、内定フォローを詳しく知りたい方は「内定者フォローは何をやるべき?重要性や事例・便利なツールを紹介」の記事をそれぞれ参考にしてください。
【3】採用計画策定
施策を決定したあとは、採用計画を策定します。
採用計画は、自社の経営方針や事業戦略の下、どのような人員をいつ採用するのかの計画を立てるものです。新卒採用であれば、年齢構成バランス最適化を考慮し、定期的に同程度の人数を採用することが一般的ですが、中途採用の場合は、欠員補充や人員増強など、環境に応じて採用計画人数は年々変動するでしょう。
こうして定まった採用人数を必要な時期に充足するために、施策の実施計画を決定します。決定した計画は、アウトプットとしてExcelやGoogleスプレッドシートで作成し、採用関係者で共有しましょう。
採用計画の作成手順について詳しく知りたい方は、「採用計画はなぜ必要?作成手順や活用できるテンプレートを具体的に紹介」の記事を参考にしてください。
【4】人員のアサイン
採用計画を策定したあとは、人員のアサインが必要です。
採用活動には、面接官となる経営層や他部門の社員、説明会やインターンシップを実施する場合は、他部門の先輩社員の協力が不可欠です。リクルーター制度を導入している場合は、リクルーターのアサインも早めにおこなう必要があるでしょう。
【5】母集団形成1-ナビサイト/求人検索エンジン
準備段階を終えたら、求職者を集めるための母集団形成をおこないます。
ナビサイト
新卒採用は「リクナビ」、中途採用では「リクナビNEXT」などが多く利用されているでしょう。大勢の求職者が活用しているため、多くの母集団を形成したい場合に有効です。専用の編集画面で簡単に採用広告を作成でき、求職者の応募・選考管理も可能です。
ナビサイトを詳しく知りたい方は、「【2023年版】採用手法12選を徹底解説|最新トレンドや選定ポイントも紹介」の記事を参考にしてください。また、リクナビやリクナビNEXTに興味を持たれた方は、「リクナビ | クイックの採用サロン」「リクナビNEXT | クイックの採用サロン」をそれぞれ参照にしてください。
求人検索エンジン
Indeedや求人ボックスなどの求人検索エンジンもおすすめです。求職者の検索意図にマッチしたWeb上の求人情報が表示されるため、ターゲットニーズに合わせた運用により、効果的な母集団形成が可能です。
Indeedを詳しく知りたい方は、「Indeed(インディード)とは? 採用成功させるための情報まとめ|仕組み・費用・効果など」、求人ボックスは「求人ボックスとは?特徴や掲載方法・Indeedとの違いについて解説!」の記事をそれぞれ参考にしてください。
【6】母集団形成2-説明会・セミナー
新卒採用向けには、リクナビなどの合同企業説明会や、大学の主催する学内説明会が挙げられます。
インターンシップやセミナーなど、企業が独自で主催するケースもあるでしょう。中途採用向けでは、リクナビNEXTの転職フェアなどがメジャーなイベントです。近年では、リクナビの合同企業説明会のように、オンラインに特化したイベントもあります。自社の目的に合わせて検討しましょう。
【7】採用選考
母集団を形成し、応募が集まったら、採用選考をおこないます。
書類選考は、新卒採用の場合は「履歴書」「エントリーシート」「成績証明書」、中途採用の場合は「履歴書」「エントリーシート」「職務経歴書」を貰い受け、選考を実施します。自社の基準に合わせてスクリーニングをおこない、面接に通す人材を判断しましょう。
面接は、企業によって異なりますが、2〜3回、多い場合は5回程度の場合もあります。1回目は「グループ面接」、2回目は「グループディスカッション」、3回目は「最終面接」など、方式を変えて実施します。なお、グループ面接は「現場や人事担当者」、最終面接は「社長や役員」というケースが一般的です。
【8】内定通知
採用プロセスは、内定承諾を得たら終わりではありません。
新卒採用の場合は、内定から入社日までに内定辞退をされないように、内定フォローが不可欠です。採用ミスマッチ防止のため、自社の理念や価値観をマインドセットすることも重要になります。
内定フォローで有効な施策として、「食事会などの懇親会」「現場社員との面談」「社内や施設などの見学会」があります。内定者の入社動機を高めるために、自社にマッチした施策を取り入れましょう。
内定フォローについて詳しく知りたい方は、「内定者フォローは何をやるべき?重要性や事例・便利なツールを紹介」の記事を参考にしてください。
【9】内定フォロー
採用プロセスは、内定承諾を得たら終わりではありません。
新卒採用の場合は、内定から入社日までに内定辞退をされないように、内定フォローが不可欠です。採用ミスマッチ防止のため、自社の理念や価値観をマインドセットすることも重要になります。
内定フォローで有効な施策として、「食事会などの懇親会」「現場社員との面談」「社内や施設などの見学会」があります。内定者の入社動機を高めるために、自社にマッチした施策を取り入れましょう。
内定フォローについて詳しく知りたい方は、「内定者フォローは何をやるべき?重要性や事例・便利なツールを紹介」の記事を参考にしてください。
新卒採用と中途採用における採用プロセスの違い
同じ採用プロセスといっても、新卒採用と中途採用ではプロセスが異なります。ここでは、新卒採用と中途採用のプロセスの違いを解説します。
新卒採用の採用プロセス
新卒採用の場合は、4月1日などの一括採用が一般的です。
政府における就活ルールの下、基本的には次のスケジュールで採用活動をおこないます。
- 広報活動:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 選考活動:卒業・修了年度の6月1日以降
- 内定出し:卒業・修了年度の10月1日以降
なお、2025年卒以降、政府が定めるインターンシップを実施する場合は、弾力的な採用日程を組むことができます。
政府の就活ルールやインターンシップについて詳しく知りたい方は、「インターンシップの内容どうする?事例や企画、25卒以降のルールも解説!」の記事を参考にしてください。
中途採用の採用プロセス
中途採用の場合は、広報や募集時期などのルールはなく、通年採用が基本です。
欠員補充や人員増強など、自社が必要な時期に合わせて、スケジュールを組むことができます。採用手法や採用難易度によって、採用に要する期間が異なりますので、状況に合わせてスケジュールを組みましょう。
ボトルネックを可視化する!採用プロセス課題の見つけ方フレームワーク
採用プロセスの課題は、漠然と探しても適切に抽出することはできません。
ここでは、効果的な採用プロセス課題の見つけ方を次のとおり解説します。
- 採用プロセス毎の歩留まり率算出
- ボトルネックの抽出
- ボトルネックの分析
採用プロセス毎の歩留まり率算出
最初に、採用プロセス毎の歩留まり率を算出します。
ボトルネックは、採用プロセス毎の歩留まり率の算出によって見つけることができます。次の計算式に沿って算出してください。基本的な歩留まり率の算出方法は次のとおりです。
【歩留まり率計算式】
歩留まり率=採用プロセス通過者数÷採用プロセス対象者数×100
【歩留まり率算出例】
採用プロセス | 歩留まり率 | 計算過程 | 計算式 |
ナビサイトエントリー | 5% | 500名÷10,000名×100 | エントリー数÷閲覧数×100 |
説明会 | 60% | 300名÷500名×100 | 説明会参加数÷エントリー数×100 |
応募 | 50% | 150名÷300×100 | 応募者数÷説明会参加者数×100 |
一次面接 | 40% | 60名÷150名×100 | 一次面接通過者数÷応募者数×100 |
最終面接 | 50% | 30名÷60名×100 | 最終面接通過者数÷一次面接通過者数×100 |
内定 | 50% | 15名÷30名×100 | 内定承諾者数÷最終面接通過者数×100 |
入社 | 20% | 3名÷15名×100 | 入社者数÷内定承諾者数×100 |
ボトルネックの抽出
次に、ボトルネックを抽出します。
基本的には、他の採用プロセスと比較して、歩留まりが悪いプロセスに着目します。
次の例の場合、他の採用プロセスと比較して「ナビサイトエントリー」が5%、「入社」が20%とそれぞれ相対的に歩留まり率が悪く、これらの採用プロセスがボトルネックと判断できるでしょう。
【採用プロセス毎の歩留まり】
採用プロセス | 歩留まり率 |
ナビサイトエントリー | 5% ← |
説明会 | 60% |
応募 | 50% |
一次面接 | 40% |
最終面接 | 50% |
内定 | 50% |
入社 | 20% ← |
ただし、ボトルネックの抽出は、単年度だけで判断するのではなく、毎年の傾向や平均値との比較も重要です。「前年と比較して極端に落ち込んだ」「平均よりも歩留まりが悪い」など、複数の視点で比較してボトルネックを抽出してください。
ボトルネックの分析
最後に、ボトルネックを分析します。
抽出したボトルネックで生じている現象を把握し、採用プロセスにおける問題点を分析しましょう。
例えば、ナビサイトエントリーがボトルネックになっている場合は、「ナビサイトのどのページで離脱率が高いか」「採用ターゲットのエントリー率はどの程度か」などを検証します。入社のプロセスの場合では、「内定フォローが不足していないか」「求職者ニーズの高い内定フォローの取り組みができているか」などを調査し、ボトルネックを分析してください。
【抽出したボトルネック】
採用プロセス | 歩留まり率 |
ナビサイトエントリー | 5% ← |
入社 | 20% ← |
このようにフレームワークを活用してボトルネックを抽出し、採用課題を見つけましょう。
採用マーケティングを活用した改善フレームワーク7つのステップ
前章では、採用課題の見つけ方としてボトルネックを抽出するフレームワークを紹介しましたが、採用課題によってはボトルネックの改善だけでは解決できないことがあります。ここでは、採用マーケティングの手法を用いて採用戦略全体を改善する方法を解説します。
【1】環境分析-3C分析
自社を取り巻く採用市場を分析するために、3C分析を用いた環境分析をおこないます。採用マーケティングにおける3Cは次のとおりです。
- Customer(自社のニーズに合う求職者)
- Competitor(採用市場で自社と比較検討される企業)
- Company(自社の強みや弱み)
この3C分析によって、採用市場における自社の立ち位置を分析します。
【2】環境分析- SWOT分析
3C分析で把握した結果を用い、SWOT分析を活用して採用戦略を検討します。
内部環境 | 外部環境 |
Strength(強み) | Opportunity(機会) |
Weakness(弱み) | Threat(脅威) |
この「強み」「弱み」「機会」「脅威」の4つを軸に内外環境を明確化し、競合他社と差別化を図りながら、自社の強みを活かす採用戦略を構築します。
【3】ターゲット設定- 採用ペルソナ
自社が定める人材要件の下、自社のハイパフォーマーを基準としたコンピテンシーモデルを作成し、採用ペルソナを設計します。理想像とのギャップが生じないように、経営層はもちろん、現場社員にもチェックしてもらうことが望ましいでしょう。
採用ペルソナについて詳しく知りたい方は、「採用ペルソナとは?メリットや項目、ステップを徹底解説!テンプレートも紹介」の記事を参考にしてください。
【4】キャンディデイト・ジャーニーの設定
キャンディデイト・ジャーニーとは、求職者が企業を認知し、選考を経て入社するまでの行動や志向のプロセスを示すものです。採用プロセスを「認知段階」「興味段階」「応募段階」「選考・内定段階」「入社段階」のステージに分割し、ボトルネックに対する候補者体験の向上策を検討します。
【5】候補者体験(採用CX)の設計
キャンディデイト・ジャーニーで検討した候補者体験の向上策をもとに、候補者体験(採用CX)を設計します。
認知から入社まで、採用プロセスが進むにつれて求職者の応募動機を右肩上がりに高められるよう、一貫した採用方針の下、採用ペルソナに適した候補者体験を設計しましょう。
候補者体験(採用CX)について詳しく知りたい方は、「【事例付】採用CX(候補者体験)とは?成功に導く採用戦略構築ポイント」の記事を参考にしてください。
【6】コンテンツ企画
採用プロセス毎に設計した候補者体験の下、コンテンツを企画します。ペルソナに合わせたコンテンツメイクを心がけてください。特に、ボトルネックとなる採用プロセスを重点的に見直すことが重要です。
【7】採用プロセスの改善
採用プロセスは、一度の見直しで全てを改善することはできません。
ボトルネックを中心に、「計画→実行→見直し→改善」のPDCAサイクルを回すことが成功のカギです。毎年、必ず振り返りをおこない、継続的に改善してください。
ここでは、採用マーケティングの概要フローを説明しましたが、「採用マーケティングとは?メリットやフレームワーク、7つの実施ステップを解説」の記事では、事例も交えて詳しく説明しています。ぜひ参考にしてください。
まとめ
本記事では、採用プロセスの基本ステップや新卒採用と中途採用における違いのほか、課題の見つけ方、改善フレームワーク、改善ポイントを徹底解説しました。
採用プロセスの課題は、ボトルネックを抽出し、採用マーケティングの思考に基づいた改善が重要です。本記事で紹介したフレームワークを活用し、効果的な採用プロセスを構築してください。
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