成功へ導く内定者研修の設計方法! コロナ禍での内定者の動向も解説 COLUMN

公開日:2020.02.20

更新日:2022.12.27

成功へ導く内定者研修の設計方法! コロナ禍での内定者の動向も解説

応募者の選考を進め内定者を確定したら、採用活動の後半戦ともいえる内定者フォローの時機に入ります。そのなかでも代表的な方法が内定者研修です。ここで内定者の不安を払拭し、信頼感を高めることができれば、より確実な入社につなげることができます。

本記事では、内定者研修を成功に導くための内定者研修のゴールを設定する重要性や、近年押さえておくべきコロナ禍での内定者の動向、内定者研修設計で注意すべきポイントを解説します。

目次

内定者研修の目的とは?

一般的な研修の目的は、「一定の学習成果をあげる」「スキル獲得」がメインです。内定者研修においてもスキル獲得は重要ですが、実務での応用を重視する入社後と異なり、「信頼関係の構築」にも十分配慮しなければなりません。

内定辞退防止

内定者研修を実施する一番のねらいは、内定辞退の防止です。早い段階で会社や業務について学ぶ場を設けることで入社後の業務イメージを明確にし、自社で働く意識の強化に寄与します。内定者が集まる研修は交流の場も兼ねており、同期となる学生に一緒に参加してもらうことで仲間意識を形成しやすくなります。

内定者の不安軽減

就職白書2022によると、採用計画に対して採用数を充足していない割合は46.4%と、およそ半数が充足していない結果でした。この採用数が計画より少ない理由は、「内定辞退が予定より多かった」が48.4%、「選考辞退が予定より多かった」が25.6%と、2021年卒と比べてそれぞれ10ポイント程度増加しています。

採用数が計画より少ない理由

引用:就職白書2022

このことから、最初の内定取得後も就職活動を続ける割合が多いことがわかります。つまり企業にとっては、内定を出したあと、他社よりも魅力を訴求し内定者の志望度を維持・向上させられるかが勝負どころです。

なお、内定辞退人数が「増える」割合について、Web面接の実施企業は14.8%に対し、Web面接の非実施企業は11.2%と、Web面接の実施企業が3.6ポイント多い結果となっています。

2022年卒採用と比較した2023年卒採用の見通し

引用:就職白書2022

こうした結果から、Web化における「学生の動機づけ」の課題感が窺える結果となったと同調査では分析しています。

こうした調査結果を踏まえ、Webでは伝えにくい「職場雰囲気や組織風土」などの伝達方法を工夫し、内定者研修を通じて企業理解を深めつつ内定者の不安に寄り添うことで、良い印象を持ってもらえる可能性が高まります。YouTubeでの動画公開や、対面の座談会を織り交ぜるなども有効な手段です。

社会人スキルの育成

入社後スムーズに業務に取り組んでもらうためのスキル育成も重要です。社会人として求められるビジネスマナーやコミュニケーション上の礼儀、どの業務でも最低限必要なパソコンスキルなどを身につけてもらうことで内定者の不安を解消しつつ、現場での育成を担う社員が受け入れやすい素地を形成します。

内定者研修の目指すゴールとは

内定者研修を成功に導くには、自社が目指すゴールを設定し、内定者研修を設計することが重要です。ここでは、内定者研修の目指すべき3つのゴールを解説します。

学生から社会人へ切り替えるためのマインドセット

一つ目は、学生から社会人へ切り替えるためのマインドセットです。学生と社会人の違いをしっかりと理解させ、社会人としての自覚をもてるよう、社会人としてのマインドセットを習得してもらいます。より効果を高めるには、外部のプロ講師を招くことも検討してください。自社の理念や価値観をマインドセットすることも有効です。

ビジネスマナーの習得

三つ目は、ビジネスマナーの習得です。内定者が入社前に、社会人としてのマナーや、ビジネス上の基礎を身につけられるようにすることが重要です。特に近年、上司や先輩とのコミュニケーションがうまく取れない新入社員も多いことから、「報告・連絡・相談」のコミュニケーション研修を重視する企業も増えています。内定者が入社後に躓くことなく、社会人のスタートを切れるよう、ビジネスマナー研修を実施しましょう。

コロナ禍での内定者の動向

コロナ禍では、活動制限によって学生の就職活動に大きな制約が課された一方、採用のオンライン化が余儀なくされ、学生の就活スタイルや企業の採用活動に大きな変化を与えました。ここでは、コロナ禍の内定者動向について、調査結果や弊社の実体験を交えて解説します。

コロナ禍における内定者の:傾向と特徴

ここでは、コロナ禍での内定者の特徴や傾向を統計データやユーザーヒアリング結果を踏まえて解説します。

コロナ禍での内定者の傾向

コロナ禍を余儀なくされた内定者の傾向として、企業理解が深まらない状態で内定時期を過ごす学生が多くいます。2022卒の内定フォロー調査によると、就職決定企業との内定までの対面経験は、「一度もなかった」が42.6%と最も多く、次いで「一回のみ」が29.6%、「複数回ある」が27.8%の結果となっています。

就職決定企業との対面経験

内定フォローについても、「すべてオンライン」が44.3%で最も多く、「オンライン中心」が31.1%と大半がオンラインであることがわかります。

内定後のフォロー・課題の形式

こうした企業と内定者における対面での接点の少なさが、企業理解が深まっていない原因のひとつであることが窺えます。

採用コンサルティングを手がけるクイックが実施したユーザーへのヒアリングでは、コロナ禍の活動制限を受けた学生の傾向として、「内定を決めるまでの期間が長いイメージがある」「内定を決める決断に欠ける」「迷っている感がある」という印象が強かったとの声もありました。この背景として、内定を決めてはくれたものの、内定者は本当に内定承諾でよかったのか、漠然に思っている時期が長かったものではないかとの見解を得ています。

一方、企業側でも、内定者に対して、決め手になる要素を与えられていなかったとの声もありました。こうした環境も、内定者の企業理解が深まらない原因のひとつといえるでしょう。
(※参考)株式会社ディスコ:「調査データで⾒る「内定者フォロー」-2022年卒調査-

コロナ禍での内定者の特徴

コロナ禍の就職・採用活動に関する実態調査によると、コロナ禍の活動制限を余儀なくされた学生のうち、44.6%がガクチカ(学生時代に力を入れたこと)づくりに悪影響を及ぼしたと回答しています。

コロナ禍はガクチカに悪影響を及ぼしましたか

内容は、アルバイトが最も多く61.2%、次いでゼミや研究などの学業が39.7%、サークル・部活動が39.3%の結果になっています。しかし、文理別に見ると、理系は、アルバイトが57.6%とトップで、次いでゼミや研究などの学業が51.5%、サークル・部活動が48.5%である一方、文系はアルバイトが62.5%とトップで、次いでサークル・部活動とゼミや研究などの学業がそれぞれ35%程度となっています。

これらの結果から、同調査では、文系より研究活動がある理系学生のほうが、学業の内容を話しやすいことから、ガクチカへの悪影響が少なかったのではないかと分析しています。

ガクチカとして話してた内容は何ですか

なお、2018年12月に調査された「先輩500人が選んだガクチカのエピソードTOP3は?企業にはどう伝えた?」によると、コロナ禍前におけるガクチカTOP3は、「アルバイト」が27.2%、「サークル」が22.0%、「学業」が19.8%となっていました。調査方法に違いがありますが、コロナ禍前後の調査を確認することで、コロナ禍の活動制限が「サークル」活動に大きな影響があったことが窺えます。

こうした調査結果から、コロナ禍の活動制限を余儀なくされた学生をガクチカを軸に見極めることが難しいため、企業は学生に配慮した選考方法を用意しておく必要があると考察しています。

また、クイックの担当者によると、コロナ禍の活動制限によって、ガクチカの二極化傾向が見られています。コロナ禍の活動制限によって、サークルやボランティア、アルバイトなどの活動を積極的におこなえず、学生時代に力を入れたエピソードを作れなかったことで「自分の経験に自信がないまま、面接を受けていた」といった学生が多く見受けられました。

一方で、活動制限下においても「自分で奮い立たせて多くの経験を作った」といった学生も一定数みられました。ただし、ガクチカを作れなかった学生の特徴として、コロナ禍だけでは片づけられない世代の価値観も影響しているとも考えられます。

「頑張っても報われない」「平穏でも良い」という意識が強い世代に対し、学生時代に力を入れたこと以外のポイントで、学生の良さを探ることも重要でしょう。
※参考:株式会社ネオキャリア「コロナ禍の就職・採用活動に関する実態調査「ガクチカ」編

コロナ禍で内定者が不安に感じていること

2022卒の内定フォロー調査によると、内定期間中に不安を感じた学生は90.8%と、大半の学生がなんらかの不安を抱えて過ごしていることが解ります。具体的な不安理由は、「仕事がついていけるのか」が59.9%と最も高く、次いで「入社後、人間関係がスムーズにいくか」が56.6%、「社会人の生活リズムに慣れるのか」が56.3%とこの3つが上位を占めています。本調査では、就活の過程において対面の機会が少なく、入手できる情報が限られていたことが、不安につながった面もあるだろうと考察しています。

内定後から入社までに感じた不安

クイックが実施したユーザーヒアリングでは、内定承諾をしても、「これで本当に良いのか」といった不安から動き続ける学生が多く、内定を1社決めるまでも長い傾向があったとの意見を得ています。また、1社決まれば終了ではなく、より良い企業を探し続けている傾向も見られ、企業側が不安を解消する必要があると窺える調査結果となりました。

※参考:株式会社ディスコ「調査データで⾒る「内定者フォロー」-2022年卒調査-

内定者研修のオンライン動向

採用のオンライン化にともない、内定者研修のオンラインも急速に浸透しています。2022卒の内定フォロー調査によると、入社体企業から受けたオンラインのフォローは、「内定式(オンライン含む)」が70.7%と最も高く、次いで「内定者懇親会」が69.6%、「社員を交えた懇親会(オンライン)」が46.7%と続いています。

入社予定企業から受けたフォロー

内定者研修のオンライン動向は、このように内定式や懇親会のほか、社内施設の見学会、内定者向けサイトの取り組みが進んでいることが解ります。しかし、入社意欲が最も高まった施策は、「内定者懇親会(対面)」が56.7%、「社員を交えた懇親会(対面)」が54.7%と、対面で内定者や社員と触れ合えるフォローが上位ランクしていることに留意が必要です。

※参考:株式会社ディスコ「調査データで⾒る「内定者フォロー」-2022年卒調査-

内定者研修の設計方法

ここまで説明してきた「自社が目指すゴールの設定」や「内定者の動向」を踏まえて、内定者研修における設計の流れを確認しましょう。

新入社員に求めるスキルを明確化する

入社後の育成計画に基づき、部署や職種別に備えるべきスキルを整理しましょう。キャリアステップから逆算して最初の1年で必要なスキルを検討し、そのためには入社時にどのようなスキルや姿勢を身につけていてほしいか洗い出します。

内定者研修で身に付けるスキルを絞り込む

内定者研修では入社後と異なり都合がつかず、参加できない学生がいる可能性があります。また、OJT教育のような実務と密接に結びついた指導をすることは難しいため、課題や目標をいくつも盛り込むことは避けましょう。業務に取り組むうえで優先度が高く、現場の社員が受け入れる時点で習得しておいてほしいスキルを優先するのがおすすめです。

研修の対象者、目的、期間、方法を決める

内定者研修での目標を描けたら、実施に移せるよう具体的な項目を決定します。対象者は、内定者全員の一斉研修にするのか、部署や学歴別に異なるプログラムを設定するのかなど、範囲を明確にしましょう。対象を決定することで適切な目的を定めることができます。

内定者研修の目的に合わせ、適切な期間と方法を検討します。たとえば「企画職に必要な、チームの会話を通じてアイデアを広げ、建設的な結論を出す力をつける」ことを目的とした場合、計3回の研修で自己紹介~グループワーク、発表と振り返りなど、必要なプログラムを設計しましょう。

スケジュールを決めるにあたっては、参加する社員の都合も重要ですが、内定者の出席率が下がらないよう卒業論文の執筆時期などに注意することが大切です。

関係者に周知・実施準備

研修内容が決定したら、内定者や参加する社員に早めに知らせましょう。特に司会進行や内定者のフォローを任せる社員には目的を含めて詳細な内容を共有し、当日のスムーズな実施につなげましょう。

内定者研修設計で注意すべきポイント

それでは内定者研修で失敗やトラブルを発生させないために、注意したい3つのポイントを紹介します。

内定者と企業双方のニーズを把握する

内定者研修では、内定者と企業側のニーズをバランス良く採り入れることが大切です。内定者は「交流を深めたい」「社風や仕事内容を知りたい」というニーズが大きい一方、企業は「ビジネスマナーを身につけてほしい」「できれば即戦力として活躍してほしい」など、学生らしさを脱却し新入社員として恥ずかしくない人材になってほしいという傾向が強くなります。

内定者のニーズに寄りすぎると懇親会のような要素が増えてしまい、企業のニーズに寄りすぎると入社前にもかかわらず業務の一部のような研修になってしまう可能性も。志望度を高めてもらうためにも、学びの提供とニーズに応える落とし所を探りましょう。

賃金支給の対象になるか確認する

内定者研修への参加を義務とする場合、内定者にも賃金が発生します。また、形式上「任意」としていても、研修内容が配属や業務に直結し不参加によって不利益が生じる場合は、参加が義務であると見なされ、賃金を支払う必要があります。不参加でも特に不都合のない懇親会や交流会のような内容であれば、賃金を支払う必要はありません。

過度な即戦力化、参加強制はNG

内定者研修はあくまで入社前に実施するものです。即戦力化を目指すあまり過度な負担のかかる課題を設定したり、欠席を申し出た内定者に研修参加を強制したりしてはいけません。新入社員と違い内定者には労働の義務がないため、研修参加には本人の同意が必要です。

「面白い」内定者研修プログラムとは?

一方的な講義形式で終わらせず、内定者が参加できたり、研修を通じて互いのコミュニケーションが深まったりする内容だと、印象に残りやすくフォローとしてより高い効果を発揮します。内定者にとって「面白い」研修にするには単に勢いで盛り上げるのではなく、興味を持って取り組める内容になっているか、という視点が大切です。

ビジネスゲーム

ビジネスゲームとは、数人のグループを「会社」に見立て、ルールにしたがって生産や販売、投資といった意思決定をこなして勝利を目指すプログラムです。チーム対抗で得点や「業績」を競うため、ゲームとしての楽しさを感じながら、ビジネスの視点や意思決定のコミュニケーションを学べます。

さまざまな立場、職種向けのゲームがあるため、自社の状況に適したゲームを選んで活用することで、手間をかけずに研修を実施でき、時間も比較的柔軟に設定できるのが長所です。

※クイックでは、ビジネスゲームをご検討の企業様に最適なプログラムをご提案しています。内定者研修を含め、幅広い教育シーンでぜひご活用ください。
ビジネスゲーム研修の中身について詳しく知りたい方はこちら→「【インターンにも活用可能】働きたいと思ってもらえる組織・チームビルディング|研修レポート

グループワーク

グループワークも数人のグループを作り、協力してテーマに取り組んでもらうプログラムです。ビジネスゲームと似ていますが、テーマはビジネスゲームより幅広く、競争ではなくディスカッションや進行の協力が重視されます。

選考で実施されることの多いグループディスカッションもグループワークのひとつです。内定者研修では合否を出す必要がない分、振り返りによる内定者へのフィードバックに力を入れましょう。

内定者合宿

内定者研修を、宿泊をともなう「合宿」として実施するパターンもあります。まとまった時間を確保でき、日常生活を離れた環境になるため内定者の一体感を形成しやすいというメリットがあります。研修後の懇親会開催もスムーズに行えます。

ただし、会議室や研修室などを活用する内定者研修より、コストが大幅にかかるのも事実です。実施する場合は採用コストとして適切か、慎重に検討しましょう。

内定者研修で内定者が感じるよくある疑問

内定者は、内定研修時の服装や賃金の有無など、人事担当者に聞きづらく思うことが少なくありません。ここでは、このような不安を解消するため、あらかじめ内定者に伝えておきたい主なことを紹介します。

参加するときの服装

内定者研修時の服装は、基本的に会社が指定しておくことが望まれます。指定しないと、内定者がどうすればよいかわからないため、内定者研修の内容毎に服装を指定したほうが内定者も安心して参加できます。

近年、オンライン研修が一般化していますが、私服でも問題ないとする場合は、あらかじめ私服OKと伝えてください。対面の場合は、スーツ、あるいは自社のドレスコードに合わせるなど、自社に適した服装を周知しましょう。

髪色について

就活がおわると、髪色を派手にする内定者も少なくありません。業界や企業自体の社風で、髪色を派手にすることが容認されていない限りは、内定研修時にも、社会人にふさわしい身だしなみで参加するよう、案内しておくことが無難です。

就活時の印象とかけ離れた髪色の場合、社内関係者において、内定者の心象を悪くしてしまうこともあるでしょう。髪色が派手な内定者の存在が悪影響を及ぼす場合は、人事担当者から注意を促すなど、自社の状況に合わせて、適宜、指導をしましょう。

内定者研修で発生する賃金

内定者研修で賃金が発生するか否かも、内定者における関心事のひとつです。業務上必要な知識をつけるための内定者研修は、下記条件を満たすとき、原則、内定者に最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。

  • 会社の指揮命令で行う
  • 参加が強制されている
  • 場所や時間が拘束されている

自社が行う内定者研修が賃金を支払う対象にあたるかを社労士などに確認し、事前に内定者に周知してください

まとめ

本記事では、内定者研修を成功に導くための内定者研修のゴールを設定する重要性や、近年押さえておくべきコロナ禍での内定者の動向、内定者研修設計で注意すべきポイントを解説しました。内定者研修を成功に導くには、自社が目指すゴールを設定し、内定者研修を設計し、社会人になるためのマインドセットをおこなう研修にすることが重要です。

コロナ禍における活動制限や世代の価値観を考慮することで不安を解消し、企業理解につながる効果的な内定研修を実施しましょう。

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監修/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、大手人材会社でディレクターとして、クリエイティブ企画や経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務などに従事。現在はIT企業勤務の傍ら、マーケティング・人材採用の領域を専門に中小企業支援を行っている。

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