内定ブルーとは
内定ブルーとは、就職活動を終えて内定を承諾したあとに感じる不安や憂鬱な気持ちを指します。
多くの学生がこの状態に陥り、最悪の場合、内定辞退につながることもあります。この現象の原因の多くは、内定承諾後の心理的なプレッシャーや入社後への不安です。主に、仕事の内容や勤務地などの環境に対する不安、就活に納得できていない心理、職場の人間関係に対する不安などが挙げられます。この内定ブルーを防ぐには、企業側からの適切な内定フォローが不可欠です。
内定フォローについて詳しく知りたい方は、「内定者フォローは何をやるべき?重要性や事例・便利なツールを紹介」の記事を参考にしてください。
内定ブルーで働きたくないと感じる主な理由
ここでは、就活生が内定ブルーで働きたくないと感じる主な理由を見ていきます。
本当にここでいいのか?就活に納得できていないケース
就職活動の結果に納得できていない場合、内定ブルーに陥ることがあります。
就活生は、内定承諾を得ても「本当にここでいいのか?」「希望する企業の選考を受け切りたい」という心理に陥ることは少なくありません。株式会社ジェイックの調査によると、2025年卒の就活生の7割以上が、内定獲得後も就職活動を「続けている(続けたいと思う)」と回答しています。
また、就活生が就職活動を続ける理由は、「より志望度の高い企業の選考を受け切りたい」が49.4%と最も高く、次いで「第一志望ではあるが、最後まで受け切り納得した状態で就活を終えたいため」が25.3%、「内定先より、よい企業があると感じるため」が14.5%と続いています。このように、大半の就活生が就活に納得できずに内定ブルーに陥るケースが多いことがわかります。
(※参考・引用)株式会社ジェイック:「【調査】25卒就活生に「内定獲得後の就職活動」について調査」
就活であっさり内定も原因?考える時間ができたケース
就活がスムーズに進み、あっさりと内定をもらった場合、内定者に深く考える時間が発生するため不安が増すことがあります。
早期に内定が決まることで、他の企業と比較する余裕ができ、結果的に内定ブルーを引き起こす原因となることが考えられます。他の企業の選考をあまり受けていない状態で内定を取得した場合、特にこの傾向は高まるでしょう。今後、選考の早期化が進むにつれて、この問題はさらに顕著になることが予想されます。
総合職採用で多い?勤務地に不安があるケース
勤務地が理由で内定ブルーに陥ることは少なくありません。
総合職として採用される場合、勤務地が確定していないことが不安の原因となります。遠方への配属や頻繁な転勤が考えられる場合、内定者は将来の生活に対する不安を感じやすくなります。近年、ワークライフバランスを重視する傾向が強まっていることから、親が勤務地を理由に反対するケースも増えています。特に、勤務地に関する情報を入社前までに提供していない場合は、内定ブルーを引き起こしている可能性が高いでしょう。
働くイメージができない?企業からの接触や情報提供が不足しているケース
内定者が具体的な働くイメージを持てない場合も、内定ブルーに陥りやすくなります。
企業からの情報提供や接触が不足していると、内定者は不安を感じやすくなります。企業の業務内容や職場環境、社風について十分な情報を得られないと不安や疑問が増し、内定ブルーに陥るケースが多くあります。特に、具体的な仕事内容や職場の雰囲気などの情報を得ることができないと、働くイメージを持てず、内定辞退につながる原因にもなり得ます。
知っておきたい内定ブルーに陥りやすい時期
内定ブルーに陥りやすい時期としては、内定承諾後、内定式の前後、入社直前(特に3月)が挙げられます。ここでは、それぞれの時期における内定ブルーについて見ていきます。
内定承諾後
内定承諾後は、多くの内定者が「本当にこの企業で良いのか?」と自問自答し、不安を感じやすい時期です。特に、内定を得た安心感から気持ちが落ち着き、将来について深く考える時間が増えるため、不安が増す時期になります。この時期は、内定者との強固なつながりを築くことが重要です。
内定式の前後
内定式の前後は、内定者が企業との関係を再確認し、将来のキャリアに対する期待と不安が交錯する時期です。内定式は一つの節目であり、正式に企業の一員となる実感が湧く反面、責任感やプレッシャーも感じやすくなります。この時期は、会社への理解を深め、入社意思を固めさせることが重要です。
入社直前(3月)
入社直前の3月は、内定者が新生活の準備に追われ、不安やストレスが増す時期です。この時期は、社会人となることに対する不安や新生活の環境整備など、その負担が心理的なプレッシャーとなることが多く見られます。内定者が安心して入社できるよう、十分なサポートに加え、情報を提供することが重要です。
内定ブルーを解消し辞退を防ぐための対処法
内定ブルーを解消して内定辞退を防ぐためには、企業が取り組むべき対処があります。ここでは、それらの効果的な対処法を解説します。
内定者の不安を解消するための情報提供
内定者の不安を解消するためには、企業側からの積極的な情報提供が必要です。
メリットだけでなく、デメリットも含めてしっかり情報を伝えることで、内定者の不安を軽減できます。情報不足による不安が解消されるほか、ミスマッチの防止や、内定者との信頼関係を築くことも可能です。内容としては、内定者に対して企業のビジョンやミッション、具体的な業務内容を詳しく説明し、自身の役割や期待されることを理解できるようにすると良いでしょう。また、内定者が気軽に質問や相談ができる環境を整え、コミュニケーションを円滑にし、不安を解消することも重要になります。
内定者フォローの定期的な実施
内定者フォローの定期的な実施は、内定ブルーを防ぐために不可欠な取り組みです。
定期的な連絡やイベントを通じて、内定者の候補者体験を高めていくことが重要です。内定承諾から入社までの期間に、内定者の入社動機を高めるために、自社の魅力を最大限に引き出す候補者体験を設計し、定期的に適切なコンテンツを提供しましょう。採用ターゲットに適した候補者体験を設計し、人事面談や先輩社員座談会、内定者懇親会など、自社の魅力を打ち出せる内定者フォローをおこなってください。
候補者体験の設計や、内定者フォローを詳しく知りたい方は、「【事例付】採用CX(候補者体験)とは?成功に導く採用戦略構築ポイント」「内定者フォローは何をやるべき?重要性や事例・便利なツールを紹介」の記事をそれぞれ参考にしてください。自社の魅力の出し方を知りたい方は、「会社の魅力を出すには?8つの切り口と魅力の見つけ方フレームワークを解説!」の記事をご覧ください。
内定者同士がコミュニケーションをとれる場の提供
内定者同士が交流できる場を提供することで、内定者の不安を軽減し、安心感を与えることができます。
これにより内定者は、不安や疑問を共有したり、自分だけが感じている不安ではないことを認識でき、安心感を得られます。具体的には、内定者同士の交流イベントやオンラインコミュニティの設置など、互いにサポートし合える環境を作ることで、内定ブルーを防ぐことが可能です。
先輩社員座談会等の開催
先輩社員との座談会も有効な内定ブルー防止策のひとつです。
先輩社員座談会で、内定者は不安や疑問を解消することができます。先輩社員が内定時に感じた不安や、それをどう克服したかなど、現場の生の声を聞くことで、内定者は自分の状況に対する具体的なアドバイスを得ることができます。また、先輩社員との交流を通じて、内定者が職場の雰囲気や文化を深く理解することで、内定者の入社動機を高めることが可能です。
内定式実施による動機付け
内定式は、内定者が正式に企業の一員になるという意識を強くする重要なイベントです。
内定式では、会社のビジョンなど内定者が共感を持てるようなメッセージを伝え、入社への動機付けをすることが重要になります。また、先輩社員との交流を通じて、職場の雰囲気や文化に馴染みやすくすることも有効です。内定式を通じて、内定者のモチベーションを高め、安心して入社できる環境を整えてください。
【時期別】「内定ブルー」対処に効果的な内定者フォローの流れ
内定ブルーに陥りやすい時期に応じたフォローをすることで、内定者の不安を解消し、内定辞退を防止できます。ここでは、時期別に内定ブルーの対処に効果的な、内定者フォローの流れを解説します。
内定承諾後
内定承諾後には、人事面談やSNS、内定フォローツールを用いて、内定者とのつながりを設定することが重要です。
内定者が企業と円滑にコミュニケーションをとれる環境を整えることで、不安を軽減し、内定ブルーの発生を防ぐことができます。また、定期的に内定者向けのニュースレターを配信し、企業の最新情報や内定者向けのイベント情報を共有することも有効でしょう。内定承諾後から、企業と内定者とのつながりを設定することで、内定者に安心感を与えられます。
オウンドメディアで自社情報をタイムリーに公開する
オウンドメディアを活用し、内定者に対してタイムリーな情報を提供することも内定承諾後の有効な施策です。
自社の最新情報や先輩社員の仕事の様子など、内定者向けのコンテンツをタイムリーに発信することで、内定者に働くイメージを持たせることができます。これにより、入社後のギャップを減らすとともに、内定者の入社意欲を引き上げることが可能です。
内定者同士のオンラインコミュニティをつくる
内定者同士がコミュニケーションをとれるオンラインコミュニティを設けることも、内定承諾後の内定フォローに有効です。
内定者同士が気軽にコミュニケーションができる環境を整えることで、内定ブルーに陥ることを防ぎ、安心感を与えることが期待できます。内定者専用のSNSグループやオンラインフォーラムを設置し、内定者同士が交流できる場を提供するなど、内定者同士が情報を共有し、相互支援の環境を整えると良いでしょう。人事担当者が定期的にアドバイスをすることも効果的です。
内定式前(夏頃)
内定式前の夏頃には、内定者同士の交流を促進し、企業への一体感を高めるためのイベントの開催が効果的です。ここでは、この時期におすすめの内定者フォローを紹介します。
内定者懇親会を開催する
内定者懇親会を開催することで、不安解消と同時に入社意欲を高めることができます。
内定者懇親会では、リラックスした雰囲気のなかで内定者同士や先輩社員と親睦を深められ、内定者が企業の文化や雰囲気を感じ取ることができます。また、先輩社員との会話を通じて、仕事の理解やイメージを深められる効果もあります。オンラインだけでなく、対面のイベントも取り入れることで、内定者に企業のリアルな雰囲気を感じ取ってもらい、入社への期待感を持たせることが可能です。
内定者懇親会について詳しく知りたい方は、「内定者フォローは何をやるべき?重要性や事例・便利なツールを紹介」の記事を参考にしてください。
先輩社員座談会を開催する
先輩社員との座談会の開催により、内定者の不安を解消することができます。
先輩社員が内定時に不安に思ったことや、その克服方法を共有することで、内定者は不安を解消できます。また、先輩社員から詳しい職務の内容や進捗しているプロジェクトなどの話を聞くことで、働くイメージを具体的に描けるようになり、入社意欲を高めることが可能です。聞きづらいこともざっくばらんに話せるよう、人事担当者は座談会から席を外すことも有効でしょう。
座談会について詳しく知りたい方は、「座談会とは?採用における重要性やメリットを解説!」の記事を参考にしてください。
内定式
内定式は、内定者に企業への一体感を感じさせる重要なイベントです。ここでは、内定式の時期におけるポイントを説明します。
内定者同士の交流機会を醸成する
内定式や懇親会などで、内定者同士の交流の機会を積極的に設けることが重要です。
内定者同士が親睦を深めることで、入社後のチームワークが向上し、企業に対する信頼感を高めることができます。そのためには、内定式や懇親会を盛り上げることが重要です。これらを盛り上げることで交流が活発になり、入社動機を引き上げる効果が期待できます。
内定式や座談会の盛り上げ方を知りたい方は、「座談会を盛り上げるには?目的別のタイミングや内容、おすすめテーマを解説!」の記事を参考にしてください。
入社直前(3月)
入社直前の3月には、内定者の不安を軽減するために、サポートや状況確認を徹底することが重要です。ここでは、入社直前のサポートを解説します。
不安にさせないようサポートや状況確認をする
入社直前の3月は、内定者が不安を感じやすい時期です。
この時期の人事担当者は、入社受け入れ準備や次年度の選考などで忙しく、内定フォローが疎かになるケースも少なくありません。こうした状況に陥らないよう、入社に向けた準備状況の確認や必要な情報の提供をおこなうなど、内定者を不安にさせないように内定者のサポートや状況確認を徹底しましょう。企業は、内定者が安心して新生活をスタートできるようにサポートすることが重要です。
まとめ
本記事では、内定ブルーの原因や対処法、効果的なフォローアップの方法を具体的に解説しました。
内定ブルーを防ぐには、内定通知から内定フォロー段階まで、内定者とのつながりを継続させ、内定ブルーに陥りやすい時期に適した内定者フォローをおこなうことが重要です。本記事を参考に、内定ブルーを事前に防ぎ、新卒採用を成功させてください。
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