キャリアコンサルタントの仕事とは?資格を取る方法や活躍の場を解説 COLUMN

2022.07.21

2022.12.05

キャリアコンサルタントの仕事とは?資格を取る方法や活躍の場を解説

「人事として仕事の幅を広げるためにキャリアコンサルタントの資格を取得したい」

「キャリアコンサルティングってなにをするの?」

2016年に国家資格として誕生した「キャリアコンサルタント」。社会全体で働き方が多様化するなか、個人の能力開発のサポートができる専門家として注目されています。しかし、具体的な資格の種類や活躍フィールドが分からないという声も聞かれます。

今回の記事ではキャリアコンサルタントの資格の概要や、どのような場面でキャリアコンサルタントが活躍しているかについて解説します。

目次

キャリアコンサルタントとは

キャリアコンサルタントとは、働く人々がキャリアに関する課題解決や能力開発を意欲的・自主的に取り組めるよう、専門知識とスキルによって支援する職業のことです。

社員のキャリア自律は企業の組織力強化や業績向上にもつながるとして、人材を重要視する企業を中心に注目を集めています。

一般的にキャリアコンサルタントと聞くと転職場面でのキャリア相談を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、広義の意味では学生や企業在職者など幅広い人々が対象となります。
近年は「キャリア」は、自己啓発やボランティア活動も含めた「人の生き方そのもの」と広義に捉えられるようになり、キャリアコンサルタントの仕事範囲も広がっているのです。

“人生100年時代”と言われる現代において、働き方は人生に大きな影響を及ぼします。人の生き方をもサポートをする重要な役割を担うのがキャリアコンサルタントといえます。

キャリアコンサルタントの資格

キャリアコンサルタントには、いくつかの資格が存在します。代表的な資格をピックアップして紹介します。

キャリアコンサルタント(国家資格)

「キャリアコンサルタント」は、2016年4月に職業開発促進法で規定される国家資格となりました。厚生労働省のデータによると、2022年6月時点での登録者数は61,947人となっており、年々資格取得者が広がっています。
参考:「キャリアコンサルタント登録者数」特定非営利活動法人キャリアコンサルティング協議会

キャリアコンサルタント国家試験には受験資格が定められており、以下のいずれかを満たす必要があります。

  • 厚生労働大臣が認定する講習の課程を修了した人
  • 労働者の職業の選択、職業生活設計または職業能力開発および向上のいずれかに関する相談に関し3年以上の経験を有する人
  • 技能検定キャリアコンサルティング職種の学科試験または実技試験に合格した人
  • 平成28年3月までに実施されたキャリア・コンサルタント能力評価試験の受験資格である養成講座を修了した人

国家試験は学科試験と実技試験があり、それぞれ個別で受験できます。合格率は学科・実技を同時に受けた場合で、55%~60%程度となっています。しっかりと勉強すれば、半数以上の方が合格可能な資格です。
参考:キャリアコンサルティング協議会(CCC)
参考:JCDA(日本キャリア開発協会)

キャリアコンサルタントの国家資格取得後は5年ごとに更新を行うため、資格取得後も最新の知識を身につけていることを証明する必要があります。

キャリアコンサルティング技能士(国家検定)

「キャリアコンサルティング技能士」は、キャリアコンサルタントとして高レベルの実務を積んだ人のための検定です。国家検定は技能検定とも呼ばれ、より実践を重視した知識や技能を評価する制度です。

キャリアコンサルティング技能士のレベルは「1級」と「2級」に分かれています。一つの目安として1級が「指導レベル」と位置付けられ実務経験5年以上の方が対象で、2級が「熟練レベル」となり、実務経験10年以上の方が対象となります。

検定試験は実務経験者の技能レベルを問うため、キャリア相談などの実務経験があることや、大学や大学院で検定職種に関する科目を規定の単位以上取得していることなどが受験資格となります。

キャリアコンサルタント国家資格の上位資格という位置付けなので、資格取得の難易度も上がります。

その他のキャリアカウンセラー関連の民間資格

近年、働く個人のキャリア形成が注目されていることを背景に、民間団体が認定するキャリアカウンセラーの資格も増えてきました。

代表的な資格としては「CDA(キャリア・デベロップメント・アドバイザー)」やグローバル資格である「GCDF-Japanキャリアカウンセラー」などが挙げられます。

これらの資格取得は、キャリアコンサルタントよりは難易度が易しめといわれますが、所定の養成講習を受講するなどの条件を満たす必要があります。厚生労働省が認定するキャリアコンサルタント養成講習のなかでも、これら民間資格の取得を同時に目指せるものもあります。

企業の人材開発現場では、自社のニーズに対して国家資格のキャリアコンサルタントを必要としないケースもあります。

キャリアコンサルタントになるには

キャリアコンサルタントは、国家試験を受けて学科試験と実技試験(論述および面接)の両方に合格し、キャリアコンサルタント名簿に登録する必要があります。

キャリアコンサルタントになるためには、特定の大学や専門学校などに通わなくてはならないわけではありません。ただし、厚生労働省に認定されている養成講座(150時間)を受講する必要があります。

学科試験は独学でもある程度対策ができますが、実技の論述や面接は養成スクールでの学習が必要といわれます。3ヶ月程度の通信講座などで基礎知識を学び、10日間程度のスクーリングで面談のロールプレイングなどを習得するのが一般的です。

学科試験・実技試験に合格した後は、厚生労働省のキャリアコンサルタント名簿に登録することで、「キャリアコンサルタント」を名乗ることができます。

キャリアコンサルタントが注目される背景

キャリアコンサルタントが注目される背景として、代表的な2つの変化を紹介します。

働き方の多様化

厚生労働省は、2024年度までに10万人のキャリアコンサルタントを養成するという計画を公表しています。その背景として、昨今の社会環境や働き方の多様化が挙げられます。

「ワークライフバランス」や「ダイバーシティ」などの言葉に代表されるように、社会環境の変化は、働き方の選択肢の多様化につながりました。

例えば「出産後も働きたい女性」「育休を取りたい男性」「定年後も働きたいミドル層」など、自分の価値観を大切にした働き方を選択する人々は増えています。雇用形態も正社員だけでなく、派遣、契約社員など、さまざまな選択肢があります。

企業人事の立場としては、企業が継続的に成長を続けるためにも、社員が気持ち良く働ける環境を用意する必要があります。リモートワークなど制度としての環境を整えるのはもちろんのこと、社員のキャリア開発を支援することも、昨今重要なミッションとなっています。そのため、キャリアコンサルタントの存在が必要になるようになりつつあるのです。

個人の適性や能力開発の支援

昨今では従来型の終身雇用制度や年功序列は失われつつあり、働く個人にとっては一社や単一職種にとらわれない自由な働き方が主流となりつつあります。

企業や職種の選択肢の幅が広がることは、個人側の将来を見据えた能力開発の重要性も増しているといえます。キャリアコンサルタントは適性や能力、価値観に合った仕事を見つけるだけでなく、必要に応じて個人のスキルアップの支援も担います。

企業内のOJTで能力開発をすることが一般的だった日本人は、社会の多様化に応じた個人のスキル開発には、残念ながらまだまだ不慣れといえます。だからこそ、キャリアコンサルタントのような専門家のアドバイスを受けて、個人の能力開発をする必要性が高まっているのです。

キャリアコンサルタントの活躍フィールド

近年注目を集めるキャリアコンサルタントですが、活躍できる場にも広がりが生じています。ここではキャリアコンサルタントが活躍できる、代表的な4つのフィールドを紹介します。

企業の人事部門

前述の社会や個人の働き方の変化を背景に、企業の人事部門で活躍するキャリアコンサルタントが増えています。人材開発に積極的な企業を中心に、専属のキャリアコンサルタントを置き、従業員に対するキャリア相談を行うためです。

キャリアコンサルタントがいることで、直属の上司に相談しにくいキャリア相談などが可能です。また、従業員は定期的に自分の成長を確認することができ、働きがいやパフォーマンスの向上を実現しやすくなります。

企業の人事担当者がキャリアコンサルタントの資格を取得したり、または資格を取得済みの人を外部から採用するなどの動きは、今後どんどん加速していくことでしょう。

人材紹介会社、人材派遣会社

人材紹介会社・人材派遣会社などの人材関連企業でもキャリアカウンセラーは活躍しています。

一般的には「コーディネーター職」という呼称で働くケースが多く、就職を希望する人にアドバイスを行ったり、適性がありそうな職を紹介したりしています。

就職・転職相談に訪れる求職者やキャリアチェンジの必要に迫られる派遣社員・期間雇用者に対して、面談を通じて能力や興味などを明確にし、最適な企業とマッチングさせます。

公的機関や自治体

キャリアコンサルタントの活動場所で一般的なのが、ハローワークや若者の就業促進のためのジョブカフェなどの公的職業支援機関です。

公的機関での仕事としては、仕事を求める相談者との面談を行い、仕事の紹介をします。就職が難しい人に対しては、就職に必要な技能や知識習得の訓練を無料で行う職業訓練の受講の斡旋も行います。

ハローワークに訪れる求職者は比較的年齢層が高く、職業経験も様々なため、キャリアコンサルタント側にも一定の実務経験や受容力・対応力が求められます。

教育機関

働く人の支援だけでなく、未就業者の支援のため教育機関で働くキャリアコンサルタントもいます。

業務内容としては、高校では進路指導室で学生のキャリア指導を行ったり、専門学校や大学の場合は学校内の就職支援センターでエントリーシートの添削や面接のロールプレイングなどの指導を行ったりします。

昨今は小中学校などでもキャリア教育に積極的に取り組んでいることから、教育機関でのキャリアコンサルタントの活躍の幅は、今後ますます多様化していきそうです。

まとめ

終身雇用時代が終焉を迎え、人々の働き方が多様化する現代のビジネス現場においては、キャリアコンサルタントの重要性は今後も増していくことでしょう。

キャリアコンサルタントは転職希望者だけではなく、学生や企業在職者など幅広い人が対象となります。そのため自社でキャリアコンサルタントを雇用して、従業員のキャリア支援に注力する企業も増えてきています。

人々のキャリアを的確に支援するためにも、採用マーケティング・採用ブランディングの原理原則をぜひご一読ください。



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