社員を巻き込む「スクラム採用」とは? 採用プロジェクト化の強みに迫る COLUMN

公開日:2019.12.24

更新日:2020.07.28

社員を巻き込む「スクラム採用」とは? 採用プロジェクト化の強みに迫る

採用活動が多様化し、現場社員の関わりが強まっている中、「スクラム採用」という言葉が広まっています。

チームの団結を強化することは、採用活動においてどのような意味を持つのでしょうか。

目次

スクラム採用とは

全社一丸となって取り組む採用活動

スクラム採用とは、ラグビーでスクラムを組むように、全社一丸となって採用活動に取り組むことをいいます。人事部の指揮監督ではなく、現場主導で採用活動を進めるのが特徴です。

この概念は株式会社HERP代表取締役CEOである庄田氏が提唱したもので、採用活動が多様化している現在、現場の社員が主体的に採用に取り組む方法として注目されています。

スクラム採用実現には条件がある?

「現場の社員が主体的に採用を行う」という考え方は一見わかりやすいですが、実際にスクラム採用を実現するためには、社員の参加が形骸的にならないよう、欠かすことのできない条件があります。

条件1:権限移譲

採用活動のフローを分け、各フローにおける最適な担当者に権限を移譲。職種ごとの採用手法の検討や改善についても現場主導で行う。

条件2:成果の可視化

採用活動の成果を全社員にフィードバックし、定期的な振り返りを行う。

条件3:採用担当のプロジェクトマネージャー化

採用担当者を、採用活動という「プロジェクト」全体の管理をするマネージャーに据え、採用に関する知識を現場社員に提供する。

現場の社員に活躍してもらうためには、通常業務に加えて採用活動も行うことに、不満や負担ではなくプラスの価値を見いだせる環境をつくらなければいけません。特に条件1、2が不十分な場合、「こんなに採用活動に手間と時間をかけたのに、結局現場の意見が反映されない」「採用活動でリソースを消費するのに、終わったら何の情報共有もない」といった不満の温床となり、採用活動に一枚岩で取り組めなくなってしまいます。

スクラム採用のメリットとデメリット

では、スクラム採用を行うにあたってどのようなメリット・デメリットが生じるのでしょうか。メリットは現場社員の参加によるところが多く、デメリットはスクラム採用が軌道に乗るまでの段階で生じやすいものです。

メリット

人材のマッチング度が高まる

業務で求められるスキルや能力を一番理解しているのは、やはり現場の社員です。面接などの採用過程で現場社員に応募者を評価してもらうことで、マッチングの精度向上につなげることができます。

エンゲージメントが上がる

社員自ら採用活動に関わるため、新入社員との関係構築や教育に取り組みやすいうえに、会社のビジョンや人材要件の理解が深まり、結果的にエンゲージメントが高まります。

会社と社員の結びつきを示す重要な指標である「従業員エンゲージメント」については、「従業員エンゲージメント向上はメリットだらけ。構成要素と効果を知ろう」で解説しています。

採用担当者の負担が減る

従来は採用担当者が最初から最後まで担っていた採用業務を、細分化して各部署の社員に振り分けることで、採用担当者の時間的な負担が軽減されます。その分採用活動全体のマネジメントを改善したり、振り返りや入社準備を早めに行ったりと、効率的に業務を進められます。

デメリット

採用管理が煩雑になる

「採用担当者の負担が減る」というメリットと裏返しで、それまで人事部のみで行っていた業務を他部署に拡大する分、マネジメントはどうしても煩雑になります。明確な役割分担や、進捗共有の適切なルール運用ができていないと、かえって採用担当者の負担が増してしまう事態になりかねません。

社員の意識を醸成するのに時間がかかる

企業にとって採用が非常に重要な位置を占めていることは多くの社員が理解していても、通常業務を抱えながら採用業務をこなしたり、改めて知識を習得したりすることはやはり大変です。そのため、全社一丸となって採用活動に取り組む方針が定着するまでに、時間を要することがあります。

スクラム採用の導入事例

最後に、実際にスクラム採用に取り組み、マッチングや採用の精度向上につなげている企業の事例を紹介します。

株式会社メルカリ

フリマアプリ大手の株式会社メルカリでは、創業以来リファラル採用に力を入れており、入社経路の過半以上という高い割合を占めています。同社はあらゆる施策において「新たな価値を生み出す世界的なマーケットプレイスを創る」というミッションと、「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューを軸に展開しています。キャッチーで覚えやすいため社員に浸透しやすく、全員が共通の理念をもって採用活動に取り組む土壌となっています。また、リファラル採用のための会食(会社負担)では社員に気軽に参加してもらえるよう、実施に必要なステップを簡潔にしています。

株式会社PR Table

PR活動支援サービスを展開する株式会社PR Tableでは、「全社PRパーソン」という考え方を掲げ、全員広報を実践できる会社の在り方を目指しています。採用活動も例外ではなく、社内外の企業理解を深めるための情報公開・共有を積極的に行っています。実際に、選考プロセスや面接のフィードバックなど、個別の給与以外の情報が社員に共有されています。

ヘイ株式会社

キャッシュレス決済サービスの開発などを手掛けるヘイ株式会社では、多くの社員が参加する採用イベントとして「Hello hey」を定期的に開催しています。「ファンを増やす」という方針を掲げており、会社紹介、オフィス案内、ドリンクを飲みながら社員と参加者が交流する形式です。経営陣や採用担当者だけでなく、実務を担当する社員も職種問わず出席するのが特徴です。

まとめ

採用活動において現場を巻き込むことは重要ですが、実際にはすぐにスクラム採用を実現することは難しいかもしれません。

しかし、採用において現場の協力が得られれば、人材要件の見極めやマッチング率が向上する可能性は大いにあります。全社で目指す方向性が一致することは、採用だけでなく組織全体の課題解決や、エンゲージメント向上に寄与します。

スクラム採用を目指す場合には、長期的な視点を持って現場との協力を模索しましょう。

監修/中森規仁

コピーライター、求人媒体の管理・運用職を経て、2011年クイックに入社。ディレクター・プランナーとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)に携わっています。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。御用の方はこちらまで⇒nakamori-norihito@919.jp

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