【採用助成金】の種類一覧 障害者・高齢者の場合も COLUMN

2019.05.20

2022.02.18

【採用助成金】の種類一覧 障害者・高齢者の場合も

採用にまつわる助成金にはさまざまな種類があります。新たに人を雇い入れるタイミングに備え、自社で利用できそうな雇用関係助成金を探している人事担当者の方もいるのではないでしょうか。
今回は、雇用関係助成金の中でも「採用する=新たに人を雇い入れる」部分に関わる助成金をご紹介します。主な受給要件や受給額などを紹介していきますので、助成金の利用を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

※本記事は、専門的な知見が必要な内容を含むため、社会保険労務士の監修を受け作成しております。
※2019年4月4日時点の情報です。

目次

助成金を申請する前に確認すべき前提・共通要件

雇用関係助成金には多くの種類があります。
それぞれの助成金ごとに満たすべき要件は異なりますが、前提として、求められる要件や対象となる企業の範囲には、共通の項目もあります。まずはここから確認しましょう。
助成金の申請は、手続きが複雑なものも多く、また提出する資料が適法なものであることも求められるため、労務法務の知識も必要です。初めての場合は基本的には、社会保険労務士等の専門家に相談することをおすすめします。

助成金の申請を考える上での注意点

厚生労働省が管轄する雇用関係助成金は、社会的に重視されている雇用施策の導入や雇用の促進に対して支給されるものです。そのため、雇用を行っても雇用環境が整っていなかったり、形だけ施策を導入して実行されていなかったりする場合、不正受給となる恐れがあるということによく留意してください
一方で、政策や法律をよく理解して雇用を行ったり、施策を導入したりした場合は、ぜひ支給を受けるべきものだとも言えるでしょう。

具体的な注意点1 必要な届出や締め切り

助成金の申請にあたっては、各助成金でさまざまな要件があり、それぞれ異なっています。特に注意したいのが、申請のフローと締め切りです。
助成金には申請のために複数の届出を行う手続きが規定されているものが多くあり、それぞれの届出には多くの場合は締め切りがあります。また、事前の計画の届出が必要な助成金もあります。
届出の締め切りを過ぎてしまったり、複数の届出が必要なのに漏れてしまったりしていた場合、後になって提出することは基本的には一切認められません。

具体的な注意点2 ほとんどの場合必要になる提出資料

ほとんどの助成金は、労働者を雇用や労働者に行う施策に対して支給されます。
そのため、労働者を雇用していることの証明として労働者名簿・賃金台帳・出勤簿といった、事業主に作成が義務付けられている各帳簿の提出を求められることが多いです。提出する帳簿は、法律に準じた形式で適法に作成される必要があります。

助成金を受給できる事業主の要件

採用にまつわる助成金を受給するには、下記1~3の要件を全て満たす必要があります。

1.雇用保険適用事業所の事業主であること

2.支給のための審査に協力すること
・支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等を整備・保管していること
・支給または不支給の決定のための審査に必要な書類等の提出を、管轄労働局等から求められた場合に応じること
・管轄労働局等の実地調査を受け入れること など

3.申請期間内に申請を行うこと

上記を満たしたとしても、過去3年以内に不正受給した事業主や労働保険料を納入していない事業主など、受給できない事業主も定められています。詳しくは厚生労働省の「各雇用関係助成金に共通の要件等」を確認しましょう。

助成金の支給対象となる「中小企業」の範囲とは?

雇用関係助成金の中には、中小企業のみを対象とした助成金もあります。中小企業として認められるのは、以下の表の「資本金の額・出資の総額」か「常時雇用する労働者の数」のどちらかを満たす企業(医療法人なども同様)です。

産業分類 資本金の額・出資の総額 常時雇用する労働者の数
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

生産性要件について

雇用関係助成金の中には、生産性の伸び率によって割増などが行われるものもあります。生産性は「付加価値(営業利益+人件費+動産・不動産賃借料+租税公課)÷雇用保険被保険者数」で導き出せますが、役員報酬は含まれないため注意してください。

なお、各助成金で設定されている生産性の要件にはそれぞれ違いがあるため、割増分の受給なども視野に入れる場合は必ず労働局やハローワークに問い合わせましょう。生産性についても厚生労働省の「各雇用関係助成金に共通の要件等」に詳しい説明があるため、事前に一読することをおすすめします。

採用にまつわる助成金一覧

今回ご紹介する助成金を一覧表にまとめました。気になる助成金があれば名称をクリックしてみてください。主な要件や支給額を確認できます。

なお、採用に関わる助成金のほとんどが、ハローワークか、一定の要件を満たす職業紹介事業者、あるいは何らかの行政機関を介しての採用であることが条件です。この要件に当てはまらない採用については助成金の対象になりません。そのため、採用計画段階でよく確認をすることが大切です。

助成金の名称 どんな場合に助成される?
労働移動支援助成金
(早期雇入れ支援コース)
会社都合により離職を余儀なくされた人を離職後3ヶ月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れ、継続して雇用することが確実な場合。
労働移動支援助成金
(中途採用拡大コース)
中途採用者の雇用管理体制を整備し、生産性の向上を目的に中途採用の拡大を図った場合。
特定求職者雇用開発助成金
(特定就職困難者コース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、高齢者や障害者などの就職困難者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合。
特定求職者雇用開発助成金
(生涯現役コース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、満65歳以上の離職者を1年以上継続して雇用するのが確実な労働者として雇い入れる場合。
労働移動支援助成金
(安定雇用実現コース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、長期にわたり不安定雇用を繰り返している人を正規雇用労働者として雇い入れる場合。
労働移動支援助成金
(三年以内既卒者等採用定着コース)
学校の既卒者や中退者が応募可能な求人の申し込みまたは募集を行い、新規学卒枠で初めて採用後、一定期間定着させた場合。
特定求職者雇用開発助成金
(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者の紹介で、発達障害者や難治性疾患患者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合。
特定求職者雇用開発助成金
(生活保護受給者等雇用開発コース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、生活保護受給者や生活困窮者を継続して雇用する労働者として雇い入れる場合。
労働移動支援助成金
(被災者雇用開発コース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、東日本大震災による被災離職者や被災求職者を、1週間の所定労働時間20時間以上の労働者として雇い入れ、1年以上継続して雇用するのが確実な場合
特定求職者雇用開発助成金
(障害者初回雇用コース)
障害者を雇用したことのない中小企業が初めて障害者を雇用し、法定雇用率を達成する場合。
中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金 労働者数300人以下の事業主が障害者の雇い入れに係る計画を作成し、計画に基づき障害者を10人以上雇用し、雇い入れに必要な事業所の施設・設備などを設置・整備した場合。
トライアル雇用助成金
(一般トライアルコース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、職業経験・技能・知識などの理由から安定的な就職が困難な人を一定期間トライアル雇用する場合。
トライアル雇用助成金
(障害者トライアルコース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、就職が困難な障害者を一定期間、トライアル雇用する場合。
トライアル雇用助成金
(障害者短時間トライアルコース)
ハローワークや民間の職業紹介事業者などの紹介で、就職が困難な障害者を一定期間、短時間でトライアル雇用する場合。
地域雇用開発助成金
(地域雇用開発コース)
雇用機会が特に不足している地域の事業主が、事業所の設置・整備を行い、その地域に居住する人を雇い入れる場合
地域雇用開発助成金
(沖縄若年者雇用促進コース)
沖縄県の区域内で事業所の設置・整備を行い、沖縄県内に居住する35歳未満の人を雇い入れる場合。

中途採用の拡大を図るための助成金

中途採用の拡大を図るための助成金をご紹介します。中途採用の助成金は、人材の流動性の向上や失業状態を長引かせないことを目的として支給されます。

労働移動支援助成金(早期雇入れ支援コース)

会社都合により離職せざるを得なかった方の早期復職を支援するために事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
①対象労働者を離職から3ヶ月以内に期間の定めない労働者として雇い入れること。
②対象労働者を雇用保険の一般被保険者または高齢被保険者として雇い入れること。

【対象労働者】
「再就職援助計画」または「求職活動支援書」の対象者となっていること。
②雇用されていた事業主の事業所への復帰の見込みがないこと。

【支給額】
通常助成:対象労働者1人につき30万円が支給されます。
優遇助成:対象労働者1人につき80万円(雇用から6ヶ月経過後に40万円、6ヶ月経過後に40万円)。さらに、雇用から1年後に賃金が2%以上アップした場合には100万円(雇用から6ヶ月経過後に40万円、6ヶ月経過後に60万円)が支給されます。
※優遇助成を受けるための要件は「生産指標等により一定の成長性が認められる事業所の事業主が、REVIC(株式会社地域経済活性化支援機構)、中小企業再生支援協議会等による事業再生・再構築・転廃業の支援を受けている事業所等から離職した方(「再就職援助計画対象労働者証明書」等に「特例対象者」と記載されている方)を雇い入れた場合」となっています。
※早期雇入れ支援コースの支給対象者に職業訓練を実施すると、訓練を実施した時間に応じて「人材育成支援」が上乗せされます。

労働移動支援助成金(中途採用拡大コース)

生産性の向上を図るために中途採用を拡大した事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
中途採用拡大助成
①以下にかかる「中途採用計画」を作成し、管轄の労働局に届け出ること。
 ・雇用管理制度の整備
 ・中途採用計画期間内の中途採用の拡大
②以下のいずれかにより中途採用の拡大を図ること。
 ・中途採用率が50%未満の事業所が中途採用計画期間内に中途採用率を20ポイント以上向上させること。
 ・45歳以上の方を中途採用したことがない事業所が中途採用計画期間内に45歳以上の方を初めて採用すること。

生産性拡大助成
中途採用拡大助成を受給した事業主が、「中途採用計画」の計画期間初日が属する会計年度の前年度から3年後の生産性が6%以上向上していること。

【対象労働者】
①申請事業主に、中途採用により雇い入れられた方。
②雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者として雇い入れられた方。
期間の定めのない労働者(パートタイム労働者を除きます)として雇い入れられた方。

【支給額】
1事業所あたり、以下の金額が支給されます。

中途採用率の向上 45歳以上の方の初採用
中途採用率拡大助成 50万円 60万円
生産性拡大助成 25万円 30万円

就職や職場定着が困難な方を支援するための助成金

高齢、障害、母子家庭など、さまざまな理由から安定した職業に就くことが難しい方を支援するための助成金をご紹介します。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

60歳以上65歳未満の高齢者、障害者、母子家庭の母など、就職が困難と思われる方を雇用する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れること。
雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実である(対象労働者が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、その雇用期間が2年以上である)と認められること。

【対象労働者】
①雇入れ日時点の満年齢が65歳未満の方。
②下記いずれかに該当する方。
 ・60歳以上の方
 ・身体障害者
 ・知的障害者
 ・精神障害者
 ・母子家庭の母等
 ・父子家庭の父(児童扶養手当を受給している方に限る)
 ・中国残留邦人等永住帰国者
 ・北朝鮮帰国被害者等
 ・認定駐留軍関係離職者(45歳以上)
 ・沖縄失業者求職手帳所持者(45歳以上)
 ・漁業離職者求職手帳所持者(45歳以上)
 ・手帳所持者である漁業離職者等(45歳以上)
 ・一般旅客定期航路事業者等離職者求職手帳所持者(45歳以上)
 ・認定港湾運送事業離職者(45歳以上)
 ・その他就職困難者(アイヌの人々:北海道に居住している45歳上の者であり、かつハローワークの紹介による場合に限る)

【支給額】
対象労働者1人につき、下記の金額が支給されます。

支給対象者 支給総額 助成対象期間※1 支給対象期ごとの支給額※2
短時間労働者以外の方 ①高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
②身体・知的障害者 120万円
(50万円)
2年
(1年)
30万円×4期
(25万円×2期)
③重度障害者等(重度障害者、45歳以上の障害者、精神障害者) 240万円
(120万円)
3年
(1年6ヶ月)
40万円×6期
(33万円×3期)
※第3期の支給額は34万円
短時間労働者※3 ④高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等 40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)
⑤重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者 80万円
(30万円)
2年
(1年)
20万円×4期
(15万円×2期)

注:()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
※1、2:助成対象期間を6ヶ月ごとに区分した期間を支給対象期(第1期~第6期)といい、支給総額が支給対象期に分けて支給されます。
※3:「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者を指します。

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

65歳以上の高齢者を雇用する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者の紹介により雇い入れること。
雇用保険の高齢被保険者として雇い入れ、1年以上雇用することが確実であると認められること。

【対象労働者】
①雇入れ日時点の満年齢が65歳以上の方。
紹介日に雇用保険の被保険者でない方。

【支給額】
対象労働者1人につき、下記の金額が支給されます。

支給対象者 支給総額 助成対象期間※1 支給対象期ごとの支給額※2
短時間労働者以外の方 70万円
(60万円)
1年
(1年)
35万円×2期
(30万円×2期)
短時間労働者※3 50万円
(40万円)
1年
(1年)
25万円×2期
(20万円×2期)

注:()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
※1、2:助成対象期間を6ヶ月ごとに区分した期間を支給対象期(第1期~第6期)といい、支給総額が支給対象期に分けて支給されます。
※3:「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者を指します。

特定求職者雇用開発助成金(安定雇用実現コース)

いわゆる就職氷河期に就職の機会を逃したことなどにより、度々転職を繰り返している方を正規雇用労働者として雇用する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者の紹介により雇い入れること。
正規雇用労働者として、かつ雇用保険の一般被保険者として雇用することが確実であると認められること(ただし、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者は除きます)。

【対象労働者】
①雇入れ日時点の満年齢が35歳以上60歳未満の方
②雇入れ日の前日から過去10年間に5回以上離職または転職を繰り返している方
③紹介日時点で失業状態にある方
正規雇用労働者として雇用されることを希望している方

【支給額】
対象労働者1人につき、下記の金額が支給されます。

支給総額 助成対象期間※1 支給対象期ごとの支給額※2
60万円
(50万円)
1年 30万円×2期
(25万円×2期)

注:()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
※1、2:助成対象期間を6ヶ月ごとに区分した期間を支給対象期(第1期~第6期)といい、支給総額が支給対象期に分けて支給されます。

特定求職者雇用開発助成金(三年以内既卒者等採用定着コース)

学校等の既卒者や中退者を新卒枠で雇用する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
既卒者等コース
既卒者・中退者が応募可能な新卒求人の申込みまたは募集を行い、その求人・募集に応募した既卒者・中退者を通常の労働者として雇用すること(少なくとも卒業・中退後3年以内の方が応募可能であること)。
これまで既卒者等を新卒枠で雇い入れたことがないこと。

高校中退者コース
高校中退者が応募可能な高卒求人の申込みまたは募集を行い、その求人・募集に応募した高校中退者を通常の労働者として雇用すること(少なくとも高校中退後3年以内の方が応募可能であること)。
これまで高校中退者を新卒枠で雇い入れたことがないこと。

【対象労働者】
①以下の学校等を卒業(修了)または中退した方。
 ・学校(小学校および幼稚園を除く)、専修学校、各種学校、外国の教育施設の卒業者または中退者
 ・公共職業能力開発施設や職業能力開発総合大学校の職業訓練の修了者または中退者
②これまで通常の労働者として同一の事業主に引き続き12ヶ月以上雇用されたことがない方。

【支給額】
対象労働者1人につき、下記の金額が支給されます。

支給対象者
(助成金コース名)
1年定着後※1 2年定着後 3年定着後
既卒者等コース 50万円
(35万円)
10万円
(支給なし)
10万円
(支給なし)
高校中退者コース 60万円
(40万円)
10万円
(支給なし)
10万円
(支給なし)

注:()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
※1:若者雇用促進法に基づく認定事業主(ユースエール企業)の場合は、いずれも10万円が加算されます。

特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

障害者手帳を持たない発達障害や難病のある方を雇用する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れること。
雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実である(対象労働者が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、その雇用期間が2年以上である)と認められること。

【対象労働者】
障害者手帳を所持していない方。
発達障害または難病のある方。
③雇入れ日時点の満年齢が65歳未満の方。

【支給額】
対象労働者1人につき、下記の金額が支給されます。

支給対象者 支給総額 助成対象期間※1 支給対象期ごとの支給額※2
短時間労働者以外の方 120万円
(50万円)
2年
(1年)
30万円×4期
(25万円×2期)
短時間労働者※3 80万円
(30万円)
2年
(1年)
20万円×4期
(15万円×2期)

注:()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
※1、2:助成対象期間を6ヶ月ごとに区分した期間を支給対象期(第1期~第6期)といい、支給総額が支給対象期に分けて支給されます。
※3:「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者を指します。

特定求職者雇用開発助成金(生活保護受給者等雇用開発コース)

自治体からハローワークに就労支援の要請があった生活保護受給者や生活困窮者を雇用する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れること。
雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実である(対象労働者が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、その雇用期間が2年以上である)と認められること。

【対象労働者】
①雇入れ日現在の満年齢が65歳未満の方
②以下のいずれかに該当する方。
生活保護受給者(生活保護を受給中の方に限り、申請段階の方や過去に受給していた方は含まれません)
生活困窮者(自治体が自立支援計画の作成を行い、その目標の達成時期が到来していない方に限ります)
③自治体からハローワークに対して就労支援の要請がなされている方
④自治体とハローワークが連携して行う就労支援の期間内の方

【支給額】
対象労働者1人につき、下記の金額が支給されます。

支給対象者 支給総額 助成対象期間※1 支給対象期ごとの支給額※2
短時間労働者以外の方 60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
短時間労働者※3 40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)

注:()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
※1、2:助成対象期間を6ヶ月ごとに区分した期間を支給対象期(第1期~第6期)といい、支給総額が支給対象期に分けて支給されます。
※3:「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者を指します。

特定求職者雇用開発助成金(被災者雇用開発コース)

東日本大震災による被災離職者や被災地求職者を雇用する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者などの紹介により雇い入れること。
雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、1年以上雇用することが見込まれること。

【対象労働者】
①東日本大震災発生時に原発事故に伴う警戒区域、計画的避難区域、緊急避難準備区域などに居住していた方。
②以下のいずれかに該当する方。
被災離職者(震災発生時に被災地域で就業しており、震災により離職を余儀なくされ、その後安定した職業に就いたことがない方)。
被災地求職者(震災後、安定した職業に就いたことがない方)

【支給額】
対象労働者1人につき、下記の金額が支給されます。

支給対象者 支給総額 助成対象期間※1 支給対象期ごとの支給額※2
短時間労働者以外の方 60万円
(50万円)
1年
(1年)
30万円×2期
(25万円×2期)
短時間労働者※3 40万円
(30万円)
1年
(1年)
20万円×2期
(15万円×2期)

注:()内は中小企業事業主以外に対する支給額および助成対象期間です。
※1、2:助成対象期間を6ヶ月ごとに区分した期間を支給対象期(第1期~第6期)といい、支給総額が支給対象期に分けて支給されます。
※3:「短時間労働者」とは、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満である者を指します。

さらに、対象者を10人以上雇入れ、1年以上継続して雇用した場合、1事業主につき1回、60万円(50万円)が上乗せして支給されます。

障害者の雇用拡大を促すための助成金

障害者を初めて雇用する事業者や、たくさんの障害者を雇用するために施設や設備を整備する事業者のための助成金を紹介します。

特定求職者雇用開発助成金(障害者初回雇用コース)

障害者を初めて雇用し、それによって障害者雇用促進法の定める法定雇用率を達成する中小企業に支給される助成金です。

【主な支給要件】
①支給申請時点で雇用する常用労働者数が45.5人~300人であること。
②支給対象となる障害者等を初めて雇い入れ、1人目を雇い入れた日の翌日から3ヶ月以内に、雇い入れた障害者等の数が障害者雇用促進法の規定する法定雇用障害者数以上となって、法定雇用率を達成すること。
③1人目の支給対象者の雇入れる前日から過去3年間に、支給対象者について雇用実績がないこと。

【対象労働者】
以下のいずれかに該当する方。
 ・身体障害者
 ・知的障害者(療育手帳の交付を受けている方、または、児童相談所等による判定を受けている方に限ります)
 ・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方に限ります)

【支給額】
対象労働者1人につき120万円が支給されます。

中小企業障害者多数雇用施設設置等助成金

障害者の雇用のために必要な施設や設備を設置・整備し、障害者を10人以上雇用する中小企業に支給される助成金です。

【主な支給要件】
①支給申請時点で、雇用する常用労働者数が300人以下であること。
②受給資格認定日の翌日から6ヶ月以内に、事業計画に基づいて対象労働者を10人以上雇い入れること。
③対象労働者を雇い入れる事業所の事業に使用する施設や設備の設置などを行うこと。
④支給申請時点で、この事業所に雇用される常用労働者に占める対象労働者の割合が10分の2以上であること。

【対象労働者】
以下のいずれかに該当する方。
 ・重度身体障害者
 ・知的障害者(療育手帳の交付を受けている方、または、児童相談所等による判定を受けている方に限ります。ただし、重度でない知的障害者の短時間労働者は除きます)
 ・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方に限ります)

【支給額】
助成金は設置・整備費用と支給対象となる労働者の増加数に応じて支給されます。

設置・整備に要した費用 対象労働者数
10~14人 15人以上
第1期 第2・3期 支給総額 第1期 第2・3期 支給総額
3,000万円以上
4,500万円未満
1,000万円
(1,440万円)
500万円
(180万円)
2,000万円
(1,800万円)
1,000万円
(1,440万円)
500万円
(180万円)
2,000万円
(1,800万円)
4,500万円以上 1,000万円
(1,440万円)
500万円
(180万円)
2,000万円
(1,800万円)
1,500万円
(2,160万円)
750万円
(250万円)
3,000万円
(2,700万円)

トライアル雇用期間を設け、ミスマッチを防ぐための助成金

労働者の適性を見極めるための試用雇用(トライアル雇用)期間を設けることで、採用後のミスマッチを防ぎ、職場への定着を図るための助成金をご紹介します。

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

職業経験、技能、知識の不足などにより就職が困難な求職者の継続雇用に向けて、トライアル雇用制度を導入する事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
①ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者にトライアル雇用求人を事前に提出し、その紹介により対象労働者を原則3ヶ月の有期雇用で雇い入れること。
②トライアル雇用を開始する前日から過去3年以内に、対象労働者を雇用したことがないこと。

【トライアル雇用の対象労働者】
①紹介日時点でトライアル雇用を希望する方。
②以下のいずれかに該当する方。
 ・紹介日時点で就労経験のない職業に就くことを希望する方
 ・紹介日時点で学校卒業後3年以内で、卒業後安定した職業に就いていない
 ・紹介日の前日から過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している
 ・紹介日の前日時点で離職している期間が1年を超えている
 ・妊娠、出産・育児を理由に離職し、紹介日の前日時点で安定した職業に就いていない期間が1年を超えている
 ・就職の援助を行うに当たって、特別な配慮を要する方(生活保護受給者母子家庭の母等父子家庭の父日雇い労働者など)

【支給額】
対象労働者1人につき、月額最大4万円(最長3ヶ月間)。また、対象者が母子家庭の母等、または父子家庭の父の場合、若者雇用促進法に基づく認定事業主(ユースエール企業)が35歳未満の対象者に対しトライアル雇用を実施する場合、支給額は1人につき月額最大5万円(最長3ヶ月)となります。

トライアル雇用助成金(障害者トライアルコース)

障害者の継続雇用に向けて、トライアル雇用を行う事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
①ハローワークや民間の職業紹介事業者などに障害者トライアル雇用求人を事前に提出し、その紹介により対象労働者を原則3ヶ月の有期雇用で雇い入れること。
②障害者トライアル雇用等の期間について、雇用保険被保険者資格取得の届出を行うこと。

【対象労働者】
身体障害知的障害精神障害発達障害を含む)、その他の心身の機能の障害のある方。
②紹介日時点で障害者トライアル雇用を希望する方
③以下のいずれかに該当する方。
 ・紹介日時点で、就労経験のない職業に就くことを希望する方
 ・紹介日の前日から過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している
 ・紹介日の前日時点で離職している期間が6ヶ月を超えている
 ・重度身体障害者重度知的障害者精神障害者

【支給額】
対象労働者1人につき、月額最大4万円(最長3ヶ月間)。また、精神障害者を初めて雇用する場合には月額最大8万円(最長3ヶ月間)その後月額最大4万円(最長3ヶ月)が支給され、最長6ヶ月で最大36万円となります。

トライアル雇用助成金(障害者短時間トライアルコース)

障害者の継続雇用に向けて、短時間のトライアル雇用を行う事業主に支給される助成金です。

【主な支給要件】
ハローワークや民間の職業紹介事業者などに障害者短時間トライアル雇用求人を事前に提出し、その紹介により対象労働者を3~12ヶ月の有期雇用で雇い入れること。

【対象労働者】
精神障害者発達障害者
②紹介日時点で障害者短時間トライアル雇用を希望する方

【支給額】
対象労働者1人につき、月額最大4万円(最長12ヶ月間)となります。

特定の地域の雇用環境を改善するための助成金

求職者に対して求人募集が少ない、過疎化が進んでいるなど雇用情勢が厳しい地域における、新たな雇用の創出を支援するための助成金をご紹介します。

地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)

同意雇用開発促進地域などに指定された、雇用情勢の厳しい地域に事業所を設置して従業員を採用する事業主に対して支給される助成金です。

【対象地域】
同意雇用開発促進地域(求職者に比べて雇用機会が著しく不足している地域)
過疎等雇用改善地域(若年層・壮年層の流出が激しい地域)
特定有人国境離島等地域(離島地域)

【主な支給要件】
①管轄労働局長に「計画書」を提出する(創業の場合は「創業計画認定申請書」も併せて提出する)こと。
②地域の雇用拡大のために必要な事業所の設置・整備300万円以上かけて行うこと。
③対象労働者を以下の条件で雇い入れること。
 ・計画日から完了日までの間に3人(創業の場合は2人)以上雇い入れること。
 ・ハローワーク、地方運輸局、民間の職業紹介事業者(地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)の取扱いに係る同意書を労働局に提出している事業者に限ります)の紹介により雇い入れること。
 ・雇用保険の被保険者(一般/高齢)として雇い入れ、継続して雇用することが確実である(対象労働者が65歳以上に達するまで継続して雇用し、かつ、その雇用期間が2年以上である)と認められること。
④管轄労働局長に計画日から18ヶ月以内に完了届(第1回支給申請書)」を提出すること。
⑤計画完了日に②の事業所で雇い入れている人数が、計画日前日より3人(創業の場合は2人)以上増加していること。

【対象労働者】
①雇入れ日時点で対象地域に居住している方。
②雇入れ後、設置・整備を行った事業所で就労する方。
③過去3年間に同一事業主の事業所で就労したり、職場適応訓練を受けたことがない方。
※新卒者は対象労働者全体の1/3までを対象労働者とすることができます。

【支給額】
助成金は事業所の設置・整備費用と支給対象となる労働者の増加数に応じて支給されます(1年毎に3回支給)。以下の表で示している額は「基本額/生産性の向上が認められた場合に支給する額」です。中小企業の場合は、初回の支給時にこれらの額の1/2が上乗せされるなど、各種要件を満たすことで助成金が上乗せされる場合があります。

設置・整備費用 支給対象者の増加数
3(2)~4人 5~9人 10~19人 20人以上
300万円以上
1,000万円未満
48万円/60万円
(50万円)
76万円/96万円
(80万円)
143万円/180万円
(150万円)
285万円/360万円
(300万円)
1,000万円以上
3,000万円未満
57万円/72万円
(60万円)
95万円/120万円
(100万円)
190万円/240万円
(200万円)
380万円/480万円
(400万円)
3,000万円以上
5,000万円未満
86万円/108万円
(90万円)
143万円/180万円
(150万円)
285万円/360万円
(300万円)
570万円/720万円
(600万円)
5,000万円以上 114万円/144万円
(120万円)
190万円/240万円
(200万円)
380万円/480万円
(400万円)
760万円/960万円
(800万円)

注:()内は創業の場合のみに適用されます。

地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)

沖縄県内で事業所を設置・整備して、同県在住の35歳未満の方を雇用すると支給される助成金です。

【主な支給要件】
①沖縄労働局長に「計画書」を提出すること。
②地域の雇用拡大のために必要な事業所の設置・整備を300万円以上かけて行うこと。
対象若年労働者を雇い入れる場合は、以下の条件を満たすこと。
 ・②の事業所で雇い入れること。
 ・計画日から完了日までの間に3人以上雇い入れること。
 ・雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、助成金の支給終了後も継続して雇用することが見込まれること。
 ・計画日までに定着指導責任者を任命し、雇い入れた方の職場定着を図ること。
対象新規学卒者を雇い入れる場合は、以下の条件を満たすこと。
 ・②の事業所で雇い入れること。
 ・中小企業事業主であること。
 ・計画日から完了日までの間に、対象若年労働者のほか(4人目以降)に雇い入れること。
 ・雇用保険の一般被保険者として雇い入れ、助成金の支給終了後も継続して雇用することが見込まれること。
⑤沖縄労働局長に計画日から24ヶ月以内に「完了届」を提出すること。
⑥計画完了日に②の事業所で雇い入れている人数が、計画日前日の人数を上回ること。

【対象若年労働者】
①応募時点で沖縄県内に居住している方。
②雇入れの時点で失業状態にある方。
③雇入れの時点で満35歳未満の方(新規学卒者でない方)。
④過去3年間に同一事業主の事業所で就労したり、職場適応訓練を受けたことがない方。

【対象新規学卒者】
①応募時点で沖縄県内に居住している方。
②新規学卒者の方。

【支給額】
対象労働者1人につき、事業主が支給対象期間中に対象労働者に支払った賃金に下記の表の割合を乗じた相当額が、各支給対象期60万円、年間120万円を上限に支給されます。

支給対象者の種別 中小企業 中小企業以外
対象若年労働者 1/3 1/4
対象新規学卒者 1/3

まとめ

ハローワークなどの行政機関に問い合わせる場合は、まず「助成金を申請する前に確認すべき前提・共通要件」でご紹介したような前提を押さえてください。厚生労働省のWebサイトで公開されている資料で、各助成金の要件や申請方法も確認しましょう。前提を知らない状態だと、行政機関としても対応に困ってしまう可能性が高いです。
また、雇用関係助成金の申請を代行できるのは社会保険労務士のみと法律で定められています。不明点があれば、社労士に相談することをおすすめします。

 

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東京都社会保険労務士会 広報委員長(新宿支部)。フォレストコンサルティング社会保険労務士事務所代表。名古屋大学法学部卒業後、株式会社リクルートにて広告企画・人事コンサルティングの営業職に従事、のち経営管理部門で法務・監査・ITマネジメント等に関わる。その後、社会保険労務士として独立。労働法務の問題や法改正への対応、IPO支援、人事制度整備支援、ほかIT/広報関連の知見を生かしたブランディング戦略等を専門にしている。

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