求人キャッチコピーとは?
求人広告の要となる求人キャッチコピー。ここでは、求人キャッチコピーの概要や目的を解説します。
求人キャッチコピーとは
そもそもキャッチコピーとは、広辞苑によると「見る人に関心を持たせる短い宣伝文句。キャッチ‐フレーズ。(引用)」と定義されています。
この意味合いから、採用分野における求人キャッチコピーは、自社のビジョンや仕事の魅力をひとことで伝えるキャッチフレーズと定義できます。求職者は、求人キャッチコピーに興味をもった段階で、初めて求人広告の中身を読み進めるため、求人キャッチコピーは、求人広告の要といえる重要な役割を担っています。
求人キャッチコピー3つの目的
求人広告の重要な役割を担う求人キャッチコピー。ここでは、企業が求人キャッチコピーを作る目的を解説します。
採用ブランディングの形成
一つ目は、採用ブランディングの形成です。
採用ブランディングとは、自社の認知度アップや、求職者の入社意欲向上を目的に、戦略的に自社をブラント化すること。「自社のファンづくり」のために、企業理念や自社の価値観、求める人材像、社風などを、採用ターゲットに向けて戦略的に情報発信して母集団を高めていくのが採用ブランディングです。求人キャッチコピーは、情報発信時に最初に目につく情報であり、企業イメージを決定づける重要な位置づけになります。
自社の求人情報に誘導するため
二つ目は、自社の求人情報に誘導するためです。
求人キャッチコピーには、数ある企業のなかから、自社の求人情報に誘導する役割があります。採用ターゲットにとって魅力的な求人キャッチコピーを発信することで、求職者の応募意欲を「認知段階」から「興味段階」に引き上げることができます。数ある企業から採用ターゲットを自社の求人に誘導するためには、一目で求人情報を知りたくなるような自社の魅力をキャッコピーに凝縮することがポイントです。
他社との差別化
三つ目は、他社との差別化です。
労働力不足を背景に採用市場が激化している昨今、自社にマッチした人材から応募してもらうためには、企業イメージ面で他社と差別化することが重要です。求人キャッチコピーは、求職者が最初に目にする求人情報。この求人キャッチコピーで他社にない魅力を発信することで、他社との差別化を図り、自社を選ばれやすくすることができます。
応募したくなる求人キャッチコピーを作るコツ
キャッチコピーには求職者の注目を集める役割があります。ここでは、求職者が見て応募したくなる求人キャッチコピーの作り方とコツを紹介します。
新卒採用の効果的なキャッチコピーの作り方については「【2023年最新版】学生の心に響く!人気企業の採用キャッチコピー50選」をご覧ください。
短い文言で切れ味よく
キャッチコピー作成の際は、長すぎず印象に残るように意識してください。キャッチコピーに文字数制限はありません。しかし、人が一度に知覚できる文字数は13文字以内とされており、印象に残るキャッチコピーの多くは短い文言となっています。なるべく簡単な言葉を使うと、パッと見たときに印象に残るキャッチコピーになります。多くの求人のなかから自社を選んでもらうためにも、短い文言で自社の魅力を伝えるのがポイントです。
ベネフィットを示す
自社で働くと求職者が受けられる恩恵をキャッチコピーのなかに入れるのも重要です。ベネフィットを示すと、求職者が感じている悩みや不安が解消され、働く意欲が高まりやすくなります。
ベネフィットとは利益や恩恵を指します。求人広告におけるベネフィットは、「会社で働いて得られる利益」です。たとえば、未経験分野に飛び込むことへの不安を感じている方には「営業未経験者大歓迎!」「未経験OK 正社員登用実績多数」などがよい例として挙げられます。
数字や実績で具体的に示す
具体的な実績や数字は、求職者へのアピールポイントとして効果的です。
似た文章でも数字や実績が書いてある方が記憶に残りやすいため、例えば「少ない残業」よりも「残業は月20時間以下」、「非常に低い離職率」よりも「職場定着率9割以上」など、具体性を持たせてください。
違和感を演出する
わざと違和感のある演出をすると、印象に残る求人キャッチコピーを作成できます。例えばトゥモローゲート株式会社の「ようこそ。ブラックな企業へ。」というキャッチコピー。自分の会社をブラックな企業と表現してしまうところに違和感を覚え、どのような意図でブラックな企業と言っているのか気になって採用ページを読み進めてしまう人も少なくありません。
キャッチコピーは求職者の注目を集めるのも大きな目的であるため、一見マイナスの意味を持つ言葉を使うなどして、あえて読み手側に違和感を与えるのも一つのテクニックです。
視点を変えてみる
思い切って、お客さんからの視点の言葉に変えて、普通のキャッチコピーとは異なる切り口で文章を作成する方法もあります。
例えば、すかいらーくグループのアルバイト採用ページでは「居心地がいい理由は、あなたでした」というように、第三者目線での言葉は、「お客さんからこんな言葉をもらえるなんて、いったいどんな仕事なんだろう?」と興味を抱く人も多いはずです。
【新卒・中途別】効果を高める求人キャッチコピーの作成ポイント
求人キャッチコピーは、新卒採用と中途採用では訴求するポイントが異なります。ここでは、新卒採用と中途採用に分けて、効果的な求人キャッチコピーの作成ポイントを解説します。
学生に刺さる!新卒向け求人キャッチコピーの作成ポイント
新卒採用向けの求人キャッチコピーのポイントは、採用ブランディングです。
新卒採用は、基本的にポテンシャル採用のため、自社が採用ターゲットに何を訴求したいかを採用ブランディングの視点から決定することが重要です。このときのポイントとは、採用ターゲットに響く自社の価値観を次のMVV(Mission、Vision、Value)モデルの切り口で明確化することです。
- ミッション(Mission):企業の存在意義/あるべき姿
- ビジョン(Vision):中長期の達成すべき目標
- バリュー(Value):具体的な行動指針
どの切り口で訴求するかを決めて、採用ターゲットが共感する自社の価値観を求人キャッチコピーに落とし込んでください。
即戦力にリーチ!中途向け求人キャッチコピーの作成ポイント
中途採用向けの求人キャッチコピーのポイントは、即戦力にリーチすることです。
中途採用は、即戦力採用が主であるため、自社が求める人材像と具体的な求職者ニーズがマッチする要素の訴求が重要です。中途採用における求職者は、転職理由をベースに就職活動をしています。そのため、「スキルアップしたい」「自身のスキル・強みを活かしたい」「自身の価値観にあった職場で働きたい」など、採用ターゲットのニーズを充足するような求人キャッチコピーをつくることがポイントになります。給与などの待遇面を求める求職者の層には、待遇面を全面に出した求人キャッチコピーも効果的でしょう。
なお、中途採用向けでも、自社の価値観を訴求する場合は、前章でふれたMVV(Mission、Vision、Value)モデルの切り口での作成も有効です。
求人キャッチコピーの作り方! 簡単3ステップ
ここでは、求職者を瞬時に惹きつける求人キャッチコピーの作り方を3ステップで解説します。
ターゲットの明確化
第一ステップは、ターゲットの明確化です。
自社が求める人材像を具体化し、価値観や性格、スキル、適性などの採用ターゲットを明確化します。具体的には、採用マーケティングの下、自社の経営戦略に基づいた人事戦略を策定し、必要な人材要件を明らかにすることで採用ターゲットを明確化します。採用マーケティングでは、「3C分析」や「SWOT分析」といったフレームワークを活用すると効果的です。新卒採用の場合は、どのようなポテンシャルを求めるか、中途採用においてはどのような即戦力が必要かを主に作成することがポイントになります。
採用マーケティングや3C分析、SWOT分析を詳しく知りたい方は、「採用マーケティングとは?メリットやフレームワーク、7つの実施ステップを解説」の記事をご参考ください。
コンセプトの決定
第二ステップは、コンセプトの決定です。
「学生に刺さる!新卒向け求人キャッチコピーの作成ポイント」の章で解説したMVV(Mission、Vision、Value)モデルの切り口で、自社の価値観を訴求するポイントを抽出します。
- ミッション(Mission):企業の存在意義/あるべき姿
- ビジョン(Vision):中長期の達成すべき目標
- バリュー(Value):具体的な行動指針
この際に重要となるのは、競合他社との差別化を図ること。「自社に差別化できる強みはない」と思い込み、人事担当者が自社の強みに気付いていないケースもあります。その場合、各部門のメンバーとのブレーンストーミングによって強みを抽出することも有効です。それでも差別化できるポイントがない場合は、いくつかの特徴を組み合わせてストーリーとして打ち出すことで、差別化を図ることもできます。
競合他社との差別化に向けた自社の魅力の抽出方法を詳しく知りたい方は、「【事例付】採用CX(候補者体験)とは?成功に導く採用戦略構築ポイント」の記事をご参考ください。
キーワードへの落とし込み
第三ステップは、キーワードへの落とし込みです。
決定したコンセプトをキーワードに落とし込まなければなりませんが、求人キャッチコピーは短いセンテンスで構成されるため、訴求したいコンセプトはひとつに絞ることが重要です。
採用ターゲットに伝えたいことを集約し、ひとことでインパクトのあるキャッチコピーを作り上げてください。日本語であればおおむね10文字以内が理想です。句読点やカタカナをうまく取り入れることで、求職者を瞬時に惹きつけることが可能になります。
求人キャッチコピー事例10選
世間にはさまざまなキャッチコピーがあふれていますが、求職者が応募したくなるキャッチコピーは限られています。ここでは、求人キャッチコピーを作るコツを踏まえ、新卒採用、中途採用、アルバイト採用の3つに分けて事例をご紹介します。
新卒採用の求人キャッチコピー事例
新卒採用の求人キャッチコピーでは、求める人物像や社風を伝えている傾向があります。ここでは4つの求人キャッチコピーを紹介します。
丸紅株式会社 できないことは、みんなでやろう。
※出典:丸紅株式会社 新卒採用サイト
総合商社である丸紅株式会社は、一見、ソフトな言い回しでやさしい印象を与え、違和感を演出しています。しかし、その真の意図は、「どんなに壁が高くても、一人ひとりの強みを結集して乗り越える」という力強い想いを込め、従来の常識にとらわれない、多様な価値を創造できる人材を求めているというメッセージを伝えています。
- 違和感を演出する
LINE株式会社 We create “WOW”for the world!
※出典:LINE株式会社 新卒採用サイト
メッセージアプリLINEの運営などを行うLINE株式会社は、「WOW」という第三者目線の言葉を使って興味を惹くキャッチコピーにしています。企業は、世の中がWOWと思う、新しい価値の創造に挑戦できる風土があると伝えています。
- ベネフィットを示す
- 視点を変えてみる
小野薬品工業株式会社 熱き挑戦者たちであれ
※出典:小野薬品工業株式会社 採用サイト
薬品の研究開発や生産などに取り組む小野薬品工業株式会社は、独創的かつ画期的な医薬品の創製をもって新薬開発に特化し続けていることを一言に凝縮しています。
- 短い文言で切れ味よく
- ベネフィットを示す
- 違和感を演出する
JAXA 未知こそ、未来だ。
※出典:JAXA 新卒採用サイト
JAXA(宇宙航空研究開発機構)のキャッチコピーは、「未知こそ、未来だ」と短い文言で印象に残るものになっています。JAXAの仕事が、宇宙という未知に対して、先頭を切って未来を切り拓くことだと伝えています。
- 短い文言で切れ味よく
中途採用の求人キャッチコピー事例
中途採用では、業務内容や業務環境などをイメージさせるキャッチコピーが好まれます。これらをイメージできるキャッチコピーを3つ紹介します。
iYell株式会社 離職率ゼロを掲げる新しいベンチャーのカタチ それがiYell
住宅ローンプラットフォームを提供するiYell株式会社は、「離職率ゼロ」という具体的な数字を入れて、自社で働くメリットを示しています。キャッチコピーから、社員が働きやすい環境が整っていると伝わります。
- ベネフィットを示す
- 数字や実績を具体的に示す
HITOWAケアサービス株式会社 「あなたに会えてよかった」と言われる仕事
※出典:HITOWAケアサービス株式会社 イリーゼ公式採用サイト
介護・ヘルスケア事業を行うHITOWAケアサービス株式会社のキャッチコピーでは、「あなたに会えてよかった」というお客さん視点の言葉を使っています。企業側は、介護の現場でのやりがいを伝えています。
- ベネフィットを示す
- 視点を変えてみる
トヨタ自動車株式会社 トヨタは、あなたで加速する
トヨタ自動車株式会社のキャッチコピーは、短い文言で切れ味良く頭に残るものになっています。このキャッチコピーには、他社で培った技術や経験をトヨタで生かして、さらに発展させて欲しいというメッセージが込められています。
- 短い文言で切れ味よく
- ベネフィットを示す
アルバイトの求人キャッチコピー事例
アルバイトの求人キャッチコピーでは、働きやすさや時間帯、時給を重視する傾向があります。ここでは、働きやすさに焦点を当てた求人キャッチコピーの事例を紹介します。
株式会社すかいらーくホールディングス 居心地がいい理由は、あなたでした
※出典:すかいらーくグループ パート・アルバイト採用情報【公式】
外食チェーンの株式会社すかいらーくホールディングスのキャッチコピーは、「居心地がいい理由は、あなたでした」とお客さん視点のものになっていて、アルバイトのやりがいが伝わってきます。
- ベネフィットを示す
- 視点を変えてみる
株式会社ローソン 楽しい仲間がたくさんいるから私たちは、これからもローソンクルー
株式会社ローソンのキャッチコピーでは、「私たちは」という言葉を使っていて、アルバイト視点のキャッチコピーになっています。実際にここで働いてみたいという意欲を掻き立てます。
- ベネフィットを示す
- 視点を変えてみる
株式会社王将フードサービス お客さまの「美味しい」が私たちの働く喜び
餃子で有名な株式会社王将フードサービスのキャッチコピーでは、「美味しい!」という顧客視点の言葉が使われています。アルバイト・パートであっても、プロフェッショナルな心を持って仕事をしていることが伝わります。
- ベネフィットを示す
- 視点を変えてみる
多数のキャッチコピー事例を参考にしたい方は、「【2023年最新版】学生の心に響く!人気企業の採用キャッチコピー50選」の記事もご覧ください。
求人で伝わりやすい文章・文言を作成するには?
思わず応募したくなる求人キャッチコピーを作成しても、求人広告の内容が分かりにくいと求職者からの応募も期待できません。求職者に伝わりやすい文章や文言を書くコツを紹介します。
要点が簡潔にまとめられている
求人広告ではなるべく長い文章を用いずに、短い文言で端的に伝えるのが好ましいです。特に未経験者を募集する場合は業界の専門用語は使わず、誰にでもわかりやすい言葉を使った方がよいです。
将来像がイメージできる
配属先や雇用形態、役職や職種、業務形態など、求職者が採用後の将来像をイメージしやすくなる情報をしっかり載せてください。
応募したくなる求人広告には、将来像がイメージできる文章が記載されています。採用後どの部署に配属されるのか、どのポジションで働くのかが明らかになっていると、自分が働く姿をイメージしやすくなり、応募への意欲につながります。
求める人物像がはっきり伝わる
求人広告は「未経験者大歓迎! 社内全体で徹底サポート」「事務経験ある方大募集 大手企業で働いてみませんか?」など、求める人物像がはっきり伝わるように書くことが大切です。
人物像が具体的に描かれていると、「この仕事なら私でもできそう!」「私の経験にピッタリだ!」という気持ちになり、応募喚起につながります。
未経験者でも良いのか、経験者であればどの程度のスキルを求めているのか、どのポジションで働いてほしいのかなど、求人広告を読んだだけで求める人物像が伝わる工夫が必要です
まとめ
本記事では、効果的な求人キャッチコピーを作るためのコツやポイントを新卒・中途別に説明するほか、簡単な作り方を3ステップで解説しました。
効果的な求人キャッチコピーを作るポイントは、自社の採用ターゲットに響くキャッチフレーズをひとことに凝縮すること。これにより、求職者を瞬時に惹きつけ、自社の求人情報への誘導が可能になります。
本記事を参考に、採用ターゲットに響く効果的な求人キャッチコピーを作り上げましょう。
今回紹介したキャッチコピー以外にもご興味ございましたら、500社のキャッチコピー集も合わせてご確認ください。
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