会社の魅力とは?
ここでは、会社の魅力の概要や人事担当者が陥りやすいネガティブな思考について解説します。
会社の魅力とは
採用活動における会社の魅力とは、求職者の企業選定における重要な判断基準のひとつです。福利厚生や企業の成長性、社風や企業風土など、求職者の価値観によって、判断基準は異なります。ある一部の角度だけで決まるものではなく、さまざまな要素の組み合わせで、会社の魅力が成り立つこともあります。
自社に魅力はない?! 人事担当者が陥りやすいネガティブな思考
会社に属していると、「デメリットに注目してしまう」「当たり前と思い魅力と感じていない」など、自社の魅力に気付かないケースが多くあります。働いている職場では見えにくい会社の魅力もあるでしょう。
「ウチになんて魅力はない」「アピールできることはない」などと決めつけないことが大切です。
会社の魅力を伝えるために大事なポイント
次に、会社の魅力を伝えるために大事なポイントを紹介します。
競合他社と差別化する
一つ目のポイントは、競合他社と差別化することです。
求職者が企業選定する場面では、自社と他社を比較し、魅力度の高い企業を選びます。そのため、自社が比較優位に立てるように競合他社と差別化し、独自の会社の魅力を打ち出すことが重要なポイントです。
魅力は引き出せるもの
二つ目のポイントは、魅力は引き出せるものであることです。
「自社には魅力はない」というネガティブな思考に陥ると、自身が気付かない会社の魅力を見つけ出すことはできません。こうした固定観念を持たずに、さまざまな角度や視点から会社の魅力を見つけ出し、作り出すという視点を持つことが大切です。
企業規模別に見る「会社の魅力」の特徴
会社の魅力はさまざまですが、企業規模別に見られる特徴もあります。ここでは、企業規模別に見る会社の魅力の特徴を紹介します。
大企業
大企業に見られる会社の魅力は、ブランド価値や企業の信用力、充実した福利厚生などが挙げられます。働く人々にとって、知名度が高い企業で働くことの魅力や、信用力の高さから生活基盤が安定するメリットが大きいでしょう。資金力があるため、住宅や家族に対する充実した支援制度、福世厚生施設やカフェテリアプラン、ユニークな休暇制度など、福利厚生制度が充実していることも魅力のひとつです。
中小企業
中小企業に見られる会社の魅力は、仕事の裁量が大きい、経営層と近い距離感など、企業規模ならではの特徴があります。大企業のように職務が専門化・細分化しておらず、広範な業務をこなさなければならないため、幅広い業務の経験を積むことができます。
また、経営層との距離の近さから、自身の声が届きやすく、会社を動かせる醍醐味があることも大きな魅力でしょう。さらに、従業員全員の顔を覚えられる規模感のため、一体感を持って企業活動できることも中小企業ならではの魅力といえます。
ベンチャー企業
ベンチャー企業に見られる会社の魅力は、成長を肌で感じることができ、早いうちから責任のある仕事を裁量できるなどの特徴が見られます。激変する事業環境の下、ビジネスモデルを変革させていくなど事業戦略を肌で感じながら、成長していけることが大きな魅力でしょう。
また、株式公開をした際に、自社株を購入できる権利「ストックオプション」を付与しているケースでは、大きなインセンティブを得られることもベンチャー企業の魅力です。
知っておきたい「会社の魅力」8つの切り口
会社の魅力を漠然と見つけようとしても、なかなか見つけにくいものです。ここでは、4つの視点と8つの切り口に分けて、自社の魅力を整理できるチェックポイントを紹介します。
なお、弊社クイックでは、このチェックポイントに沿って自社の魅力を可視化できる「8つの魅力シート」をPDF形式でご用意していますので、ぜひご活用ください。
目標の魅力
目標の魅力は、経営的視点の項目になります。次の二つのカテゴリーに区分して、チェックポイントを設けています。
- 理念・ビジョンへの共感
- 戦略の将来性
【1】理念・ビジョンへの共感
【2】戦略の将来性
構成員の魅力
構成員の魅力は、現場視点の項目になります。次の二つのカテゴリーに分けて、チェックポイントを作成しています。
- 風土の親和性
- 人材・人間関係の豊かさ
【3】風土の親和性
【4】人材・人間関係の豊かさ
活動の魅力
活動の魅力も、現場視点の項目になります。同様に、次の二つのカテゴリーに区分して、チェックポイントを設けています。
- 仕事・ミッションの醍醐味
- 事業・商品の特徴・競争優位性
【5】仕事・ミッションの醍醐味
【6】事業・商品の特徴・競争優位性
特権の魅力
特権の魅力は、人事視点の項目になります。次の二つのカテゴリーに区分して、チェックポイントを作成しています。
- 職場環境・勤務場所の利便性
- 制度・待遇の充実度
【7】職場環境・勤務場所の利便性
【8】制度・待遇の充実度
どんな企業でも出せる!?会社の魅力見つけ方フレームワーク
前章では、会社の魅力を8つの切り口に分けてチェックポイントを紹介しましたが、ここでは、そのチェックポイントを活用した、会社の魅力の見つけ方フレームワークを解説します。
【1】関係者から魅力を引き出す【経営者・現場・人事】
一つ目は、関係者から魅力を引き出すことです。
自社の構成員毎に、認識している自社の魅力は異なります。そのため、それぞれの構成員が認識している自社の魅力を4つの視点に分けて、次のように引き出しましょう。
- 目標の魅力:経営者から引き出す
- 活動の魅力:現場から引き出す
- 構成員の魅力:現場から引き出す
- 特権の魅力:人事から引き出す
【2】4つの視点で魅力を整理する
二つ目は、引き出した魅力を4つの視点で整理することです。
前章で解説したチェックポイントに沿って、自社の魅力を4つの視点と8つの切り口に分けて整理します。次のように、視点毎に他社との差別化の仕方が異なりますので、4つの視点に応じた差別化方法を検討してください。
【視点1】目標の魅力
この視点は、MVV(Mission Vision Value:ミッション・ビジョン・バリュー)が言語化されていれば、採用上、差別化しやすい領域です。「理念・ビジョンへの共感」と「戦略への将来性」のカテゴリーに沿って経営者から引き出し、MVVを明確化することが重要です。このMVVを採用ターゲットに響くワードに落とし込みましょう。
- 企業が果たすべき使命や存在意義(Mission:ミッション)
- 企業のあるべき姿(Vision:ビジョン)
- ミッションやビジョンを達成するためにすべきこと(Value:バリュー)
【視点2】構成員の魅力
この視点は、構成員や風土は伝えるのではなく、肌で感じてもらえるコンテンツと合わせて訴求できれば、採用上、差別化しやすい領域です。
「風通しが良い」「仕事の裁量が高い」などを伝えても、求職者には響きません。社員インタビューやエピソード、動画など、肌で感じてもらえるコンテンツで魅力を訴求することで、求職者に構成員の魅力を打ち出すことが可能です。「風土の親和性」と「人材・人間関係の豊かさ」のカテゴリー別に現場から引き出し、競合他社と差別化できる項目をコンテンツとして訴求してください。
【視点3】活動の魅力
この視点は、仕事上のやりがいを現場のリアルとともに訴求できれば、差別化しやすい領域です。
「仕事の醍醐味が魅力」「成長ステージを肌で感じる」など言葉だけでは、魅力は伝えきれません。こうした活動の魅力も、社員インタビューや動画によって、現場のリアルとともに仕事のやりがいを打ち出すことで、求職者を惹きつけることができます。「仕事・ミッションの醍醐味」と「事業・商品の特徴・競争優位性」のカテゴリーに沿って現場から魅力を拾い上げ、活動の魅力を打ち出せるコンテンツを作り上げることが重要です。
【視点4】特権の魅力
この視点は、職場環境や制度・待遇の事実を伝えるだけでなく、活用事例や活用実績と合わせて訴求できれば、採用上、差別化しやすい領域です。
「職場環境が良い」「福利厚生が充実している」など、漠然と事実を伝えるだけでは、求職者に特権の魅力を伝えきれません。勤務体系や福利厚生の充実度、職場環境の良さなど、動画や社員インタビューによって、社員の利用実績や満足度がわかるコンテンツを打ち出すことで、求職者に自社の特権の魅力を打ち出すことが可能です。人事サイドで、「職場環境・勤務場所の利便性」と「制度・待遇の充実度」のカテゴリーから魅力を抽出し、特権の魅力を求職者に訴求しましょう。
【3】差別化できる魅力を抽出する
三つ目は、差別化できる魅力を抽出することです。
整理した魅力から、それぞれの視点毎に、競合他社と差別化できる魅力を抽出します。差別化できる魅力のなかでも、特に重視すべきポイントは独自性です。自社にしかない独自の魅力を打ち出せれば、求職者を優位に惹きつけることが可能です。
【4】差別化できる魅力がない場合は魅力を組み合わせる
四つ目は、差別化できる魅力がない場合は魅力を組み合わせることです。
企業によっては、整理した魅力に「差別化できない」「独自性がない」といったケースがあるでしょう。その場合は、魅力同士をかけ合わせることによって、魅力を打ち出すことも可能です。
【5】ターゲットに魅力を合わせる
五つ目は、ターゲットに魅力を合わせることです。
競合他社と差別化し、独自性ある魅力を打ち出しても、採用ターゲットにマッチした魅力を打ち出せなければ、求職者を惹きつけることはできません。求める人材像の具体的なイメージを作り上げることで、採用ターゲットの目線に立った自社の魅力を引き出すことができます。
「会社の魅力」効果的な見つけ方
最後に、会社の魅力の効果的な見つけ方を解説します。
フォーマット・設計シートの活用
一つ目は、フォーマットや設計シートを活用することです。フォーマットや設計シートを活用しない場合、「見るべき視点が漏れる」「着眼点が思いつかない」などにより、魅力を見つけ出せないことがあります。
フォーマットや設計シートを用いることで、モレなく構造し、効果的に自社の魅力を引き出すことが可能です。また、着眼点や切り口が示されているため、スピーディーに進められることも大きなメリットです。
弊社クイックでは、自社の魅力を可視化できる「8つの魅力シート」をご用意していますので、ぜひ、無料ダウンロードしてください。
採用コンサルティングの活用
二つ目は、採用コンサルティングを活用することです。自社の魅力を引き出すには、採用ペルソナの設定や関係者のヒアリング、魅力の抽出や作り出しなど、適正なフレームワークの下で取り組むことが重要です。
しかし、「時間を割けない」「ノウハウが不足している」などにより、会社の魅力を引き出すことに手が回らないこともあるでしょう。採用コンサルティングを活用すれば、自社の魅力を効果的に引き出すことが可能です。
採用コンサルティングについて詳しく知りたい方は、「採用コンサルタントとは? メリットや成功に導く選び方を解説!」の記事をご参考ください。
弊社クイックでは、採用ターゲットに適した会社の魅力を引き出すことに止まらず、企業のビジネスモデルの下、求める人材像を明確化し、採用活動全体の最適化を図るご支援をしています。弊社クイックの採用コンサルティングサービスにご興味ある方は、こちらをご確認ください。
また、会社の魅力については、「自社の魅力を「過小評価」していませんか?」の記事でも解説していますので、ご参考ください。
まとめ
本記事では、会社の魅力の大事なポイントや企業規模別にみる特徴のほか、会社の魅力を作り出すうえで知るべき8つの切り口、見つけ方のフレームワークを解説しました。
会社の魅力を打ち出すには、「目標の魅力」「活動の魅力」「構成員の魅力」「特権の魅力」の視点で、経営・現場・人事の関係者から会社の魅力を引き出し、作り出すことが重要です。
本記事で紹介したフレームワークを参考に、競合他社に打ち勝てる会社の魅力を作り上げましょう。
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