ミスマッチとは?
ミスマッチ(mismatch)は、「不釣り合いなこと」「釣り合わないもの同士を組み合わせること」を意味する言葉です。スポーツの場面や日常会話、ビジネス会話など幅広く使われています。ここでは、人事領域で使われるミスマッチの意味や発生する具体的なシーンを紹介します。
企業と求職者の間でズレが生じている状態
人事領域におけるミスマッチとは、企業と求職者の間で雇用条件や企業風土、仕事内容、人間関係などのニーズにギャップが生じている状態です。
厚生労働省の「平成30年若年者雇用実態調査の概況」で、「初めて勤務した会社をやめた主な理由」として、人間関係や労働時間・休日・休暇の条件、賃金の条件などがよくなかったと挙げられていることから、実際にミスマッチが発生していると分かります。
人事領域で起きる2つのミスマッチ
人事領域におけるミスマッチには「そもそも採用に至らないケース」と「入社後に早期離職を招くケース」の2つがあります。
採用に至らない主な要因は、企業と求職者の希望する条件が折り合わないミスマッチです。採用に至らないケースの代表例としては以下2つが挙げられます。
・応募はあるものの、企業側の求めるスキルや経験のある求職者がいない
・企業側が提示する勤務地や給与などの条件と求職者の希望が折り合わず、内定辞退される
採用に至らない状態が続くと人手不足につながる可能性があります。人手不足によって社員一人ひとりにかかる負担が増加すると、健康障害や離職などのリスクも高まります。
早期離職を招くケースは、新入社員が入社してから「思っていた仕事内容と違う」「人間関係が良くない」と感じて起きます。早期離職が発生すると、採用や教育にかかったコストの損失につながる上に、人材補充のために新たなコストが発生します。
ミスマッチが起きる3つの原因
ミスマッチが起きる原因は主に3つあります。ここでは、以下に挙げる3つの原因の背景について解説します。
・求人の条件が合っていない
・相互理解が不足している
・入社後のフォロー体制が整っていない
求人の条件が合っていない
求人の条件がそもそも合っていないミスマッチは、採用に至らないケースに該当します。例えば、企業が求める条件が厳しすぎたり、求めるスキルに対して給与が低すぎたりすると求職者からの応募は期待できません。市場の動向を見て適正な条件を提示できるよう心がけてください。
相互理解が不足している
選考段階で相互に情報共有が不足していると、入社後にミスマッチが発生する可能性が高まります。
企業側はネガティブな情報も開示するようになりつつあるものの、求職者側は短時間で自分をアピールするために良い情報を伝えがちです。この場合、入社後に面接時の人柄と異なる印象を受けたり、思っていた活躍をしてくれなかったりといった事態になりかねません。
また、企業側が意図せずに実態と異なる情報を伝えてしまい、新入社員が入社後に業務内容や人間関係などに違和感を覚え早期離職につながるケースもあります。選考段階で相互理解を深められるよう、お互いの疑問点の解消につながる時間を作ることが必要です。
入社後のフォロー体制が整っていない
新入社員は、入社後のフォローが不十分だと「業務内容が自分に合っていない」「人間関係をうまく構築できてない」などの悩みを生じやすくなります。研修の整備や先輩社員と気軽に交流できる機会をつくるなど、新入社員の不安を解消できるフォロー体制が必要です。
ミスマッチを防ぐ効果が期待できる取り組み
ミスマッチを防ぐためには、求人の条件の見直しや相互理解を深める場を作る必要があります。ここでは、ミスマッチを防ぐ効果が期待できる具体的な取り組みについて紹介します。
採用ペルソナの設計
採用ペルソナの設計は自社に必要な人材の条件を明確にできるため、求人条件のミスマッチの防止に役立ちます。採用ペルソナとは、採用したい人物の年齢や性別、経験、スキルなどの情報を具体化したものです。具体化した情報を採用市場に合わせて求人を作成すると、自社にマッチした人材からの応募を促す効果が期待できます。採用ペルソナについて詳しくは「採用活動におけるペルソナの作り方 メリットや具体例を紹介」で解説していますのでご覧ください。
面談の実施
面談は、面接で引き出せなかった求職者の一面を見たり、求職者からの質問に時間をかけて答えたりできるため、相互理解不足によるミスマッチ防止に役立ちます。面談は採用選考の合否に直接関係しない情報交換の場で、レストランやカフェなどでリラックスした雰囲気で行います。求職者は、合否を気にして聞きづらい内容を質問でき、企業理解を深められます。面談と面接の違いや、面談を実施するときのポイントについては「面談と面接の違いとは?効果的な面談を行うテクニックを解説」をご覧ください。
入社前インターンの実施
入社前インターンは、内定者の業務内容理解や社内関係の構築に役立ち、早期離職を招くミスマッチの防止に効果的です。企業側が情報開示しても、言葉だけで伝えるには限界があります。入社前に実際の業務を体験してもらうと、内定者が自社で働くイメージを持ちやすくなります。また、企業側としては内定者と既存社員の相性や業務への適性を確認できる場にもなります。
オンボーディングの実施
新入社員を中長期的にサポートする取り組みであるオンボーディングは、新入社員の不安や悩みの解消に役立ち、早期離職を招くミスマッチの防止につながります。オンボーディングでは、新入社員や異動してきたメンバーがチームにいち早く慣れて業務に注力できるように、ランチ会やOJTなどさまざまな取り組みを実施します。オンボーディング実施の流れや事例については「オンボーディングの意味は?メリット、企業での事例を紹介」をご覧ください。
まとめ
人事領域におけるミスマッチとは、企業と求職者の間で雇用条件や企業風土、仕事内容、人間関係などのニーズにギャップが生じている状態です。ミスマッチになる原因を理解した上で、適切な対処法を講じて、ミスマッチの防止に取り組むようにしてください。
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