求人広告とは
求人広告とは、企業が人材を採用するために、求職者に向けて掲載する広告を指します。旧来は、新聞広告や折り込みチラシなどの紙媒体が中心でしたが、近年は、Web媒体が大半を占めています。求人広告は、紙とWebの双方においても、広告枠の大きさに応じた料金が設定されることが一般的です。また、無料から有料まで幅広い種類があり、なかには成功報酬型の求人広告もあります。
求人広告の種類
求人広告は、前章で説明したように、紙とWebの両方の媒体があります。ここでは、紙とWebそれぞれの種類について、特徴を説明します。
Web媒体
Webの求人広告は閲覧者が多いため、母集団形成に効果的です。たとえば、日本で最も利用者数が多い求人媒体のIndeedは、月間4,000万人以上の利用者数を誇ります。(Indeed Japan株式会社調べ:「採用費用のコスパで選ぶならIndeed」)
なお、Web媒体ではユーザーが検索結果順に閲覧します。この特性上、求人広告では検索結果で自社を上位表示させることが非常に重要です。また求人サイトでは、写真や動画を掲載できるため、文書では伝えられない自社の雰囲気やカルチャーの訴求もできます。
そのほかにも課金による検索結果の上位表示や、スカウトメール機能などオプションが充実している求人媒体が大半です。ただし、一般的な求人サイトは広告の修正回数や掲載期間が限られていることが通常です。
紙媒体
新聞広告や新聞の折り込みチラシ、フリーペーパーなど、紙媒体の求人広告も活用されています。
従来は、このような紙媒体が主流でしたが、インターネットが普及した昨今、Webの求人広告が大半を占めていることが現状です。ただし、フリーペーパーなど地域に根ざした求人情報誌は、駅やコンビニエンスストアに置かれるなど、人の目に触れる機会も多く、一定の効果が期待できるでしょう。
フリーペーパーの場合、エリア別に発行されるため、限られた地域に限定した求人広告を展開できる利点があります。また、インターネットに不慣れなシニア層に見てもらいやすいメリットもあります。ただし、デジタルネイティブな若手層の閲覧は期待しづらいほか、新聞広告の場合は、費用は高額で、出稿した日にしか開示されないことに留意が必要です。
求人広告の費用
求人広告の費用は、無料から有料、成果報酬などさまざまな種類がありますが、基本的には、次の種類に分類されます。
完全無料型
求人情報の登録から広告掲載、採用まで、すべて無料の求人広告です。公共機関であるハローワークが代表例です。ただし、専門的なスキルを持つ求職者は、ハローワークに登録するケースが少なく、こうした人材を採用したい場合には不向きといえます。
一部無料型
求人情報の登録から広告掲載、採用まで、基本的な事項は無料の求人広告です。ただし、有料枠に自社の求人を表示させるなど、応募効果を高めるためのオプション機能を設けているサービスを指します。Indeedは、無料でも大半の機能を活用できますが、有料オプションを活用することによって、より効果を高めることが可能です。
料金プラン型
リクナビなど、いわゆるナビサイトといわれる求人広告です。掲載期間や掲載料、画像や動画の掲載有無によって、料金プランが定められているサービスを指します。例えば、4週間で1クールと区切り、クール数によって金額が変動する媒体が大半です。また、一つの求人広告で複数の職種を掲載することは禁止されていることが多く、掲載する職種数に応じた契約本数が必要です。このように、掲載期間や掲載職種、画像や動画の情報量によって料金プランが決められています。
成果報酬型
料金プラン型の求人広告とは違い、初期費用無料で求人掲載をスタートできますが、採用に至った時点で、その人数に応じて成功報酬を支払う必要があります。そのため、採用予定人数が少なく、応募数が見込みづらい場合に適した手法です。採用人数が多いと、人数に応じた成果報酬が必要なので、他の手法と併用して活用することをおすすめします。
無料のおすすめ求人広告
ここまでさまざまな料金体系の求人広告を説明しました。ここでは無料でも十分に活用できるおすすめ求人広告を紹介します。
完全無料のハローワーク
ハローワークは公共機関で、完全無料の求人掲載サービスです。雇用保険・労働保険の適用事業所であれば、どのような企業でも利用可能です。
初回は、窓口で求人の登録・申請手続きが必要となりますが、それ以降は求人票作成や求職者管理などをWeb上で行えます。ただし、前章で説明したように、専門的なスキルなどをもつ人は、ハローワークに登録するケースが少ないため、募集ポジションに応じて使い分けをすることが必要でしょう。
無料でも充実しているIndeed
Indeedは無料でも十分に活用できるサービスです。自社のホームページの情報を読み込ませたり、画像を用いて企業紹介ページを作りこんだりと、ナビサイトに近い求人広告を作成できます。それに加えて、複数の職種を掲載しても無料なので、コストを抑えられることも大きなメリットです。
ただし、無料で運用する場合、募集内容の作成を全て自社でおこなう必要があります。この場合、自社が採用したい人物像の要件を設定する「ペルソナ設計」が重要です。このペルソナ設計は、自社の採用関係者や活躍人材にヒアリングをおこなうなど、求める人材像の属性を設計します。このペルソナ設計から情報を求人情報に落とし込むまで、一連を自社でおこなう事が求められます。
ペルソナ設計について詳しくしりたい知りたい方は、次のIndeedの公式ページをご確認ください。
(※参考)indeed japan株式会社:「採用のミスマッチを減らすには。ペルソナ設定の方法とポイント」
また、スポンサー求人という有料サービスを活用することによって、分析ツールを用いて検索されやすい求人情報を作成できたり、有料広告枠に掲載することでクリック率を高めることも可能です。
求人広告の選び方
求人広告の選び方は、主に次の項目を軸に検討すると最適な手法を整理しやすいです。
- 募集人数
- 募集期間
- 募集職種数
- 募集難易度
募集人数が多く募集期間が短い、かつ募集難易度が高い場合は、一定期間に相応のコストが発生しても、効果が見込める料金プラン型の求人サイトがおすすめです。また、コストが安いうえに効果を見込みやすいIndeedも有用でしょう。
また、募集人数が少なく募集期間が長い、かつ募集難易度が高い場合は、募集期間が長くても、要件に見合った人材に会えるまで、募集を継続できる成果報酬型の求人サイトが適しているでしょう。また、予算に応じた求人掲載ができるIndeedもおすすめです。
他方で募集難易度が低い場合は、募集期間や人数に関わらず、ハローワークも活用できるでしょう。このように、条件を組み合わせて求人広告を検討してください。
求人広告の書き方のコツ
メッセージを訴求するターゲットが決まったら、いよいよ広告文面の作成に取りかかります。求人広告によくある項目を、順に解説していきますので、自社の求人広告を見ながら点検してみてください。掲載する媒体によって項目名が違うこともありますが、内容は共通している点が多いはずです。
募集背景の書き方
これから事業をどのような風に成長させていきたくて、そのためにこういった人材を求めています、と募集背景を具体的に語れると、転職者の目には力強い企業に映ります。複数名採用する予定があるなら、いつまでに何名採用したいかを書くのも有効です。例えば接客経験者にアピールするのであれば、顧客への接客にこれまで以上に力を入れていくための増員であることを強調するのも良いと思います。
仕事内容の書き方
書き方のコツは、できるだけ具体的に書くことです。以下に悪い例と良い例を書きますので、読み比べてみてください。
悪い例
物件の内覧への同行や必要書類の作成など、営業と事務のお仕事をお任せします。
良い例
物件の内覧への同行や必要書類の作成など、営業と事務のお仕事をお任せします。
1日3~4組のお客様をご案内します。
タワーマンションなど高額な家賃の物件を専門に扱っていますので、お客様は経営者の方などハイクラスの方が多いです。
営業というよりは、接客という意識で丁寧な対応を心がけてください。
【具体的な仕事内容】
■市場調査(販売エリアの物件リサーチなど)
■契約業務(契約の作成や締結、管理など)
■物件登録管理業務(物件情報の作成やシステム登録など)
■仲介セールス(カウンターセールスや電話対応、物件の内覧同行など)
■社内管理業務(請求書や領収書、各種社内資料管理など)
※ゆくゆくは、現場管理や販売価格設定などもお任せいたします!
【1日の流れ】
9:00~ 出社/ 店内・店頭の清掃、メール確認など
10:00~朝礼(本日の予定、物件情報の報告など)
11:00~物件情報サイトに掲載する物件の情報作成、サイトへのアップロードなど
12:00~食事
13:00~カウンターセールス
15:00~物件への内覧同行
16:00~申し込み手続き対応
17:00~契約書の作成や諸対応
18:00~明日の来社予定確認、準備/帰社
仕事のイメージができないと、求職者は応募をためらう
上記の悪い例は、説明不足です。「物件の内覧に同行すること」も「書類を作ること」も、どちらも当たり前のことすぎて、求職者にとって価値のない情報です。
一方、良い例で書かれていた、1日何組くらいの顧客を案内するかは、仕事の忙しさを推測するヒントになります。扱う物件の特徴や案内するお客様の特徴なども、求職者にとっては、働き方を想像するための重要な手掛かりになります。
具体的に書くことによって、それが嫌だと思う人からの応募は減ってしまうかもしれません。しかし、仕事内容をあいまいにして応募させたとしても、自社にマッチしない人は、結果的に、面接以降のフェーズで辞退してしまう可能性が高いです。
「こんなことまで書いたら誰も応募しないんじゃないか」と不安になる方も多いと思いますが、勇気を持って情報を開示することは、選考辞退や早期離職の防止にもつながる求人広告作成の鉄則です。
求める資格・経験の書き方
求人には採用において決してゆずれない条件だけを書くようにしましょう。それ以外の資格やスキルについては、あれば歓迎というニュアンスで補足的な扱いにしてください。
どう考えても、一人ではカバーできない範囲の経験・スキルを列挙している求人をたまに見かけますが、あれは求職者からすれば、すべてできないと不採用と受け取られてしまうので損な書き方です。たとえば、接客経験者にアピールするのであれば、「接客経験を生かしてオフィスワークに挑戦したい方歓迎」といったように人材像を明記しておくことで、応募の後押しが可能です。
給与の書き方
無理に金額を多く見せるのは、早期離職にもつながるのでおすすめしません。残業代についてなど、後々の不信につながらないように、正確に記載しておきましょう。
競合に給与が劣る場合はどうすれば良いか
競合に比べて入社時点での待遇が劣るときには、年収例の提示で、解決できる場合があります。
例えばこのような表記をします。
年収例400万円(入社1年目)
年収例500万円(入社3年目)
年収例600万円(入社7年目)
転職は、買い物のようにその場だけの判断では決まりません。将来を見据えて、5~10年のスパンで検討するのが普通です。
将来的に年収がアップすることを想定できれば、一時的な年収ダウンを受け入れても良いと考える求職者も一定数存在します。年収例の提示と併せて、仕事内容の項目で、将来的なキャリアプランについても詳細に説明していると、より説得力が増します。
応募後の流れの書き方
意外と大事なポイントがここです。しかし、ここまで気を遣えている企業はほとんどありません。中途採用の場合は、働きながら転職の選考を受けにくる人も多くいます。
そのため、面接可能曜日や時間、面接回数を明記してあげることは、応募の後押しになります。また、遠方の場合は1次面接をオンラインや電話で対応するなど、ちょっとした配慮ができるだけでも応募UPに有効です。
応募効果をアップさせる、写真のルール
応募を増やすためにも「一緒に働くメンバーの写真」はかならず掲載しましょう。写真で従業員の顔や服装の雰囲気などを見ることができれば、自分がその職場に合うかどうかは、なんとなく想像がつくものです。
「オフィスが汚いから」
「おじさんばかりで見映えしないから」
といった理由で、写真掲載をしない企業様もありますが、これは損な考え方です。仕事内容の項目でも書いたように、応募させるためにマイナスの情報を隠しても、結局は、選考の過程で明るみに出てしまいます。本当に自社にマッチした人材と出会うためには、勇気をもって、情報を包み隠さず公開することが大切です。
※詳しくはこちらの記事もご覧ください
中途採用した人材がすぐ辞める理由と、3つの防止策
まとめ
最後に、本日の内容を簡単にまとめます。
・求めるスキルや経験を明確に定める
・条件に当てはまる人を洗い出す
・自社にフィットしそうな人をしぼり込む
・狙った人に向けて、具体的に仕事内容を説明する
・いっしょに働く人の写真を掲載する
・求職者に隠し事をしない
今回は、採用担当の方が実践できる内容にしぼり込んで、求人広告の作り方についてお伝えしました。弊社では、求人広告の設計についてのさらに詳しい情報を、無料のセミナーにて公開しています。
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