面接と面談の違いとは
面接と面談の違いは、面接が「採用選考の活動の一部」であるのに対して、面談は合否に直接関係しない「情報交換のための話し合いの場」である点です。面接と面談のそれぞれの定義や目的について解説します。
面接の定義と目的
面接は、応募書類からは判断できない求職者の人柄やコミュニケーション能力を知るために実施します。主導権が企業側にあり、求職者の発言の自由度が制限されやすいのが特徴です。
企業が面接を実施する目的には以下の3つがあります。ここでは具体的な理由について解説します。
・求職者の適性を知る(スキル・人柄)
・求職者の志望度を高める
・ミスマッチを防ぐ
求職者の適性を知る(スキル・人柄)
求職者が自社で働く適性があるかを知るために面接を実施します。ここで言う適性とは、自社で業務をこなすスキルを持っているか、社風に合った人柄かなどです。
新卒採用であれば、求職者の仕事に対する価値観や熱意、ストレス耐性、コミュニケーション能力などを重点的に確認します。中途採用であれば、これらに加えて前職・現職の企業で培ったスキルや知識について聞き出し、自社で活躍できる能力があるかを見極めます。
ただし、数十分の面接だけで求職者の本音を引き出すのは難しく、普段の思考や行動と面接での姿にギャップが生まれかねません。求職者の緊張をほぐし、行動や心境に焦点を当てて話を深掘りすると、本音を引き出しやすくなります。
求職者の志望度を高める
面接には、求職者の志望度を高める目的もあります。自社で獲得したいと思う人材は、競合他社にも魅力を感じ、選考を受けていると考えるべきです。最終的に自社を選んでもらうためにも、面接を通して自社の魅力を伝えたり、求職者の不安を解消したりして、志望度を高める必要があります。
リクルートマネジメントソリューションズの「大学生の就職活動調査2020」によれば、求職者の志望度が上がった出来事として「面接官が大きくリアクションをしてくれて安心して話せた」「面接が始まるときに緊張をほぐす声がけをしてくれた」「オンライン面接中にカメラを通して社内の雰囲気を見せてくれた」などが挙げられています。一方で、志望度が下がった理由として面接官の対応の悪さが挙げられています。企業側は、面接が求職者の志望度を左右すると理解した上で、魅力の発信や不安解消など自社を選んでもらうための対応が必要です。
ミスマッチを防ぐ
面接の目的は、入社後の業務内容や社内の雰囲気などを伝え、入社後のミスマッチを防ぐことです。入社後のミスマッチによる早期離職が起こると、採用にかかったコストの損失につながります。入社後のミスマッチが起きる原因として、面接時に伝えている情報量が少ない、求職者の情報を引き出せていないなどが挙げられます。ミスマッチを防ぐため、企業の良い側面と悪い側面の両方を正直に伝えるようにし、書類の内容を深掘りして求職者の情報をできるだけ多く聞き出します。
面談の定義と目的
採用活動における面談は、求職者の応募を促したり、内定者の入社意思を固めたりすることを目的とした話し合いの場です。選考の合否には直接関係なく、求職者と対等な立場で話すのが特徴です。優秀な人材との接点を作るために、面談を積極的に実施する企業もあります。ここでは、面談を実施する以下3つの目的について解説します。
・相互理解を深める
・求職者の自然な姿が見られる
・自社の魅力をアピールできる
相互理解を深める
面談には、求職者と企業側の相互理解を深める目的もあります。面接と違って面談では合否が関わらないため、求職者とフランクに会話しながら、相互に質問して疑問点を解消できます。求職者の入社後のイメージを膨らませられるためミスマッチ防止も期待できます。面談担当者は応募や内定受諾につながる情報発信を心がけてください。
求職者の自然な姿が見られる
求職者の自然な姿を見る目的で、フランクに話しやすい面談を実施します。面接では、求職者が話す内容を考えてきているケースがあり、普段の姿とギャップがある可能性があります。面談では合否が関わらないと事前に伝えることで、求職者がリラックスして話せる雰囲気を作れます。求職者の自然な姿を見て、自社にマッチした志向性や価値観を持っているか見極めやすくなります。
また、求職者から引き出した悩みや疑問を他の求職者が抱いている場合もあります。引き出した情報を活用して、説明会で話す内容や自社の採用サイトに掲載する情報を求職者に寄り添ったものに変えることで、次年度以降の採用活動の改善につながります。
自社の魅力をアピールできる
面談の目的は、求職者に合った自社の魅力をアピールすることです。説明会や自社の採用ページで発信する魅力は大勢に向けた内容であり、求職者によっては魅力と感じない可能性があります。面談では、自社に求職者の経験やスキルが生かせる場があると具体的に説明したり、モデルとなる社員を交えて話したりできるため、自社により魅力を感じてもらいやすくなります。
【目的別】面談の3つの種類
面談は、目的ごとにいくつかの種類があり、1対1だけでなく複数人で行われる場合もあります。ここでは以下3つの種類の面談について解説します。
【1】カジュアル面談
【2】リクルーター面談
【3】内定者面談
【1】カジュアル面談
カジュアル面談は、応募促進や転職意思の固まっていない優秀な人材と接点を持つための取り組みとして、採用選考開始前に実施します。選考ではないため求職者の参加ハードルが低く、就職や転職意思が固まっていない潜在層にも参加してもらいやすいのがメリットです。
【2】リクルーター面談
リクルーター面談は、新卒採用時に用いられる手法です。主にリクルーターの出身大学の後輩に接触し採用につなげるために行われます。自社を知らない学生に認知してもらう、自社を知っている学生にはより深く理解してもらうために、大学やカフェなどの社外でリラックスした雰囲気で行われるのが一般的です。リクルーター面談についてより詳しく知りたい方は「リクルーターとは?リクルーター面談の役割や実施時のポイントを解説」をご覧ください。
【3】内定者面談
内定者面談は、内定者の入社意思を固めたり、不安を解消したりするための取り組みです。売り手市場では、求職者は内定を複数社から出される傾向があり、内定を出しても自社に入社してもらえないケースがあります。内定者面談を通して、入社後の流れや具体的な業務内容、期待していることなどを伝えると、内定者が「この企業で働きたい」という気持ちを高める効果が期待できます。
面談実施の基本の4ステップ
面談は、以下の4つのステップで進めると求職者の自然な姿を引き出しやすくなります。ここでは、応募を促すためカジュアル面談やリクルーター面談について、ステップごとの実施概要と成功させるためのポイントについて解説します。
【ステップ1】アイスブレイク・挨拶
面談が始まったら、アイスブレイクと挨拶をします。アイスブレイクや挨拶は、本題に入る前のちょっとした雑談です。場の空気を和らげ、打ち解けるきっかけとなります。その日のニュースや天気など、誰もが話しやすい話題がおすすめです。ただし、こちらの話が長かったり、表情が硬かったりすると相手の緊張を解けません。なるべく、笑顔で、相手に話しかけるのがコツです。
【ステップ2】自己・自社紹介
お互いに自己紹介をし、担当者は自己紹介に加えて、自社の紹介や面談の目的を求職者に説明します。求職者の自社についての理解度が低い場合、スムーズに進めるためにパンフレットや資料などを見せながら話すことがおすすめです。また、相手が自社のどこに興味を持ったか、なぜ面談に応じてくれたのかを確認しながら進めると、相手に合った自社の魅力を伝えやすくなります。
面談は、相互理解を深める場なので、自社の話ばかりではなく、相手の話も引き出すようにしてください。
【ステップ3】相互質問
相互理解を深めるために、気になる点をお互いに質問します。求職者に好印象を持ってもらい応募につなげるためにも、質問や相談に誠意を持って対応する姿勢を見せるのがポイントです。例えば、その場で答えられない質問があった場合、担当者に確認した上で後日共有すると伝えると、求職者から好印象を持ってもらえます。
また、基本的には求職者の話を遮らずに最後まで聞くようにしてください。求職者に対して「自分の話を丁寧に聞いてくれる人だ」という印象を与えられます。また、求職者の話を聞くとき論理性に注視すると、コミュニケーション力の高さを把握できます。
相手が転職活動中であれば、転職理由や意欲について探りながら、希望転職時期、転職条件や要望などを把握するよう心がけてください。
【ステップ4】クロージング
一度の面談だけで求職者と完全に打ち解けるのは困難であるため、次につなげるためのクロージングが重要です。求職者に対して、面談に参加してくれたことへの感謝の言葉を伝えた上で、求職者に面談の感想や自社への興味の変化をうかがいます。
求職者が面談後にも自社に興味があり、入社意欲が高ければ選考への参加を促してください。もし相手が検討段階であれば、無理に次回の面談の約束や選考への案内をすると悪い印象を与えかねないので、相手からの反応を待つ必要があります。
まとめ
面接と面談の大きな違いは合否が関係するかどうかです。今回は、合否に直接関係のない面談について、目的や種類、実施のポイントについて解説しました。面談は、求職者と対等な立場で話す場であり、求職者との相互理解を深めやすいメリットがあります。潜在層を応募につなげたい、内定辞退を防ぎたいなどの課題解決に面談が役立つ場合があります。
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