ポテンシャル採用とは? 導入するメリット・デメリットや成功に導くポイント COLUMN

2026.02.25

2026.02.25

    労働人口の減少が進む中、企業の採用環境は年々厳しさを増しています。求人を出しても応募が集まらず、特に即戦力人材の採用においては、条件面での競争が激化しています。結果として、採用コストの上昇に悩む企業も増えています。

    こうした状況下で、経験やスキルだけに着目した従来の採用手法は限界を迎えつつあります。特に中小企業では、資本力で勝る大手企業との条件競争で不利になりやすい点が課題です。そこで注目されているのが、将来的な成長可能性(ポテンシャル)に目を向ける「ポテンシャル採用」という考え方です。

    本記事では、ポテンシャル採用の概要から導入するメリット・デメリット、成功のポイントなどを解説します。自社の採用力を強化していきたいとお考えの方は、ぜひ参考になさってください。

    【この記事で分かること】

    • ポテンシャル採用とは何か、従来の採用手法との違い
    • ポテンシャル採用を導入するメリット・デメリットと注意点
    • ポテンシャル採用を成功させるためのポイントと見極めの視点

    ポテンシャル採用とは?

    ポテンシャル採用とは、選考時点での経験やスキルだけで判断するのではなく、将来的に発揮される可能性のある能力や資質を重視する採用手法です。これまでの実績よりも、成長余地や考え方に目を向ける点が特徴といえます。

    評価の対象となるのは、学習意欲や柔軟性、価値観の適合度といった要素です。加えて、主体的に行動できるか、変化に前向きに対応できるかといった姿勢も重要視されます。

    職種未経験者を受け入れるケースもありますが「誰でも採用する」という考え方ではありません。採用後の育成や配置を前提とし、自社で活躍できる可能性があるかを見極める点に、ポテンシャル採用の本質があります。

    中途採用・新卒採用との違い

    中途採用は、即戦力としての実績や専門スキルを重視する点が特徴です。一方、新卒採用は、その年に学校を卒業する未経験者を対象とし、入社後の育成を前提に行われます。

    ポテンシャル採用は、その中間に位置づけられる採用手法です。第二新卒や若手層を中心に、社会人経験の有無に関わらず、成長の可能性を評価の軸とします。企業によっては年齢制限を設けず、未経験からの挑戦を受け入れるケースもあります。

    未経験可の採用と似ているように見えますが、育成設計や評価基準を明確にした上で選考を行う点が異なります。どの採用手法を選ぶかは、企業ごとの目的や組織状況によって変わってくるでしょう。

    ポテンシャル採用が注目される理由とは?

    構造的な人材不足と雇用環境の変化により、即戦力採用だけでは人材確保が難しくなっています。激化する獲得競争を回避し、持続可能な組織づくりを行うための新たな選択肢として、ポテンシャル採用が注目されています。

    即戦力人材の獲得競争の激化

    少子高齢化の影響により、生産年齢人口は年々減少しています。その結果、専門スキルを持つ即戦力人材の求人倍率は高止まりし、採用競争は激化しています。特にエンジニアなどの専門職では、人材不足が慢性化している状況です。

    こうした状況において経験者のみを採用対象とした場合、採用期間が長期化しやすくなります。また、人材確保のために条件の引き上げを行えば、採用コストの高騰が企業経営を圧迫する要因にもなり得ます。

    こうした背景から、経験者採用に固執せず、将来性を見込んだ人材を採用し育成するというポテンシャル採用が現実的な選択肢として検討されるようになっています。

    組織の高齢化と技術承継の危機

    過去に採用を抑制してきた企業では、社員の年齢構成が偏り、ベテラン層への依存が進んでいるケースも少なくありません。この状態が続くと、将来的なリーダー不足や技術承継の停滞といったリスクが高まります。

    特定の社員にノウハウが集中している場合、退職や異動によって業務が立ち行かなくなる恐れもあります。そのため、計画的に若手人材を採用し、育成する体制づくりが重要になります。

    ポテンシャル採用は、教育を前提とした人材確保の手法です。中長期的な視点で組織の持続性を高める手段として、導入を検討する企業が増えています。

    ポテンシャル採用を導入する4つのメリット

    ポテンシャル採用は、単なる人手不足への対処法ではありません。将来の事業成長を見据えた人材投資であり、組織づくりに好影響をもたらす採用手法です。即戦力採用では得難い、中長期的な視点に基づくメリットがあります。

    多様な人材との出会いが見込める

    経験不問・ポテンシャル重視の採用を行うことで、応募のハードルが下がります。その結果、これまで接点のなかった層からの応募が期待できます。

    例えば、異業種で経験を積んできた人材や、職種転換を目指す若手層などが挙げられます。こうした人材は、既存メンバーとは異なる視点や発想を持っていることが多く、同質化しがちな組織から脱却し、柔軟なイノベーションを生み出す土壌となるでしょう。

    組織文化への適応力が高い人材を見つけやすい

    ポテンシャル採用の対象となる社会人経験が比較的浅い人材は、特定の企業文化や業界特有の慣習に強く染まりきっていない点が特徴です。

    そのため、自社のビジョンや価値観を柔軟に吸収しやすく、独自の業務プロセスにも順応しやすい傾向があります。同業他社での成功体験に固執しにくい点も、組織への適応を後押しします。

    組織と個人の価値観が適合する「カルチャーフィット」を重視する企業が増える中、こうした柔軟性は定着率の向上にもつながります。結果として、ミスマッチによる早期離職の防止というリスクを低減させる効果も期待できます。

    新卒採用に比べ教育コストを抑えられる

    ポテンシャル採用の対象者は、短期間であっても社会人経験を持つ場合が多くあります。そのため、基本的なビジネスマナーや一般常識はすでに身に付けているケースが一般的です。

    新卒採用と比較すると、入社直後に必要となる基礎研修の負担は軽くなります。OJTを中心とした育成が可能なため、現場への配属までの立ち上がりも比較的スムーズです。

    ただし、教育が不要という意味ではありません。あくまで初期教育の負荷を抑えられる点がメリットであり、計画的な育成は引き続き重要となる点には注意が必要です。

    将来のリーダー候補の育成ができる

    ポテンシャル採用は、短期的な欠員補充ではなく、将来を担う人材の確保を目的とした採用手法です。経験よりも資質や価値観を重視することで、幹部候補やマネジメント層としての適正を見据えた採用が可能になります。

    若い段階から責任ある役割を任せることで、当事者意識が育ちやすくなります。組織全体の活性化や、世代交代の促進にもつながるでしょう。

    ただし、成果は自動的に得られるものではありません。育成環境や評価制度を整えることが前提となる点を踏まえ、中長期的な人材戦略の一環として取り組む姿勢が求められます。

    ポテンシャル採用を導入する2つのデメリット

    ポテンシャル採用には多くのメリットがありますが、万能な採用手法ではありません。導入や運用の仕方によっては、想定外の負担が生じることもあります。あらかじめ課題を理解した上で取り組むことが重要です。

    教育・育成体制への負荷はゼロではない

    ポテンシャル採用は即戦力を前提としないため、入社後すぐに成果を求めることは難しくなります。業務を一人で遂行できるようになるまでには、一定の時間が必要です。

    その過程では、OJTや研修などの教育コストが発生します。特に専門性の高い職種では、現場の担当者が教育に割く工数が増えやすくなります。結果として、既存メンバーの業務負担が一時的に高まることも考えられるでしょう。

    また、育成担当が特定の社員に偏ると、教育内容が属人化するリスクもあります。育成計画が不十分なまま採用を進めると、本人の成長が停滞し、期待とのズレが生じやすくなるため、事前に体制を整えることが欠かせません。

    早期離職の可能性がある

    ポテンシャル採用の対象となる中途や第二新卒層は、すでに転職を経験しているケースが多く見られます。そのため、新卒と比べると、退職に対する心理的ハードルが低い場合があります。

    入社後に「想像していた環境と違う」と感じた場合、短期間で再び離職につながる可能性があります。特に、仕事内容や育成方針について十分な情報共有ができていないと、致命的なミスマッチを招く恐れがあります。

    こうしたリスクは、仕組み次第で軽減できます。選考段階での丁寧な説明や、入社後の定期的な面談を通じて、不安やズレを早期に把握することが重要です。定着を意識したフォロー体制が、ポテンシャル採用の成否を左右します。

    ポテンシャル採用を成功させるためのポイント

    ポテンシャル採用において重要なのは、単に導入することではなく、その後の運用を見据えた設計です。選考基準や育成方針を設計せずに始めると、ミスマッチが生じるリスクは避けられません。ポテンシャル採用の可否は、いかに綿密な事前準備と運用設計を行えるかにかかっています。

    自社における「ポテンシャル」を定義する

    「ポテンシャルがありそう」という感覚的な評価は、採用後のミスマッチを招きやすくなります。ポテンシャル採用を成功させるには、自社が求める資質を具体的に定義することが欠かせません。

    例えば、論理的思考力を重視するのか、主体的な行動力を重視するのか。または、対人スキルや価値観の適合を重視するかによって、評価の観点は大きく変わります。

    求めるポテンシャルは、職種や組織フェーズによっても異なります。重要なのは、評価基準を言語化し、面接官同士で共有することです。これにより、面接官同士の判断のブレを防ぐことができ、採用の質を担保することが可能です。

    キャリアビジョンをすり合わせを行う

    ポテンシャル採用では、応募者が描く将来像と企業側の期待が一致しているかを確認することが特に重要です。この認識にズレが生じたまま入社すると、入社後の不満や早期離職につながりやすくなります。

    選考段階では、なぜその分野に挑戦したいのか、将来どのような成長を望んでいるのかを丁寧に確認しましょう。そのビジョンが自社の環境で実現可能かを見極める視点も欠かせません。

    同時に、企業側も入社後に期待する役割や成長イメージを具体的に提示する必要があります。一方的な期待を押し付けるのではなく、相互の納得感を高めることが、入社後の定着率向上につながります。

    人材育成の環境を整える

    ポテンシャル採用は、育成を前提とした採用手法です。採用して終わりではなく、入社後の成長を組織として支える環境づくりが成功の前提となります。

    まず重要なのは、配属先の現場社員と「育成が必要な人材である」という共通認識を持つことです。その上で、OJTやメンター制度など、日常業務の中で学べる仕組みを整える必要があります。また、必要に応じて外部研修を活用することも、学習機会を補完する方法として有効です。

    大切なのは、制度の有無だけではなく、受け入れ側の理解と協力体制こそが、人材の成長と定着に大きく影響します。

    適切な求人媒体やアプローチ方法を見つける

    若手人材は、求人情報を探す際にSNSやWeb検索を活用する傾向があります。そのため、従来型の求人サイトに掲載して待つだけでは、求める人材に情報が届かない場合もあります。

    条件面に関する情報だけでなく、自社の文化や価値観、働き方を分かりやすく発信することが重要です。特に、未経験から活躍している社員の事例を紹介すると、応募者が自身の成長をイメージする上で非常に効果的です。

    重要なのは、特定の媒体を選ぶことではなく、自社とターゲット層に合っているかを見極めることです。ターゲットに合わせた工夫を行うことが、ポテンシャル採用の成果を左右します。

    ポテンシャル採用で確認したい6つの資質

    ポテンシャル採用の本質は、過去の実績よりも「どのように考え、行動してきたか」という思考や姿勢に注目する点です。経験が浅くても、仕事への向き合い方や考え方を見ることで、将来の成長可能性を見極めることは可能です。

    具体的に確認したい資質は、主に次の6つです。

    • 学習意欲・自律性:自ら学び行動できるか
    • 目的意識:挑戦理由に一貫性があるか
    • 柔軟性・素直さ:助言を受け入れ改善につなげられるか
    • ヒューマンスキル:周囲と協働できる姿勢があるか
    • 情報感度:業界や変化への関心はあるか
    • カルチャーマッチ:自社の価値観や風土と適合しているか

    これら全てを満たす必要はありません。重要なのは、職種や企業フェーズに応じて譲れない資質を設定することです。そして面接では、事実の確認にとどまらず、そこに至るプロセスを深掘りすることが有効です。

    まとめ

    ポテンシャル採用とは、経験やスキルだけに頼らず、将来の可能性に着目する採用手法です。

    ポテンシャル採用を導入すると、多様な人材の確保や次期リーダーの育成など、さまざまなメリットがあります。重要なのは、基準を明確にし、育成や定着まで見据えて設計することです。

    即戦力採用に偏り過ぎず、ポテンシャル採用も含めた中長期的な視点で、採用戦略全体を見直してみましょう。

    クイックでは、独自の採用設計フレームワーク「採活力」を提供しています 。ポテンシャル採用において重要な「ポテンシャルの定義」を含む戦略フェーズから実行・改善まで一貫して支援可能です。

    100社以上の実績を持つコンサルタントが伴走いたしますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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