新卒採用の調査資料「就職白書2019」を分かりやすく解説しました。 COLUMN

更新日:2019.03.07

毎年、リクルートが発表している新卒採用についての資料「就職白書」こちらの最新版である就職白書2019がリリースされました。

いち企業では到底リサーチできない大変有益な情報満載の資料。ではありますが、グラフだらけで読むのが大変です。最初から最後までじっくり読み込むと数時間かかります。仮に読んだとしても、数字をどう解釈するかに頭を悩ませる方も多いと思います。

そこで今回は、そんな就職白書2019の要点をおまとめした記事をご用意しました。ボリュームたっぷりですが、元の資料を読むよりはずっと楽なはずです。

※以下、就職白書2019および就職白書2018からグラフ、データを引用して作成しています
就職白書2019
就職白書2018

目次

学生は就活に満足しているが、納得はしていない!?


2019年卒の入社予定者に対する企業側の満足度のグラフと、就職先企業への学生側の満足度のグラフです(比較するために、弊社で元のデータを加工しています)。

本来は別々のページに記載されているデータですが、並べてみると一目瞭然ですね。
企業の満足度よりも学生側の満足度のほうが高い傾向にあります。売手市場を裏付ける結果が出ていると言えます。

就職先への納得度から伺える、学生のホンネ

しかし、学生側の調査データにはもう一つ指標がありました。それは、入社予定の企業に対する「納得度」というものです。

こちらも企業側の満足度のグラフと並べてみました。

満足度で比較すると大きな差がありましたが、企業側の満足度と学生側の納得度を比べるとその差は小さくなります。

納得度のグラフからは、「売手市場で内定が取りやすかった=第一志望の企業に入社できた=満足はしている⇒でも…納得はしていない」という学生のホンネが垣間見えます。

満足度と納得度の差が生まれる因には、広報解禁から内定までが短期間になっていることがあると考えられます。

選考・内定出しが前倒しすぎて、学生は悩む時間どころか、アクションする時間すらない

こちらをご覧いただくと顕著です。一部を除いて、明らかに学生のアクション総数が減っています。伸びているのは、リクルーターとの接触とインターン参加のみ。

2019は企業の選考時期・内定出しの時期が2018よりもさらに前倒しになったため、3月1日から就活を始めた学生の場合、悩む時間どころか、選考に参加できる数にも限界があったのではないでしょうか。プレエントリーの社数が35.84社から27.38社に大幅減少しているのが象徴的です。

3月以降の、選考スケジュールの前倒しは、これ以上無理?

折れ線グラフには、就職白書2018を参考にして、2~7月部分だけ18卒の面接、内々定・内定出し結果も追記しています。また、2020年の数字は企業の予測数値となっています。

グラフをご覧いただくと、18卒から19卒で選考スケジュールが大きく前倒しされたのに対して、20卒の見込み数字はそれほど前倒し傾向になっていないことが読み取れます。

2020新卒については、19卒と同水準かそれよりも少し早い選考スピードが予測されるものの、18卒⇒19卒ほどの加速スピードはないかもしれません。選考を受ける学生側のスケジュール対応が限界であることも合わせて、そんな見通しを立てることができます。

新卒採用の「通年化」が止まらない

リクナビやマイナビがオープンする、3月から採用活動をはじめる学生の割合は、2017年卒の38.5%、2018年卒の37.2%から、一気に下落して2019年卒では26.1%に。一方、3年生の6月以前から就活を始める学生の割合が大幅にアップして、13.1%となっています。

つい先日開催された3日1日の合同企業説明会も、2019年は動員人数が大きく昨対を割っている状況です。学生の行動開始時期は、昔のように広報解禁日に一極集中せず、分散する傾向がますます強まっています。

このペースで通年化が進むと、企業は数年以内に採用のスケジュールや仕組みを根本から変える必要に迫られると思われます。

就活=インターン時代の到来:95.1%の企業がインターンシップを実施

企業側のインターンシップの実施率は、いまや95.9%にまで達しました。従業員300人未満のセグメントでも、88.6%の実施率。諸事情により開催できない企業を除けば、ほとんどすべての企業でインターンシップが実施されていることになります。

学生のインターンシップ参加割合も55.9%と半数以上に

実質、インターンの時点で就活の本番が始まっている、といっても過言ではない状況が名実ともに形成されつつあります。

グラフを見ると学生のインターンシップ参加は、伸びが鈍化してきているようにも見受けられますが、事項で紹介する図表をご覧いただくと、インターンシップ参加の流れはまだ伸びしろがあると感じていただけると思います。

インターンシップの影響力は、リクルーターや採用サイ ト以上に高い

こちらの図は、入社予定の企業に対して、「納得している人」と「納得していない人」で、情報収集の手段にどのくらい違いがあったかを比較したものになります。

左上のインターンシップの部分をご覧ください。
就活結果に納得している人は64.3%がインターンシップに参加しています。一方で、就活結果に納得できなかった人は42.5%しかインターンシップに参加していません。

表の下段に「納得している-納得していない」の数字がかかれていますが、ここの数字の大きさはインターンシップが就活の納得度に与える影響の大きさを示しています。大きいほど影響大ということです。

ほかの情報収集の手段と比較いただけると、インターンシップが学生にとって、入社の納得度を左右する重要なファクターになっていることをご理解いただけると思います。

90%近くの企業が採用広報目的でインターンを活用、選考目的も50%に迫る勢い

88.2%:仕事を通じて、学生に自社を含め、業界・仕事の理解を促進させる広報
46.1%:入社意欲の高い学生を絞り込む選考
42.5%:採用を意識し学生のスキルを見極める選考

「スキル」を見極める42.5%とありますが、これが仮に「ポテンシャル」を見極めるという問いだったら、もっと高い数値が出ていたのではないでしょうか。学生に対して、入社前からスキルを求める企業は一部の職種・業種に限られています。

インターンシップを賢く活用する企業も台頭

また、上記グラフで注目したいのは2019から新たに追加された問いの中で「学生の受け入れを通じて、社内人材を育成する16.1%」「入社後の活躍や定着を促進する21.8%」の2つです。
採用活動とのシナジーや採用後の定着まで見据えて、組織的にインターンシップを活用する、先進的な企業も現れている点は認識しておくべき事項です。

ちなみに、皆様の予想通りだとは思いますが、社会貢献目的のインターンシップは右肩下がりに減少しております。

インターンシップを使って、企業が本気で採用しはじめた

企業側のあふれ出る採用意欲は隠しきれず、データにもしっかり現れています。
こちらは学生視点の資料で、インターンシップ参加企業に、学生さんが入社した割合を示しています。

ご覧の通り、インターンシップに参加した企業に、そのまま入社する学生が2019卒のタイミングから37.3%と大幅に増えています。企業側の直接的な「口説き」が強まったということです。

これまでは3月1日に向けた「名簿獲得」の意味合いが強かったインターンが、どんどん「内定出し」目的に移行してきていることが明確に反映された結果だと言えます。

300人未満の企業が、インターンシップ経由で40%以上内定出しできているのは、とんでもない成果

内定者のなかにインターンシップ参加者がいた割合を示した図表です。
全体だと75.4%の企業がインターンシップ経由で内定出しできていることになりますが、実は一番規模の小さい300人未満の企業でも45.1%という高い数値が出ています。

これは実は、とんでもないことなのです。理由を説明します。

大手企業はインターンシップを大々的に開催することが多いです。そもそもインターンシップの参加母数がとても多い。さらに内定者の数も多いです。そうなると、その中に一人くらいインターンからの内定者がいても全然不思議ではありません。

ところが300人未満の企業が開催するインターンシップは、一般的に小規模であることが多いです。参加母数は少ない。内定者の数も少ない。そんな状況の中で、45.1%の企業が内定出しできているというのは、驚くべき事実ではないでしょうか。

インターンシップには、入社後のミスマッチを防ぐ効果があることも分かってきました。少数精鋭の採用を行いたい中小企業こそ、むしろインターンシップが重要と言えるかもしれません。

インターンシップ実施、伸びているのは1dayと2day

伸びているのは「1日」と「2日」。
絶対数が多いのは「1日」と「3日~7日未満」です。

実施月は2月が68.0%と最も多く、次が8月の57.7%。他は9月、12月、1月が20%代で実施数が多いです。インターンシップを実施する際に、どのくらいの期間に設定するかは悩みどころだと思いますが、実態はこんな状況です。

このグラフはこれだけ把握いただければOKでして、より重要なのは、以下でご紹介する学生から見たインターンシップについてのアンケートデータになります。

学生ウケが良いインターンシップ プログラムは何か

こちらはインターンシップに参加した学生が、プログラムに対して「参加して良かった」か「時間の無駄」だと思ったか、を表したグラフです。

全体傾向としては、実務に近いことを体験できるインターンプログラムが、学生には喜ばれやすいことが読み取れます。この辺りは、ご認識の通りだと思います。

ワーク・グループディスカッションは、テーマ選びに要注意

注意点は、インターンシップの定番である「ワーク」や「グループディスカッション」は、テーマ選びに慎重になったほうが良いということです。
下から5番目の「社会的な課題やテーマについてワークやディスカッションなどをする」は、参加しなければよかったと感じる人の割合が非常に高くなっています。

同じワークやディスカッションでも、上から3番目の「新規事業について」というテーマであれば、不満足に感じる割合は激減します。新規事業をテーマにしたほうが、実際の仕事内容に近く、企業理解につながるからだと推察されます。

「業界や会社の説明」は、実施するターゲットを間違えると致命的

また、一番ベタなコンテンツである「業界や企業の説明」は、良いと思う人が一番多く60%以上いる一方で、無駄だと感じる人も50%近くいる諸刃の剣となっています。
ポジティブ、ネガティブ、両方の割合が高く出ているのは、インターンに参加する学生の意識が二極化しているためです。

自社が狙うのは、実務に近いリアルなインターンシップを求める層(いわゆる優秀層)なのか、従来の就活の延長として捉えている一般学生層なのか。採用ターゲットに応じて使い分けることが必要です。

100点満点のインターンシッププログラムは存在しない

これはまったく別視点の読み方になりますが、グラフをご覧いただければ、「すべての学生にウケる最強のインターンプログラム」なんてものはないのだ、ということもご理解いただけると思います。
考えてみれば当たり前のことなのですが、学生に喜ばれるプログラムを一生懸命に考えていると、案外、見落とされがちなポイントではないでしょうか。

最強のインターンプログラムは存在しません。ではどうすれば良いのでしょうか。解決策は2つです。

1つは、採用ターゲットを明確に定めた上でプロモーション(集客)を行うこと。自社の提供するコンテンツに共感してくれる学生だけを集客するのです。

2つめは、学生との認識のズレを修正するために、インターンシップのプログラム内容について、できるかぎり具体的な告知を行うこと。プログラムを箇条書きにして細かく示したり、前年度の取り組みの様子を動画で見せてあげたりするなど、伝え方の工夫で学生とプログラム内容のマッチ率を高めます。

実施期間とプログラム内容には、相性がある

このグラフからは、同じプログラム内容でも、実施期間が異なると学生の印象が変わることも読み取れます。

たとえば、「自己分析」や「就職活動の仕方やノウハウ」については、長期のインターン内で実施した方が学生の印象はアップします。

数日間のインターンシップを通じて、自分のことをよく分かってくれている先輩社員からフィードバックを受けるのと、1dayでその日に会ったばかりの人にダメ出しをされるのとでは、学生の受け止め方に雲泥の差が生まれることを想えば必然の結果ですね。

投資を緩めた企業は脱落必至、厳しい新卒採用マーケット

こちらは、2020年の新卒採用で、企業がどんなコミュニケーション手法を使う予定かのアンケート結果です。
この表の読み方のポイントは一つです。
投資のアクセルを緩める企業はほとんどない、ということです。

なかでも、リクルーターやスカウト、リファラル、説明会、SNSの活用への投資が伸びています。伸びているのは、どれも1対1のコミュニケーションにつながる採用手法ばかり。逆に、若干マイナスに転じているのは、就職情報サイト、説明会、学校への求人票、新聞広告、とマス向けの施策が多いです。

2020新卒採用:苦戦が予想されるのは1000~4999人未満企業

この図、一見すると大手になるほど採用に課題感を感じているようにも見えます。ですが、獲得しようとしている人材レベルを考慮すると、1000~4999人未満の企業はかなり危機的状況です。

なぜなら、1000~4999人未満企業の採用競合となる5000人以上企業は、おそらく現時点で一番、お金も人も投資しているはずなのに、それでもまだ足りないと課題感を山盛りに感じています(5000人以上の縦のラインは、オレンジのマーカーがたくさんついていますよね)。

そこと正面から競合するはずの1000~4999人未満企業の課題意識は、ご覧の通り5000人以上の企業に、大きく負けてしまっています。一般論ではありますが、追いかける企業のほうがたくさん投資をしないと、先行する企業に勝つことはできません。

また、課題に感じている項目が、「採用計画」「選考基準の統一化」「採用スケジュール」と、5000人以上の企業群と比べると後手に回っている感も否めません。極めつけは、自社認知度への課題感が64.0%と300人未満企業の61.0%より高くなってしまっている点。5000人以上の巨大企業と人材を獲り合うことの過酷さが伺えます。

採用を人事に丸投げしている企業は、企業規模・業種問わず「負け組に」

新卒採用においては、先輩社員の動員が成否を左右することが如実に数字に表れています。企業規模別、業種別、どちらのセグメントで見ても、採用できている企業は、先輩社員の協力人数が多いです。

採用は人事部門が単独で行うものではなく、企業全体で主体的に取り組むものに変化しています。経営層に人材採用の重要性について認識がない企業は、採用市場で敗北し、結果的にビジネスシーンでも苦境に立たされることになるでしょう。人事担当の方は、経営層の方にぜひこの数字をご覧いただいてください。

ちなみに弊社は1000~4999人に分類される企業ですが(と言っても1165人で300~999人企業に近いですが)新卒採用に関わる先輩社員数は、充足基準の31.8名を遥かに上回る人員を投入しています。全社を挙げて新卒採用に取り組むことで、2019卒新卒採用においては100名以上の採用を成功させています。

就職白書2019の解説は以上になります。
みなさまの採用活動のお役立ていただけましたら幸いです。
ご不明点などございましたら、弊社営業スタッフにお気軽にご質問ください。

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補足:OB・OG訪問の減少について

グラフを見ると、企業側・学生側ともにOB・OG訪問の割合が減少しています。要因は3つありそうです。

1つめは、インターンなどの活発化により、OB・OGという軸ではなく、業界や仕事内容といった新しい軸で、学生が企業にアクセスできるインフラが整ったこと。近年、取り組みが増えているリファラル採用に吸収されてしまっている側面もあると思います。

2つめは、売手市場のためOB・OGの威光に頼ることなく就活できてしまう点。

3つめは、OB・OG側の社会人が、学生に性的な関係を迫ったとして社会問題にもなっているように、OB・OG訪問が非公式化していることです。企業を通さなくても、スマホを利用して気軽にOB・OG訪問できてしまう現実があります。
※このサイトでも以前に「マッチャー」というOB・OG訪問アプリを紹介していますが、事件の影響で今後、OB・OG訪問アプリの使用を禁止、または公用化する企業が増える可能性も考えられます。

編集・執筆/ナカモリ ノリヒト

コピーライター、求人媒体の管理・運用職を経て、2011年クイックに入社。ディレクター・プランナーとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)に携わっています。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。御用の方はこちらまで⇒nakamori-norihito@919.jp

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