2024卒まで就活ルールは現状維持!?人事が知るべきルールの現状
就活ルールは、2021年卒より経団連に代わり政府が主導していますが、就活ルールはどのようになっているのでしょうか?
ここでは、人事が知るべき就活ルールの現状を解説します。
新卒就活ルールのおさらい
かつては、経団連が「採用選考に関する指針」という名称で、次の就活ルールを定めていました。この就活ルールは経団連による自主ルールで、法的拘束力はありませんでした。2021年卒以降は政府が就活ルールを主導していますが、就活ルールが形骸化していることなどに鑑み、罰則を設けていません。
- 公平・公正な採用の徹底
- 正常な学校教育と学習環境の確保
- 採用選考活動開始時期
- 採用内定日の遵守
- 多様な採用選考機会の提供
このルールにおいて、「広報活動」は 卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降、「選考活動」は卒業・修了年度の6月1日以降、「内定出し」は卒業・修了年度の10月1日以降と決めているのです。現在は政府が主導していますが、2024年卒まで採用活動日程に関するルールは、この就活ルールが現状維持されます。
知っておきたい就活ルールの変遷
経団連による就活ルール「採用選考に関する指針」は、就活ルールの形骸化などを理由に2020年卒をもって廃止されました。代わりに2021年卒以降、政府がルール作りを主導しています。
かつて、経団連が「採用選考に関する指針」を制定するまえに、就職協定や倫理憲章など、さまざまなルールが制定されてきましたが、その変遷は次のとおりです。
- 文部科学省による「就職協定」の策定(1953年)
※その後、協定の主体は、「大学側」「企業側」「経営者団体側」と時代とともに変遷 - 経団連による「就職協定」の廃止(1997年卒にて)
- 経団連を中心に「倫理憲章」を策定(1998年卒より)
- 経団連にて「採用選考に関する指針」に名称変更(2016年卒より)
- 経団連にて「採用選考に関する指針」の廃止(2020年卒にて)
- 政府が就活ルールを主導(2021年卒より)
政府主導も就活ルールは2024卒まで現状維持!?
経団連は2020年卒をもって「採用選考に関する指針」を廃止し、2021年卒以降、政府が就活ルールを主導しています。政府は、2021年卒から2023卒まで、経団連の就活ルールを踏襲するとしていました。しかし、2021年11月29日、「就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議」にて、引き続き、2024年卒も採用活動日程については、就活ルールを現状維持することを決定しています。
ただし、就活ルールの遵守を前提に、柔軟な日程設定や通年採用などによって募集機会を提供していくことを必要に応じて要請していくとしています。
(※参考)内閣官房:「2023年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方 ポイント」
押さえておくべき2023年卒・2024年卒の就活日程 | 【企業規模別・就活ルール遵守度合い別】新卒採用スケジュール例
ここまで説明してきたように、政府が主導した就活ルールは2024年まで維持する予定です。ここでは、2024年卒まで維持する予定の就活日程と、各企業の状況に応じた新卒採用スケジュール例を解説します。
2024年卒まで維持する予定の就活ルール(就活日程)
2024年卒まで予定している就活日程は、次のとおりです。
- 広報活動:卒業・修了年度に入る直前の3月1日以降
- 選考活動:卒業・修了年度の6月1日以降
- 内定出し:卒業・修了年度の10月1日以降
このルールは、経団連が定めた就活ルールを政府が踏襲しているものです。元々は、就活が学業に悪影響を与えないように定められた自主的ルールで、法的拘束力はありません。
そのため、水面下では就活ルールに定める就活日程を守らない企業も多く、就活ルールは形骸化していました。特に、多くの企業がインターンシップで実質的な選考をしていることが実態です。
なお、2022年6月13日、政府はこの形骸化した就活ルールを見直すべく、2024年卒以降、一定の条件下で、採用直結型インターンシップを認めることを決定しています。
「【人事必見】インターンシップで何をさせる?内容や事例、1day企画も解説」の記事では、採用直結型インターンシップについて、実施条件など詳しく説明していますので、ご参考にしてください。
就活ルールを遵守する採用スケジュール例
就活ルールを遵守する企業の2024年卒までの採用スケジュールは、2023年3月1日に採用広報が解禁され、2023年6月1日から、採用のための選考が始まります。
【就活ルール遵守企業の採用スケジュール例】
多くの企業は、例年採用解禁前年の6月頃からインターンシップを開催し、学生たちに対して最初の接触をおこないます。
インターンシップとは、学生の就業体験のための機会のこと。従来の就活ルールでは、学業がおろそかにならないよう、採用直結型インターンシップは禁止されていました。しかし水面下では、早期囲い込みのため、採用直結型インターンシップを実施する企業も多くあるのが実態です。
1day仕事体験(旧1dayインターンシップ)は、開催しやすい一方、他社と学生の奪い合いになるリスクがあります。そのため、短時間で学生を惹きつけるためのインターンシップ・コンテンツの工夫が求められています。なお、2024年卒より政府は、5日以上の開催など一定条件の下で採用直結型インターンシップを認めると決定しています。
採用直結型インターンシップや1day仕事体験について詳しく知りたい方は、「【人事必見】インターンシップで何をさせる?内容や事例、1day企画も解説」の記事をご参考にしてください。
なお、インターンシップと並行して、ホームページや冊子による不特定多数に向けた採用広報はおこなうことができます。
3月1日から採用広報が解禁され、採用サイトに登録した学生への働きかけや、会社説明会の開催が可能となります。3月の広報活動解禁から6月の選考開始までの3ヵ月間が、自社の魅力をアピールし、学生の自社に対する興味・関心を「エントリー」するレベルまで引き上げるチャンスです。なお、この期間に、選考の前段階としてグループワークや先輩社員との面談をおこなう企業も多く存在します。
6月1日にはいよいよ本格的な選考がスタート。有望な学生に対して内定を出し始めることになります。しかし、就活生は自分が納得できる企業から内定をもらえるまで就職活動を継続することがほとんど。継続する理由は、内定をもらった企業が第一志望ではないパターンと、内定先への就職を前向きに考えながらも、本当にその企業でいいのか見極めるために、同業他社の選考を受けて比較検討しようとするパターンに分かれます。そのため、8~9月頃までは内定辞退者が出ることを見越して、引き続き選考をおこなう必要があるでしょう。
10月を迎える頃には、就活ルール遵守企業の選考は終了し、内定式をおこなうことが一般的です。ただし、夏の間留学していた学生やスポーツに打ち込んでいた学生のなかから優秀な人材を追加で確保するために「二次募集」をおこなう企業も存在します。
就活ルール準拠の大企業採用スケジュール例
次に、就活ルールを一部遵守しない(以下、本記事では「就活ルール準拠」と表現します)大企業の新卒採用スケジュール例を見てみましょう。
2021年卒以降、政府が就活ルールを主導していますが、罰則や企業名公表措置はありません。しかし、就活生が動き出すタイミングにある程度合わせて採用活動をおこなったほうが、選考する際に人数の分母が広がり効率的となります。そのため、就活ルール遵守企業のスケジュールに近しい採用スケジュールを組むのが一般的です。
【就活ルール準拠企業の採用スケジュール例】
ただし、選考活動や内定出しについては、就活ルール遵守企業よりも早めにおこなうケースがほとんどです。就活ルール準拠企業の選考活動は、就活ルール遵守企業の広報活動解禁に先駆けて2月にはおこなわれ、4月には内定を出す企業も。
これは、就活ルール遵守企業と選考時期が重なることで、自社の選考を辞退されたり、他の企業へと就活生が流れたりすることを防ぐためです。就活ルールを準拠しつつも、学業に影響を与えない範囲でスケジュールを組み、就活ルールの動向に留意する必要があるでしょう。
就活ルール準拠の中小企業採用スケジュール例
就活ルールは旧来、経団連の自主ルールであったことから、中小企業の大半は就活ルールを遵守していないことが一般的です。なお、中小企業は大企業と違い認知度が低いため、中小企業は大企業以上に戦略的に採用スケジュールを立てる必要があります。
意識すべきポイントは、3~5月以外に説明会や選考のピークを持ってくること。その理由は、大手企業の会社説明会がその時期に集中するからです。多くの学生は大手企業をまず志望するため、大手の広報・採用活動のピークである3~5月の説明会には、人数が集まらない可能性が高いです。そのため、12~4月もしくは、6~10月に短期決戦で広報から内定出しまでをおこなうのが、ポピュラーな戦略となっています。
【就活ルール準拠の中小企業採用スケジュール例】
採用活動を前倒ししてスケジュールを立てれば、早い段階で有望な学生を確保できる可能性が高まります。前年から採用広報を開始し、就活ルールの広報解禁となる3月1日までに内々定を出せば、学生が大手企業に集中する3~5月が避けられます。ただし、多くの場合何人かの内定辞退が発生するため、辞退をなるべく減らすための働きかけと、辞退に備えた採用数の確保は不可欠です。
5月までに十分な採用数が確保できなかった場合は、6月の頭から再度採用をおこなう方法もあります。5月末頃には、面接へと進めなかったり、就活ルール遵守企業の内定がもらえなかった学生が出始めるため、この時期も中小企業が学生を獲得するチャンスだといわれています。それらの時期に予算を集中し、短期決戦で会社説明会・選考・内定出しをおこなえば、大手の影響を避け、戦略的に採用を進めることができるでしょう。
外資系・ベンチャー・マスコミは採用スケジュールが早い?
最後に、外資系企業・ベンチャー企業・マスコミの採用スケジュールを見てみましょう。
これらの企業は、かなり早い段階から採用・選考活動をおこないます。就活ルール遵守企業が選考を開始する頃には、全ての選考活動と内定出しを終了している場合がほとんどです。ただし、優秀な学生確保のため二次募集をおこなう企業はこちらも少なくありません。
【外資系・ベンチャー・マスコミの採用スケジュール例】
これらの企業が採用を前倒しでおこなう背景には、日系の大手企業よりも先に優秀な学生を確保したいという意図や業界特有の事情があります。マスコミの場合は、大手の採用が終了してから地方が採用するという流れがあり、地方の採用を円滑におこなうために、大手の採用をかなり早い段階から始めるといわれています。
これらの企業は就活ルール遵守企業と異なり、インターンシップやセミナーを採用に直結する事実上の選考活動としておこなっていることが多く、卒業の前年度に内定を出すこともあります。
今後の新卒採用スケジュールのあり方 | 就活ルールに関する考え方・ポイント
就活ルールを遵守するにしても、全て遵守できずに準拠となった場合でも、政府の示す就活ルールの考え方を知っておく必要があります。
ここでは、就職・採用活動日程に関する関係省庁連絡会議で決定された「2023年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方 ポイント」を参考に解説します。
一番のポイントは、学生が学修時間を確保しながら、安心して就職活動に取り組めること。就活ルールで定める採用活動日程に対して、著しく早いスケジュールを組んでしまうと、十分な学修時間の確保ができません。そのため、採用活動日程が定められているのです。
また政府は、就活ルールの遵守を前提に、「柔軟な日程設定や秋採用・通年採用などによるいっそうの募集機会を提供することを必要に応じて要請する」としています。これらから、秋採用や通年採用も念頭においた採用スケジュールを検討することが今後求められていくでしょう。
(※参考)内閣官房:「2023年度卒業・修了予定者の就職・採用活動日程に関する考え方 ポイント」
新卒採用スケジュール策定の4ステップ
これまで新卒生を採用したことがない、または採用経験が少ないため、どのように準備を進めればよいのかわからないという企業においては、
「採用担当がジョブローテーションによって1~2年ほどで異動になるため、採用ノウハウが社内に蓄積されていない」
「他の業務と採用を兼務しているため、そもそも採用の予備知識がない」
などの社内体制が影響している場合もあります。
そこで、新卒採用のスケジュールを組むために必要な準備について、4つのステップに分けて解説していきたいと思います。
【1】採用したい人物像を決める
採用スケジュールを組むにあたって初めにおこなうのが、採用したい人物像を決めるということです。どのような人物を採用することが自社にとって最適なのかを考え、以下のように言語化していきましょう。
(例)
- 人と協力してタスクを進められる
- 自分の考えを論理的に話すことができる
- 明るい受け答えができる……
言語化した人物像はペルソナを立てるなど、より具体的に掘り下げてイメージを膨らませていきましょう。この際、具体化を「徹底する」ことが重要です。それは、自分では明確に基準を設定したと思っていても、掘り下げが足りないということが多いからです。
たとえば採用したい人物像として「コミュニケーション力のある人」が人気ですが、実はこれでは人物像が明確になっていないのと変わりません。ここをスタートとして、「求めるコミュニケーション力は何なのか」より具体的に洗い出すのが真の具体化です。コミュニケーション力と一口にいっても、たとえば以下のような複数のタイプに分けられます。
- お客様と打ち解けて仲良くなれる
- 社内スタッフ同士で滞りなく意思疎通ができる
- 気を利かせた接客をおこなうことができる
- 論理的思考が得意で、意見がしっかり言える
そうしてできあがったイメージは、採用チーム内でしっかり共有することが目当ての学生を獲得するためには不可欠です。
人材要件が明確になっていない場合、本来受かるはずの学生を一次面接で落としてしまう、一次・二次面接で人事と現場責任者がOKを出した学生を部長や社長が最終面接で不合格にしてしまう、といった事態が起こりがちです。このような機会の損失を回避するためにも、人材要件のすり合わせは重要です。
ペルソナや人材要件については、当サイトの別記事で詳しく解説しています。
求める人材像を設定できていない採用担当者の方はぜひ参考にしてください。
人材要件の定義や作り方、条件の優先順位付け・ペルソナ設定のコツ
採用活動におけるペルソナの作り方 メリットや具体例を紹介
【2】採用の戦略を練る
採用したい人物像のイメージが固まったら、実際に採用するためにはどうしたらいいかの戦略を立てていきます。学生に「御社に入社したい」と思わせるまでのストーリーを、インターンシップから選考、内定後のフォローまで採用の全ステップを踏まえて考えてください。
ここで大切なのが、採用競合と比較した自社の魅力とは何かをよく考えることです。就活生の目線で自社を俯瞰して、どのポイントが他社に優っているのかを分析してください。たとえば以下のようなポイントに注目してみるとよいでしょう。
- 知名度
- 企業規模
- 商品・サービスの独自性
- 関われる業務の範囲
- 社風
- 福利厚生
- 社内制度
- 影響力の大きい市場
自社の魅力を把握したら、求める学生に訴求するポイントを絞り込みます。これは採用キャッチコピー、就活生に対するメッセージ、採用サイトに盛り込むコンテンツなどを考える際の指標になります。
このとき、上記のような要素を「掛け算」で考えるとユニークな採用メッセージを作ることができます。突出した魅力がなく、平均的な要素ばかりという場合でも、それらを2つ以上組み合わせて考えることで自社らしさを見つけやすくなります。
ひとつの魅力が抜きんでるのは一部の大手企業に限られますし、採用競合も大手となるため、結局はどの企業も魅力の掛け算で勝負する必要が生じます。自社の強みを押さえた打ち出し方ができるかどうかで、採用コンテンツを学生がどう受け取るかも大きく変わってしまいます。自社の分析は徹底的におこないましょう。
採用戦略については以下の記事で詳しく解説しています。採用戦略を策定していない場合、現在の採用状況に満足していない場合はぜひ参考にしてください。
採用を成功に導く「採用戦略」のポイントとは
【3】採用スケジュールの作成
採用の戦略が決まったら、いよいよ採用スケジュールの作成です。大切なのは実際におこなうアクションにしっかりと日付を入れてスケジュールを組むということです。まずは、採用(広報活動)開始・選考活動開始・内定出しの3つの時期を決めましょう。
就活ルール遵守企業や就活ルール準拠企業、大手企業、中小企業など、自社がどのような企業かによってスケジュールの組み方は変わってきます。「押さえておくべき2023年卒・2024年卒の就活日程 | 【企業規模別・就活ルール遵守度合い別】新卒採用スケジュール例」の章を参考に、自社の規模や業界にあった採用スケジュールを決めましょう。
ただし、こちらのスケジュールはあくまでスタンダードな例のため、自社の業界や地域性、【2】で紹介した採用戦略、求める学生のタイプを踏まえて、求人広告の掲載や会社説明会のタイミングを見極める必要があります。
この際、「どのような学生を求めるか」から考えると足掛かりにしやすいです。たとえば、理系・文系を問わず優秀な学生を採用したい場合は、企業規模問わず早期に動き始める必要があるでしょう。大手企業に受からなかった学生を狙うのであれば、6月以降が採用活動のメインとなります。
採用・選考活動・内定の時期が決まったら、それぞれから逆算し、より細かいアクションについても計画していきます。考えるべきステップとしては以下のような項目があります。
- インターンシップ
- 広報活動(求人情報掲載・求人サイト制作・求人資料の作成)
- 会社説明会(資料作成・会場の手配・合同説明会への参加)
- 選考・面接
- 内定連絡
このように採用までにすることは多く、準備には時間がかかります。インターンシップ実施のための準備や求人広告作成には少なくとも1ヵ月以上の時間が必要になりますし、それぞれの施策は同時並行的に進めることが不可欠です。そのため、施策を打つべき時期を逃さないよう、事前に細かくスケジュールを設定する必要があります。
【4】内定者へのフォロー体制をつくる
新卒生の採用において大切な要素のひとつが、内定者へのフォロー体制をしっかりつくっておくことです。これは、内定辞退を防ぐために必要で、本来であれば事前に整えておくことがベストです。
具体的には、以下のような場・制度を用意して内定者と定期的にコミュニケーションが取れる体制をつくりましょう。
- 内定者研修
- 採用担当者との面談
- 先輩社員との懇親会
- 社内メンター制度
大切なのは、つながりが失われないように定期的に連絡を取ることです。内定者が入社までに感じる不安を解消し、問題があればいつでも頼れる状況を用意してあげましょう 。
また、企業によっては内定後から学業の妨げにならない程度に、アルバイトとして少しずつ働き始めてもらうところもあるようです。早期戦力化と学生フォローが同時にできる一石二鳥の施策といえるでしょう。
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学生の動きから見る採用スケジュールの組み方のコツ
新卒採用のスケジュールを立てるためには、就活生の動向について把握しておかなければなりません。ここでは、大手企業を志望する就活生を例に、その動向に合わせた採用スケジュールの組み方のコツについて解説していきます。
前年の5月には準備を終えておくこと
大手企業を志望する学生の場合、卒業前年の6月頃からインターンシップへの申し込みが始まります。そのため、その前月である5月には採用に必要な準備を全て終えておくことが理想といえます。
ただし、新卒採用に時間と人員をかけられず、前年5月までに準備を完了させるのは難しいことも。その場合は、広報活動が解禁される3月頃までに、インターンシップやホームページなどでの広報と並行して準備を進めることになります。夏インターンが終わったタイミングで採用の忙しさはいったん落ち着くため、そこから準備を進められるように計画するとよいでしょう。
卒業前年度の6月頃からインターンでの接触が始まる
卒業前年度の6月頃には、各企業で本格的なインターンシップへの参加が始まり、企業と学生の接触が始まります。インターンシップでは、学生を囲い込むことは禁止されていますが、就業体験の内容や与えられる情報などは、実際のところ学生の志望度を大きく左右します。
そのため、いかに魅力的で充実した就業体験にするのか、しっかり企画することが重要です。インターンシップの内容をつくり込むことはもちろん、インターン生が入ってくる前には社内で周知をおこない、よい印象が与えられるよう全社を上げて協力体制をつくるとよいでしょう。
ここ数年はインターンシップの重要性が高まりつつあり、インターンシップに参加する学生も増えています。リクルートキャリアの「就職白書2022」によると、2022年卒の学生の81.2%がなんらかのインターンシップに参加しています。また、「働くこと自体のイメージを具体的に持つことができた」と回答する学生は64.8%おり、学生の意識付けに、1日以下のプログラムにも一定の効果があることがわかる結果となっています。インターンシップはもはや広報の主戦場といっても過言ではありません。万全の準備で臨みましょう。
インターンシップについては以下の記事で詳しく解説しています。インターンの形式やプログラム内容をどう決めてよいかわからない方や、インターンシップに参加した学生が応募につながらない場合には、ぜひ参考にしてください。
【人事必見】インターンシップで何をさせる?内容や事例、1day企画も解説
広報活動は3月頭がピーク
3月のナビサイトオープン時には、多くの学生が一気に動き出すことになります。その後は説明会ラッシュとなるため、それまでにいかに自社の採用に興味を持ってもらえるかが、母集団形成のカギです。それまでに打てる広報活動を時系列順に並べると、以下のようになります。
- 夏インターン前の合同イベント(5~6月)
- 夏のインターン(7~9月)
- 冬インターン前の合同イベント(9~11月)
- 冬のインターン(11~1月)
- 就活スタート直前の合同イベント(1~2月)
夏と冬に開催されるインターンシップやインターン関連・就活スタート目前の合同イベントへの参加が、就活スタートまでにおこなわれる広報のメインの場となります。
理想の採用活動時期は就活ルール遵守・準拠でほぼ変わらない
理想の採用活動時期は、就活ルール遵守・準拠でほぼ変わりません。インターンシップから広報を始めるとすると、就活ルール遵守企業も準拠企業も3年生の夏には実質的な広報活動を開始し、選考活動もできる限りほかの企業に出遅れないよう進めていく必要があります。
就活ルール遵守企業は協定に縛られているため、内定出しは6月以降になりますが、動き出しの時期自体には、大きな違いはありません。
体育会学生には部活引退後に積極的に接触を
大学で体育会に所属している学生は、どのタイミングで就職活動を開始しているのでしょうか。
競技や所属リーグによって違いはありますが、大抵の場合大学3年生時の冬頃に引退を迎えるケースが多く、それから就職活動を開始する学生が多くなります。一方、有望な体育会学生の場合、大会への参加を優先し企業の選考を辞退するケースもあるようです。
そのため、体育会学生を確保するためには、年明け以降にインターンシップを開催する、就活解禁前の就活合同イベントなどに参加するなどして、接点を積極的に持つ必要があるでしょう。また、社員数が多い企業では、部活のつながりなどを利用して有望な学生を直接勧誘する場合もあります。
公務員試験落ち学生には働きやすさをアピール
公務員試験の結果は、毎年卒業年度の夏から秋にわかります。そして、公務員試験に合格できなかった学生は、そこから秋冬採用に向けて就職活動をおこなう可能性があります。そのため、企業側にはわずかながら試験に落ちたものの自社には適した有望な人材を採用するチャンスがあります。
秋冬採用では、求人数が減少しているので就活生は希望の業種ではなく、働きやすさを軸に企業を探す傾向にあります。そのため、この時期の採用では、ワークライフバランスや福利厚生を重視した自社アピールをおこなうとよいでしょう。
大手企業が意識すべきポイント
大手企業が採用スケジュールを立てる場合に意識すべき点は、就活解禁前の準備期間を大切にするということです。
というのも、就活ルール遵守企業の場合、3月の広報活動開始から6月の選考開始まで、たったの3ヵ月しかありません。準拠企業は開始時期が微妙に異なりますが、期間的には大差ないのが現状です。
そのため、それまでの間に工夫を凝らして自社の魅力をアピールし、質の高い母集団を形成することが採用数の多い大手企業の場合は重要になります。採用したい人物像の策定や採用戦略の構築をおろそかにせず、どのような学生が欲しいのか、自社の魅力はどこにあるのかを一貫したメッセージとして発信することを心がけましょう。
中小企業が意識すべきポイント
中小企業が意識すべき点は、大手企業のスケジュールを把握したうえで戦略的に採用スケジュールを組むということです。
ベンチャー企業や中小企業を志望する学生は、動き始めも早いです。それらの学生と接触するために、積極的に前年度からインターンシップや合同説明会への参加をおこないましょう。なかには就活のアドバイスを無料でおこなうことで学生と接触する企業もあります。
また6月以降も、就職活動を継続する学生を狙って採用計画を組むのも戦略のひとつです。大手の採用が落ち着いたらすぐに動き出せるよう、あらかじめ詳細な計画を立てておきましょう。
まとめ
新卒採用のスケジュールの組み方について解説してきました。就活ルール遵守企業・準拠企業、中小企業を問わず、3年生の5月までを目標に採用の準備をしっかりと進めておくことが重要になります 。また、政府の就活ルールは、企業全体の採用スケジュールに直結するため、必ずチェックしておくことが肝心です。企業の規模や業態に寄らず、自社に合った学生を採用できるよう、この記事を参考に戦略的にスケジュールを練り上げましょう。
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