入社式をおこなう目的
最初に、入社式を行う目的について解説します。
社会人としての自覚を持たせる
入社式は、学生という立場を終え、社会に出る覚悟を固める場でもあります。特に、式典で経営層などからエールを送られると、新入社員は実感を伴って“今日は特別な始まり”だと自覚することができます。このような感慨深い第一歩が、社会人としての自覚を持たせると共に、今後のキャリアへの意欲を駆り立てるきっかけとなります。
企業の一員として迎える
入社式には、組織の新たなメンバーであることを公式に宣言する意味合いもあります。会社によっては、辞令交付の場面で個々人の名前を呼び上げることで、「自分はこの組織に迎え入れられた」という喜びと責任を感じられるように工夫しています。このように企業の一員として迎える態度を示すことで、新入社員が自身の選択した会社の理念や価値観を意識しながら、自発的な行動を取るためのきっかけとなります。
エンゲージメントを醸成する
入社直後はまだ知り合いも少なく、社内文化にも十分慣れていない時期です。しかし、入社式での温かい歓迎ムードや互いを知る機会が早期に提供されると、組織内での信頼関係づくりがスムーズに進められます。特に、同期だけでなく先輩社員や他部署との交流を行える環境を用意することで、社員同士の結束感が増し、その後の連携や情報共有が活発に行われる土壌を形成することができます。
知っておきたいスタンダードな入社式プログラム
まずは一般的な入社式の流れを知っておくことをおすすめします。入社式のプログラムは多くの企業で似た流れを踏むことが多く、主に社長の挨拶や辞令交付、新入社員の挨拶といった要素が含まれます。それぞれのパートがシンプルながら意義を持ち、新入社員の気持ちを高めるポイントにもなります。また、企業によってはその後にオリエンテーションや研修の開始を組み込むところもあり、当日からタスクが動き出すケースも珍しくありません。これらの定番の要素を押さえることで、式全体の段取りがイメージしやすくなります。
社長・経営層による祝辞・挨拶
企業トップの祝辞は、入社式の中でも特に緊張感が高まる瞬間です。社長や役員から直接歓迎の言葉や経営理念やビジョンを聞く機会は、新入社員にとってその企業への理解を一段と深める貴重な時間でもあります。この挨拶を通じ、新入社員は自分たちがどのような使命を持って働くのか実感しやすくなり、早期から企業方針に共感しやすい雰囲気を醸成することができます。
新入社員答辞・挨拶
新入社員を代表した答辞は、入社への思いや将来の抱負を表現する大切な場面です。代表者が自分たちの決意を言葉にすることで、ほかの新入社員や先輩・上司にも強い影響を与え、連帯感を育むことができます。特に、同期同士の共感が生まれ、互いを励まし合いながら会社生活をスタートするきっかけとなるのも大きな利点です。
入社辞令の交付
新入社員が正式に雇用契約を結んだ証となる辞令書の交付は、多くの企業で入社式のハイライトとなる場面の一つです。自分の名前と配属先が明記された書類は、会社の一員として認められた実感を得る上で大きな役割を果たします。この瞬間を共有することで、周囲の仲間と同じスタートラインに立ったという安心感や団結感を高めることにも繋がります。
記念撮影
記念撮影は、新入社員同士の顔を覚え、社会人生活の出発点を形として残す大切な行事です。後から写真を見返すと同期との思い出を振り返るきっかけにもなり、愛着を強める効果も期待できます。集合写真だけでなく、個人やグループでの撮影を行う企業も多く、撮影を通じて自然とコミュニケーションが生まれることもメリットの一つです。
歓迎会
入社式後に開催される歓迎会は、新入社員と既存社員が打ち解け合う最初の機会となります。フォーマルな場面から少し離れ、リラックスした雰囲気で互いの価値観や個人の特性を知り合うことが可能です。結果として、職場でのコミュニケーションも取りやすくなり、その後のチーム作業や業務連携を行うための土壌を形成することができます。
ユニークな入社式を企画する効果
入社式にユニークな演出を取り入れることで、社内外へのポジティブな影響が期待できます。ここからは、ユニークな入社式を行うことでどのようなメリットがあるのか、具体的にご紹介いたします。
新入社員に愛社精神が生まれる
ユニークな入社式は、会社が新入社員を歓迎する姿勢を強く感じさせるため、愛社精神の醸成につながりやすい特徴があります。特に、自分たちのためだけに特別な企画を用意してくれたと感じられると、会社への信頼感が強まり、それが仕事への熱意を高める要因の一つにもなり得ます。
新入社員同士の結束が強まる
新入社員たちが一緒に体験やイベントを楽しむことで、同期同士の距離が縮まります。共通の思い出がある同期は、今後の研修や業務でも助け合いながら成長する土壌を作りやすくなります。また、こうしたつながりは長く続くことが多く、後のキャリアでも相互に支え合う関係性として機能しやすいといえます。
新入社員と既存社員の交流が深まる
先輩社員や他部署のメンバーと面白い企画を通じて交流することで、上下関係や部署間の壁が大きく緩和されます。入社初期にフランクなコミュニケーションが実現できると、わからないことを気軽に質問できたり、相談しやすい雰囲気を職場全体で形成することができます。
新入社員の早期離職を防止する
新入社員が会社に対してポジティブな思いを持てると、早期に退職してしまうリスクを下げる効果が期待できます。ユニークな入社式は、そうした会社に対する肯定的な印象を強く植え付ける一助となります。
企業のPR活動になる
インターネットやSNSの利用が一般的になっている現在、ユニークな入社式はニュースや口コミとして取り上げられやすく、企業イメージの向上にもつながります。また、新入社員から発信される情報が新たな採用やビジネスチャンスにつながるケースもあり、戦略的に企画を行う企業が増えているのも特徴です。
新人社員の記憶に残るユニークな入社式事例11選
ここからは、実際の事例をもとにした11の企画アイデアをご紹介いたします。企業の規模やカルチャーによって好まれる企画は異なりますが、特別な演出を加えることで新入社員の記憶に残る入社式の実施が可能になります。自社の雰囲気に合わせた柔軟なアレンジを検討しながら、参考にしていただけますと幸いです。
靴磨き入社式
社会人としての身だしなみを象徴する靴磨きを体験する入社式です。仕事に取り組む姿勢や、初心を常に大切にする気持ちを育む効果があります。靴磨き入社式では、身近な道具を用いたアクティビティでありながら、自分自身を整えることの大切さを実感することができます。
事例:株式会社コロンブス
https://www.columbus.co.jp/news_240401/
家族同伴入社式
家族を招いて実施することで、新入社員が家族に直接感謝を伝えることができる貴重な機会となります。家族の前で将来の抱負を語ることにより、新入社員たちは社会人としての自覚を持ちやすくもなります。また、企業側としても、家族への理解と支持を得ることで新入社員の定着率向上や長期的なキャリア形成への支援を期待することができます。
事例:SAKAI株式会社
https://oita-sumai.com/recruit/blog_190202/
サイクリング入社式
体を動かしながら同期や先輩と交流を深める、アクティブな入社式です。協力しながらゴールを目指すことで、チームワークの大切さを肌で感じ取ることができる入社式となっています。この入社式を行うことで、職場に戻った後も、早期の打ち解けや連帯感の維持に寄与する効果が期待できます。
事例:ホダカ株式会社
https://www.hodaka-bicycles.jp/info/new/210401_cycling_entrance_ceremony/
畑で入社式
畑の中から自身の入社証書を収穫する「入社証書収穫」や、入社への想いを込めてトマトの苗を植える「決意表明の苗」などを行うのが、畑での入社式です。オフィスで行う入社式にはない開放感や学びが得られる点が魅力的です。
事例:オイシックス・ラ・大地株式会社 https://www.oisixradaichi.co.jp/news/posts/202300403ceremony/
暗闇入社式
照明を落とし、視覚が利かない状態で特定のプログラムを行う暗闇入社式は、コミュニケーションのとり方や互いのサポートの必要性に気づきやすく、高いチームワークを意識する場として機能します。
事例:株式会社CHINTAI
https://note.chintai.jp/n/nead8d7bf6e89
運動会入社式
複数の競技やチーム対抗戦を行い、体を動かしながら入社を祝うのが運動会入社式です。役職や担当部署を交えて競うことで、部門を超えたコミュニケーションを自然と生みだすことが可能です。
事例:株式会社スポーツフィールド https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000248.000025453.html
アイロンがけ入社式
シワを伸ばしてきちんと整えるアイロンがけは、丁寧な仕事を象徴する行動の一つです。この入社式により、日頃の身だしなみや細部への配慮が社会人として重要な価値観であることを実感してもらうことができます。
事例:株式会社ホワイトプラス
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000024.000016048.html
退職届読み上げ入社式
新入社員に、自社を退職することを想定して退職届を作成してもらい、入社式に読み上げてもらうという内容です。これにより、自社で成し遂げたいことや将来像を強く意識してもらう効果が期待できます。あえて「退職」という言葉を用いることで強烈なインパクトを与え、新入社員の意識をぐっと引き締める効果も期待できます。
事例:株式会社カヤック
https://www.kayac.com/news/2024/04/nyuusyashiki2024
水中入社式
海やプールなど、水中空間で実施する入社式です。通常では考えられない環境だけに強いインパクトを残しやすく、社内外に対する企業の柔軟な発想力をアピールできます。水中でのコミュニケーションは制約が多い反面、新入社員同士の結束を独特の形で高めることができます。
事例:鳥羽水族館
https://aquarium.co.jp/topics/250331_01
ダーツの旅をする入社式
地図にダーツを投げて命中した土地を実際に訪れるのが、ダーツの旅の入社式のルールです。ランダムな要素があるため、初日から”どこへ行っても対応できる柔軟性”や”挑戦する姿勢”を学ぶことが可能です。変化の多いビジネス環境に挑む企業文化を演出するうえでも、有効な手段の一つであると言えます。
事例:株式会社ラクーンホールディングス
https://blog.raccoon.ne.jp/archives/5404
生成AIを活用した入社式
AI技術を利用した先進的な入社式を実施することで、新入社員に対して未来に対する期待感を与えることができます。
こちらの事例では、生成AIによって作られた「AIラップ名刺」を用いて新入社員代表と社長がラップで自己紹介を交わし、印象的な入社式を創出しました。ラップ動画はプロフィール入力と写真撮影だけで自動生成され、QRコードで相手の“デジタル名刺動画”にアクセスすることが可能です。この先進的な入社式では、実際に参加した新入社員の約90%が「親近感を感じた」「意外な一面を知れた」と好意的な評価をしている点も注目です。
事例:株式会社 博報堂
https://www.hakuhodo.co.jp/magazine/109729/
まとめ
入社式は新入社員のモチベーションを高め、会社への帰属意識をより強固にするための大切なイベントです。定番プログラムの押さえどころと貴社らしい独自の工夫を融合させ、忘れられない入社式を演出することが大切です。また、ユニークな入社式を行うことは、既存社員のモチベーション向上や関係の質の改善、社外へのPR活動などさまざまなメリットを持ちます。本記事の情報が、貴社の入社式企画の一助となりましたら幸いです。
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