採用コストとは
はじめに、採用コストの概要や推移、採用単価の計算方法を解説します。
採用コストとは?
採用コストとは、採用活動に伴う総費用のこと。具体的には求人広告や面接、適正検査、内定フォローなどの採用プロセスで発生するコストや、人事担当者の人件費や交通費などのコストも含まれます。
採用コストの推移
人手不足、採用難の影響により、採用コストは高止まり傾向が見られます。
リクルートキャリアの「就職白書2023」によると、2024卒採用の費用が前年より「増える」と答え企業は全体で31.3%で、従業員規模別にみると「300~999人」の企業で30.1%、「5000人以上」の企業で34.0%の回答でした。。一方、前年と「同じ」と答えた企業は全体で62.1%、従業員規模別に見ても概ね同程度と、従業員規模にかかわらず、半数以上の企業が前年程度と回答しています。前年と比較して「増える」「同じ」と回答した企業は、全体で93.4%を占めており、採用難を背景に、求人需要が高まる中、優秀人材を確保するための費用が上昇するなど、採用コストは高い水準を維持していることがうかがえます。
(※参考・引用)リクルートキャリア就職みらい研究所:「就職白書2023データ集」
採用単価の計算方法
採用コストを最適化するために、まずは採用1人あたりの費用である「採用単価」を把握しましょう。
採用単価は、「採用コスト総額÷採用した人数」で求めることができます。
例えば以下のような費用がかかり最終的に12人採用した場合、採用単価は
856万円(採用コスト総額)÷12(人数)=約71万円となります。
<採用コスト内訳例>
説明会開催…56万円
会社パンフレット制作…30万円
人件費の合計…390万円
就活サイトの利用料…100万円
求人広告掲載…80万円
自社の採用サイト開設…200万円
合計 856万円
【新卒・中途/上場有無別】 採用コストの平均相場
続いて、採用コストの平均相場を採用区分別、上場有無別に紹介します。
採用区分別の平均相場【新卒採用・中途採用】
「就職白書2020」によると、2019年度の新卒採用の平均コストは93.6万円、中途採用では103.3万円であり、中途採用の方が新卒採用よりも高い結果となっています。
中途採用は新卒の一括採用とは異なり、個別広告費がかさんだり、人材紹介を利用するケースが多いなど、さまざまな要因が考えられます
(※参考・引用)リクルートキャリア就職みらい研究所:「就職白書2020」
上場有無別の平均相場【上場・非上場】
採用コストの平均相場を上場有無別で見ると、上場企業では約771.9万円、非上場企業では約267.4万円となっています。このうち、大きな費用の内訳を見ると、「広告費」は、上場企業では389.7万円、非上場企業では123.5万円であり、上場企業は非上場企業の約3倍の採用コストをかけていることがわかります。
(※参考・引用)株式会社マイナビ:HUMAN CAPITAL サポネット:「新卒採用の予算について」
採用コストの内訳(外部コストと内部コスト)
採用に関わる費用は、大きく「外部コスト」と「内部コスト」に分けられます。外部コストは広告掲載料やエージェントの紹介料など、社外サービスを活用するための費用です。内部コストは採用活動に関わる人件費をはじめ、交通費や食費などの項目が含まれます。
採用の振り返りを行う際、個々の項目にだけ注目するのではなく、外部と内部どちらの要因が予算を圧迫しているか確認すると、改善策を検討しやすくなります。
外部コストの例 | 内部コストの例 |
---|---|
・合同説明会の出展費用 ・パンフレット制作費(外注した場合) ・エージェントの紹介手数料 ・就活/転職サイト利用料 ・内定者研修講座やツールの利用料 |
・採用担当者の人件費 ・採用に関わった現場社員の人件費 ・自社で用意したノベルティなどの費用 ・応募者や社員の交通費 ・説明会や面談等で用意した食事代 |
採用コスト削減へ向けた4つのステップ
次に、採用コスト削減に欠かせない4つのステップを解説します。
【ステップ1】採用コスト全体の把握
採用コスト全体を明確に把握することで、どのプロセスが主なコストを占めているか把握し、効果的な削減策を検討する方向性を確認します。経費や人材紹介料、広告費など、内部コストと外部コストに分けて、全体像を把握することが重要です。漏れが生じないように、広告宣伝費や雑費、交通費など、実際の経費実績から採用コストを抽出し、検証しましょう。
【ステップ2】採用チャネル毎の採用単価算出
異なる採用チャネルごとの採用単価を比較します。
具体的には、利用している採用チャネルを列挙し、投入している採用コストとそれに応じた応募数や通過数、入社数などを抽出し、一人当たりの採用単価を算出します。
【ステップ3】費用対効果の検証
各採用チャネルや手法の費用対効果を評価し、投資したリソースに対するリターンを検証します。
検証結果に基づいて、効果の高いチャネルにリソースを集中させることで、採用コストを削減することが可能です。過去の採用データや成果を分析し、最も効果的な方法を見極め、無駄な費用を削減してください。
【ステップ4】採用コスト削減策の検討・決定
採用コストを削減するために、最終的な採用コスト削減策やアプローチを検討します。
費用対効果検証の結果、優れた採用チャネルや効果的な広告戦略を特定します。求職者の行動パターンや志向を理解し、効果の高い採用チャネルを選択や具体的なサービスを検討します。これにより、効果的な施策を通じて採用コストを削減し、自社にマッチした質の高い人材を獲得できます。
採用コストの削減で着目すべきポイント
最後に、採用コストの削減で着目すべきポイントを解説します。
採用ミスマッチの防止
適切な選考プロセスやスキルマッチングにより、採用ミスマッチを最小限に抑えます。これにより、自社にマッチしていない人材に要する採用プロセス工程を削減できるほか、入社後の教育費用などの追加コストを回避し、採用コスト全体を抑えることが可能です。
採用ミスマッチについて詳しく知りたい方は、「ミスマッチとは?採用活動でミスマッチが起きる原因や対策を解説」の記事を参考にしてください。
AI活用による人件費削減
AI(人工知能)を活用して選考プロセスを効率化し、人件費を削減することも有効な手段です。AI活用によるプロセスの効率化によって、人件費を削減しつつ、人事担当者はコア業務にリソースを集中させることができます。
採用のAI活用について詳しく知りたい方は、「採用のAI活用とは?プロセス・目的別活用法や導入フローを徹底解説!」の記事を参考にしてください。
求人サイトの見直し
効果的な求人サイトの選定や効果測定を行い、採用コストを最適化することも重要です。効果の低い求人サイトを見直し、自社の採用ターゲットにマッチした求人サイトを活用することで、費用対効果を高めることが可能です。
求人サイトについて詳しく知りたい方は、「求人サイトとは?利用すべき企業の特徴や有料・無料のおすすめを紹介【比較表あり】」の記事を参考にしてください。
採用プロセスの見直し
選考プロセスを見直し、時間とコストを節約することで、効果の高い採用コストの削減が可能です。自社にマッチした効率的なプロセスを確立し、採用効率を向上させましょう。
採用プロセスについて詳しく知りたい方は、「【新卒・中途別】採用プロセスとは?流れや改善に効果的なフレームワークを解説」の記事を参考にしてください。
採用管理システムの導入
採用管理システムの導入により、効率化とコスト削減を実現できます。コスト削減を図りながら、面接の日程調整や、応募書類、選考過程の管理など、煩雑なプロセスの効率化を実現できます。
採用管理システムについて詳しく知りたい方は、「採用管理システム比較の決定版!料金、メリット、効果は?」の記事を参考にしてください。
まとめ
本記事では、採用コストの概要や採用単価の計算方法のほか、採用コストの平均相場、内訳、削減方法、着目すべきポイントを紹介しました。
採用コストを削減するためには、まず全体のコストを把握し、その費用対効果を検証することが重要です。また、採用ミスマッチの防止やAIの活用など、効果的な削減策を実施することが求められます。本記事を参考に、効果的な採用コスト削減策に取り組みましょう。
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