組織開発とは?フレームワークや企業での事例を紹介 COLUMN

公開日:2022.02.27

更新日:2022.02.27

組織開発とは?フレームワークや企業での事例を紹介

目次

組織開発とは

組織開発は、Organization Development(OD)の略称で、1950年代のアメリカで誕生し、1960年代に日本でも広まりました。ここでは、組織開発の意味や再び注目される背景、人材開発との違いを解説します。

社員同士の関係性に注目し組織を活性化させる取り組み

組織開発とは、社員同士の関係性を深めてメンバーの主体性や相乗効果を引き出し、組織を活性化させる取り組みです

組織開発についてより分かりやすく解説しているのが、組織や企業における人材開発や組織開発を専門に研究している立教大学経営学部教授 中原淳氏です。中原氏は「組織開発とは単に人を集めただけではうまく機能しない組織を、機能させるために意図的に働きかけること」だと述べています。意図的な働きかけとは、課題を可視化し、メンバーで問題解決の方法を話し合い、当事者意識を持って組織の未来をつくっていくというサイクルを指しており、このサイクルを回すことが組織開発の本質であると考えられています。

そうしたアプローチを経て組織開発を行うと、社員同士の関係性が深まり、モチベーションアップによる生産性向上や離職率の低下といったメリトが生まれます。また、社員同士が活発に意見し合うようになり、新たなサービスや商品のアイデアの創出も期待できます

組織開発が注目される背景

組織開発が注目される背景には、終身雇用や年功序列の崩壊、組織内の人材の多様化などが挙げられます。

社員同士の関係性に働きかける手法の組織開発は、1960年頃から日本でも取り入れられていましたが、社内でノウハウが引き継がれなかったり、組織開発の研究に取り組む研究者がいなかったりといった理由から下火になっていました。

しかし近年、日本では働き方の多様化による終身雇用や年功序列の崩壊、ダイバーシティの推進による組織内の人材の多様化が起きており、社内の意思やコミュニケーションに齟齬が生じやすくなっています。これは、社員が不満を感じやすくなる、業務効率が下がるなどのデメリットが発生しやすい状態です。そこで、社内の人間関係を改善する組織開発が再び注目されています。

人材開発との違い

人材開発と組織開発の違いは、取り扱う対象です。人材開発では「人」に着目するのに対し、組織開発では「人と人との関係性」に着目します。例えば、若手社員の仕事がうまくいっていないとき、人材開発の観点では若手社員に問題がある可能性を考えます。一方で、組織開発では若手社員の教育担当者や所属部署との関係に問題があるかもしれないと考え、改善策を検討します

組織開発に活用できる7つのフレームワーク

社員同士の相互理解の促進や会社への帰属意識を高める取り組みである組織開発において活用できるフレームワークを7つ紹介します。

【1】コーチング
【2】タックマンモデル
【3】ミッション・ビジョン・バリュー
【4】ジョハリの窓
【5】OKR
【6】認知/行動ループ
【7】ワールドカフェ

【1】コーチング

組織開発において、社員同士の人間関係を良好にしたり社員の自立性を育てたりしたい場合、コーチングが有効です。コーチングは、相手の頭の中に解決策があるというスタンスで話を傾聴したりアドバイスをしたりするフレームワークです。上司が指示を出して動かすのではなく、部下の中にある答えを引き出した上で行動してもらうため、部下の自立性を育成できます。また、定期的にコミュニケーションを取ることで上司と部下の関係を深められます。

【2】タックマンモデル

タックマンモデル

タックマンモデルは、チーム内のコミュニケーションの活性化やモチベーションの向上などにつながるため、組織開発に有効です。タックマンモデルとは、チームビルディングの過程を「形成期」「混乱期」「統一期」「機能期」「散会期」の5段階に分けたものです。特に混乱期は、衝突を繰り返してお互いを知りながら乗り越えることで、結束力のあるチームに成長すると考えられており、重要な段階です。混乱期を乗り越え、統一期や機能期に入ると、チーム内の信頼関係が醸成され、お互いを支え合いながらプロジェクトを円滑に進められる組織へと成長しています。

【3】ミッション・ビジョン・バリュー

ミッション・ビジョン・バリュー

ミッション・ビジョン・バリューは、会社への帰属意識の向上や共通意識の形成の効果が期待できるため、組織開発に役立ちます。ミッション・ビジョン・バリューは、組織が存在する意義、実現したい理想の姿、実現のために組織で大切にする価値観を定義するフレームワークです。頭文字をとってMVVとも呼ばれています。

【4】ジョハリの窓

ジョハリの窓

ジョハリの窓は、社員同士の相互理解を深める効果があり、組織開発で重要な人間関係の構築に効果的です。ジョハリの窓では、自分自身について、「自分が知っているかどうか」「他者が知っているかどうか」の軸で構成したマトリクスで可視化します。お互いに認識がずれている点について、質問やフィードバックを行いながら相互理解を深めます。

【5】OKR

OKR

OKR(Objectives and Key Results)は、一体感があり、同じ目標に向かって進む組織に変化させたいときに有効です。OKRとは、企業やチーム、個人の目標と結果を可視化するフレームワークです。企業のOKRに基づいてチームや個人レベルのOKRを設定するため、組織全体が同じ目標に向かって動けます。また、社員が高い目標の実現に向けてモチベーション高く業務を進められるメリットもあります。

【6】認知/行動ループ

認知/行動ループ

認知/行動ループは、社員同士の相互理解を深められるため、組織開発に役立ちます。「自分の認知」「自分の行動」「他者の認知」「他者の行動」の4つには因果関係があり、相互に影響を及ぼしながらループしているという考えのもと、自分と他者の認識のずれを把握しながら相互理解を深めるフレームワークです。特に社員同士の関係がこじれている場合に、両者の認識のずれを突き止め、関係改善が期待できます。

【7】ワールドカフェ

ワールドカフェは、社員同士のフラットな関係を築く効果が期待でき、組織開発に役立ちます。カフェのようなリラックスした空間で気軽に話すフレームワークで、遠慮なく意見がほしいときや、上下関係を気にせず議論したいときなどに活用できます。普段の業務では分からない相手の考え方や人柄の理解に役立ち、関係性を深められます。

組織開発実施の4ステップ

組織開発は4つのステップを踏んで実施します。以下の4つのステップについて、具体的に取り組むべき内容やポイントを解説します。

ステップ1|組織の現状を把握
ステップ2|課題の設定
ステップ3|アクションプランの試験導入
ステップ4|効果検証・フィードバック

ステップ1|組織の現状を把握

まずは、社員同士の関係性やチームの状況について、情報を集めて現状を把握します。インタビューやアンケートなどを実施し、事実ベースで正確に現状を把握してください。組織の現状は、「職場に活気がない」「社員が疲れているように見える」など、漠然としたイメージで表現されがちです。「実は〇〇さんと一緒に仕事をしづらい」「部署内のコミュニケーションが少なく、連携が取れていない」といったように、具体的な状況の把握が必要です。

ステップ2|課題の設定

組織の現状が分かったら、課題を設定します。MVVや企業理念からどのような姿を目指すかを事前に設定しておくと、理想の姿と現状のギャップから課題を見つけやすくなります。例えば、「社員同士が多様性を認め、尊重し合う」というバリューを掲げているにもかかわらず、社員同士が不仲という現状がある場合、コミュニケーションや評価方法が課題として挙げられます。

ステップ3|アクションプランの試験導入

課題を解決するためのアクションプランを策定し、試験導入します。社内で一斉にスタートすると、課題設定やアクションプラン策定がずれていた場合に手戻りが発生するため、まずは一部の部署やチームでのスモールスタートがおすすめです。例えば、コミュニケーションに課題がある場合、役職に関係なくフラットに雑談する会をアクションプランとして策定し、プロジェクトチームや部署といった単位で導入します。

ステップ4|効果検証・フィードバック

アクションプランを試験導入し、実際に効果が出ているかを検証・フィードバックします。少人数での試験導入なので、社員にインタビューやアンケートを実施し、短いスパンで複数回検証とフィードバックを繰り返すことが可能です。試験導入により効果的なアクションプランが固まったら、全社的に本格導入します。組織がうまくアクションプランを実施できるよう、成功したポイントを整理し、説明会やマニュアルの展開も必要です。また、本格導入後も効果検証・フィードバックを定期的に繰り返し、より良い取り組みとなるように努めてください。

組織開発の事例

実際の企業ではどのような組織開発の取り組みがされているのか、ここでは2つの事例を紹介します。

Google|1年・四半期単位でのOKR設定

Googleでは、世界各国から多様な人材が集まるため、OKRを活用して組織開発に取り組んでいます。1年単位と四半期単位でOKRを設定しており、最終的な評価をする前に、個人やチームが現時点でどのレベルに達しているかを把握するため、四半期に一度全社ミーティングでOKRの公開と評価を行っています。OKRによって社員が高い目標のもと仕事に取り組め、社員同士の密なコミュニケーションの実現に役立っています。

ヤフー株式会社|部下のポテンシャルを引き出す1on1コーチング

ヤフーでは、社員一人ひとりの能力を高めることで組織全体の力が向上すると考え、組織開発の一環として1on1を実施しています。社員のポテンシャルを引き出すには、上司や先輩社員の観察や研修による学びに加え、上司からのアドバイスによる気づきが必要だとして導入されました。週に一度30分の時間を設け、部下の抱える課題を共有し、乗り超えるための方法について話し合います。上司は、部下の話の真意をくみ取りながら、普段の業務への落とし込み方まで助言します。社員の自立性が高まれば組織全体が活性化し、市場の変化に柔軟に対応できるようになっています。

まとめ

組織開発とは、社員同士の関係性を深めてメンバーの主体性や相乗効果を引き出し、組織を活性化させる取り組みです。近年、日本では人材の多様化が進み、チームがまとまりづらくなっていることを背景に、組織開発に注目が集まっています。組織開発を行う際は、4つのステップに沿って行いつつ、フレームワークを活用して効率的に進めてください。

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監修/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、株式会社クイックに入社。ディレクターとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)に携わる傍ら、経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務にも従事。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。

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