会社説明会動画とは?
採用活動に使用する動画には、さまざまな種類があります。ここでは、会社説明会動画の概要や位置付けを解説します。
会社説明会動画とは
会社説明会動画とは、一般的には、会社概要やビジョン、事業内容のほか、募集ポジションの仕事内容、福利厚生など、会社説明会でおこなう説明を通しで動画にしたものです。
社員インタビュー型や採用ブランディング型、コンセプト型などのコンテンツ動画にした「採用動画」とは用途が異なるといえます。録画した動画を配信するのが基本となり、求職者にとっては、自身の都合に合わせて、いつでもどこでも会社説明会の動画を見ることができます。
社員インタビュー型やコンセプト型などの「採用動画」について詳しく知りたい方は、「効果的な採用動画作成ポイント4つ!13の作成ステップやトレンド、成功事例も紹介」の記事をご参考ください。
採用活動における会社説明会動画の位置づけ
会社説明会動画は、一般的には、会社説明会そのものを動画に置き換えるものです。
そのため、位置づけとしては、求職者が自社を見極めるために応募前に視聴する「会社説明会」です。なお、会社説明会の配信方法には、できあがった動画を求職者が見たいときに視聴できる「オンデマンド配信」と、リアルタイムに発信する「ライブ配信」があります。会社説明会動画は、録画した動画の配信が前提のため、基本的には「オンデマンド配信」です。ただし、録画済みの会社説明会動画をライブ配信する「疑似ライブ配信」をおこなうことがあります。
企業が会社説明会動画を活用すべき5つの理由
コロナ禍を機に、採用のオンライン化が進むなか、会社説明会もオンライン化のニーズが高まっています。ここでは、企業が会社説明会動画を活用すべき理由を解説します。
求職者がいつでも視聴できる
一つ目は、求職者がいつでも視聴できることです。
会社説明会動画をオンデマンドで配信すれば、求職者は自身の都合に合わせて、見たいときに見たい場所で視聴が可能です。対面実施やライブ配信では、「他の企業と日程が重なってしまう」「学校行事で都合がつかない」といった理由で参加できないこともあります。会社説明会動画をオンデマンド配信でおこなえば、求職者が都合のよい日時で視聴できるでしょう。
開催場所の制約がない
二つ目は、開催場所の制約がないことです。
対面で会社説明会を実施する場合は、求職者が会社説明会会場へ出向く必要があります。遠方の求職者にとっては、交通費がかさむほか、移動時間の捻出も必要になるため、参加を断念してしまうケースもあるでしょう。
会社説明会動画をオンライン開催にすれば、時間や費用の兼ね合いから、これまで参加を諦めざるを得なかった求職者の層も新たに取り込むことが可能です。
担当者の負担を減らせる
三つ目は、担当者の負担を減らせることです。
対面実施やライブ配信では、会社説明会を実施するたびに、人事担当者の対応が必要になります。しかし、会社説明会動画によるオンデマンド配信でおこなえば、会社説明会を何回実施しても、人事担当者が都度対応する必要はありません。ナビサイトの説明会予約機能を活用すれば、会社説明会動画のURLを登録しておくだけで、会社説明会までの手続きまで自動的に手配できます。後述する会社説明会動画を疑似的にライブ配信する場合には配信時の対応が必要になるものの、説明対応は省力化できるメリットがあります。
母集団を増やせる
四つ目は、母集団を増やせることです。
会社説明会動画をオンデマンド配信すれば、対面やライブ配信のように、求職者の都合が悪くて参加できないといった機会損失を防げます。また、SNSやYouTubeとの連動によって拡散し、飛躍的に母集団を高められることは大きなメリットです。
SNSやYouTubeと連動できる
五つ目は、SNSやYouTubeと連動できることです。
前章の「母集団を増やせる」で説明したとおり、拡散によって飛躍的に母集団を高められるほか、コメントの書き込み機能など求職者との交流ツールになるメリットもあります。一方で、YouTubeはコストが発生しないため、低コストで運用できることもメリットです。
会社説明会動画の基本的な5つの構成要素
会社説明会動画は、会社説明会でおこなう説明事項で構成することが一般的です。ここでは、会社説明会動画の基本的な構成要素を解説します。
会社概要
一つ目は、会社概要です。
どういった会社なのか、まず冒頭で会社概要を説明します。会社の所在地や事業内容、従業員規模、組織体制のほか、上場企業の場合は、上場取引所に関する情報が対象になります。Webサイトに掲載していることが一般的ですが、特に事業内容などをわかりやすく映像で説明することで、自社の理解を深めてもらうことができます。図やグラフ、商品の画像を活用するなど工夫することで、より求職者の理解を促進することが可能です。
業界 / 事業説明
二つ目は、業界や事業の説明です。
BtoB企業の場合、業界構造や事業内容について、求職者の理解が難しいケースが多くあります。業界構造を映像を用いて説明するほか、事業や商品・サービスについても、ビジュアル的にわかりやすく解説します。特に業界説明では、自社の業界のみならず、業界の川上、川下の構造を説明したうえで、業界における自社の立ち位置を解説すると求職者の理解を高めることが可能です。
ビジョン / 方針の説明
三つ目は、ビジョンや方針の説明です。
社長などの会社代表者によって、企業のビジョン、方針を直接伝えることも重要です。対面やオンデマンド配信の場合、都度、代表者に説明してもらうことは困難ですが、会社説明会動画を通じて、ビジョンや方針を代表者から求職者に伝えることができます。なお、自社の方針やビジョンを語るとともに、創業者の想いや自社の成り立ちなどにも触れると、より自社のビジョンを深めてもらうことが期待できます。
募集職種の職務説明
四つ目は、募集職種の職務説明です。
各募集職種の概要を人事担当者から説明するほか、それぞれのセクションの先輩社員から仕事内容を現場の肌感をもって紹介することで、求職者の入社意欲が醸成されます。働いている風景なども盛り込むことで、求職者が働くイメージを具体化でき、さらに入社意欲を高めることが可能です。また、募集している職種における将来のキャリアパスの説明も重要なポイントです。
求人情報の説明
五つ目は、求人情報の説明です。
募集職種や勤務地、休暇などの情報はもちろん、待遇や福利厚生、選考フローなどの求人に関する情報を説明します。また、キャリアプランや自社の価値観など、求職者が知りたい情報を伝えることが重要です。
特に、近年の求職者はワークライフバランスを重視する傾向があるため、休日や残業時間の目安はもちろん、育児や介護休業、在宅勤務の有無なども積極的に説明しましょう。
会社説明会動画の作り方・8つの制作ステップ
会社説明会動画は、コンセプトムービー型やインタビュー型といった採用動画とは違い、撮影は一発勝負が基本です。ここでは、会社説明会動画の制作ステップを解説します。
テーマの設定
一つ目は、テーマの作成です。
会社説明会動画は、採用ターゲットのニーズにあったテーマの設定が重要です。この採用ターゲットのニーズをとらえるために、採用市場の環境分析(3C分析・SWOT分析)をおこない、自社の採用ターゲットを明確化します。そのうえで、採用ターゲットに自社の魅力をどのようにアピールすべきかを検討し、会社説明会動画のテーマを決定します。
3C分析やSWOT分析を詳しく知りたい方は、「採用マーケティングとは?メリットやフレームワーク、7つの実施ステップを解説」の記事をご参考ください。
出演者の決定
二つ目は、出演者の決定です。
会社説明会動画の場合、基本的には会社説明会で対応する人事担当者の出演が基本となるでしょう。ただし、各セクションの説明など先輩社員に出演してもらう必要がある場合は、先輩社員の人選が必要となります。撮影スタッフの手配上、撮影日は限られてしまうため、あらかじめ日程に余裕をもった人選が重要です。
説明資料の作成
三つ目は、説明資料の作成です。
会社説明会は、基本的に会社説明資料に沿って進行します。パワーポイントなどのプレゼンテーション用のソフトウェアを用いることが一般的ですが、外注する場合、外注先企業の指定に合わせて作成しなければならないケースもあります。視覚的にわかりやすいよう、画像やグラフのほか、フロー図を活用すると効果的です。
シナリオ作成
四つ目は、シナリオ作成です。
会社説明会動画の場合、対面で対応してきた会社説明会の内容を「通し」でおこなうことが一般的です。そのため、会社説明会の進行シナリオを作成することが基本となります。パワーポイントの場合、シナリオを「ノート」に入力すると、「発表者ツール」でノートの内容を発言者のパソコンに表示が可能です。この機能を用いることで、効率的にシナリオ作成ができます。
なお、通しで一発勝負の撮影をする場合は、進行用の「シナリオ作成」のみで十分です。しかし、編集を前提とした会社説明会動画を撮影する場合は、登場人物ごとのセリフのほか、会社説明会の流れや必要な情報、撮影スタッフへの指示を盛り込んだ「台本」が必要になります。
動画撮影に使うツールの選定
五つ目は、動画撮影に使うツールの選定です。
外注する場合、動画制作会社で動画撮影のツールを手配しますが、自社で対応する場合は、動画撮影に使うツールの選定が必要です。Zoomなどの録画に対応したツールを活用する、あるいは動画制作ツールで対応するなど、自社の環境や状況に適した方法やツールを選定しましょう。
撮影・編集
六つ目は、撮影・動画編集です。
会社説明会動画の場合、進行シナリオに沿って一発勝負で撮影するケースでは、クオリティにこだわらなければ自社での対応も可能です。しかし、ビジュアル的にもこだわり、編集を加えるなどのクオリティを重視するケースでは、動画制作会社への外注をおすすめします。
配信方法の決定(オンデマンド配信/疑似ライブ配信)
七つ目は、配信方法の決定です。
会社説明会動画の配信方法は、「オンデマンド配信」と「疑似ライブ配信」の二つがあります。「オンデマンド配信」は、求職者自身の都合に合わせて、いつでもどこでも視聴可能なため、求職者と企業の双方にとって機会損失を回避できるメリットがあります。他方、「疑似ライブ配信」は、録画した会社説明会動画をライブ配信する方式で、チャットなどコミュニケーション部分をリアルタイムでおこなうことで、求職者に臨場感をもってもらうことができます。企業にとっては、通常のライブ配信のように、都度、会社説明会をおこなう必要がなく、手間を省けるメリットがあります。
配信の実施
八つ目は、配信の実施です。
「オンデマンド配信」の場合、自社の採用サイトやYouTubeといったSNS、Zoomなどオンライン会議ツールを用いた配信が可能です。就職ナビサイトに連動させて配信するケースもあるでしょう。SNSの配信は拡散効果があるため、母集団形成に大きな効果が期待できます。「疑似ライブ配信」の場合でも、ツールは原則、同様のツールが活用可能です。なお、Zoomの「 Zoom Webinars」を用いれば、「インタラクティブなリアクションの活用」「セッションのブランディング」など、効果的なウェビナーを実現できます。
会社説明会動画の押さえておくべきポイント6つ
会社説明会動画で最大の効果を得るには、求職者の目線に立って制作することが必要です。ここでは、会社説明会動画の押さえておくべきポイントを解説します。
事業内容をわかりやすくする
一つ目は、事業内容をわかりやすくすることです。
BtoC企業であれば、事業内容がわかりにくいケースは少ないでしょう。しかし、BtoB企業の場合、業界構造も複雑です。特に川上寄りの企業では、事業内容の理解が困難なケースが大半で、企業の理解が進まず、求職者の入社意欲が高まらない恐れがあります。そのため、ビジュアル的に事業内容をわかりやすくすることが重要です。
若手社員に参画してもらう
二つ目は、若手社員に参画してもらうことです。
動画は、SNSを通じて閲覧することはもちろん、動画制作や配信をおこなうなど、若い世代に親和性が高いコンテンツです。若手社員に参画してもらうことで、求職者のニーズにマッチした動画制作が可能になるでしょう。また、若い世代の感覚を取り入れることで、採用活動において、動画という新しいチャネルを最適な方法で配信できます。
SNSやYouTubeを活用して拡散させる
三つ目は、SNSやYouTubeを活用して拡散させることです。
せっかく会社説明会動画を制作しても、露出度が少なければ多くの求職者に視聴してもらえません。就職ナビサイトのサンクスメールや自社の採用サイトへのアップロードはもちろん、SNSやYouTubeを活用して拡散させることで、露出を大幅に増やせます。
動画時間を長くしない
四つ目は、動画時間を長くしないことです。
求職者は、さまざまな企業をスクリーニングしてエントリーします。その過程で、さまざまな企業の動画を見るため、長い動画は敬遠されるケースが多いでしょう。会社説明会を対面でおこなう場合は1時間程度が一般的ですが、動画の場合、20〜30分程度が理想的です。もし30分を超えるような場合は、「目次をつけて、試聴したい部分だけ見られるようにする」といった対応をおすすめします。また、2〜3分程度の「ダイジェスト版」の制作も有効でしょう。
求職者の目線に合わせる
五つ目は、求職者の目線に合わせることです。
会社説明会動画は、求職者が知りたいことを主として、訴求する内容を打ち出すことが重要になります。「仕事内容」や「職場の雰囲気」など、求職者の目線に合わせて打ち出す内容を決定することが重要です。
疑似ライブ配信にはリテラシーの高い社員が対応する
六つ目は、疑似ライブ配信にはリテラシーの高い社員が対応することです。
疑似ライブ配信には、チャットツールの取り扱いや、ライブ環境における各種操作など、配信ツールの操作に詳しい社員の対応が不可欠です。リテラシーの低い社員の場合、トラブルが起きたときに臨機応変な対応が困難になるため、リテラシーの高い社員が対応する、あるいはサポートにつくことが望ましいでしょう。社内にリテラシーの高い社員がいなければ、業者への依頼も有効です。
参考にしたい会社説明会動画事例4選
最後に、参考にしたい会社説明会動画事例を、通常の事例と番外編にわけて紹介します。なお番外編は、通常の会社説明会動画のほかに、企画モノとして別途作成している短い尺の動画です。
【事例1】株式会社リクルート
(引用・参考)株式会社リクルート:「【リクルート新卒採用】 会社説明動画『20分で解説 まるわかり!リクルート』」
同社は、住宅や美容、飲食などの分野でオンラインを中心とする「販促領域」と、個人の求職活動や、企業の採用活動の支援等を展開する「人材領域」の二つの領域で、国内最大級のマッチングプラットフォームを強みに事業展開している企業です。
動画の構成は、企業概要や事業の説明、配属職種のほか、入社後のキャリアパス、ワークライフバランスといった内容を「よくある8つの質問にお答え」というお題の下、対談形式で説明しています。質問一つひとつに対して、回答者がそれぞれ答える形式ですが、要所に図やイラストを用いて説明しており、わかりやすく解説されてます。そして特徴的なのは、編集によって、演者をさまざまな角度から撮影し、視覚的に飽きさせないつくりにしていること。テロップも入れながら動的なイラストも活用し、手の込んだ会社説明会動画となっています。一発勝負の通しで制作せず、全てのカットを編集し、時間をかけていることが窺える動画です。なお、配信方法はYouTubeで、自社のチャンネルでのオンデマンド配信です。
【事例2】株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント
(引用・参考)株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント:「2024年新卒採用 会社説明動画」
同社は、プレイステーションブランドの製品・サービスの企画や開発、販売をおこなう企業です。
動画の内容は、事業内容や歴史、拠点、経営成績のほか、業務内容、自社の魅力、募集要項や福利厚生といった構成です。冒頭に、社員のみなさまから視聴の御礼が流れ、その次に「どのような事業を行っている会社でしょうか?」といったクエスチョンに答える形で、事業内容を説明しています。その後、説明資料をベースに通しで会社説明を実施する流れで、「通し」で制作されています。なお、配信方法はYouTubeで、自社のチャンネルでのオンデマンド配信です。
【事例3】サイボウズ株式会社
(引用・参考)サイボウズ株式会社:「【サイボウズ株式会社】会社説明」
同社は、チームワークを支援する「グループウェア」を開発・販売する会社で、基本機能に加えて、掲示板や回覧板など、日本企業に最適化した国産グループウェアを提供しています。
動画の内容は、自社の概要や理念、事業説明のほか、ビジネス戦略や企業文化、働き方、キャリア支援、給与や評価などで構成されています。大きく4つパートで構成され、それぞれの説明を4名のプレゼンターがおこなっています。説明資料に沿って説明する流れで、「通し」で説明する形式です。なお、動画は33分と少し長めですが、YouTubeのコメント覧でチャプターリストを設け、見たい場所から閲覧できるようにしています。また、「3分でわかるサイボウズ」という動画も設けており、求職者における短時間動画ニーズに対応しています。なお、配信方法はYouTubeで、自社のチャンネルでのオンデマンド配信です。
【番外編】株式会社サイバーエージェント
(引用・参考)株式会社サイバーエージェント:「【サイバーエージェント】面接で聞きづらい質問に新卒採用人事が答えます!!「顔採用ですか?」「面接で見ているポイントは?」」
同社は、AbemaTVなどを展開する「メディア事業」、創業以来主力の「インターネット広告事業」、ウマ娘などのスマートフォン向け「ゲーム事業」の3つ領域で事業展開しています。
動画の内容は、会社説明会とは別の企画動画として、「採用基準について」「面接のポイントの説明」「聞きにくいけど気になること」「配属について」といった面接で聞きにくい質問に答えるというテーマで構成されています。人事担当者2名がそれぞれ質問役、回答役となる対談形式の流れです。最後は「人事担当者からのメッセージ」で締めくくっています。さまざまな角度から撮影し、テロップを入れて編集するなど、クオリティの高い動画になっています。
まとめ
本記事では、会社説明会動画を成功させるために知っておきたい、会社説明会動画の概要や基本的な構成要素のほか、作り方やポイントを徹底解説しました。
採用のオンライン化が急速に進むなか、会社説明会のオンライン化ニーズに対応していくことは不可欠です。また、求職者が得られる情報が過多になっている昨今、採用ターゲットに向けて、効果的に会社説明会動画を届けることが重要です。
本記事を参考に、自社の採用ターゲットに向けて、効果的な会社説明会動画を制作しましよう。
動画制作のワークフローについては、以下資料でも解説しております。本記事と合わせてご参考ください。
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