内定承諾の決め手とは?内定承諾率を上げるために人事ができることを解説 COLUMN

2022.03.23

2023.07.11

内定承諾の決め手とは?内定承諾率を上げるために人事ができることを解説

選考を重ねて内定を出しても、就活生から内定辞退の連絡が届く場合があります。採用目標人数を達成するためには、就活生が内定承諾を迷う心理を理解し、承諾を得るための対応を行うことが重要です。

この記事では、就活生が内定承諾をする際の決め手となる項目や、承諾を迷う理由について解説すると共に、内定承諾率を上げるための具体的な取り組みも紹介しています。

目次

内定承諾の決め手とは

22年卒大学生・大学院生を対象にしたリクルートの就職プロセス調査(21年12月1日時点)では、複数の内定を獲得した就活生が就職先を決める項目として「自らの成長が期待できる」「希望する地域で働ける」などが挙げられました。ここ数年間で「会社・団体で働く人が自分に合っている」と回答する就活生も徐々に増加しています。会社や業界の安定性よりも、働く環境や一緒に働く先輩社員が自分に合うかを重視する傾向になっています。

また95.2%が内定を得ており、一人あたり平均2.35社の内定を取得したという結果が出ています。内定者に選ばれる企業になるためには、就活生の内定および就職に対する心理を意識した取り組みが必要と言えます。

学生が内定承諾を迷う理由

上記の調査によると、22年卒の大学生・大学院生の21年12月時点での進路確定率は90.3%となっている一方で、内定辞退企業数は平均1.35社、また内定辞退率は62.4%という結果でした。内定を承諾するか就活生が迷う理由の一例として下記が挙げられます。それぞれについて解説していきます。

・複数の企業から内定が出た
・採用担当者の言動に不安を感じた
・連絡のスピードが遅い

複数の企業から内定が出た

志望度が同程度の企業から同じタイミングで複数内定が出ている状況では、内定者は各企業の業務内容や待遇などさまざまな面で比較するため、承諾または辞退の連絡をするまでに時間が必要です。

第一志望でない企業の内定を承諾するケースもあります。マイナビの「2022年卒内定者意識調査」によれば、第一志望ではない企業に決めた理由として最も多い回答は「第一志望の企業に落ちたから(48.2%)」でしたが、次に多かったのは「就活を進めるうちに第一志望に変わったから(27.1%)」でした。面接や面接後の企業の対応次第では、内定者の志望順位が変わる可能性もあります。

採用担当者の言動に不安を感じた

面接担当者の発言や態度、また見学・面接時に訪れた社内での先輩社員の様子など、就活生が思い描くイメージと異なる場合、不信感を持たれます。仮に内定をもらったとしても、この会社でやっていけるのかという不安を抱いてしまい、内定辞退につながるケースもあります。

連絡のスピードが遅い

選考結果の通知や問い合わせへの対応などに時間がかかると、本当に自分は求められているのか、入社しても問題ないかと不安を感じます。就活生は、選考時期に複数社の面接やセミナー、説明会などの予定を立てています。他の企業の面接や説明会に参加すると、新しい情報や他社の担当者の対応に魅力を感じ、悩むようになります。

内定承諾率向上につながる施策

新卒就活生の内定承諾率は業界や業種によって異なるものの、一般的に35%程度とされており、21年卒の就活生は37.6%*でした。内定承諾率向上のために企業は面接後にフォローを行うほか、選考プロセスにおいて改善を図る必要があります。ここではその一例を見ていきます。

・【選考前】社内で採用活動のブラッシュアップを行う
・【選考前】競合他社の強みや採用スケジュールと照らし合わせる
・【選考前・選考中】ビジョンや業務内容について丁寧に説明する
・【選考中】疑問点の解決に取り組む
・【選考後】求職者への連絡は迅速かつ丁寧に行う
・【内々定後】内定者フォローを取り入れる

※参考|リクルート「就職プロセス調査 (2022年卒)」

【選考前】社内で採用活動のブラッシュアップを行う

採用活動にあたり、面接担当者を中心に面接の方法や言葉遣いを見直します。就活生に強いプレッシャーを与える圧迫面接や、近年注目されている「オワハラ」など、面接における課題は時代によって変化しています。面接時の言動に問題がないかを確認する場を設け、採用に関わる社員同士で対応を話し合います。

また選考活動の各ステップを改めて確認し採用フローを作成するとブラッシュアップに役立ちます。各フローでのエントリー数や通過数、辞退率などを正確に記録しておけば、どこに課題があるかを見つけやすくなります。採用フローと進捗状況を照らし合わせれば、年度内の活動でも追加の施策を講じることが可能です。

【選考前】競合他社の強みや採用スケジュールと照らし合わせる

採用活動においては、競合他社の情報収集も重要です。他社と比べて自社が勝る魅力は何か、その魅力をどのようにアピールするかを意識すると、就活生に強い印象を与えられます。

競合他社の情報は、就活生から面接時に聞き出す、採用支援会社から提供してもらうといった方法で収集できます。他社との差別化や課題のあぶり出しのために、企業の評価が掲載されている口コミサイトを確認するのも有効です。

就活生は基本的に複数の企業に応募しています。競合他社の選考時期を確認し、就活生の負担にならないスケジュールを組めているかの確認も重要です。

【選考前・選考中】ビジョンや業務内容について丁寧に説明する

就活生がその企業で働く姿を想像できるよう、面接や説明会では自社の展望や業務内容について、募集要項より丁寧に伝えることが大切です。あいまいな表現や誇張したアピールは、入社後のミスマッチにつながるため避けてください。一方的に説明するだけでなく、質問の時間も設けると就活生の企業理解を深められます。

さらに就活生と年齢が近い社員に働きがいや一日のスケジュールなどを話してもらうと、入社後のイメージを持ちやすくなります。登場してもらう若手社員は応募者と出身大学や学部が同じ、目指すポジションが似ているなど、就活生と共通点がある人員を選ぶとより効果的です。

【選考中】疑問点の解決に取り組む

就職活動において不安な点や疑問点、重視する点などを就活生にヒアリングして、早い段階で解決することも大切です。企業説明会や面接内で説明しているつもりでも、就活生側が知りたい情報が不足していたりズレがあったりすると、それらが原因で内定辞退につながる可能性もあります。その場で適切な回答ができなかった場合は、社内に持ち帰り後日返答するようにしてください。就活生は、丁寧な対応をしてくれる良い会社だという印象を持ち、志望度向上につながります。

仕事への漠然とした不安を持つ就活生には、希望部署の見学や体験入社、同じような不安を感じていた先輩社員との座談会開催などもイメージアップに効果的です。

【選考後】求職者への連絡は迅速かつ丁寧に行う

選考結果通知をスピーディーに行うことはもちろん、問い合わせに対してすぐに返答できない場合でも「〇日以内に回答します」と連絡の目安を伝えれば、就活生を安心させられます。

内定連絡の際は、「〇〇さんと会えるのを楽しみにしています」「ぜひプロジェクトをお任せしたいです」など、応募者の気持ちや立場に寄り添った一言を添えるのも効果的です。会社の印象もよくなりますし、早く入社して一緒に働きたいと思ってもらえます。

【内々定後】内定者フォローを取り入れる

内々定後に、内定者のモチベーションを保ち、仕事への不安を払拭できるよう接点を持つと内定承諾につながりやすくなります。マイナビによる「2022年卒内定者意識調査(2021年実施)」では、内々定者へのフォローとして内々定式や研修などを対面、またはオンラインで行うことを多くの学生が望んでいました。適度なコミュニケーションを継続して内定者フォローを行うことが、内定承諾への後押しとなります。内定者フォローの具体的な方法は以下が挙げられます。

・内々定式
・懇談会
・先輩社員や人事との面談・ランチ会
・社内見学
・内定者研修
・内定者インターン など

まとめ

就活生が内定承諾を迷う背景には、入社に対する不安や選考時に抱いた不信感などの理由があります。採用担当者はまず、自社の魅力や課題を社内で話し合う必要があります。実際に選考を開始した後も、振り返りと改善を行うことが大切です。面接の内容だけでなく、説明会のブラッシュアップや内定者フォローなど、全体を見直しすると内定承諾率の向上にもつながります。

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監修/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、大手人材会社でディレクターとして、クリエイティブ企画や経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務などに従事。現在はIT企業勤務の傍ら、マーケティング・人材採用の領域を専門に中小企業支援を行っている。

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