飲食などサービス業の採用では「募集条件を高くすべき」理由 COLUMN

飲食などサービス業の採用では「募集条件を高くすべき」理由

求人募集をすると、簡単に人が集まる職種・業種もあれば、全然集まらない会社もあります。
なかでも、飲食店などのサービス系職種の採用は困難を極めます。

実際、人手不足やそれにともなう人件費・求人費の高騰により、業績を落とした飲食店の話を耳にする機会も多いと思います。

目次

多くの企業やお店が、採用失敗の、負のスパイラルに陥っている

求職者が集まりにくい職種の採用で一般的なのは、応募の条件を緩和して応募数を増やす戦略です。
しかし、この方法ではなかなか採用が上手くいきません。
皆様も一度はご経験がおありだと思います。

今回お伝えしたいのは、それとは真逆の発想です。
むしろ、募集条件はできるだけ高くしたほうが、採用成功できる可能性は高まる、という話をします。

以下、解説していきますので、ぜひご一読ください。

飲食に限らず、販売や介護、アミューズメントなど、採用難易度の高いサービス系職種全般に共通する考え方となります。
ぜひ採用のヒントにしていただけたら幸いです。

※アルバイト・パート系で、より汎用的な募集テクニックを知りたい方は、こちらもご覧ください。
アルバイトを募集しても、応募が来ない原因と対策。ポイントは若者目線。

「ブラックなイメージがあるから採用できない」は間違い!?

激務だったりノルマがきつかったり。
ブラックなイメージが邪魔をして応募が集まらない。
そんなふうに感じている採用担当の方も多いと思います。

でも実は、採用が成功しない根本理由はそこではありません。
誤った採用ターゲットに向けて求人をアピールしていることが、失敗の原因になっていることも多いのです。

※もちろん、寝ずに勤務させたり、1ヶ月間休みがなかったり、と明らかにブラックな労働環境の場合は例外です。念のため補足しておきます。

募集条件を下げても、応募は集まらない。

応募が集まりにくい職種の募集においては、多くの求人営業スタッフや募集側の企業が、弱気になってハードルを下げる方向で調整をしがちです。

「ウチみたいな会社に、経験者なんて来てくれない」という理由から、未経験募集に走ることも多いです。

自分たちの業界よりも待遇の低い環境で働く方や非正規雇用の方に向けて、「未経験から正社員になりませんか」「丁寧に教えます」と腰の低い訴求をします。

しかし、これがなかなかうまくいきません。

実はこれには理由があるので、その点についてこれから説明していきます。

未経験から「販売・サービス職」に転職する人は、ごく少数である、という事実。

こちらのグラフをご覧ください。

転職先として「販売・サービス系職種」を選ぶ人の割合を示したグラフです。

(出典:doda/https://doda.jp/guide/ranking/077.html)

ご覧いただいた通り、販売・サービス系の職種を選ぶ方はほとんどいません。

どんなにハードルを下げ、未経験者に訴求しても応募数が伸びないのは、そもそも異職種から販売・サービス職にチャレンジしたい人が、ほとんどいないことが原因なのです。

販売・サービス職から、他職種への人材流出は多い。

もう一つ、こちらのグラフをご覧ください。

このグラフでは、ある職種の人が転職する際に、いまとは異なる異職種に転職した割合を示しています。

(出典:doda/https://doda.jp/guide/ranking/077.html)

 グラフをご覧いただくと一目瞭然で、販売・サービス系職種の方の70%以上が、異職種に転職してしまっていることが分かります。

つまり、販売・サービス系職種から他の職種に、大量に人材が流出してしまっています。

他の職種から入ってくる量が少なく、出ていく量は多いのです。
販売・サービス系の職種の中途採用が、大苦戦する根本原因はここにあります。

しかし、これだけ厳しい採用環境にも関わらず、私たちがあえて「採用ハードルは上げるべき」と主張するのには理由があります。

補足:販売・サービス系職種よりも専門職のほうが異業種への転職が多い理由
このグラフにある専門職は「コンサルティングファーム」「監査法人などのコンサルタント」「金融のミドル・バックオフィス」「不動産関連」「法律事務所」など、各領域の専門職が該当します。
これらの専門職種の方は、専門知識を活かして様々な業種で活躍が可能なため、結果的に異業種への転職が多くなっていると考えられます。

なぜ、募集のハードルを上げたほうが採用成功できるのか。

実は、さきほど挙げた「販売・サービス職から、他職種への人材流出が多い」ことがヒントです。

販売・サービス職の領域では、多くの人が20代で自分の進路を見つめなおし、半分以上の人が他の業種へと転職していきます。

たとえば、「結婚を機に土日に休める仕事に就こうと思った」といった動機から、営業職に転職する求職者は珍しくありません。

では逆に、販売・サービスの仕事を続けている人は、どんな人なのか考えてみましょう。
むしろ、ターゲットにすべきは、こちらの層であることがハッキリします。

販売・サービスの仕事を続ける人は、どんな人?

平均年収が他業種と比較して高くなく、労働時間が長くなりがちな販売・サービス職では、結果的に、図の右上のエリアに近い人しか残らない業界構造になっています。

一言でいえば、接客が好きで職務適性も高い優秀な人たちです。

サービス職に従事するベテラン社員の方にお話を伺うと、みなさんに共通しているのは、接客の仕事が大好きであるという点。

これは極端な例かもしれませんが、なかには「店頭に立ってお客様と会話するのが趣味」「正直、休みはなくてもいい」とまでおっしゃる方もいるほどです。

狙うべき採用ターゲットは、仕事を愛するサービス業経験者。

転職時に、引き続き販売・サービス職を選ぶのは、業界のハードな働き方に適応し、その仕事にやりがいを実感している人が多いということになります。

この層に対しては、冒頭でお伝えしたようなハードルを下げたアピールをしても、残念ながら効果はありません。
接客が大好きな人たちがもっとも嫌う職場は、サービスに対する意識の低い職場だからです。

募集時の求めるハードルを下げれば下げるほど、接客が好きな転職者の目には、やりがいのない退屈な職場に映ってしまいます。
結果、有効応募が集まりません。

普通のお店が、ハードルを上げた募集をする方法

ここまで読んでいただいた方の中からは、

「ハードルを上げるといっても、うちは何の変哲もないふつうの居酒屋だしナァ」

なんていう声が聞こえてきそうです。
大丈夫です。打ち手がないわけではありません。

大切なのは経営者の志と、目標実現のための条件提示です。
現時点で、特別なお店である必要はありません。

「いまよりもっと素晴らしいお店にしたいから、一緒に実現してくれる人に来てもらいたい」
「そのために、あなたにこんな環境を与えます」

ということが言えれば、十分可能性はあります。
ベタな言い方になりますが、明確なビジョンを示すことが大切です。

もちろん宣言した以上は、口先だけで終わらないように、お店のあり方を変えていく必要性があります。
広告内容と実態が違っていると判断されれば、早期離職になってしまいます。企業も求職者もお互い不幸になりますので、その点はどうかご理解ください。

まとめ

年々、求職者と企業の関係がドライになりつつある中でも、サービス業はまだ比較的、感情に訴えかけるメッセージが響きやすい世界だと実感しています。

「人」が何より大きな役割を担う業種だからこそ、どれだけ転職者に対して期待しているか、どんなお店を作っていきたいのかを、言葉にして示すことが大切です。

求人に応募が集まらない時、やみくもに条件を下げるのではなく、
攻めの採用に転じることも検討してみてはいかがでしょうか。

編集・執筆/中森規仁

コピーライター、求人媒体の管理・運用職を経て、2011年クイックに入社。ディレクター・プランナーとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)、Indeedなどの広告運用に携わっています。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。

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