適正な採用人数の決め方とは? 要員計画の作成方法を紹介 COLUMN

更新日:2019.11.05

適正な採用人数の決め方とは? 要員計画の作成方法を紹介

採用活動を行うにあたり、目標となる採用人数を設定することは重要な意味を持ちます。ただし、「何人採用すればいいのか」と悩んでいる採用担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。会社の急成長や事業拡大に伴う新部署の立ち上げを任され、採用人数の設定について悩んでいる方も中にはいることでしょう。
ここでは、適正な採用人数を導き出す方法として「要員計画」の作り方をご紹介します。

目次

適正な採用人数とは? 要員計画が重要

適正な採用人数を決めるためには、要員計画が鍵となります。要員計画とはどのようなものなのでしょうか。

要員計画とは

要員計画とは、企業が事業計画を進める際に必要な人材の採用や配置、不要な人材の整理などを計画することを指します。要員計画があれば、どのような能力・適正がある人を何人採用すると良いのかを判断しやすくなるだけでなく、事業計画の遂行に役立ちます。

要員計画は下記のような表を作成し、状況を可視化すると、作成が容易になります。

出典:日本の人事部「今日的な『要員計画』の考え方と実践方法 (後編)
~適正な「要員計画」の視点を持ち、一律のマネジメントから脱する

部門や役職、年度末在籍人数、年度当初在籍人数、要因要望数など、さまざまな要素を組み合わせて要員計画表を作成していきます。上記の表は「部門別」の要員計画表になるため、「年齢別」や「役職別」など、必要に応じてアレンジしてください。

作成時は、何人採用するかという「量」の部分と、どのような人材を採用するかという「質」の部分の両方を考慮することがポイントです。

要員計画と人員計画の違い

要員計画と同じものと認識されることが多い人員計画ですが、両者は異なるものです。

要員計画は、雇用形態別の人員数や人件費を考慮した上で、事業計画の遂行に必要な人員数を計画することを指しますが、人員計画は事業計画の遂行に適した人材の要件を定め、誰をどこに配属するかを決めることを指します。

つまり、要員計画は「どの部署に何人必要なのか」といった人員に関する計画の枠組みを作るものであり、人員計画は「誰をどの部署に配属するのか」といった枠組みに社員名を埋めていくイメージです。要員計画があるからこそ、人員計画を立てることができます。

要員計画の作成方法

要員計画はどのように作成すると良いのか、順を追って説明します。

【ステップ1】現状を調査する

まず、事業計画や自社の人員構成、採用に関する過去の数値、要員ニーズといった採用人数を算出するためのデータを集めることが必要です。調査対象となる項目を見ていきましょう。

事業計画

要員計画は事業計画を遂行するために作成するものなので、事業計画の調査は不可欠です。

「人材」は事業計画を進めるために必要な要素の一つであるため、採用人数や採用要件が事業計画に対して不適切であれば、事業計画の遂行は難しくなります。 事業計画に関わる社員や経営層とミーティングなどで目線合わせをすると、要員計画はスムーズに進みます。上場企業であればIR関連情報を把握することも有効です。

自社の人員構成

人員構成を確認するため、年齢、雇用形態、職種別に整理してみましょう。このとき、3年後、5年後の人員構成はどのように変化しているかもシミュレーションしてください。そうすると「5年後は20歳が少なくなり年齢構成が偏る」といったことがわかるため、より的確な計画を立てることができるでしょう。

さらに、能力やキャリア、経験など、個人に焦点を当てた情報を分類していくと、より適切な計画を作成できます。離職率が高い企業は、そのデータチェックも忘れないでください。

採用に関する過去の数値

応募数・書類通過率・面接合格率・内定承諾率といった各採用プロセスにおける数値や、採用目標に対する達成率など、過去の数値を確認してみてください。

採用に関する過去のデータがあれば、書類選考、一次面接といった採用プロセスごとに「どれだけ通過者を出せば良いのか」という中間目標を踏まえて数値目標を設定することが可能になります。加えて、実現可能性が高い採用人数を考えることもできます。

現場の要員ニーズ

ヒアリングやアンケートなどの手段を使って、現場ごとの要員ニーズを収集する必要があります。情報収集をする際は、以下の項目を参考にしながら行うと、要員計画が作成しやすいでしょう。

  • 欠員補充の要員ニーズはないか

他部署への異動や退職などで現場に欠員が発生したかどうかを確認します。あわせて、欠員が出たことにより業務に影響があるのか、影響がある場合は新たに採用する必要があるのかも確認してください。

  • 繁忙期対策などによる要員ニーズはないか

繁忙期などの理由で、例えば「データの入力や請求書作成といった定型的な業務を代わりに行う人材が欲しい」といったニーズが強まっていないか確認します。また、残業時間が増えていないか、休日出勤せざるを得ない状態になっていないかなどもあわせてチェックしましょう。

  • 難易度の高いプロジェクトを進めるための要員ニーズはないか

プロジェクトを進めるために即戦力となる人材が欲しい、エンジニアやマーケターなど専門性が高い人材が欲しいといった要望がないか確認します。

経営の要員ニーズ

経営サイドからの要員ニーズについても把握しておくことが大切です。確認しておきたいポイントは以下の通りです。

  • 事業計画推進や新規事業分野進出のための要員ニーズはないか

事業計画の推進や新規事業分野への進出にあたって、新たな分野の知識や経験などが豊富な専門性の高い人材、ポテンシャルが高い人材を求めていないかを確認します。

  • 人員構成の改善のための要員ニーズはないか

従業員の年齢や役職、スキルなどに偏りがないかどうかを確認します。

現状調査を行う上でのポイント

情報を収集する際は、「いつまでに、何を目的に、どのような仕事を行う、どういう人が、何人欲しいのか」を具体的に確認しましょう。

加えて、「必ず欲しい」のか「できれば欲しい」のかも確認してください。各方面からの要望通りに採用人数を設定してしまうと、人件費予算が足りなくなります。

人事担当者の方は、現場と経営の要員ニーズに対して緊急度・優先度を設けた上で、どのように対応していくのが最善なのか整理しましょう。採用しなくても現在の人員で対応できることもあるため、さまざまな角度で要望を捉えることをおすすめします。

【ステップ2】必要な人数を算出する

必要な採用人数を算出する方法には、マクロ的手法のトップダウン方式と、ミクロ的手法のボトムアップ方式の2種類があります。両者を上手く活用することがポイントです。

トップダウン方式とは

トップダウン方式とは、会社全体の「労働分配率」「損益分岐点」「売上高」「付加価値」」「人件費率」などを踏まえて適性人件費を算出し、そこから必要な人員総数を導く方法です。会社全体の財政面から人員数を算出して、各部署・部門・職種に振り分けます。

ボトムアップ方式とは

ボトムアップ方式は「積み上げ方式」とも呼ばれ、現場の業務量や職務分析を踏まえて各部署・部門・職種に必要な人数を算出し、それを積み上げていくことで全体の人員総数を導く方法を指します。

双方の活用ポイント

2つの方法を簡単に説明すると、会社全体で必要な人数を算出するのがトップダウン方式現場で必要な人数を算出するのがボトムアップ方式ということになります。

トップダウン方式は人件費などの財政面に重きを置くため、この方式だけで人員を算出すると現場が人手不足になり、業務遂行に支障をきたす恐れがあります。一方、ボトムアップ方式のみで算出しても必要な人数が膨れ上がり、人件費などの費用がかかりすぎるリスクがあります。

そのため、状況に応じてトップダウン方式とボトムアップ方式の両方を活用することが得策です。例えば、経営状態が良好なときは、まずボトムアップ方式で算出し、その後トップダウン方式で問題がないかを確認する方法があります。反対に経営状態が厳しいときは、トップダウン方式で算出してからボトムアップ方式で調整を行う方法が効果的です。

要員計画の適切さをチェックする方法

要員計画を踏まえて採用活動をしている(採用した)のに、「計画通りに採用できない」「採用した人員の力を存分に発揮させることができない」といった壁にぶつかり、「要員計画そのものに問題点があるのでは?」と疑問を抱くことがあるかもしれません。ここでは、要員計画が適切であるかどうかを確認する方法をご紹介します。

要員計画と要員実績を比較・分析する

「要員計画通りに採用できなかった」と思ったら、要員計画と要員実績(実際に採用して割り当てることができた数値)を比較し、ギャップを確認することが重要です。「部門ごとの要員実績」を「要員計画で設定した要員数」で割って要員比率を算出し、計画に対する実績の過不足をチェックするとギャップを把握できます。数値だけで原因を判断することはできませんが、あまりにもギャップがある場合は、そもそもの計画に無理があることなどが採用できなかった理由として考えられます。

採用条件を見直して現場にヒアリングする

要員計画に沿った採用した人員が「期待したパフォーマンスを発揮していない」「早期離職が目立つ」などと感じた場合は、要員計画を構成する採用要件(能力や経験)、人員数などが適切だったかどうかを見直してみてください。加えて、組織を管理する社員や、要員計画によって異動した対象者に「人員配置の変更によって問題が発生していないか」をヒアリングすると、適材適所に配置できたかを見極めることができます。

まとめ

「要員計画」は採用人数を設定するために役立つ計画です。事業計画を遂行するためにも要員計画の作成方法を習得し、より適切な採用人数を設定してください。

監修/中森規仁

コピーライター、求人媒体の管理・運用職を経て、2011年クイックに入社。ディレクター・プランナーとして、求人広告や採用企画(採用プランニング・採用ツールのご提案)に携わっています。2018年より本メディアの編集・執筆も兼任。御用の方はこちらまで⇒nakamori-norihito@919.jp

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