派遣社員を活用するための基本と注意点 COLUMN

更新日:2019.06.18

派遣社員を活用するための基本と注意点

派遣社員を積極的に受け入れている企業は少なくありません。「採用コストをかけずに必要な人材を確保できる」「教育に時間を割かなくて済む」など企業にとって利点の多い印象がある派遣社員ですが、これから雇用を検討しようとしている人事担当の方は、その実態を正しく把握しておくことをおすすめします。効果的に派遣社員を活用するために、雇用の基本やメリット・デメリットを学んでいきましょう。

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目次

そもそも派遣とは? メリット・デメリットは?

正社員と肩を並べて働くことが期待される派遣社員ですが、派遣の仕組みはどのようになっているのでしょうか。まずは派遣社員の基礎知識、メリット・デメリットをご紹介します。

派遣とは派遣会社から紹介された人材を雇う雇用形態

派遣社員とは、派遣会社から紹介された人材を雇う雇用形態のことです。給料は派遣会社から、仕事の指示は派遣先の企業から受け取ることとなっており、「一般派遣」「無期雇用派遣」「紹介予定派遣」の3つに分類されます。

一般派遣は、派遣会社に登録している人の中からを派遣先企業の条件にマッチした人を選抜し、派遣先が決まった段階で初めて派遣社員と派遣会社との間で雇用契約が結ばれるシステムとなっています。1人の人が同じ企業で働ける期間は3年と定められており、派遣期間の終了とともに契約も完了します。契約を結んでいない期間は給料の支払いが行われませんが、求職者は仕事内容や給与額など、自分の条件に合った仕事を選択できます。

一方、無期雇用派遣では派遣先との契約がない段階でも、派遣元と派遣社員の間で雇用契約が発生し、派遣元から給料の支払いが行われます。派遣会社と常に雇用関係の状態にあり、派遣されていなくても収入が得られます。また一般派遣と異なり、派遣先企業が契約する限り何年でも同じ職場で働くことができます。

紹介予定派遣は、直接雇用を前提とした派遣スタイルです。一定期間(最長6ヶ月)就業し、派遣先企業と派遣社員との間で合意があれば、派遣先の正社員として登用されます。派遣社員の人柄や仕事ぶりを直接知ることができるため、よく吟味して社員を採用したい企業は紹介予定派遣を選択すると良いかもしれません。

派遣社員を雇うメリット・デメリット

派遣社員を雇用する際は、メリット・デメリットを理解しておきましょう。

メリットは有期雇用できること

繁忙期や欠員が出たときだけ人員を補充できるのが、派遣社員を雇うメリットの一つです。「正社員の産休・育休明けの期間まで雇いたい」「プロジェクトで忙しくなる期間だけ人員を増やしたい」など、一定期間だけ人を雇いたいときには派遣社員が重宝します。

派遣会社に派遣を依頼する際、業務内容と必要なスキルを伝えればそれに合わせた社員を派遣してくれるため、募集から研修まで時間と費用をかけずに即戦力として活躍できる人材を獲得できます。また賞与や福利厚生、退職金などの費用は派遣元の企業が負担するため、正社員を雇うよりも人件費を抑えることが可能です。

突発的な欠員補充や新規プロジェクトのための即戦力補充など、派遣先となる自社の状況に合わせて契約できるため、社内全体の人員をコントロールしやすいです。正社員を雇うほどではないが人員を補充したいときは、派遣社員の活用を検討してみてください。

デメリットは重要な仕事を任せづらいこと

派遣社員を雇うデメリットは、重要な仕事を任せづらいことです。派遣社員は就業期間に定めがあるため、いわゆるコア業務には向きません。例えば、自社に蓄積されていないスキルやノウハウが必要なプロジェクトを進めるとして、その能力のある派遣社員に重要なポジションを任せる場合、派遣期間終了後に「既存社員が業務の進め方を知らない」ということが起こる可能性は否定できません。

このような理由から、派遣社員に任せる仕事は派遣期間終了後も見据えて設定することが大切です。契約期間中は自社の社員と同様に扱うとしても、基本的には社外のリソースであることを忘れないようにしましょう。

派遣社員を受け入れる前のチェックポイント

派遣社員を雇う前に、まずは下記のチェックポイントを把握・実施できているか確認してみてください。

□派遣の3年ルールを理解している

□労働契約申し込みみなし制度を理解している

□派遣社員への事前面接は行っていない

□派遣禁止業務に該当しない

□派遣契約に定めるべき事項は網羅している

□派遣元は労働者派遣事業の許可を得ている

□自社を離職して1年以内の人ではない

□社会・労働保険への加入が確認できている

□派遣先責任者の専任を行っている

□派遣先管理台帳を作成済みである

□派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇に対する配慮義務を理解している

派遣社員の受け入れ態勢をきちんと整え、安心して働ける環境づくりをしていきましょう。

派遣の3年ルールとは?

平成27年度の法改正以降、派遣社員は同じ企業で3年以上働くことが原則できなくなっています。これは派遣社員の待遇改善を目的として定められたルールであり、雇用の安定化を図るため、派遣元には以下の措置が求められています。

●雇用安定措置

1)派遣先への直接雇用の依頼

2)新たな派遣先の提供(合理的なものに限る)

3)派遣元での(派遣労働者以外としての)無期雇用

4)その他安定した雇用の継続を図るための措置

引用元:厚生労働省「派遣で働く皆さまへ~平成27年労働者派遣法改正法が成立しました~

上記の措置は1年以上3年未満の雇用については努力義務、3年以上の雇用については派遣元の義務とされています。派遣先が直接雇用依頼を拒否した場合は、派遣元が2~4を講じる必要があるのです。

このように、非正規雇用者の直接雇用や無期雇用派遣への転換を促し、雇用の安定化を図るためのルールが定められています。ただし、全ての人に3年ルールが当てはまるわけではなく、下記の場合は期間制限の対象外となります。

・派遣元事業主で無期雇用されている派遣労働者

・60歳以上の派遣労働者

・有期プロジェクト業務(事業の開始、転換、拡大、縮小又は廃止のための業務であって一定期間内に完了するもの)

・日数限定業務(1カ月間に行われる日数が通常の労働者に比べ相当程度少なく、かつ、月10日以下であるもの)

・産前産後休業、育児休業・介護休業などを取得する労働者の業務

引用元:厚生労働省「派遣社員を受け入れるときの主なポイント

また、同じ派遣先でも業務内容が異なる部署へ異動すれば新たに3年間働くことが可能です。派遣社員の方が安心して働き続けられるよう、派遣される側としても3年ルールの制度や対象者についてきちんと理解し、受け入れていくことが求められています。

労働契約申込みみなし制度とは?

労働契約申込みみなし制度とは、派遣先が違法派遣と知りながら派遣社員を受け入れた場合、直接雇用の申し込みをしたとみなされる制度です。

違法派遣の内容としては下記が挙げられます。

  • 派遣就業が禁止されている業務(港湾運送業務や建設業務、警備業務など)での派遣受入
  • 派遣免許を持っていない事業者からの派遣受入
  • 3年ルールを違反した状態での派遣受入
  • 偽装請負

違法派遣と知らずに雇っていた場合、この制度は適用されません。万が一違法派遣と知っていた場合、派遣先は派遣社員に対し、派遣元と同一の雇用条件で直接雇用を申し込んだものとみなされます。

派遣できない業務がある?

労働者派遣法によって派遣できない業務(適用除外業務)が定められています。具体的には以下の業務です。

  • 港湾運送業務(主な対象は対象となるのは、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、関門の6大港、及びその他指定された港湾)
  • 建築業務(事務員やCADオペレーター、施行管理業務などの直接業務以外のものは派遣可能)
  • 警備業務(駐車場やスーパー、ボディーガードなどの警備業務)
  • 医療業務(医師、歯科医師、薬剤師、保健師、看護師などの医療従事者)
  • 士業(弁護士、外国法事務弁護士、司法書士、土地家屋調査士、建築士事務所の管理建築士など)

上記の業務への派遣は禁止されていますし、派遣先も受け入れてはいけません。もし受け入れた場合、派遣会社だけではなく派遣先の担当者もしくは責任者も刑罰に問われる可能性があります

派遣できるかどうかは業務ではなく業種で決まっています。建設業であっても事務員やCADオペレーターなどの直接業務以外であれば派遣可能ですし、看護師でも紹介予定派遣や産休のための欠員補充であれば派遣は認められています。派遣社員の受け入れを検討している担当者の方は、ご自分の会社の業務が適用除外業務でないかをよくチェックしましょう。

派遣の契約書で定めるべき内容とは?

契約期間中や終了後に派遣元企業や派遣社員とトラブルにならないようにするために、契約書を作成することになります。派遣先となる自社が契約を結ぶ相手は派遣元企業で、契約書は基本契約書(企業間での取引における基本的な事項を定めたもの)と個別契約書(個別の派遣契約に関する契約書)の2種類です。

基本契約書で主に取り決めるのは以下の項目です。

  • 人材派遣契約である旨
  • 個別契約書により別途契約することの旨
  • 派遣料金の設定・計算・支払方法や締め日
  • 休日・休暇取得
  • 派遣社員の交換
  • 損害賠償
  • 契約の解除
  • 守秘義務
  • 契約期間

また、個別契約書で主に取り決める項目は以下の通りです。

  • 労働契約期間(就業日と派遣期間
  • 就業場所
  • 派遣先と派遣会社の担当者
  • 直属の上司
  • 派遣スタッフの人数
  • 業務内容
  • 就業時間・休憩時間
  • 時間外労働やシフト制の有無
  • 安全衛生について
  • 雇用安定措置について
  • 派遣社員からの苦情処理
  • 休日・休暇
  • 賃金の決定・計算・支払方法・支払時期
  • 契約解除

上記の項目は書面で明示しなければならないものです。含めるべき内容をしっかりチェックし、契約書にきちんと記載されているか確認してください。

派遣先責任者・派遣先管理台帳とは?

派遣先責任者とは、派遣社員が派遣先で安心して働けるように管理するスタッフのことです。派遣社員100人につき1人の派遣先責任者を設置する必要がありますが、事業所などにおける派遣社員と直接労働者(派遣先が雇用している社員)を合わせた人数が5人以下の場合は選任しなくても問題ありません。また、派遣元にも責任者の設置が義務付けられています。

派遣先責任者の主な役割として、派遣元との連絡調整、派遣社員のクレーム処理、派遣先管理台帳の管理などが挙げられます。派遣先管理台帳とは派遣社員が適切な環境で働けているかチェックするものであり、派遣先には台帳の作成・記載・保存・記載事項の通知が義務付けられています。

派遣先管理台帳には以下の項目の記載が必要です。

  • 派遣労働者の氏名
  • 派遣労働者が60歳以上の者であるか否かの別
  • 派遣元事業主・事業所の名称
  • 派遣元事業主の事業所の所在地
  • 業務の内容
  • 無期雇用か有期雇用か
  • 派遣先の事業所の名称、就業場所及び組織単位、所在地
  • 派遣元責任者・派遣先責任者
  • 就業状況(就業日・勤務時間・休憩時間・休日など)
  • 社会・労働保険の有無
  • 教育訓練の実施日時・内容
  • 紹介予定派遣の場合はその旨について

派遣終了日から3年間は台帳の保存が義務付けられています。また、作成・通知・保存していなかったときは30万円以下の罰金が科せられる可能性があるので注意が必要です。派遣社員の適切な労働環境を守るためにも、派遣先管理台帳をしっかり記載・保管しましょう。

派遣労働者と派遣先社員の均衡待遇とは?

派遣社員と派遣先の従業員の待遇の均衡を図ることは、派遣先の配慮義務となっています。具体的には「賃金」「福利厚生施設」「教育訓練」の3点に関する措置を講じることが求められています。

賃金に関しては、業界の平均賃金を勘案し、派遣社員と従業員との賃金の均衡が図られるよう努力する必要が派遣元にはあります。そのため派遣先にも、派遣先の給与水準や求人条件などの情報を派遣元に提供する配慮が求められています。

福利厚生に関しては、例えば派遣先の食堂や更衣室、休憩室などの福利厚生施設を派遣社員が利用できるように配慮しなければいけません。人数の関係で同じ時間帯に利用できない場合は利用時間を変更するなどして、派遣社員も福利厚生施設が利用できるように取り計らいましょう。

教育に関しては、業務に関係ある教育訓練を従業員に行う場合、派遣元からの要請があれば派遣社員も受けられるように調整する配慮が求められています。ただし、派遣元での訓練が可能な場合や訓練コストが高額な場合は、この限りではありません。

いずれにせよ派遣先には、派遣社員と従業員との間で格差が生まれないように配慮する姿勢が求められています。派遣社員が仕事に集中できるように、従業員と同じ扱いをするように心がけてください。

派遣社員活用の3つのコツ

即戦力としての動きが期待される派遣社員ですが、全ての人材が思うように活躍してくれるとは限りません。派遣社員の方に良いパフォーマンスを発揮してもらうためにも、気持ち良く働ける環境づくりをすることも大切です。ここでは、派遣社員を効率的に活用するための3つのコツについてご紹介していきます。

【1】正規雇用の社員との間に壁を作らない

派遣社員でもなるべく自社の社員と同じように扱うことが大切です。派遣社員は自社の社員ではないため、働き方などに違いがあることは仕方ないかもしれません。しかし、全体ミーティングに参加させてもらえなかったり、派遣社員だからといって軽んじるような発言があったりすると、それだけで仕事へのモチベーションが低下してしまいます。

派遣の方は期間が決まっているとはいえ、自社の仕事をカバーしてくれる非常に重要な存在です。雇用形態にかかわらずミーティングにはきちんと参加してもらい、情報共有できる環境づくりをしておきましょう。

また、職場に馴染めるように、初日に自己紹介ができるように取り計らうことも大切です。派遣社員の存在を知ってもらえますし、話すきっかけづくりにもなるため、職場の一員として受け入れやすくなります。

従業員との間に壁を感じてしまうと、仕事へも悪影響を及ぼします。派遣社員が気持ち良く働けるよう、正規雇用の社員との間に壁を作らない工夫が求められます。

【2】契約期間が長い場合は勉強会の時間を設ける

契約期間が長い場合は、単純作業以外の仕事をしてもらえるようにスキルアップを促すことが大切です。自社の新人研修や中途入社研修に参加してもらったり、資格取得に向けた勉強会に参加してもらったりすると良いでしょう。派遣先で行われる任意参加の研修などの費用を負担し、正社員と同じスキルを習得してもらうのも一つの手です。

正規雇用と同等の仕事ができるようにスキルアップしてもらえれば、より難しい仕事を任せられるようになります。会社にとっても大きなメリットとなるため、「派遣社員に教育しても意味がない」と思わず、派遣社員を育てるための制度を充実させていきましょう。派遣社員の方が常に上の仕事を目指せるように支援する姿勢が大切です。

【3】事前に仕事の範囲を明確に定める

派遣社員を雇う際は、仕事の範囲を明確に定めそれを社内全体に伝えておきましょう。どこまで仕事を任せて良いかわからないと、実力以上の仕事を任せてしまい「時給と仕事内容が見合わない」と不満を抱かせてしまいます。派遣社員のモチベーションにもよりますが、簡単な作業ばかりだと仕事のやりがいを感じられず、働く意欲を低下させてしまうこともあります。

派遣社員を効果的に活用するためには、その人の能力に合った仕事を振るのがポイントです。どの社員でも適切に指示できるように、「何を担当するのか」「どの業務まで任せて良いのか」を事前に決めておきましょう。

まとめ

派遣社員は企業にとって重要な存在であり、実力を十分に発揮してもらうためには自社の社員と差をつけずに扱うことが求められます。派遣社員に関する正しい知識を身に付け、仕事に専念できる環境づくりをしていくことで、派遣社員の力を最大限に引き出してください。

採用成功するために必要な考え方をまとめました。
採用マーケティング・採用ブランディングの原理原則

監修/中森規仁

コピーライター、求人媒体の管理・運用職を経て、2011年クイックに入社。ディレクター・プランナーとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)に携わっています。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。御用の方はこちらまで⇒nakamori-norihito@919.jp

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