中小企業が、新卒採用で大手企業に勝つための方法。 COLUMN

公開日:2019.11.20

更新日:2022.02.17

中小企業が、新卒採用で大手企業に勝つための方法。

採用の早期化・通年化の進行にともない、インターン期の採用活動が活発になってきています。

しかし、早期に活動する学生は学歴も高く、いわゆる優秀層にあたる人材が多いです。そのため、たくさん内定を出しても、結局6~7月の間にすべて辞退されてしまったという中小企業が後を絶ちません。辛すぎます。

結局、どんなに頑張っても、中小企業は大手企業に採用で勝つことはできないのでしょうか?

本日は、「そんなことはありません! 勝てます!」という話をさせていただきます。

しかし、そのためにはきちんと戦略を立てて、学生目線の情報提供を行う必要があります。
これからその具体的な方法を解説していきたいと思います。

目次

中小企業こそ安定性で勝負!

中小企業より大手の方が安定しているんじゃないの?
と思われる方も多いと思いますが、視点を変えると中小企業のほうが安定していることもあります。

それはたとえば、以下のような観点です。

1. 配属リスクがないこと
2. 上司・先輩リスクがないこと

具体的には上記の2つ。
ここから、なぜこの2点が、大手企業に勝つために重要であるのかをお伝えしていきます。

(1)配属リスクがないことを伝える

配属リスク

大手企業は複数の事業ドメインを展開していることがほとんどです。

たとえば人材業界で言えば、大手企業は、求人広告・人材派遣・人材紹介・研修・アウトソーシングなど、複数の事業を展開していることが一般的で、入社するまでどの事業部の所属になるか、配属先が確定しないことも少なくありません。

対して、中小企業であれば、配属先を明確に伝えることが可能です。
配属先どころか、座る席がどこかまで伝えられるのではないでしょうか。

配属リスクが「ゼロである」ことは、大手企業には実現の難しい、中小企業ならではの強力なメリットなのです。

学生は配属リスクを認識できていないことも多い

配属リスクの観点において、中小企業が優位であることはお伝えしました。
しかし、やっかいなのは、学生が配属リスクを認識していないケースがあることです。

学生視界から見えている大手企業とそこで働くイメージは、非常にあいまいです。
企業総体としての実力とそこで働く個人の実力を混同してしまっているケースが多々あります。

つまり、某大手人材会社で働くことになった「私」は、求人広告も人材紹介も人材派遣も…、何でもかんでも関わることができて学ぶことができて、可能性は無限大。

と、漠然とではありますが、そんな夢のようなイメージを持ってしまっていることが往々にしてあります。

実際には、組織というのは少なからず縦割りで、人材紹介の部署に配属された人は、広告のことはあまり分からなくなるし、その逆もしかりで、人一人がカバーできる領域なんてたいしたことはないのですが、働いた経験のない学生にはピンとこないことが多いようです。

入社企業を決めるシューカツに対して、希望の配属先にいくための「ハイカツ」という言葉があるように、配属リスクについての認識は高まりつつありますが、まだすべての学生に浸透しているわけではないのが現状です。

配属先を意識させられるかは、面談でのヒアリング次第

大手と中小企業の比較(採用)

配属リスクを意識させるには、学生が将来何をしたいのか、どんなことに楽しさや喜びを感じるのかを面談時にしっかりヒアリングすることが重要です。

そして、面談を通じて、学生が自分自身のやりたいことをしっかり言語化できるようにサポートをしてあげましょう。
イメージとしては下記のような変化を起こさせることを目指します。

Before(例):
→内定したなかで一番大手の企業を選ぼう
→人材業界がなんか良さそう

After(例):
→採用コンサルタントとして、人材採用を通じて企業の事業成長に貢献したい(ここは具体的であればあるほど良いです)

学生の気持の変化

単に人材業界で働きたいだけであれば、配属リスクを意識する必要はありませんから、大手に入社した方が良いと考えるのは自然の成り行きです。

しかし、やりたいことが明確になると、配属先によっては思うような働き方ができないことに、学生は思い至ります。志が明確になればなるほど、学生は配属リスクと向き合わざるをえないのです。

(2)先輩・上司リスクがないことを伝える

大手と中小企業の差:先輩社員の重みが違う

配属よりもさらに一歩踏み込んだ先にあるのが、先輩・上司リスクです。

希望の配属になったとしても、配属先の人間関係に悩んで早期退職したり、メンタルヘルスの問題を抱えてしまったりする若手社員もいます。

企業は学生に、先輩社員と引き合わせる機会を提供することはありますが、その場に現れるのは企業側がイチオシする上澄み人材のみ。
組織全体の人材レベルは分かりませんし、自身の直属の先輩や上司がどんな人か知ることもできません。

そんな中で、自分の目の前にいる先輩と必ずいっしょに働けるという確約ができる中小企業は、学生に対して大きな安心感を与えることができます。

近頃は、配属先や直属上司の不確実性をスマホゲームの課金にたとえて「配属ガチャ」「上司ガチャ」と呼ぶ人も出てきていますが、自分事として認識している学生はそこまで多くないように感じます。

先輩・上司リスクを知覚させるには、多くの先輩と引き合わせることが一番

学生さんに先輩・上司リスクの存在を認識してもらうためには、まず自分たちが積極的に先輩社員と学生を引き合わせる機会を作ることが一番の方法です。

方法は面談でもインターンシップでも何でも構いません。
仕事内容とともに一緒に働く人の顔と名前が明らかになっていると、学生さんはその会社で働くことを相当リアルに想像できるようになります。

同時に、他の選考途中の企業に対して、働く人たちの顔が見えないことに対する違和感も芽生えるはずです。これは理想ですが、「既存の社員全員と引き合わせる」ことができると最高です。

念のためお伝えしておきますと、学生さんの不安を煽るような伝え方をするのはNGです。社会的にもよくないですし、そもそも学生さんにも嫌われてしまいます。良いことは一つもありません。

大手企業に対する、勝ちパターンのおさらい

大手企業か中小企業か

シンプルではありますが、上記の構図に近づけていくことで、大手企業に勝てる可能性は高まります。

簡単に言えば、

大手企業 → ハイリスク ハイリターン
中小企業 → ローリスク ミドルリターン以上

と思わせることができれば勝機が生まれます。

この図式を成立させるためにも、中小企業側は積極的に情報をオープンにして、情報公開の物量、透明性において優位なポジションを築く必要があります。

いま見ているものが確実に得られる中小企業か、不確実だが夢の広がる大手企業か。
どちらを選ぶのか、学生さんに二者択一を迫るのです。

長い目で見れば、大手企業に入社すること自体がリスク要因になることはほとんどないのでしょうが、学生さんが入社後数年内に体感することにフォーカスすれば「一理ある」という感じでしょうか。

親御さんと学生さんが揉めるのもここですね。
親御さんは当事者ではないので、客観的な判断で「大手に行きなさい」と言うのですが、実際に働く学生側からしたら単純には割り切れない部分があるのだと思います。

企業の魅力が、一定水準を超えていることが前提条件

ここまで、中小企業が大手企業に勝つための戦略についてお伝えしてきました。

不確実性の高い大手企業に対して、中小企業は徹底的に情報をオープンにすることで、大手企業に勝ることができます。

しかし、当然ながら、この作戦の前提となるのは、学生にとって選択肢の両者ともがそれなりに魅力的であることが大前提です。

「Great 対 good」だから勝負になるわけで、「Great 対 Not good」では勝負にはなりません。

では中小企業はどうすれば良いのでしょうか。
最後にその点だけ解説をさせていただきます。

中小企業こそ、採用ブランディングに取り組むべき

大手企業に総合力では勝てません。
しかし、これだけは負けないという魅力を作り上げて、その一点突破で学生を魅了することは可能です。

その際には「採用ブランディング」の考え方が役に立ちます。
詳しくはこちらで解説をしていますのでご覧ください。

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編集・執筆/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、大手人材会社でディレクターとして、クリエイティブ企画や経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務などに従事。現在はIT企業勤務の傍ら、マーケティング・人材採用の領域を専門に中小企業支援を行っている。

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