アルムナイ制度で退職者を戦力化するには? 導入・運用ポイント COLUMN

公開日:2020.06.24

更新日:2020.07.28

アルムナイ制度で退職者を戦力化するには? 導入・運用ポイント

かつては「終身雇用」が一般的だった日本。しかし、転職が珍しくない今、人材の流動性が高まっています。できるだけ採用コストをかけずに、理想に近い人材を確保したいと考える採用担当者に向けて、「アルムナイ制度」を紹介します。

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目次

アルムナイ制度とは?

アルムナイ制度=元社員を再雇用する制度

アルムナイ制度とは、「アルムナイ=退職した社員」を再雇用する制度のことをいいます。他社・他分野で活躍している現役ビジネスパーソンを再雇用の対象とするのが特徴です。 アルムナイ制度を「出戻り制度」や「カムバック制度」と呼ぶ企業もあります。

アルムナイ制度を運用するにあたり非常に大切になるのが、アルムナイとの関係維持です。再び働いてほしい人と定期的に連絡を取り合ったり交流の場を開いたりすることで近況を把握し、適切なタイミングを見計らってアプローチします。会社の状況や募集職種などの情報を発信すれば、本人から直接応募してもらえることもあります。

そもそも、アルムナイはalumnusの複数形で、「卒業生」「同窓生」を意味します。「アルムナイ=元社員」は、これらの意味から派生して呼ばれるようになりました。アルムナイ制度には明確な定義はなく、企業によっては「アルムナイへの業務委託」や「アルムナイが転職した企業とのパートナーシップ締結」を指すこともあります。本記事では「元社員を再雇用する制度」としてアルムナイ制度を解説します。

アルムナイ制度のメリット

ここでは、アルムナイ制度を導入するメリットを2つ紹介します。

自社にマッチした人材を確保しやすい

公募に比べてミスマッチが少ない点がメリットです。なぜなら、アルムナイは自社で働いた経験がある元社員なので、能力や仕事ぶりなどをある程度把握できるからです。アルムナイ側も自社の理念や業務内容などを理解しているため、入社後に「想像と違った」と感じるケースは少ないでしょう。

採用コスト・教育コストを抑えられる

アルムナイ制度を使った採用には人材紹介サービス・求人広告などの活用が不要になるため、サービス利用料・広告料の削減につながります。公募の場合は、互いを理解するために面談や面接の機会を数回は設けるものですが、相手が元社員になるため、よりスリムな選考を目指せます。

また、教育コストを抑えられるのもアルムナイ制度の魅力です。自社の仕事の進め方やサービスなどを既に理解しているアルムナイなら、研修やOJTなどをスキップすることが可能です。

アルムナイ制度のデメリットと解消方法

一方で、アルムナイ制度には主に2つのデメリットがあります。ここでは、解消方法と併せて解説します。

アルムナイとのコミュニケーションコストがかかる

アルムナイと関係を構築するためのコミュニケーションコストがかかるのがデメリットです。 例えば、定期的にニュースレターを送付する、パーティー(交流会)を開く、アルムナイ用のウェブサイトを制作するとなれば、これらを実施するために必要な人と時間を確保しなければなりません。

そこで、アルムナイとの関係維持のために費やす労力の削減方法として、アルムナイリレーションの構築を支援するサービスの利用があります。サービスによって支援の内容は異なりますが、例えば、アルムナイの情報管理や近況の把握、企業情報の発信、気になったアルムナイへのアプローチなどを円滑に行えるようサポートする機能があります。

アルムナイリレーションの構築を支援するサービス

ここでは、各サービスの特徴を簡単に説明します。

 Official-Alumni.com

「Official-Alumni.com」は、アルムナイ制度の支援に特化したシステムです。これから退職する社員や元社員とつながったり、仕事の近況を共有したり、気になったアルムナイとチャットなどを通して信頼を深めたりすることができます。コンサルティングなどのB2B企業、飲食や小売りなどのB2C企業といった業種で活用された実績があります。

 MyRefer

「MyRefer」は2015年9月にリリースされた国内初のリファラル採用サービスです。ただ、アルムナイの再雇用を促進するために利用することも可能です。アルムナイ専用のマイページを通して再応募してもらったり、アルムナイ向けのイベント・コンテンツを配信できたりします。

 エアリー for アルムナイ

「エアリー for アルムナイ」は、アルムナイネットワークやタレントプールの構築を支援するサービスです。求人おしらせ機能や復職意思確認機能、動画投稿機能、メッセージ機能などが搭載されています。

アルムナイと現社員との関係構築が難しい

2つ目のデメリットは、アルムナイと現社員の関係構築が難しいケースが起こり得ることです。例えば「退職前は部下だった社員が、再入社後にアルムナイの上司になる」というように、アルムナイにとっての社内環境が退職前から大きく変わっているケースを考えてみましょう。双方とも、コミュニケーションの取り方に戸惑うかもしれません。

こうしたリスクを軽減するためには、再雇用する前にアルムナイと現社員がコミュニケーションを取れる機会をつくることが大切です。また、アルムナイ制度が現社員にとって馴染みのないものであれば、アルムナイを受け入れる体制を整えることが欠かせません。アルムナイ制度を導入する経緯や期待している効果などを、社員にきちんと説明しましょう。

アルムナイ制度を導入する上でのポイント

ここでは、アルムナイ制度を導入する上でのポイントを3つ紹介します。

アルムナイ制度を周知させる

アルムナイ制度を認知してもらうため、社内掲示板や退職時の面談などを通じて、社内とアルムナイの双方に制度の存在を知らせましょう。このとき、アルムナイ制度が「どのような制度なのか」といった基本的な情報も伝えると、より理解してもらいやすくなります。

再雇用の条件を明確にする

「元社員なら誰でも再雇用される制度」と誤解されないよう、スキルや経験に関する再雇用のための条件を明示しておきましょう。再雇用の条件と一緒に、復職したときの職種や役職、雇用形態、処遇なども伝えておくと、復職した際に起こり得るトラブルも防ぎやすくなります。

退職前から円満な関係を構築する

そもそも退職前から円満な関係を構築できていなければ、退職後の関係性は続きにくいものです。「また働きたい」と思ってもらえるように努めましょう。例えば、イグジットマネジメントの導入があります。

イグジットマネジメントとは、退職のような「個人との関係解消」について計画・管理することを指します。組織の健全な新陳代謝を促すことが目的です。双方にとって気持ちのよい別れにするには、会社の状況を考慮することはもちろんですが、社員の気持ちを十分に尊重して、送り出すまでのキャリアプランを考えることも大切です。

アルムナイの再雇用制度を導入・運用している会社

アルムナイの再雇用を行っている会社を3社紹介します。

TIS

総合ITサービス企業であるTIS株式会社は、当時の上司や同僚が窓口になって入社をサポートする紹介制度を設けています。退職後、元上司からの声がけによって、再入社に至ったケースも。中には、他社でキャリアを積み、復帰後に大きな活躍を見せて役員にまで昇格したアルムナイがいるようです。

武田薬品工業

製薬企業である武田薬品工業株式会社は、ライフイベントなどのやむを得ない事情やキャリアアップを理由に退職した社員のための「OB・OG再雇用制度」を導入しています。応募フォームにOB・OG制度の利用希望を明記すれば、制度を活用できるようです。

アクセンチュア

外資系コンサル企業のアクセンチュア株式会社。同社は、世界各国にいるアルムナイをつなぐサービスとして「アクセンチュア・アルムナイ・ネットワーク」を用意しています。同ネットワークを利用するにはアカウント作成が必要になります。現在、ネットワークには25万人以上のアルムナイが登録しており、年間150以上のイベントが開催されています。

アルムナイとのビジネス連携が活発な会社

本記事で定義づけした「アルムナイ制度」とは異なりますが、アルムナイとの関係性を深めることでビジネス連携を目指している企業もあります。今回は、その中から2社紹介します。

リクルート

人材サービスを提供しているリクルートは、「元リク=リクルートの卒業生」同士のつながりが強く、中にはビジネス連携を活発に行っているアルムナイがいます。退職後も関係性を維持するカルチャーがあるのは、リクルートの事業の根底にある“すべての価値の源泉は「人」”という考え方が関係しているといえるでしょう。

電通

広告代理店である株式会社電通はビジネス連携を目指すアルムナイとの交流場として、「アルムナイリレーションの構築を支援するサービス」で紹介したOfficial-Alumni.comを活用しています。同サービスの現在の登録者数は400人のようです。

まとめ

終身雇用が一般的だった日本では、未だに「退職=裏切り行為」と感じる人も少なくありません。元社員の再雇用に抵抗がある方もいるかもしれませんが、即戦力となる人材を効率よく確保する1つの方法として、アルムナイ制度の導入を検討してみてはいかがでしょうか。

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監修/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、株式会社クイックに入社。ディレクターとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)に携わる傍ら、経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務にも従事。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。

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