面接官トレーニングの目的と効果。いま面接官に必要なスキルとは? COLUMN

公開日:2020.01.23

更新日:2023.02.27

面接官トレーニングの目的と効果。いま面接官に必要なスキルとは?

「面接官によって評価・判断基準がバラバラで、求める要件を満たしていない人物が選考を通過してしまう。」
「面接官が‟会社の顔”として良い印象を与えられず、選考・内定辞退が起きてしまっている懸念がある。」

面接官と応募者が直接対話をする採用面接は、求人側にとっても求職側にとっても非常に重要な場面です。しかし面接官のスキルに不安があり、採用選考が上手くいっている手ごたえを感じないという採用担当者の方もいるのではないでしょうか。

面接官のスキルを鍛える「面接官トレーニング」を実施することで、これらの課題や不安を解決できる可能性があります。

この記事では「面接官トレーニング」の効果や身に付けるべきスキル、面接官におすすめの参考書籍などを紹介します。自社の面接をもう一段レベルアップさせたいと思っている方は、ぜひご一読ください。

目次

面接官トレーニングを行う目的

面接官の役割は、自社で活躍する人材を面接のなかで「見極める」とともに、応募者に自社の魅力を伝え「入社したい」と感じてもらうことです。ただし限られた時間のなかでこの目的を達成するには、それなりの訓練が必要です。

適切な質問スキルを身に付け、面接の流れなどのセオリーを理解しておかなければなりません。特に面接に慣れていない現場社員には面接のノウハウがないため、事前に面接官トレーニングを行い、適切な面接が実施できる状態にする必要があるのです。

面接官トレーニングで期待できる効果とは?

面接官の役割をさらに細分化すると、応募者の見極め、合否の判断、評価シートへの記入、入社に向けた動機づけなど細かいことが期待されています。そのため応募者の履歴書を読み込むだけではなく、面接官にも相応の準備が必要になります。

まずは、面接官トレーニングで期待できる効果について解説します。

面接スキルの向上

面接の目的や進め方、質問の仕方などを体系的に学ぶことで、合否の判定に必要な情報をスムーズに聞き出すためのスキルを身につけることができます。

せっかく対面で応募者を選考しているにもかかわらず、面接スキルがないとその機会を生かしきれなくなります。つい学歴や資格などの肩書きでのみで判断してしまうことによる面接の形骸化や、面接の内容よりも身だしなみや容貌といった第一印象に評価が左右される事態も招きかねません。

入社後活躍できる人材かどうかは、肩書きや第一印象といった外面的な部分よりも、価値観や志向性といった内面的な部分によるところが大きいのです。これらの要素を限られた時間の中で引き出すためには、質問や会話のスキルを磨くトレーニングが効果的です。

ただし、身だしなみは応募者の面接に対する姿勢を見るポイントでもあります。
内面的な部分が重要とはいえ、よれたシャツやボサボサの髪型など、明らかに清潔感がない場合は注意する必要があります。

評価基準の標準化によるミスマッチ防止

評価項目や基準を統一し、面接官にその意図や背景について理解を深めてもらうことで、入社後のミスマッチや早期離職を抑制できます。

合否の判断を面接官の好みや主観に任せてしまうと、担当する面接官によって面接通過する人材にばらつきが出るだけでなく、要件に合致していない人材を採用してしまう懸念があります。

このような「勘」に頼った採用や、それによるミスマッチを防ぐために、評価基準を面接担当者全員に浸透させることが重要です。

志望順位の向上/内定辞退の抑制

面接官が応募者に対して入社への「動機付け」を行うことで、志望順位の向上や内定辞退の抑制が期待できます。

人材獲得競争が激化している昨今、面接を通じて応募者に積極的にアプローチする重要性は以前にも増して高まっています。「アピール」といっても露骨な引き込みや過剰に飾り立てたエピソードを披露する必要はありません。

事業や社風、待遇に関する情報は厳しさも含め正直に伝えることで、応募者が気付いていない魅力や強みを伝えられます。オープンで誠実なコミュニケーションが、会社への好印象をもたらすことを意識しましょう。

会社のイメージアップ

面接は企業が応募者を見極める場であると同時に、応募者が企業を見極める場でもあります。応募者を尊重した面接は、合否にかかわらず会社のイメージアップに貢献します。

面接官=会社の顔でもあります。
面接官の印象が志望度に影響することはもちろん、近年は良い評判も悪い評判もSNSで拡散されやすいため、面接官の態度が会社のイメージまでも左右しかねません。

また、たとえ今回ご縁がなかったとしても、将来一緒に仕事をする機会が訪れる可能性もあります。応募者は自社の潜在的な顧客であることを忘れないように接しましょう。

面接官に必要なスキル

前章で紹介した効果をきちんと得るために、ここからは面接で必要なスキルをまとめます。

好印象を残せるマナー

応募者に好印象を与えるには、ビジネスパーソンとしての基本的なマナーを守ることが重要です。
たとえ相手が学生でも、必要以上になれなれしい態度で接することは失礼に当たります。相手によって口調を変えず、1人の大人として尊重したコミュニケーションを心掛けましょう。

また、面接官の立ち居振る舞いの一つひとつが会社に対するイメージにも直結します。清潔感がある服装や髪型はもちろん、丁寧な話し方、ときに相づちを打ちながら積極的に相手の話に耳を傾ける姿勢(傾聴力)など、誠実に接することが大切です。

オンライン面接の場合は、事前準備として面接ツールの操作に一通り慣れておくことも必要です。光の加減や背景などで面接官の印象が変わることもあるため、好印象が残せるようにあらかじめ画面の映り方を確認しておきましょう。

またオンライン面接の場合、カメラに近いため、応募者の画面に顔が大きく表示されます。最近では男性向けファンデーションも増えているため、男性面接官の方もメイクをすることを選択肢の一つに加えても良いかもしれません。

応募者をリラックスさせる会話力

応募者が本来の自分を出せるよう、リラックスさせる会話力も重要です。高い能力があるにもかかわらず、緊張が原因で本来の自分を出し切れないと、企業・応募者双方にとって大きな機会損失となります。

応募者の立場からすれば「人生をかけた面接」と意気込んでしまい、緊張するのは当然のことです。面接に臨むときは本題に入る前に軽いアイスブレイクを行い、相手が安心して話せるよう配慮しましょう。

特にオンライン面接では画面を通じた視覚・聴覚からでしか情報が収集できないため、初対面の面接官の雰囲気が掴みにくい傾向があります。応募者によっては対面面接よりも緊張感を感じやすい方もいるため、面接官が相手をリラックスさせる工夫をすることが重要になります。

具体的には面接官はカメラ目線で大きな声で話す、頷きや相槌を多用する、笑顔で相手の話を聞く、など対面以上に会話にアクセントをつけることを意識しましょう。

面接の流れや質問の仕方・マナーについては「採用面接の流れ 新卒・中途への質問やマナーも紹介」でも詳しく解説していますので、参考にしてください。

応募者のレベルを見極める質問力

期待した回答が得られるよう、応募者への質問は端的、具体的にしましょう。さらに、回答に対して「なぜそのような決断をしたのか」「どのように成し遂げたのか(乗り越えたのか)」といった深堀りする質問を用意しておくと、応募者の志向性をうまく引き出すことができます。

質問の意図が曖昧だと、応募者が混乱してしまったり、質問とは関係がない話題で盛り上がったりして、面接の目的を達成できない恐れがあります。聞くべきことが聞けずに時間切れにならないよう、限られた時間を有効に使いましょう。

加えて、時間配分も重要です。
面接時間のうち、質問と質疑応答の時間の割合はもちろん、質問のなかでも「人間性・志向性を確認」「経験・スキルを確認」など、項目ごとにどれくらいの時間をかけるのかを事前に決めておきましょう。

事前に決めた時間通りに終了させられるファシリテーション力も、応募者は意外に見ています。

面接官トレーニングの種類

面接官トレーニングの効果や、高めるべきスキルを把握したら、どのような面接官トレーニングを実施するか検討しましょう。

トレーニングの種類としては、基礎知識のインプットやアップデートができる講義形式、実演することで自分を客観視できるロールプレイングがあります。さらに、個別に学びを深めたい場合におすすめの書籍や動画も紹介します。

講義形式

採用支援コンサルタントやキャリアコンサルタントなど、人事・採用領域に精通した「面接のプロ」が講師として登壇し、下記のような項目についてレクチャーします。

面接の目的や面接官の役割といった基礎知識から、事前に履歴書のどこに着目すればいいのか、どのような質問をすれば応募者の本質に迫れるか、といった実践的な内容まで、体系的に学ぶことができます。

<講義内容の例>
採用環境
面接の目的
面接官の役割
心構えやマナー
面接の準備(履歴書の確認)
面接の流れ
質問方法(本質を引き出すための質問、してはいけない質問)
評価方法

「面接官トレーニング」「採用面接研修(セミナー)」などの名称で、人材・採用コンサルティング会社、研修会社などが主催しています。

ロールプレイング

面接官役と応募者役に分かれ「アイスブレイクの方法」「掘り下げる質問の方法」などのテーマに沿って、面接を実演します。

講師や相手役からフィードバックをもらうことで、自分のできていること、できていないことを客観的に把握できます。先に紹介した講義形式のプログラムの中には、ワークショップやロールプレイングを交えながら、より実践的な面接スキルの体得を目指すものもあります。

面接官を初めて担当するという方は特に、実技としてのロールプレイングが含まれているプログラムを受講することをおすすめします。

株式会社クイックでは、初回無料の公開研修「【選考辞退・内定辞退を抑え、相思相愛を実現する】面接官トレーニング 基礎コミュニケーション編 無料体験会」を行っていますので、興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

書籍

採用面接のノウハウについて書かれた「面接本」は多くありますが、ここでは弊社の現役面接担当者が「面接に役立った」と太鼓判を押す「採用本」と、学生の視点を知るのに役立つ「就活本」をピックアップして紹介します。

『採用に強い会社は何をしているか』

採用に強い会社は何をしているか

リクルートで求人広告制作や自社採用を担当した後、AmazonやPwCの人事マネージャーなどを経て、LINEで人事担当(Employee Success室 副室長)を務めている青田努さんが初めて上梓した「採用本」です。

採用に関する52社のユニークな事例が紹介されており、採用に悩む企業に対して何かしらのヒントを与えてくれます。同時に「面接」の項目では、効果的な面接の進め方、応募者の本音を確認する質問、内定辞退を防止するための選考の進め方についても言及されています。

人事部門以外の面接担当者の方が読んでも、多くの気づきを得られるはずです。

『絶対内定』シリーズ

絶対内定2024

大学生協で11年連続売上第1位という、言わずと知れた「就活本」です。学生時代にお世話になったという方も多いのではないでしょうか。

この『絶対内定』シリーズの『面接』『面接の質問』に目を通しておくと、応募者たちがどのようなことを考え、面接に臨んでいるか理解できます。

応募者の立場に立って気持ちを理解することで、面接をスムーズに進めることができると評判です。

動画

昨今は人事・採用領域の専門会社が面接トレーニングの動画を提供していることもあります。オンライン面接がメジャーになる時代なので、面接トレーニングも動画やe-ラーニングなどオンラインで学ぶのも一つの手段といえます。

他社の動画に頼らずとも、自社の人事・採用担当が行った実際の面接を録画する、またはロールプレイング動画を制作するなどの手段も有効です。

面接官トレーニングの注意点

新卒採用の場合は採用シーズンに集中して面接トレーニングを実施することが一般的ですが、単年度に留めずに面接のレベルアップを狙うために注意をすべきポイントがあります。
組織的に面接の質を上げたい時に、トレーニング前後に気をつけたい2点を紹介します。

現状の面接課題を把握する

面接トレーニングで効果を得るには、事前に現状の面接課題を正しく把握する必要があります。

例えば、「選考・内定辞退が多い面接官」と「ミスマッチ採用が多い面接官」では、課題解決に必要なトレーニング内容が異なります。

前者の場合、応募者の見極めはできていても、面接官や自社の魅力が応募者にうまく伝わっていない可能性がありますし、後者は質問スキルや評価の仕方に問題があるのかもしれません。

このように、自社が課題だと感じている点によって鍛えるべきスキルが異なるため、まずは現状を把握したうえでトレーニングメニューを決めましょう。

効果測定を行う

面接官トレーニングを実施したあとは、できるだけ効果測定も行うようにしてください。

「選考の途中辞退が減った」「評価基準がすり合ってきた」などダイレクトな成果が出れば良いのですが、初心者を面接トレーニングした場合などは結果が数値として現れるまで時間がかかるケースもあります。

そんな時でも「面接トレーニング実施後、面接がやりやすくなったか」「質問への返答で評価に迷うことが少なくなったか」など、面接官自身の手応えなどを収集すると良いでしょう。

まとめ

面接官トレーニングによって、応募者の見極めの精度が向上するだけでなく、内定辞退を抑制するといった効果も期待できます。

また、面接官に必要なマナーや会話力、質問力は、人事・採用コンサルティング会社などが提供している研修プログラムに参加することで、効率よく身に付けることができます。弊社では面接トレーニングを「基礎コミュニケーション編」「魅力付け編」など目的に応じて体験会やセミナーを開催しています。

セミナー以外でも「面接官マニュアル」や「面接評価シート」などのお役立ち資料もダウンロードできるため、ぜひ面接のレベルアップのために有効活用してください。

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編集・執筆/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、大手人材会社でディレクターとして、クリエイティブ企画や経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務などに従事。現在はIT企業勤務の傍ら、マーケティング・人材採用の領域を専門に中小企業支援を行っている。

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