学生の心をつかむ新卒採用の手法7選
社会人経験をもとに自分に合う企業を探している転職者と異なり、新卒採用では「就活を通じて段々と自分に合う企業がわかってくる」ケースが多くあります。そんな時、興味を持つきっかけとなり得るのがユニークな採用試験です。
面白法人カヤック|いちゲー採用
ゲーム開発事業に取り組む面白法人カヤックでは、ゲームをプレイすることで身に付くスキルがビジネスに役立つと考え、選考のステップの一部に「ゲーム」を活用する「いちゲー採用」を行っています。
書類選考に代えてゲームへの思いをつづって応募する「ゲーム履歴書選考」など、いちゲー採用には3つのパターンがあります。さらに通常の選考もあり、応募者は取り組みやすいスタイルを選ぶことができます。
東京一番フーズ|極め人採用
URL:https://www.tokyo-ichiban-foods.co.jp/recruit/shinsotsu/kiwami/kiwamebito/
東京一番フーズでは「水産業を極める」という理念から、選考スタイルの1つとして「極め人採用」を行っています。「極めたこと」は語学、スポーツなどジャンルを問わず、達成するまでの努力や苦労などをプレゼン資料にして送る応募方法です。
極め人採用の書類選考を通過すると一次面接、二次面接を飛ばして社長との個別面接でプレゼンをする機会を得ることができます。通常の選考方法では評価しきれない「長年取り組んできたこと」や「圧倒的な特技がある人」を、埋もれることなく発見・評価できます。
ユニクロ|大学1、2年生も応募できる通年採用
URL:https://www.fastretailing.com/employment/ja/fastretailing/jp/graduate/recruit/allyear/
ファーストリテイリング傘下のユニクロでは通年採用を取り入れており、新卒の場合大学1年生から応募を受け入れています。選考の過程は省略されませんが、入社日数ヶ月前のエントリー期限以外は指定のスケジュールがないため、個人の好きなタイミングで応募できます。
また、選考の通過から3年以内であればいつでも最終面接を受けられる「ユニクロパスポート」の発行により、留学や部活動などで就職活動を行う時間が限られている学生にも選考参加の機会を広げています。
スターティア|麻雀採用
URL:https://recruit.startia.co.jp/2019/10/31/内定をツモれ!麻雀採用-!12-13金%E3%80%80※2021年卒向け/
スターティアでは、頭脳スポーツともいわれる麻雀に必要なスキルがビジネスに通じると考え、イベント形式の選考として2017年から取り入れています。プロと対戦できるとあって麻雀が好きな学生への訴求ポイントとなっています。実際に麻雀採用で入社した社員が企業対抗の麻雀大会でも活躍しています。
表彰式まで含めた本格的なイベントで、1位になった参加者は通常の選考過程を飛ばして最終面接を受けられます。
東急エージェンシー|顔採用
URL:https://ciraf.jp/works/kao/
容姿が採用に影響することへの批判を含んだ言葉である「顔採用」をあえて選考方法のひとつとして掲げる、インパクトの強い採用スタイルです。実際には、いわゆる美醜を判断するのではなく、独自開発のシステムを用いて応募者の顔を分析し、計測された数値に応じてESやWEBテストの免除といった特典を付与する選考です。
ソフトバンク|No.1 採用
URL:http://recruit.softbank.jp/graduate/recruit/method/no1/
テクノロジー、ビジネス、アカデミック、クリエイティブ、スポーツのいずれかの分野で一番になった実績を書類・プレゼンで評価し、採用につなげるスタイルです。実績が仕事上即戦力になるものであれば、専門性を発揮できる環境を提供するという、応募者のスキルを高く評価する姿勢が特徴的です。
新卒採用のため、プレゼンは発表の技量ではなく実績の内容を評価。No.1採用選考を通過しなくても、通常採用に切り替えて選考を継続する場合もあります。
チームラボ|実績選考
URL:https://sotsusei.team-lab.com/
最新技術を駆使したアートプロジェクトなどに取り組むチームラボでは、ESなど一般的な応募書類の代わりに卒業制作や卒業論文で選考を行う「実績選考」を取り入れています。学部生、院生はもちろん、第二新卒や職務経験がある人も対象としています。
実際に入社した社員が提出した「実績」は、データ画像処理に関する論文や3DCGを使ったアニメーション作品、電子工作の企画書・デモ動画などがあります。
適性を見極める面白い中途採用の手法5選
ユニークな選考が実施されているのは、新卒採用だけではありません。中途採用では働きながら転職活動をすることが多いため、複数回面接や試験を課すような選考だと、スケジュールの調整がしにくいことも。スマートな採用活動や、思い切って未経験の仕事に飛び込む転職者に出会えそうなユニークな事例を紹介します。
GIKUTAS|絵ごころ採用
URL:https://www.searchfield.jp/employ/
ソーシャルゲームのイラスト制作を行うGIKUTASでは、グラフィッカー職の募集にあたり、履歴書や職務経歴書ではなくポートフォリオで評価する「絵ごころ採用」を行っています。職務上優先度の高いイラストに関わる技術を確認し、文章で作成する書類提出・確認の負担をなくした形です。
応募はフォームから必要事項とポートフォリオのURLを入力して送るだけなので、興味はあるものの応募書類の作成をする時間がない、絵ではアピールできるが文章は苦手といった人材の心理的な応募のハードルを下げることが期待できます。
サイボウズ|複業採用
URL:https://cybozu.co.jp/company/job/recruitment/fukugyou/
多様な働き方の実現を目指すサイボウズでは、ワークスタイルを限定せず副業として働く人を募集する「複業採用」を行っています。キャリア開発に取り組む人や、理念に共感している意欲的な人に、現在の仕事を継続しつつスキルを生かしてもらうための採用です。
就業中の企業が副業禁止でないことや、セルフマネジメントがきちんとできる人材かどうか見極めなくてはならず通常の採用より難しい面もあります。しかし、専門性が高くフルタイム勤務では条件が折り合わなくても副業では契約可能になるなど、多様な人材のスキル活用につながる手法です。
株式会社サンチャレンジ|野球採用
URL:http://www.sun-cha.jp/yakyu/
株式会社サンチャレンジでは、携帯電話ショップのアドバイザーやコールセンタースタッフの選考で、通常の採用の他に野球への熱意を評価する「野球採用」を行っています。応募フォームで登録後、応募者は実際にグラウンドに集合し、野球を通したコミュニケーションで採用が決まります。
甲子園球場での試合やホームランでのボーナス、プロテイン支給など、社員となる野球経験者の意欲を高める本格的なサポートを導入しています。
PayPay株式会社|オンライン完結型採用
URL:https://about.paypay.ne.jp/career/?_ga=2.55457899.1314672373.1573696788-205389759.1573696788
電子決済サービス大手であるPayPay株式会社では、デジタル面接プラットフォームによるオンライン完結型の採用選考を、一部の職種で行っています。コードチャレンジや複数回の面接をオンラインで進めることで、業務に必要なスキルを確認しつつ、世界中どこからの応募にも対応が可能になります。
海外在住の人材を採用する場合、対面の選考では応募者か企業が渡航費を負担しなければならず、優秀な人材へのアプローチに障壁になってしまいます。オンラインで選考を完結させれば、このような時間的、距離的な課題をクリアすることができます。
株式会社IBJ|アスリート採用
URL:https://www.ibjapan.jp/athlete
結婚相談所などを運営する株式会社IBJでは、実業団という形ではなく、フルタイム勤務でスポーツにも取り組む人を採用する「アスリート採用」を行っています。スポーツで鍛えた体力や精神力が仕事にも生かせると考え、仕事とスポーツを両立する「マルチキャリア」形成を、ユニフォーム支給や遠征費支援を通じてサポートしています。
学歴や新卒・中途は問わず大会出場実績を重視。ワークライフバランスの実現、会社が支援することによる学びの還元など、双方にとってメリットになることが期待されます。
ユニークな採用が注目される理由とは?
このように、独創的な採用選考で人材獲得を目指す企業は多く、その採用スタイルもさまざまです。他社とは違った採用活動に取り組む背景には、採用難やスマホの普及があります。
売り手市場による人材争奪戦の過熱
近年、有効求人倍率が高止まりし、特に中小企業では人材確保が困難な状況にあります。そこで、採用市場で埋もれないよう注目を集めることができ、なおかつ資金力のある企業と同じ土俵で勝負することを避けられるユニークな採用手法が注目されているのです。
大企業では新卒採用予定数を100%以上達成できるケースもあり、資金力が採用に影響をもたらすことは否定できません。
コストをかけずに応募数や歩留まり率を伸ばせる効果的な方法として、ユニークな採用選考が広まっているのかもしれません。
スマホ・SNSの対応も重要な採用戦略
スマホで求人情報を確認し、SNSで企業の評判を知るのが当たり前になっています。そのため、SNSで注目されるような情報発信や、スマホから簡単に応募フォームで入力・応募ができるようになっているかという「スマホ対応」も重要な採用戦略のひとつです。
まとめ
採用市場で逆風が吹いている現在、採用担当者を悩ませる課題は多いですが、同時に困難な状況から面白いアイデアが生み出されることもあります。採用戦略を組み立てるときに、一度今までのやり方を取っ払って考えてみてもよいでしょう。
とはいえ実際には、ユニークな採用は資金力や知名度があったり、SNSで話題になるようなアイデアマンがいたりしないと実現できないのでは、とためらいが生じることも多いでしょう。しかし、どのような規模の企業であっても、魅力の発信をあきらめる必要はありません。
ユニークであることは「面白い」ことではなく、「会社独自の魅力」が感じられることです。自社ならではのカラーを打ち出すことは、採用戦略の差別化につながります。「自社の魅力を『過小評価』していませんか?」では、企業の魅力を明確にアピールするための考え方・伝え方を紹介していますので、ぜひご覧ください。
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