求人票の役割とは?基本的な書き方や求職者が見るポイントを解説 COLUMN

求人票の役割とは?基本的な書き方や求職者が見るポイントを解説

「求人票にはいつも定型文のみ掲載しており、自社の魅力が伝わってない気がする」
「改めて考えると、求人票に記載してはいけない事項を書いていないか心配になった」

自社の求人情報をハローワークや求人サイトに掲載する際、必要になるのが求人票です。フォーマットに沿って書いているものの、何をどこまで書けばいいのか、あるいは書いてはいけないのかを戸惑う人事担当の方も多いようです。

当記事では求人票に記載すべき事項や記載してはいけない事項、さらに自社の魅力を上げるための求人票の書き方を紹介します。求人票を見直すことで、求める人材から応募を増やしたいとお考えの方は、ぜひご一読ください。

目次

求人票とは?

求人票とは、求職者の募集を行う際に、業務内容や契約期間、就業場所といった労働条件を明示する書類です。

求人票はハローワークや民間の人材紹介会社、大学や専門学校などの就職課に掲載され、それを見た求職者が応募する企業を決めます。したがって、労働条件などは具体的にわかりやすく記載することが大切です。

求人票の目的は、自社にフィットした人材からの応募を増やすことです。決められた記載項目をきちんと埋めることはもちろんのこと、応募者が知りたい情報に配慮して情報提供することが重要になります。

求人票に明記すべき6つの項目

ハローワークに提出する求人票には職業安定法に基づき6つの記載項目が定められています。ハローワークではなく求人サイトや求人誌などに求人票を掲載する際は、6つの記載は必須ではありませんが、求職者と企業間のミスマッチを防ぐためにも、できるだけ記載することをおすすめします。

※ハローワークの求人票については、こちらのサンプルもご参照ください。
ハローワークインターネットサービス「求人申込書の書き方

業務内容

求人票で募集する業務について、具体的な内容を明記します。

「一般事務」などがよくある記述例ですが、「〇〇に関する書類整理作業」など可能な限り具体的に記述し、業務に携わったことがない人でも具体的にイメージできるように書きましょう。

労働契約期間

無期雇用なのか有期雇用なのかという点を明示します。

契約期間が無期なのか有期なのかは、求職者にとって重要な応募の判断基準です。 正社員の場合は期間のない契約という旨、契約社員の場合は契約期間がいつまでなのかという旨を記載します。

また、正式な採用までに試用期間が設けられている場合は「試用期間あり」と記載したうえで、具体的な試用期間を明記します。試用期間を延長する可能性がある場合は、その旨も記載しなければいけません。

就業場所

採用後に業務を行う就業場所の住所を記載します。

支社や支店など、複数の就業場所の候補地がある場合はすべて列挙し、転勤の可能性の有無についても書きましょう。

労働条件

就業時間・休憩時間・休日・時間外労働の有無などの労働条件を記載します。

所定労働時間を超える労働については、平均的な残業時間も記載しましょう。例えば「月末前後は残業になることが多いです」というように、求職者がイメージできる内容にするのがポイントです。休日については毎週の休日だけでなく、年末年始休暇や夏期休暇などの特別休暇も記入してください。

なお、一般的な就業時間ではなく裁量労働制を採用している場合は「裁量労働制により、〇時間働いたものとみなされます」などの記載が必要となります。 また「専門業務型裁量労働制」なのか「企画業務型裁量労働制」なのかも明示するようにしましょう。

賃金情報

月給・時給・日給など、賃金に関する条件を記載します。

基本給、固定残業代の金額、相当する時間数、それを超えた場合は別途支給する旨までの記載が必要です。月額の基本給には残業代や各種手当は含めないように注意しましょう。また賃金を時給や日給、年俸制とする場合であっても、月額換算して記入することを推奨します。

加入保険

採用後に加入する保険について記入します。

社会保険には健康保険、厚生年金保険、労働者災害補償保険、雇用保険の4つがあり、すべてを満たす場合は「社会保険完備」としましょう。組合の保険に加入する場合は、その旨も記載しなければいけません。一部の保険にのみ加入している場合は「雇用・労災保険あり」などと記載します。

求人票に記載してはいけないNG項目

ここまでは求人票に記載すべき項目について解説してきましたが、求人票には法律で記載が禁止されている項目もあります。NG例も交えながら、具体的に紹介していきます。

性別制限

男女雇用機会均等法によって、企業は求人募集や採用時には性別に関係なく平等な機会を与える義務があります。

どちらか一方の性別のみに限定して訴求するような記載や、性別で給与・待遇等の雇用条件を変えて募集することはできません。

【NG記載例】
男性大歓迎
男性は面接のみ・女性は筆記試験を行います

また注意したいのが職業名の明記でも男女雇用機会均等法に抵触するものもあります。性別が特定されるような職業名は、正しく記述するようにしましょう。

【職業名の記載方法】
「看護婦さん」→「看護師」
「保母さん」→「保育士」
「セールスマン」→「営業社員」
「ガードマン」→「警備員」

年齢制限

雇用対策法によって、企業が出す求人広告には、原則として年齢制限は記載できません。

年齢にとらわれることなく、人物や能力を重視することで均等な労働機会を設けることが目的となっているからです。

新卒を採用したい場合は、年齢ではなく「〇〇年3月大学卒業見込み」や「来春大学卒業予定者」といった表現を使いましょう。

【NG記載例】
若者向けコンセプトの店舗のため、25歳以下歓迎
肉体労働がある業務のため、40歳未満を採用します
40~50代のみの採用です

ただし例外もあり、以下の6つに該当する場合は、年齢制限ができます。

  • 定年を上限として制限する場合
  • 労働基準法やその他法による制限の場合
  • 長期勤続を前提として若年者を募集する場合
  • 技能・ノウハウ継承が必要な特殊職業の場合
  • 芸術・芸能分野の表現の真実性などの要請の場合
  • 高齢者就職に関する国の施策を活用する場合

 

詳細はハローワークの「年齢制限該当事由について」をご確認ください。

居住地域の制限

居住地や会社までの通勤時間を求人条件にすることはできません。また、出身地や親元からの通勤等に触れることも避けるようにしましょう。

【NG記載例】
通勤時間〇〇分以内の方を歓迎します
自宅通勤の方を採用します
〇〇県の出身者が特に向いています

身体的特徴

身長や外見、身体能力を制限する表現は禁止されています。力仕事が必要な求人の場合は、「体力がある方を採用」と記載するのではなく、仕事内容欄に「〇kg程度の段ボールを運んでもらいます」といった内容を記載し、求職者自身に判断してもらうようにしましょう。

【NG記載例】
心身ともに健康な方
身長〇〇センチ以上の方
接客業につき、容姿の良い方を歓迎します

身体的特徴に関連して注意したいのが、人種・国籍・肌の色を採用条件に記載することはできないという点です。語学力を応募資格とする場合は、経験や能力の箇所に記載するようにします。また、国籍不問という記載も、あえて記載することで差別を生むことにつながるとして、NGと見なされます。

【NG記載例】
外国籍の方歓迎
国籍は問いません

求職者が求人票で重視する項目

求人票を全てきちんと記述することは重要ですが、項目の中でもとりわけ求職者が重視する3つのポイントについて紹介します。

仕事内容

求職者が求人案件を選ぶ際、いちばんの決め手となるのは仕事内容です。

就職や転職では「これまでの経験が生かせる」「自分に合う仕事を長く続けたい」「やりがいを感じる仕事がしたい」などと考える方が多いため、応募する・しないの判断には仕事内容が大きく影響します。

特にハローワークでは未経験でも始められる仕事を探している方も多いため、仕事内容が自分に担えるかどうかという観点で見る傾向も強まります。未経験の方でも応募して欲しい場合は、仕事内容に加えて教育・サポート体制などを明記すると良いでしょう。

就業場所

職種や雇用形態にもよりますが、就業場所を重視する求職者も一定数います。

引っ越しを伴う就職を考えていない方にとっては、通いやすい勤務地であるかは条件の一つになります。

近年はワークライフバランスを重視することから、就業場所そのものよりもテレワークなど広義の意味での働く場所や働き方にも注目が集まっています。オフィスに出勤する必要がない制度などがあれば、積極的にアピールすると良いでしょう。

賃金など労働条件

求人票を見る際に、ほとんどの方は賃金をチェックして前職の収入との比較を行います。

基本給のみではなく、賞与や祝い金等も含めた年収例を記載し、求職者が応募の判断基準とできる情報提供を行いましょう。

休日についてもライフスタイルに大きく影響するため、休みの曜日だけではなく、有給や連休を取りやすいか等も記載しておきたい要素です。具体的な休日数や、取得実績も記載することをおすすめします。

また、独自の休暇制度がある場合は詳細に記載することで魅力のひとつとなります。

自社の魅力を上げる求人票のポイント

最後に求人票で求職者に「応募したい!」と思われる書き方のポイントをお伝えします。求人票はフォーマットが規定されていることがほとんどですが、書き方に工夫を少し加えることで、自社の魅力を伝えやすくなります。ぜひ参考にしてください。

誇大表現を避けて自社の魅力を書く

求人票は必須項目や遵守しなければいけないルールがあるため、捏造や誇大表現は避けるようにしましょう。

その上で、自社で働くと何が得られるのかという、求職者にとっての魅力を記述することがポイントです。

例えば募集職種を単に「エンジニア」と書くだけでなく、「モノづくり産業を支える【組込み系エンジニア】」などと書けば、「エンジニアの技術を通して機械や通信機器などの業界に貢献したい」と思う求職者に響きやすくなります。

求人票のフォーマット次第ではありますが、以下の観点で自社ならではの魅力をまずは洗い出してみてください。

  • 事業の魅力:業績・将来性・業界シェアや独自性
  • 環境の魅力:産休・育休や有休取得率、社員の定着率
  • 仕事内容の魅力:裁量・責任・ワークスタイルなど

曖昧ではなく具体的に書く

求人票は求職者が「働くイメージが持てるかどうか」が重要なので、曖昧な表現は避けてできるだけ具体的で分かりやすい内容を心がけてください。

詳細の業務内容が想像できないと、求職者は応募を躊躇してしまう傾向があります。特に同じ職種であっても企業ごとに業務内容や業務フロー、業務範囲などが異なることも多々あります。自社ならではの業務内容をイメージできるよう、わかりやすく端的に伝えましょう。

より働くイメージを持ってもらうために、仕事内容欄では、1日の仕事の流れや月の業務繁閑、育成体制等について具体的に記述することも効果的です。

具体的であっても、業界特有の専門用語や社内用語を多用するのは注意が必要です。
業界内や同職種で転職を検討している方を希望している場合は、ある程度専門用語などを使うのは応募者の理解度でスクリーニングできるので問題ありません。

ただし、未経験者にも応募して欲しい場合は、誰が読んでも理解できて、イメージできる言葉を使うことが求人票の基本となります。心配な場合は、社内の複数人で求人票を読んで推敲することをおすすめします。

求職者の心に響くストーリーを作る

求人票にはただ労働条件を記載するだけでなく、求職者の心に響くストーリーを意識することで、他社の求人票と差別化しやすくなります。
具体的には「今回求人した背景」「自社のミッション・ビジョン」「求める人材像」などの情報があると、求人内容のリアルさや具体性が強化され、求職者の心に残りやすくなります。

例えば、「人員補充のための募集」と簡素な書き方をするのではなく「その職種が必要な理由」「採用者にはどのような期待があるのか」などの記述があれば、今回の募集に関するストーリーが感じやすくなります。

求人票のフォーマットによっては、このような情報を入力できる欄がないこともあります。その際は、自社ホームページなどに会社の特徴・理念・ビジョンをわかりやすく整理しておきましょう。
求人票を見た求職者が自社に興味を持ってホームページに訪れる可能性もあるため、応募を後押しするような情報があると効果的でしょう。

まとめ

求人票は、求職者が仕事を探す際にまず確認する基本情報です。求人票に記載しないといけないもの、記載してはいけないもの等いくつかの決まりはいくつかありますが、求職者に一緒に働きたいと思ってもらえるよう、書き方に工夫を加えるようにしましょう。

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【参考】
e-Gov法令検索「男女雇用機会均等法
e-Gov法令検索「雇用対策法
e-Gov法令検索「労働基準法
厚生労働省「採用・選考時のルール

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