入社式をおこなう目的
入社式は、新社会人となる新入社員に対し、社会人としてのマインドに切り替えるための重要な目的を持つ行事です。ここでは、入社式をおこなう3つの目的を解説します。
- 社会人としての自覚を持たせる
- 企業の一員として迎える
- エンゲージメントを醸成する
社会人としての自覚を持たせる
入社式をおこなう最大の目的は、社会人としての自覚を持たせること。いままで学生だった新入社員のマインドを切り替え、社会人としての責任や自立心、当事者意識を持ってもらうよう自覚を促します。入社式でおこなわれる社長や役員からの「祝辞や訓示」、新入社員からの「決意表明」は、社会人としての意識を高める効果があります。
企業の一員として迎える
社会人として働くことが初めての新入社員は、入社する会社の人々に認めてもらえるか不安を抱えていることも多いでしょう。こうした不安を取り除くには、ウェルカムの姿勢で新入社員を迎え入れることが重要です。新入社員とコミュニケーションを深められるプログラムや、式典後の懇親会開催など、仲間として迎え入れる姿勢を示すことで、新入社員の不安を取り除くことができます。
エンゲージメントを醸成する
取り組みを工夫することで、自社へのエンゲージを高めることができる入社式。経営トップから企業理念やビジョン、事業への想いなどを語ることで、「この会社に貢献したい」「自分の能力をこの会社で発揮したい」などの想いを抱かせるなど、新入社員のエンゲージメントを醸成することが可能です。本記事で取り上げるおもしろい入社式を取り入れることで、よりエンゲージメントを高めることもできるでしょう。
知っておきたいスタンダードな入社式プログラム
おもしろい入社式を企画することで、新入社員のエンゲージメントをより高めることが可能です。しかし、本来、入社式はどのようなことをおこなうべきか、まずはスタンダードな入社式を知っておく必要があります。ここでは、スタンダードな入社式プログラムを次のとおり解説します。
- 社長・経営層による祝辞・挨拶
- 新入社員答辞・挨拶
- 入社辞令の交付
- 記念撮影
- 歓迎会
社長・経営層による祝辞・挨拶
第一は、社長・経営層による祝辞・挨拶です。
入社してくれた新入社員に向けて、歓迎の意とともに、企業理念や社会人として自社の一員となるための心構えなどを話します。経営トップからこのような祝辞や挨拶をすることで、新入社員の気持ちを引き締めるほか、自社の一員として迎え入れられたと感じさせることが可能です。
新入社員答辞・挨拶
第二は、新入社員の答辞・挨拶です。
新入社員の代表者が決意表明として答辞・挨拶をしますが、一般的には、会社から代表者を選任することが多いでしょう。選ばれた代表者は、入社式を開いてくれたことへの感謝や、これからの決意表明を文書にしてあらかじめ準備した答辞を述べます。
新入社員の人数が少ない場合、企業によっては、ひとりずつ挨拶するケースもあります。
入社辞令の交付
第三は、入社辞令の交付です。
一般的には、社長や経営者から新入社員に対し、入社辞令を手渡しで交付します。セレモニーとして、入社辞令の交付をおこなうことで、新入社員に自覚を持たせる効果があります。新入社員が社会人として自社の一員となることを実感できることも、重要なポイントです。
記念撮影
第四は、記念撮影です。
必ずしもおこなうべきことではありません。しかし、自社の社員に、新入社員が新たな仲間として加わったことを伝えるためにも、記念撮影はおすすめです。社長や役員とともに、新入社員全員が並んで記念撮影をおこなうなど、自社の社風やイメージにあった形で撮影するとよいでしょう。
歓迎会
第五は、歓迎会です。
スタンダードな入社式の場合、形式に沿った運営となるため、基本的には、入社式でコミュニケーションを深める機会はありません。その場合、入社式後に懇親会を設けることで、社長や経営者と新入社員の間で交流を深めてもらうことができます。また、先輩社員に参加してもらうことも効果的です。新入社員が早く自社に馴染めるよう、企業側がおもてなしの気持ちを持って接する姿勢をもつことが重要です。
エンゲージメントを高めたい企業必見!おもしろい入社式を企画する効果
そもそも入社式は、これまで学生だった新入社員に社会人としての自覚を持ってもらうために実施されるものです。新入社員は会社や先輩社員、同期と交流する機会に、既存社員は新入社員のキャラクターを知るきっかけにもなります。
そんな入社式を新入社員の印象に残るよう工夫すると、どのような効果が期待できるのでしょうか。
新入社員に愛社精神が生まれる
会社や先輩社員に魅力が感じられる入社式を実施できれば、新入社員に愛社精神が生まれる可能性が高まります。会社の理念に基づいた入社式をおこなうことができれば、企業理念の浸透も期待できるでしょう。
今回紹介した事例の場合、株式会社コロンブスの「靴磨き入社式」や、オイシックス・ラ・大地株式会社の「畑で入社式」、株式会社一家ダイニングプロジェクトの「ウェディングスタイル入社式」などが該当します。
新入社員同士の結束が強まる
入社式に、新入社員同士のコミュニケーションが活性化されるプログラムを組み込むと、結束力の強化が期待できます。
たとえば、株式会社CHINTAIの「暗闇入社式」のような、コミュケーションを取らなければミッションを成し遂げられないプログラムを取り入れると、社員同士の結びつきが強まるかもしれません。
新入社員と既存社員の交流が深まる
新入社員と既存社員が交流する機会を設けることで、タテのコミュニケーションが活性化される可能性があります。互いに理解を深め合えることができれば、一緒に仕事をする際にコミュニケーションが取りやすくなるでしょう。
新入社員と既存社員の交流が深まる入社式にしたい場合、ホダカ株式会社の「サイクリング入社式」や株式会社ヤッホーブルーイングの「ハイテンション入社式」などが参考になります。
新入社員の早期離職を防止する
上述で紹介した「愛社精神の醸成」「新入社員同士の結束力強化」「既存社員とのコミュニケーション活性化」が可能となるような要素が複合された入社式にすると、「この会社で頑張っていきたい」と考えるきっかけとなり、早期離職防止につながるでしょう。本記事で紹介した事例の特長を組み合わせながら、自社らしい入社式を企画してみてください。
入社式を盛り上げるおもしろい企画事例12選
以下、入社式を盛り上げるおもしろい企画事例を12種類紹介します。
※画像はイメージです。
靴磨き入社式
靴クリームメーカーの「株式会社コロンブス」で1971年からおこなわれているのが、靴磨き入社式です。自社商品の靴磨きクリームを使って、先輩社員と新入社員がお互いの靴を磨くことで交流を深めます。自社製品に触れることで、コロンブスの社員である自覚を高めてほしいという願いも込められているそうです。
※参照:浅草経済新聞「浅草で先輩が後輩の靴を磨く入社式 コロンブス、独自スタイルで新入社員を歓迎」
家族同伴入社式
不動産・新築・リフォーム・IT関連事業などを展開する「SAKAI株式会社」では、2019年に家族同伴入社式を実施しました。入社式には、今まで育ててくれた親に感謝の気持ちを述べる「サプライズレター」というイベントも組み込まれています。
家族同伴を必須としている目的としては、「社会人になる門出を家族に見守ってもらう」「社会人としての自覚を持ってもらう」があるようです。入社式には社員全員が参加するため、既存社員については新入社員の姿を通して働くモチベーションを高める場になっているようです。
※参照:SAKAI株式会社「入社式の準備が進んでいます!」
サイクリング入社式
自転車の開発・輸入・販売などをおこなう「ホダカ株式会社」は、サイクリング入社式を実施。スーツを着て辞令を受け取ったあと、サイクリングウェアに着替え、約80キロのコースを先輩社員とともにサイクリングします。社員同士の絆を深めることはもちろんのこと、新入社員の仕事への意欲向上が狙いです。
※参照:ホダカ株式会社「【レポート】4月3日サイクリング入社式を実施しました。」
ハイテンション入社式
クラフトビールの製造・販売をしている「株式会社ヤッホーブルーイング」は、朝7時30分からハイテンションな入社式をおこないます。クラッカーを鳴らしたり、先輩社員が一発ギャグをしたりとにぎやかな入社式にしているのは、「いざというときにはじけて少し変わったアイデアを出す瞬発力を大事にしている社風」を伝えるためとのことです。新入社員が「先日の一発ギャグおもしろかったです」と先輩に気楽に声をかけやすくする狙いもあるようです。
※参照:X(旧 Twitter) よなよなエール/ヤッホーブルーイング公式(2019年4月2日投稿)
畑で入社式
食材宅配会社の「オイシックス・ラ・大地株式会社」は、2015年に取引農家さんの畑で入社式を実施。オフィスで働く前に、農家さんの思いや野菜を通して生産者とお客様をつなぐ役割の重要性を知ってもらうことで、仕事へのモチベーション向上につながればという思いが込められているようです。
※参照:Facebook オイシックス・ラ・大地株式会社公式(2015年4月3日投稿)
暗闇入社式
賃貸物件検索サイトを運営する「株式会社CHINTAI」がおこなう入社式には、「暗闇の中の対話」を意味する「ダイアログ・イン・ザ・ダーク」のプログラムが活用されています。
ダイアログ・イン・ザ・ダークとは、視覚に障害のある方の案内のもと、真っ黒闇の中で体験する出来事を通してコミュニケーションを楽しむソーシャル・エンターテイメントのこと。暗闇の中、新入社員が役員や部門長、人事担当とともに声をかけ合ってワークをおこなうことで、コミュニケーションの大切さを学べます。同社はこうしたインパクトのある入社式をおこなうことで、「斬新なことをする会社」「1年目から自由なアイデアをどんどん出していい会社」であることを伝えているようです。
※参照: Dialog in the Dark Japan「DIALOGUE BUSINESS WORKSHOP」
運動会入社式
自動車部品メーカー「ボッシュ株式会社」は、ダイバーシティ(多様性)の理解を高められるよう、「多様性」のなかでも「障害」をキーワードにしたユニバーサルアクティビティ運動会を入社式で実施。運動会のテーマである「ダイバーシティ」には、グローバル企業である同社らしさが表れています。
ちなみに、この入社式は新入社員から集めたアイデアをもとに、株式会社運動会屋が株式会社ミライロとともに企画・運営されたようです。
※参照:X(旧 Twitter) BoschJapan公式(2019年4月1日投稿)
ウエディングスタイル入社式
飲食業とブライダル事業を展開する「株式会社一家ダイニングプロジェクト」は、同社が運営する結婚式場でウエディングスタイルの入社式を実施しています。
チャペルでの人前式風入社式に、婚礼料理を凝縮したワンプレート料理が並ぶ披露宴……。「誇りの持てる『家族のような会社』であり続ける」ことを経営理念のひとつに掲げている同社らしい、「入社=会社と新入社員の結婚」が表現されている入社式です。このような「おもてなし力」を体験できる入社式は、モチベーション・ロイヤリティを大きく高める効果が期待できそうです。
※参照:一家ダイニングプロジェクト「新入社員をおもてなし!ウエディングスタイル入社式を開催いたしました」
アイロンがけ入社式
ネット宅配クリーニングサービスを運営する「株式会社ホワイトプラス」は、アイロンがけ入社式を実施。新入社員自身がアイロンをかけたシャツを着て抱負を語ります。アイロンがけ入社式は、「服を大切にする」という気持ちを持ってもらうなどの狙いから、2016年より実施されています。
※参照: WHITE PLUS’s Blog「2019年卒の「アイロンがけ入社式」を開催しました! 」
退職届読み上げ入社式
「面白法人カヤック」の名称で知られる、Web制作・企画・運営会社「株式会社カヤック」は、入社式に新入社員が退職届を読み上げます。これは、自社で何を成し遂げたいのかを新入社員に考えてもらうことなどが狙いです。「入社式に退職届を読む」という、入社式で一般的に求められることと正反対の要素を取り入れるユニークさには、同社の社風が表れています。
※参照:note 面白法人カヤック 人事部「カヤックが入社資金退職届を読ませる理由」
旅館で入社式
不動産の売買・賃貸仲介事業などを展開する「株式会社三春情報センター(mic)」は、2019年、箱根の旅館で入社式を実施。230名の社員が集まる入社式では役職や部署の垣根を越えた交流が可能なため、社員同士の絆を深める機会にもなっているようです。
※参照:[ミック]グループ株式会社三春情報センター「令和元年の新社会人誕生を全社員で祝福 社員230名大集合!恒例の温泉旅館で入社式開催」
ハワイ入社式
2019年、飲食店運営会社「株式会社トリドールホールディングス」は、売上が好調な店舗があるハワイで入社式を開催しました。ハワイでの海外1号店出店を皮切りに、台湾や香港などにも店舗を展開している同社。ハワイでの入社式の実施には、世界外食トップブランドを目指す同社の熱い思いが込められているようです。
※参照:Instagram【丸亀製麺‐高卒採用オフィシャルページ‐】(2019年4月18日投稿)
まとめ
本記事では、入社式の目的やスタンダードな入社式プログラムのほか、おもしろい入社式の実施により期待できる効果、新入社員の思い出に残るおもしろい入社式企画事例12選を紹介しました。
入社式は、新社会人として、新入社員を自社に迎え入れるうえで重要な行事です。本記事を参考に、新入社員のエンゲージメントをより高められるおもしろい入社式を企画し、入社式を成功させましょう。
また、入社を促すための企画としてインターンシップも重要となります。学生が好むインターンシップの内容など、以下まとめた資料も合わせてご参考になさってください。
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