優しい対応はMUST
優しさにも色々な種類があります。
学生さんが、どんな点を優しいと感じているかと言うと――
まずは王道だと思われる回答から。
「わからないことはいつでも電話をかけて聞いてください、とおっしゃってもらえた」
「メールだけではなくて電話もしてくれてフォローが厚くいい印象だった」
「面接が通過したタイミングで「おめでとう!通過したよ!何か不安なことある?」など内定に至るまで親身に接して下さった」
中にはこんな回答もありました。
思わず「接客業か!おもてなしか!」とツッコミたくなるかもしれませんが、覚えていてもらえて嬉しくない人はいないでしょう。
あと、なかにはこんな回答もありました。
人事の方からすると、興味深い内容だと思います。
いやいや、他社の選考を気にするのは選考辞退・内定辞退のリスクを考えてなんだけど…(汗)
と感じる採用担当の方がほとんどだと思います。
ところが、選考を応援するニュアンスを付け加えることで、学生視点では「応援してもらえている」と感じるということですね。
学生には、積極的にフィードバックすべき
フィードバックをもらえたことに対する好意的な意見も目立ちました。
「個人面接が終わった翌日ごろ、次の選考の日程調整に併せて、FBをもらえました。親身な対応をしてくれるなと感じました」
「内々定を知らせる電話。なぜ私が採用になったかを細かく、教えてくれた。面接のFBがとても深く、自分のことをわかってくれたうえで、一緒に働きたいと言ってくれたと感じた」
中にはここまでやるの?というものも。
「毎回の面接前に1時間ほど時間を取っていただき、不明点は明確にしてもらい、面接でのポイントを教えていただけた」
これ、人事の方には、ものすごい手間暇がかかっていると思います。
ここから感じ取れるのは、学生の心の中には「言ってくれれば、上手く対応してみせるのに!」という想いがあるのだろう、ということです。フィードバックをもらえれば、答えがわかれば、いかようにも対処のしようはある。次こそはもっと上手にやってみせます。というスタンスです。
これを甘い考えだと感じる方もいらっしゃるかもしれません。ビジネスとは、正解のない問題に取り組むものなのだ。安易に答えを求めるんじゃない。「受身の姿勢」「言われなければできない」人材は不要なのだ、と。
ただ、学生の行動を好意的に受け止めるのであれば、フィードバックを求める姿勢は向上心の現れだと解釈することもできます。学生さんにとって、フィードバックを欲することは受身ではなく、改善のための積極的なアプローチなのです。
フィードバックを受けた学生さんが、そこからどれだけ成長できたかを判断基準に加えてみるのも、見極めの方法の一つではないかと思います。
学生は、企業に「早い対応」を求めている
やりとりを通じて企業の印象が良くなった理由として、レスポンスの早さも多数あがっていました。
たとえばこんなコメントがあります。
「メールでの対応が毎回丁寧で早く、早く次の選考に進みたいというモチベーションが上がった」
「面接の時に合格した時は何時ぐらいに電話しますと言われ予定を立てやすかった」
「企業の説明会に日程的に出れなくなった際、こちらの状況をくみとったうえで、即座に別の日程の提案をしてくれた」
いまの学生さんは、就活の広報解禁から選考・内定までが短くなっているために、短期間で過密スケジュールの就活をこなす必要があります。
スケジュールをやりくりするにあたって、企業からの素早いレスはありがたい、ということなのでしょうね。
また、同じレスポンスの早さを挙げる人のなかにも、別の意見がありました。
「選考後すぐ電話を受け、選考スピードの速さに評価されていると感じた」
「面接を行った次の日、迅速な対応で自分を見てくれていると感じた」
すぐに通過の判断をしてくれるということは、それだけ自分のことを評価してくれている証拠、と考えるわけです。
よく企業様から質問を受ける内容に、学生に対して早く返事をしすぎると足元を見られるのではないか、ブラック企業だから人手不足で困っていると思われるのではないか、といったことがあります。でも、その心配は無用です。
選考通過の連絡とともに、なぜその学生さんを選んだのか「フィードバック」も併せて行うことで、学生さんの受け止め方はポジティブになります。理由もなく、即座に選考通過だから怪しいわけで、選ばれた正当な理由を伝えられれば、早いレスには何の問題もないどころか、むしろ学生さんの志望度向上にも寄与します。
いかなる理由でも、威圧的な態度はNG
学生さんのコメントを見ると、選考上のいかなる理由があろうとも、威圧的な態度は百害あって一利なしであることが伺えます。
「(採用担当の方が)威圧的・自信がありすぎる」
「威圧的な方には印象は良くありませんでした」
ひと昔前ならいざ知らず、上記のような対応をする企業はいまや少数派でしょう。
しかし、普段はニコニコ親切な対応を心がけていても、内定辞退や面接日程のすれ違いによって、思わず怒りが表に出てしまうことはないでしょうか。
「内定辞退の電話をかけた際、担当者に心ない言葉をぶつけられた」
「面接日を提案されても、どうしても外せない用事があり、別日を指定したら、説教された」
人事担当の方の辛さはお察しします。
社長や部長など、上級職の方のスケジュールを必死で押さえて調整しているわけですから、内定辞退されたり、スケジュールを合わせてもらえなかったりしたら、とてつもないストレスがかかると思います。
ただ、学生さんには学生さんなりの事情や都合がありますし、まだ社会人になっていない学生さんには、採用担当者の苦労を完全に理解することも難しいでしょう。
お辛いとは思いますが、内定辞退はむしろ企業の評判をあげるチャンスととらえて、他社への内定を祝福する大人の余裕を見せたいものです。
実際、学生さんのコメントにも、就活そのものを応援してくれる企業のスタンスに対して好感を覚えるという旨の意見がいくつかありました。
「明るい声で、親しみやすく、程よい距離感でした。内定をいただいた時、正直にまだ悩んでいることを伝えると「最後までやり切って決めてね!」といっていただけた事がとても嬉しく、印象がとてもよく感じました」
「選考通過のたびに一緒に喜んでくれたり、他の会社も見て決めてくださいね、とアドバイスをくれたから」
ボランティア精神あふれる対応であり、こんなことは自社には無理だ、と否定的に受け止められる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、これは企業側にも利がある対応なのです。
こういった親切な対応をしている企業が見据えているのは、学生の獲得数(入社数)ではなく、入社後の定着・活躍です。
学生さんには、納得して入社してもらわなければ、結局、入社したあとに早期離職につながってしまいます。
企業も学生さんも双方が傷つくことになってしまうミスマッチの入社を避けるために、より慎重な選考を行っているというわけです。結果的に学生さんから好印象を得られるのであれば、一石二鳥の対応と言えます。
強引な勧誘は逆効果
ナビサイト一辺倒の集客方法が通用しなくなり、プル型ではなくプッシュ型の採用活動が求められがちだからこそ、注意すべきなのがこちらです。
「大学の授業中に何度も電話が来た」
「毎日頻繁に選考に参加してほしいと電話がかかってきたときは、印象が悪くなりました」
「選考を辞退したのに、何度も連絡が来る」
学生には、自社だけでなく複数社から連絡が来ていますから、がむしゃらなアプローチは逆効果になりやすいのです。
同じ志向をもつ先輩との面談セッティングや面談前の疑問解消のための電話など、学生にプラスになるオファーを携えての連絡が必須だとお考えください。
電話するタイミングも重要です。
平日であればお昼休みの12~13時。もしくは17~18時くらいまでの夕方の時間帯をめがけて連絡するなど、極力、学業の妨げにならないような配慮が求められています。
採用担当の方のなかには、採用のために全国を行脚しているようなお忙しい方も多いと思います。
つい自分の都合で空いた時間に連絡をしてしまいがちですが、企業側の都合を考慮してくれる学生さんは少数派です。
勧誘ではなく、通常の選考の連絡であったとしても、知らぬ間に不評を買うこともあるのでお気を付けください。
ちなみに、最近は電話番号だけで使える「ショートメッセージ」を活用してやりとりするケースが増えてきました。弊社の採用でもよく使っています。
電話と違い、比較的、送るタイミングを選びませんし、メールで起こりがちなメッセージの見落としも防げます。パソコンのメールよりも、簡潔な文章で送れるため、気軽に返信してもらえるようです。
ショートメッセージと似たようなツールとしてLINEもありますが、LINEはあくまでもプライベートのコミュニケーションツールです。
便利だと感じる学生さんがいる一方で、不快に感じる学生さんも少なくないため、選考中ではなく内定後の連絡に使うなど、学生さんとの距離感を考えた上での使用をおすすめいたします。
採用担当者に求められているのは、中立のスタンス
今回、人事担当者の対応について、アンケートという形で学生さんからフィードバックを多数いただきました。
なかなかに率直で辛辣な意見も多く、これが若さかと圧倒されつつも、その裏側では、社会からの承認に飢えている学生さんの弱気さや気苦労なども垣間見える結果となりました。
アンケート結果を受けて感じたのは、学生さんが採用担当者に求めているのは中立の立ち位置なのだろう、ということです。
就活生がいて、面接官がいて、その間を取り持つ人。それが採用担当者です。
具体的には、就活生が正しい判断ができるように、面接でベストを出し尽くせるようにサポートし、一方で、社内向けには、面接官が学生の良さをしっかり受け止めたうえで合否判定できるように、そのお膳立てをする社内調整も求められます。
今回のアンケート調査を経て、学生対応のあるべき姿が明らかになったと思います。
答えがわかれば、いかようにも対処のしようはあります。
学生さんたちが得意な「フィードバックからの改善」を、私たち大人も、負けじと体現していきたいものです。
*
今回、記事を書きながら、うちの新卒採用チームって実はとんでもなく頑張っていたんだな…、と感じました。
デスクが近いので、日常的に学生さんとやりとりする声が聞こえてくることも多く、そのやりとりを思い返してみると、今回の記事に書いたような内容は、易々とクリアしているのではないかと思います(手前味噌で恐縮ですが…)
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