他社の新卒採用サイトを参考にするときの注意点
(新卒採用サイトをあらたに制作することになった)
(既存の採用サイトをリニューアルすることになった)
必要に迫られ、あわてて他社の採用サイトをリサーチする人事の方は多いと思います。
でも、やり方を間違うと不必要に費用が高くなったり、意図した効果を得られなかったりするため注意が必要です。
新卒採用サイトのまとめ情報をご覧いただくにあたって、以下のポイントを意識していただくだけで、格段に自社のサイト制作に活かしていただきやすくなります。
ぜひご一読ください。
なぜ、そのコンテンツが必要かを考える
(他社がやっているからうちもマネする)
(あのサイトのデザインがオシャレだから、あんな感じのデザインにしよう)
それではなかなか学生に響くサイトは作れません。
新卒採用サイトに設置されるコンテンツには、すべて意味があります。
「目的に合わせた表現」を適切に「選択する」ことが大事です。
そんなことを念頭に置きつつ、これからご紹介する他社事例をご覧いただけると、自社の採用サイト制作にも上手く活かしていただけるのではないでしょうか。
それではご覧ください。
採用のプロが選ぶ、新卒採用サイト デザイン&コンテンツ
これからテーマ別にどんどんサイトをご紹介していきます。
<注意点>
サイトのスクリーンショットを貼り付けるようにはしていますが、毎年変わってしまう採用サイトの特性上、一部にリンク切れが起こってしまうことはご了承ください。
また、採用サイトの特性上、人物写真や個人名がデザインに多く使われていますので、すべて個人が判別できない形に加工させていただいています。そのため一部デザインの体裁が崩れている画像もございます。
詳細なデザインをご覧になりたい場合は、リンク先の実際の採用サイトをご覧ください。
デザイン(見せ方)が参考になる新卒採用サイト
ファーストビュー全面にメッセージを掲載

トップページ全面にメッセージを掲載することで、内容の信憑性や重要性がより学生に伝わりやすくなります。
メッセージを強調できる効果は絶大ですが、反面、ここであまりにも凡庸なメッセージを発信してしまうと、学生は回れ右してサイトを閉じてしまうリスクもあります。
切り抜いた写真を使った、雑誌のようなスタイル

インタビューページで、社員さんの全身写真が掲載されています。
比較的、よく見かけるスタイルだと思います。
大人向けファッション誌のようなトーンで、スマートに見えますね。
全身のコーディネートが写るため、人選や服装指導が大変になるかもしれませんが、上手く撮影できれば印象アップにつながる見せ方です。
社員さんのポートレートを使用して、品良くシンプルに

社員さんのポートレートを大きく配置したインタビュー記事。
シンプルながら読みやすい作りになっています。
多くの採用サイトで取り入れやすいデザインです。
全面ビジュアルで、インパクトあるファーストビュー

多くの採用サイトで取り入れられている定番表現の一つ。
全面にビジュアルを配置したトップページはインパクト大です。
とても立派に見えるデザインですが、この構成そのものに特別高額な費用がかかることはありません。
ただ、全面に大きく配置するのにふさわしいビジュアルや写真を用意しないといけませんので、その点は費用や手間がかかってしまうかもしれませんね。
縦書きで、メッセージを強調したデザイン

メインのキャッチコピーが縦書きの採用サイトです。
Webサイトでは横書きがデフォルトのため、縦書きは珍しく目をひきます。
学生に向けて、メッセージを強くアピールしたいときに有効です。
ただし、デザインや内容との兼ね合いで縦書きが馴染まないことも多く、万能な手法ではありません。
動画を活用したトップページデザイン

ファーストビューに動画を設置したデザインです。
比較的、よく見るタイプのデザインだと思います。
ただ、このタイプのサイトは、スマートフォンで見た場合、通信容量の関係で、動画を静止画に置き換えて表示している場合もあります。
学生の多くがスマートフォンでサイトを閲覧することを考慮すると、こだわりがある企業向けの表現手法、と言えるかもしれません。
こちらの採用サイト(伊藤忠商事株式会社)も、一部動画が使われていますが、スマートフォンで見たときとPCで見たときの落差が少ない作りになっています。
映像を活用した、会社の魅力が伝わるコンテンツ
プロフェッショナルな仕事風景で魅了する

仕事風景を見せる王道の手法です。
海外の広告会社との打ち合わせ風景(英語)など、プロフェッショナルな仕事ぶりが伝わります。
絵になるタイプの業種や職種だと特に有効です。
モノづくり系の企業の工場や研究所など、非日常の風景が見せられる企業にも向いている手法です。
社員の1日

社員さんの等身大の充実した1日が描かれていて好感が持てます。
仕事の内容も伝わりやすいです。
写真とテキストで1日の流れを表現したコンテンツは多く見かけますが、予備知識のない学生には、このように映像で見せてあげた方が分かりやすいですね。
社員さんに1日密着して動画を撮影するとなると、お取引先の協力なども取り付ける必要があり手間はかかってしまいますが、取り組む価値があるコンテンツです。
事業説明を、情報バラエティ番組風に演出

事業について先輩や役員が語ったり、企業視点で説明したりしたテキストはよく見かけますが、映像化するとさらに伝わりやすくなる好例がこちら。
堅苦しい内容ではなく、馴染みのある情報バラエティ番組風の作りで、頭にスッと情報が入ってきます。
オリジナルドラマを公開

⇒株式会社大正銀行 ※動画はサイトの下の方にあります
ドラマ仕立てで、銀行が社会に果たしている役割を描いた作品。
ドラマティックに製作されているだけに、フィクションっぽさはあるのですが、大正銀行が目指す顧客への向き合い方がポジティブに伝わってきます。
泣いてしまう人もいるのではないでしょうか。
製作するには、TVドラマのように、シナリオライターを使って脚本を作ります。
役者さんはアマチュアから、セミプロ、プロまで様々で、ギャラはピンキリ。
費用の目安としては数百万円~となるのが一般的です。
顧客の声をつかって、仕事の価値を表現する

地方銀行ならではの、お客様と行員とのアットホームな関係を動画で描いた作品。
1000の言葉を尽くすよりも、こうやって1本の動画を見せた方が説得力は大きいですね。
前提として、お客様にご協力いただける信用力、関係性あっての動画であることも付け加えておきます。
部署ごとに、先輩が事業内容をプレゼン

こちらのコンテンツはあるようでなかった仕組みです。
マーケティングやエンジニア、デザイナー、果ては事務や法務まで、各部署の先輩が仕事内容をプレゼンしています。
会社全体ではなく、各セクションの各論を説明している点がポイントです。
話す方によってトークの上手さに差はあるものの、先輩の肉声で各部署の説明が受けられるのは、会社理解の促進に有効な手段だと思います。
動画も特別な加工を施しているわけではないので、安価に作成できて取り入れやすいと思います。
ただし、社内の全面的な協力は必要ですが…。
社員の個人SNSアカウントを公表
⇒IT企業様の採用サイト(サイトがリニューアルされて閲覧できなくなりました)
社員さんの顔写真の下にツイッターやインスタグラム、GitHubのアイコンが付与されています。
これらは完全にプライベートな個人のSNSアカウントで、試しにツイッターをのぞいてみると、仕事に全然関係ないことも当たり前のようにつぶやかれていました。
社員の人柄が見えやすいですし、フォロワーが増えることで社員個人も得をします。
SNSとエンジニアは親和性が高いので、リファラル採用の動きにつなげやすいメリットもあります。
企業として炎上のリスク管理をどうするかが悩ましいところですが、時代の流れは確実にこちらの世界観に近づいていますので、IT業界以外の企業様でも検討の余地はあると思います。
アンケート調査(数字で見る〇〇)コンテンツ

会社や待遇などにまつわる情報を可視化するコンテンツ。
すっかり定番化した感があります。
作成のポイントは、ターゲットとなる学生が知りたい情報になっているか、です。
単なる会社自慢になってしまうと全然面白くないのでご注意ください。
外に出せるような見映えする数字がない場合は、潔く「やらない」選択をすることも大事です。
新卒や内定者アンケートは、入社人数が多い企業でないとあまり盛り上がらないので、比較的、規模の大きな会社向けの手法になると思います。
人数が少ない場合は、普通に一人ひとり取材して、インタビュー記事の形式にした方が、内容が濃くなるのでお勧めです。
パンフレットのダウンロード

※ページ右下あたりからDLできます
採用パンフレットを持っている企業は数あれど、採用サイトでパンフレットをDL可能にしている企業はあまりありませんよね。
手間やコストがさほどかからず展開できるので、渡すタイミングにこだわりがないのであればアリな手法だと思います。
いまどきだと、学生さんよりも内定者の親御さんが熱心に読みそうです。
社員ブログの運用(オウンドメディア)

社内の情報を社員自らが日常的に発信し続けることで、社員の人柄や雰囲気といった定性的な情報を可視化することができます。
ブログまで熱心に読む学生はそう多くないとも考えられますが、選考が進み、入社を真剣に検討している学生にとってはありがたい情報です。
選考が深まるにつれてジワジワと効いてくるコンテンツです。
より手間暇をかけて、本格的にメディアとして運用すると、メルカリの運営する「mercan」のようになっていきます。
高専出身者の専用ページを作る

理系採用に注力する企業は数あれど、高専出身の学生をフィーチャーしたページを用意している企業は多くありません。
理系人材とひとくくりにするのではなく、募集するターゲットに、よりフォーカスして情報提供したほうが学生には親切ですよね。
若手が活躍するプロジェクトストーリー

プロジェクトストーリーは、採用サイトのコンテンツの定番です。
なかでも効果的に感じるのは、現状からの脱皮を描いた挑戦型のストーリーです。
ご紹介した事例もそうですが、もはや採用の枠を超えた事業の話です。
ビールという伝統ある看板商品に対して、果敢に挑戦した社員たちのストーリー。
歴史ある企業は、若い学生からすると頭が固そうに見えたり、チャレンジ精神に欠けているように見えたりすることも往々にしてあります。
同社では、クラフトビール製造のエピソードを描くことで、会社の印象が若返っているように感じます。
大手ならではの新たなマーケットを切り開く面白み、食文化を作っていく社会的な意義も表現されています。
コンテンツの形式としては地味ですが、ターゲットとなる飲料に興味のある学生には興味深い記事だと思います。
仕事の流れ(事業の全体像)を図解する

企画から、製品が生産されてお客様の手元に届くまで、どのような順番で各部署が役割を果たしていくのかを時系列に並べて説明しています。
セクションごとに文理の表記もされており、学生さんに親切な情報提供になっています。
単に図解しただけではなく、各セクションから詳細な説明ページへのリンクがあって、学生さんに理解を促す作りになっている点がポイントです。
チャット機能でその場で質問できる

カスタマーサポートのような形式。
Webサイトを訪問した学生が、チャットで質問できる仕組みになっています。
こちらのサイトではおそらく、チャットボットといわれる、予め準備しておいた質問に自動で答えるような仕組みを導入されています。
そもそもエントリー母数の少ない企業で、チャットボットを設置してもあまり意味はありませんが、LINEアカウントを公開して自由に問合せを受け付けるなど応用はききそうです。
女性向け採用ページ

バリキャリから結婚、出産を見すえたキャリアプランまで。
女性の気になる点をケアした情報提供を行っています。
新卒の総合職市場においては、いまだに男性への採用ニーズが強いのが現状です。
逆に言えば、女性を積極的に登用する気概のある企業にとっては、優秀な人材を採用しやすいマーケットということです。
女性に強く訴えかける情報提供を行うことも、採用戦略としては一つの策だと感じます。
本音が見える社員インタビュー
採用サイトのインタビュー記事には、3段階の質があると考えます。
1段階目は、当たり障りない同じ職種ならどこでも言えるようなことを言っている内容。
2段階目は、社員さんが仕事について具体的に語っている内容。
3段階目は、インタビューを通じて、社員さんの人柄や考えていることまでが伝わってくるような内容。
以下、社員さんのパーソナリティが伝わると感じたインタビュー記事の例です。

同社が掲げる「社会起点」という方針に対して、インタビューを受けた社員さんは『初めて聞いたときは、「キレイごと」じゃんって思っていたのですが、』と話しはじめます。
会社を100%賞賛するような受け答えでないところにリアリティを感じます。
半分くらい会社に牙を向いている感じが、リクルートらしくもあります。
こういったディティールの積み重ねを経て、学生から見た企業のイメージは作られていきます。
ということがよく伝わる例だと思います。

肩の力の抜けた、自然な受け答えをしているのが魅力的です。
「サイボウズが最高の会社とは思わないが、自分にとっては最適な会社だ」
といった趣旨の話をしている所があります。
社員さんが自分の選択に対して胸を張れていることが伝わってきます。
働く人が組織にフィットしているのが、リアリティをもって感じられるインタビュー記事です。
入社1年から入社37年まで、全年代の社員の声が集合

若手の声は、少し未来の自分の姿。
ベテランの声は、将来の自分の姿。
将来を不安に思う学生が増えているなかで、未来に対する安心感や希望を見せられるコンテンツは、プラスに働くのではないでしょうか。
OB・OG訪問の受付ページ

100名以上の社員さんのプロフィールを掲載し、OB・OG訪問を受付られるようにしています。
近年、既存社員によるリファラル採用が活発化していますが、採用サイトの機能を上手く使って出会いをアシストしてあげることも大切ですね。
100名は無理でも、10名くらいならできそうだ、という企業様も多いのでは?
OB・OG訪問のページを作っておくと、大学訪問時にPRするネタにもなるのではないでしょうか。
自社サービスを活用した、独自性の高いコンテンツ
「自社の提供する商品やサービス×学生(採用)」の切り口で作られたコンテンツ。
上手く実現できれば、オリジナリティある企画になります。

⇒株式会社バンダイ
※2020年度も同様のコンテンツを掲載中
上記画像は2019年度のものです
学生さんの子ども時代から、現在までの代表的な製品を見られます。
懐かしくて思わず見入ってしまいます。
玩具メーカーならではのコンテンツですね。

自社に所属するタレントさんが就活生に語りかける動画が公開されています。
綾瀬はるかや石原さとみ、さまぁ~ず、など、誰もが知る有名人を登場させることが大きな差別化要素になっています。
(動画自体は、一度撮影したものを毎年使っているようです)

auの三太郎CMなど、自社の手がけた仕事事例を公開しています。
自社の提供したソリューションそのものがコンテンツという、広告代理店らしい採用サイトです。
他では見せられない、電通ならではのコンテンツです。
まとめ
今回は、採用サイトのデザインやコンテンツについてご案内してきました。
本記事が、社長メッセージやインタビュー記事、企業概要といったお決まりのコンテンツに限らず、「もっと自由な発想で学生とコミュニケーションしても良いのだ」と、固定観念の枠を取り払っていただくきっかけになれば幸いです。
既存の枠を取り払った上で、改めて「学生に伝えるべきことは何か?」を考えていただくことで、例年とは一味違った採用サイト制作を進めていただけると思います。
【関連ページ】
⇒採用Webサイト制作
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