優秀な人材とはどんな人?
優秀な人材を獲得することは、企業が発展するためにも必要です。ここでは優秀な人材の定義と、共通して見られる特徴を説明します。
優秀な人材の定義とは
企業における「優秀な人材」とは、企業の利益に貢献できる人を指します。営利目的の企業であれば、利益に貢献できる人を優秀とするのは当然のことでしょう。しかし、具体的にどのようなスキルを持っている人を優秀とするかは業種や企業によって異なります。
優秀な人材は英語でなに?
「優秀な人材」は英語でいうと、「talented human resources」との表現になります。
talentedは「才能のある」「有能な」、human resourcesは「人材」「人的資源」をそれぞれ意味します。ビジネス用語では、「resources」を人的資源の意味で「talented resources」と表記することもあります。
優秀な人材に共通して見られる主な特徴
営業職であればコミュニケーション能力やプレゼンスキルが、SEであればプログラミングスキルが必要となるように、業種や企業によって優秀な人材の具体的な条件はさまざまです。
しかし、優秀な人材の特徴はスキルだけではありません。ここではどの業界でも共通する優秀な人材の特徴を紹介します。
謙虚である
まず挙げられる特徴に「謙虚さ」があります。謙虚な人の例としては、自分の不注意で発生したミスを素直に認める、自身の提出物についてフィードバックをもらったときは相手の意見を受け止めるなどがあります。
ただし、謙虚すぎると自分のミスを長く引きずったり、ネガティブになりすぎたりして業務効率が落ちてしまうことがあります。そのため、ある程度、自己肯定感を兼ね備えていることが重要です。
上記のことから、謙虚でありながらも、自らの価値や存在意義をポジティブに捉えることができるバランス感覚があるかどうかも優秀な人材を見極める上でポイントになります。
自分の役割を理解している
優秀な人材は、自分がどのような役割を担うことで会社に利益をもたらすことができるかを理解しており、それに基づいて行動できます。
どのような仕事を任されても、会社の利益になるような働きをするのはもちろん、トラブルが起きた際の対応力にも優れています。
明確な目標がある
与えられた仕事を達成するために、年単位の大きな目標だけでなく日単位の小さな目標まで具体的に設定しています。明確な目標があるので、高いモチベーションを維持しながら日々の業務に取り組むことができます。
自発的に内省し、成長につなげられる
優秀な人材は自分の取り組みを振り返り、よりよく仕事を進めるためにはどうするべきかを考えます。失敗しても他人に責任転嫁することなく、自分のどこが良くなかったのかを明らかにし、改善策を考え、次回に生かそうとします。
相手の立場で考えられる
優秀な人材は相手が気持ちよく仕事を進められるよう、配慮や感謝の言葉を忘れることはありません。
相手の立場を考えたコミュニケーションは信頼関係の構築につながるため、多くの人を巻き込んで仕事を進めることが可能になり、より大きな成果を出せます。
また、周囲の助けになることがあれば率先して行うのも優秀な人材の特徴です。
物事を前向きに捉えている
優秀な人材は、どのような物事に対しても前向きです。例えばプロジェクトを進めていく中で困難な場面に直面した場合でも、冷静に現状の問題点を把握し、どうすれば良い方向に導けるかを考えます。このような前向きな姿勢は他の社員のモチベーション向上にもつながります。
ストレス耐性がある
ストレスが体調を崩す原因にもなるため、ストレス耐性の高さも優秀な人材の特徴といえます。優秀な人材は自分なりにストレスを解消したり、適度に受け流したりすることができるため、ストレスを溜めることなく、常に心身ともに健康な状態で業務を遂行できます。
これらのような優秀な社員の行動特性をコンピテンシーといい、コンピテンシーを採用活動に取り入れる企業も増えています。コンピテンシーについて興味のある方は「コンピテンシーの意味とは?面接への活用法、モデル作成のメソッドも解説」をご覧ください。
優秀な人材を見分ける方法
ここでは優秀な人材の見分け方を紹介します。
過去の実績や経験から見定める
優秀な人材を見分ける最初の手がかりは、ESや職務経歴書に記載された「過去の実績」や「経験」です。
新卒社員は実務未経験者がほとんどなので、ESに記載された実績や経験が入社後にどう生きるかを測るのは困難です。そんなときは、自社にいる優秀な社員に学生時代のエピソードをヒアリングしましょう。聞き出したエピソードから行動特性を見出し、応募者にも当てはまるかを比較すると評価しやすくなります。
中途採用者の場合は、職務経歴書に記載されている業務実績や経験をぜひチェックしましょう。中途採用の面接で良い人材を見極めるコツや効果的な質問を知りたい方は「【面接官向け】中途採用の面接で使える質問15選|コツや準備も」を参考にしてください。
マナーや人間性を重視する
優秀な人材かどうかは、マナーや人間性でも見分けられます。これらは、選考過程で見極めることが可能です。
例えば、優秀な人材はメールや電話のレスポンスは早く、挨拶や謝罪、お礼がしっかりできるなどビジネスマナーがきちんと備わっていることが多いです。
また、人として成熟しているので、面接や面談で「これまでの失敗談を教えてください」と質問したときは誰かを責めるような批判的なコメントはせず、ミスをきちんと受け止めた上で失敗から学んだことを話すでしょう。
インターン制度を使って働きぶりを見る
書類や面接などでも優秀な人材を見極めることは可能ですが、応募者の本質を見抜くにはインターン制度の活用が有効です。社会人インターンや副業制度を通して、面接で感じた通りの人材だったかを見極めましょう。実際に働きぶりを見ることで、面接では見えなかった新たな魅力を発見できるかもしれません。
優秀な人材を採用するコツは?
優秀な人材の母数は決して多くありません。ここでは、自社で優秀な人材を採用するためのコツを紹介します。
必要な人材の条件を明確にする
優秀な人材を採用するには、第一にその人材像を明確にすることが大切です。優秀な人材の定義が曖昧だと面接担当者によってばらつきが出る恐れがあるため、自社にいる優秀な社員が持っているスキルや人間性を参考に、求める人物像を明確にしましょう。
人材要件について詳しく知りたい方は「人材要件の定義や作り方、条件の優先順位付け・ペルソナ設定のコツ」で紹介していますので、ぜひご覧ください。
候補者の志望度を向上させる
優秀な人材ほど他社から内定をもらっている数が多い傾向があります。ライバル企業が多い中で自社への志望度を上げるためには、選考の中で自社の魅力を伝えることが重要です。
例えば、採用サイトや説明会などでは自社の特徴が網羅された情報を動画や写真などを使って伝え、面談や面接などでは相手が求める情報を個別的に説明します。対面で説明する際は話し方もポイントになります。自社の魅力が相手にきちんと伝わるよう、表情豊かに明るい声で話すことも意識しましょう。
記事最後尾には、候補者の志望度を向上させるためのマニュアルや無料セミナー、座学&ロールプレイングで自社が選ばれるための面接官トレーニングを実施する有料セミナーを紹介していますので、ぜひご参考ください。
優秀な人材が集まる会社の特徴
優秀な人材が集まる会社には、多く見られる特徴があります。ここでは、代表的な特徴を紹介します。
人事評価基準が明確である
優秀な人材は、能力に見合った評価をしてくれる企業に集まりやすいといえます。
「能力を発揮しても処遇が見合わない」「能力が正当に評価されない」など、人事評価基準が明確でないと、優秀な人材は集まりません。
この評価基準が明確であれば、能力に見合った処遇が可能なため、優秀な人材は集まりやすいといえます。
将来のあるべき姿が組織内で浸透されている
企業のあるべき姿が組織内で浸透していることも重要なポイントです。
あるべき姿とは、長期的に見て企業としてどうなっていきたいのかを経営層と従業員が理解している状態です。
そのため、中期経営計画や財務諸表などをIR書類として開示しているだけでは足りません。長期的なあるべき姿が会社に浸透していることで、経営層と従業員のベクトルが一致します。
このように、組織全体のベクトルが一致している企業の組織力は強く、優秀な人材が定着しやすいといえるでしょう。
意欲的な人にチャンスあるカルチャー
優秀な人材を確保するには、優秀な人材の貢献意欲を向上させる取り組みが不可欠です。
優秀な人材は自己実現の意欲が高く、自身の目的や理想を実現するためにあらゆる努力をします。
しかし、意欲的な行動を阻害する社風やカルチャーの企業では、優秀な人材は活躍することが困難です。
意欲的な挑戦を受け入れる社風やカルチャーがある企業は、優秀な人材が活躍しやすいといえます。
優秀な人材を確保するには?人材定着に不可欠な組織の3要素
優秀な人材を確保するには、優秀な人材の離職動向を知り、定着手段を講じることが必要です。ここでは早期離職と優秀な人材との関係性、人材定着に欠かせない組織の3要素を解説します。
データで見る早期離職と優秀な人材との関係性
優秀な人材を獲得しても離職してしまえば、採用担当者の努力も水の泡。採用担当者は離職理由を正しく理解した上で、人材流出を防ぐ策を講じることも大切です。
独立行政法人労働政策研究・研修機構が公表している「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ」によると、20~33歳の若年者が退職する主な理由は以下の通りです。
引用:独立行政法人労働政策研究・研修機構「若年者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ」
上記の中でも、「労働時間・休日・休暇の条件がよくなかったため」「キャリアアップするため」「会社に将来性がないため」などは特に優秀な人材の離職に関わる内容といえそうです。
「労働時間・休日・休暇の条件」を理由に離職する背景には、優秀な人材に業務を任せすぎていることが考えられます。いくら優秀な人材でも、1人の人間が処理できる量には限界があります。優秀な人材に過度な労働を強制しないようにするために、他の社員を教育してタスクを分散できるようにしましょう。
優秀な人材は具体的なキャリアプランを作成している傾向があります。「キャリアップ」を理由にした離職を防ぎたい場合、まず社員のキャリアプランについて話し合う機会を設けましょう。キャリアアップの基準が言語化されていない場合は、基準を設け、社員への周知を図ることも大切です。
「会社に将来性を感じない」を理由にした離職を防ぐには、「会社のビジョンが明確か」「事業計画は最適か」などの視点で数年~数十年先の企業の姿を改めて考えてみると良いでしょう。企業のありたい姿を考えるとき、社員一人ひとりの声をすくい上げる配慮も忘れずに。
企業に対する考え方が肯定的になり、会社への不満を理由にした離職の減少につながるかもしれません。
優秀な人材ほど早く辞めていく?優秀な人材の定着に効果的なリテンションマネジメント
優秀な人材を確保するには、場当たり的に対応しても効果は限定的です。ここでは、リテンションマネジメントの概要や優秀な人材に効果的な考え方を紹介します。
リテンションマネジメントとは
「リテンションマネジメント」とは、離職防止の取り組みを指します。具体的には、必要な人材の離職を防止し、能力を発揮できるよう各種施策を実施する取り組みです。
このワードに使われている「リテンション(retention)」とは、直訳すると「保持・維持」を指します。人事分野では、人材の確保という意味で、この用語は使われています。
知っておきたいリテンションマネジメントのメリット
リテンションマネジメントは従業員の「不満解消」「意欲向上」をさせることができます。これにより自社へのロイヤリティを高められることが大きなメリットです。
また、リテンションマネジメントにより、キャリアアップの支援などに力を入れていくことで、優秀な人材を定着させることが可能です。優秀な人材が定着することで、自社の競争力を維持・向上につなげることが期待できます。
優秀な人材の確保に効果的なリテンションマネジメントの考え方や改善例 | 知るべき動機付け・衛生理論
企業としては育ててきた優秀な人材を手放したくないでしょう。ここでは、とくに優秀な人材の確保にスポットをあてて、リテンションマネジメントを整理します。
押さえておきたい、動機付け・衛生理論
優秀な人材を確保するために知っておくべき理論として、「動機付け・衛生理論」があります。この理論は、アメリカの臨床心理学者フレデリック・ハーズバーグが提唱した行動科学理論です。
動機付け・衛生理論の概要は次のとおりです。
- 職務に満足する要因(動機付け要因)は、仕事の達成感・責任の拡大といった仕事の動機付けを高めること
- 職務の不満足につながる要因(衛生要因)は、会社の政策や報酬、対人関係などが欠けていること
衛生要因をいくら改善しても不満を解消するだけであり、従業員を満足させることはできません。優秀な人材を確保するためには、衛生要因はもちろん、職務を満足させる「動機付け要因」を改善することがポイントです。
(※参考)リクルートマネジメントソリューションズ:「「動機付け理論」とは | 用語集」
優秀な人材の確保に効果的な動機付け要因の改善例
次に優秀な人材の確保に効果的な動機付け要因の改善例をあげますので、参考にしてください。
- あるべき姿や理念・価値観などの共有化(経営層による理念浸透の場を設ける、わかりやすくペーパーにまとめるなど)
- 経営計画・経営ビジョンの共有(中期経営計画や経営ビジョンを従業員へ浸透させるなど)
- キャリア形成支援(キャリア面談や新事業提案制度の構築など)
- 責任の拡大(年次に応じたキャリアマップの作成など)
- 意欲的な社風・カルチャーを醸成させる(マネジメント層や従業員の意識改革を図るなど)
このように、動機付け要因を改善していくことで、優秀な人材の定着が期待できます。
まとめ
優秀な人材とは、会社に利益をもたらすことができる人を指します。ただし、具体的にどのような能力を持つ人を優秀と呼ぶかは、職種や企業などによって変わります。自社にとって「優秀な人材」とは何かを知りたい方は、クイックの「採用コンサルティング」の導入を検討してみてください。
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