第二新卒とは?
「第二新卒」とは、一般的に大学・短大・専門学校・高校などを卒業後、企業に就職してから3年以内に転職を考えている人材をさします。ただし実は明確な定義がある言葉ではないため、どこまでを第二新卒扱いにするかは各社異なるのが実情です。
人材採用には大きく「新卒採用」「中途採用」の2つがありますが、第二新卒は中途採用に分類されます。しかし、即戦力を期待する一般的な中途採用とは異なり、第二新卒は入社後の育成を前提として、ポテンシャル重視で採用する傾向にあります。
第二新卒と似た言葉として「既卒」が挙げられます。既卒は学校卒業後に「国家資格取得や公務員を目指していた」「望んでいた企業からの内定が得られなかった」などの理由から一度も就職をしていない人材のことをさします。そのため第二新卒と既卒は、就業経験のある・なしで区別されています。
各社の第二新卒の定義が異なるように、求職者側である第二新卒者も置かれた状況はさまざまです。ほぼ新卒同様の状態の人材から、ある程度のビジネススキルが身に付いている人材まで、多様な人材が含まれています。
第二新卒を採用するメリット
少子化が進む日本では、今後も新卒採用の人材獲得競争は激しくなり、予定した新卒採用数に満たない企業の増加が予想されます。
新卒採用だけで人材確保が難しい企業にとって、第二新卒は注目の採用方法と言えますが、改めて第二新卒を採用するメリットについてお伝えします。
基本的なビジネスマナーが身に付いている
新卒入社者と異なり、ある程度の就業経験がある第二新卒者は基本的なビジネスマナーが備わっている可能性があります。
前職企業で基本的なビジネスマナーなど社会人としての基礎は身に付けているため、新入社員研修のような手間やコストが発生しないケースがほとんどです。
企業側からすると、基礎のビジネスマナーが身に付いた人材を採用できる安心感に加えて、基礎的な人材育成コストが削減できる点がメリットと言えます。
通年採用ができる
新卒は4月入社が基本ですが、第二新卒の場合は通年採用が可能です。
企業の繁忙期を避けたり、人材採用ニーズが発生した時期に絞ったりして、柔軟に人材を採用できるメリットが第二新卒にはあります。
また選考プロセスは通常の中途採用と同じであることが一般的で、応募から数週間で内定・入社に至るため、スピーディに採用が進められるメリットもあります。
職場に馴染みやすい
新卒から3年以内と前職の在籍期間が短い第二新卒の場合、会社や仕事に対しての固定概念がそれほどないため、自社の仕事の進め方や企業文化にも早く馴染むことが期待できます。
考え方が柔軟で、ITスキルが高い若手人材が多いのも第二新卒の特徴です。
経験値が高い中途社員だと、自分の仕事スタイルや前職のルールに固執してしまって、職場で軋轢を生むなど生産性を低下させてしまうケースも想定されます。
その点、第二新卒は勤務経験が浅いので、企業の理念や風土を浸透させやすかったり、指導しやすかったりする点が魅力です。
第二新卒を採用するデメリット
次に第二新卒を採用するデメリットを紹介します。デメリットを事前に把握しておけば、デメリットを回避するために適切な手が打てるようになります。
早期退職のリスクがある
第二新卒者が前職を退職した理由はさまざまでしょうが、他社を早期に退職した経験を持っていることは事実です。
つまり、自社に入社しても早期に離職するリスクがあるため、面接では前職の退職理由などをしっかりヒアリングする必要があります。あまりに些末な理由や他責の理由で退職している場合、自社に入社しても小さなきっかけで離職する可能性があるため、注意してください。
その他、面接では自社を選んだ理由はもちろん、就業観や将来的に描いているキャリアプランについて深掘りすることもおすすめです。
ただし第二新卒はまだキャリアプランが明確に描けていない方も多いため、キャリアプランそのものがないとしても、しっかりと考える心づもりがあるかどうかなどの人間性を確認するようにしましょう。
中途採用ほど即戦力は期待できない
スキル・知識の面では、通常の中途採用と比べると第二新卒の不足感は否めません。
ビジネスマナーは備わっているものの、新卒の見習い期間が長い企業にいたような方は、仕事の実践度合いは期待できません。
過度に即戦力としての期待をせず、前職で身に付けたスキルをベースにしながら、自社で育成するという姿勢が重要になります。入社者が本来の力を発揮できるまできちんと育成する体制があれば、第二新卒が長期的に活躍できる可能性が高まります。
職場環境を前職と比較されやすい
新卒入社者は他の企業を経験していないため、自社の職場環境を受け入れやすいという特徴があります。
一方、第二新卒は他企業の職場を経験しているため、新卒と比べると前職と職場比較をされやすい傾向があります。
仕事経験が豊富にあるわけではないので「きれいなオフィス」など、仕事よりも環境面に目が奪われやすいのも第二新卒の特徴として挙げられます。新卒とは違い一度は職場で働いた経験があるため、見た目の職場のきれいさだけではなく、レイアウトの機能性や他部署との配置など少し突っ込んだ目線でオフィス環境をチェックするのも第二新卒ならではの特徴です。
目の前の環境に一喜一憂させないよう、入社後は仕事のやりがいなど本質的な企業の魅力を理解させるようにしましょう。
第二新卒を採用する際の注意点
メリットが大きい第二新卒採用ですが、入社後、定着し活躍してもらえる人材を採用するために注意すべき点もあります。
ここでは2点お伝えします。
人材要件を明確にする
第二新卒に求める人材要件は、新卒採用や中途採用とは別に言語化することが望ましいでしょう。
第二新卒には明確な定義がないため、入社1年目で辞めてしまった新卒同様の人材から、ある程度の期間就業しスキルが身に付いている人材までさまざまです。自社で狙いたいのはどの程度の経験がある第二新卒なのか、新卒や中途と違って何を重視したいのか、などを事前に明確にするようにしてください。
人材要件が明確になれば、面接の基準に活用できることはもちろんのこと、求人票などでも求める人材をクリアに表現できるようになります。より自社にフィットしやすい第二新卒からの応募が期待できるでしょう。
人材要件については、以下の記事で詳しく解説しています。
人材要件の作り方が分からない方や、思うような人材が採用できないとお悩みの方はぜひこちらの記事も参考にしてください。
人材要件の定義や作り方、条件の優先順位付け・ペルソナ設定のコツ
入社後にきちんと育成する
一度は退職経験がある第二新卒ですが、自社入社後は早期離職を防ぐためにも丁寧に育成を施すことを前提としてください。
面接の際に志望動機や前職の退職理由を入念にヒアリングしたとしても、入社後すぐに職場に馴染むケースは稀です。特に第二新卒は一社しか経験がないケースが多いため、入社後にギャップを感じた際に不安に感じやすい傾向があります。
そのため、入社後はビジネスマナー以外の会社や部署の知識をインプットする機会を設け、実働後も小まめにフォローをすることが重要です。できれば年齢の近い社員をOJT担当として育成ミッションを付与し、細かい気持ちのフォローなどが行える体制を整えることが望ましいでしょう。
クイックではお客様の採用活動を支援する「採用コンサルティング」を行なっております。
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第二新卒の採用方法
通年で採用が可能な第二新卒ですが、主に新卒採用数がある程度見込める7~9月、もしくは新卒と研修を同時に行うため1~3月にかけて募集する傾向があります。
ここでは第二新卒の採用方法・採用ルートについて紹介します。
求人媒体(求人メディア)
第二新卒の採用でメジャーなのが求人メディアを活用した採用手法です。
幅広い業界・職種を網羅した総合型求人サイトでは、「第二新卒」の特集が設置されてることがあります。
その他、20代の転職者に特化した求人メディアなども、第二新卒の募集と相性が良いでしょう。求人メディアを見て、新しい環境を自らの目で探したいと思っている意欲的な第二新卒が見つかる可能性があります。
リファラル採用
リファラル採用とは、社員の知人・友人を紹介してもらう手法で、昨今多くの企業が取り入れています。自社の企業文化や仕事内容をよく理解した社員からの紹介となるため、マッチ度が高い傾向があります。
特に第二新卒はまだ大学卒業後間もないため、自社の若手社員の大学時代の知人などを紹介してもらうリファラル採用のルートは有力な手段となるはずです。
クイックではリファラル採用の導入もサポートしています。
実はリファラル採用は単に導入しても、効果はほとんどありません。
リファラル採用の導入を検討している方や、リファラル採用の成果が出ない方はぜひ参考にしてください。
リファラル採用の導入・定着サポート
人材紹介(転職エージェント)の活用
専任のキャリアアドバイザーが人材を紹介してくれる転職エージェントを活用すると、自社にマッチングしやすい第二新卒の紹介が期待できます。
特に20代や若手に特化した転職エージェントには、やる気が高い第二新卒者が登録している傾向があります。
人材紹介は成功報酬型が多いため、依頼そのものは初期費用が発生しないメリットがあります。
成果報酬は入社人材の想定年収の20~30%が一般的なので、まだ年収がそこまで高額にならない第二新卒でも利用しやすい手段と言えるでしょう。
大学や専門学校のキャリアセンター
大学や専門学校のキャリアセンターは、メインの対象は在校生となりますが、多くの大学では既卒者も受け入れています。
新卒入社した企業に疑問を感じた若手社員が大学のキャリアセンターに相談しているケースもあるため、押さえておきたいルートの一つです。
費用は発生しないため、求める人材がいそうな大学や採用実績のある大学などに、求人情報を提供し、ネットワークを作っておくとよいでしょう。
まとめ
第二新卒はビジネスマナーや業務の基礎スキルは備えていながらも、まだ他社の慣習などに染まり切っていない層です。
ただし、中途採用と異なり即戦力のレベルに達している可能性は低く、入社後も企業側の育成やサポートが求められます。
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