採用計画とは
採用計画とは、採用活動の指針となる計画のことを指します。
自社の経営方針や事業戦略を踏まえ、どのような人員をいつ採用するのか、どう採用するのかの計画です。
具体的には以下のような問いに対して、言語化を進めることが採用計画に該当します。
- いつまでに
- どのような人材を
- 何人ほど
- どのような手段で
「計画」とあるように、採用活動業務が円滑に回せる指標となるよう、具体的であることが求められます。
採用計画はなぜ必要か
採用計画は、採用活動の効率を高めると同時に、実行の確実性を上げるために必要です。
通常の採用活動では、人事部門と配属先の現場とが協働で、求職者の選考をおこないます。採用の目的や採用フローに対する認識がそれぞれの現場で異なっていた場合、うまく連携できず、採用機会を逃してしまう可能性があります。
そのような事態を防止するために、採用に関わる関係者間で採用計画を共有することで、採用活動の効率化が期待できるでしょう。
また、無計画に採用活動をおこなってしまうと、時間と費用を費やしただけで必要な人材を採用できないという結果にもつながりかねません。
採用計画を作ることによって、採用活動が適切におこなわれているか判断するための基準となり、採用活動の確実性を高めることが期待できます。
採用計画を立てる前に確認すべきこと
いきなり「どのような人材が、何人必要か」という採用計画を検討するまえに、確認すべきことがあります。
より説得力のある採用計画を立てるために、事前に準備すべきことを三点紹介します。
自社の事業戦略を確認する
採用計画を考える前に、自社の経営方針や事業戦略を確認する必要があります。
人材採用は、事業の今後の方向性を踏まえて必要な人員を検討すべきだからです。
たとえば事業戦略として「新規事業開発」を掲げているのであれば、イノベーションの創出が可能であることが、おのずと人材要件となるでしょう。
事業計画を確認するだけでなく、経営陣や主要部署の責任者へのヒアリングも有効です。
採用計画を立てる機会に、トップの意思や意向を確認しておくこと意味があるでしょう。
前年度の振り返りをおこない、採用課題を明確にする
採用計画を立てる前にやるべきこととして、前年の採用結果を振り返ることも忘れてはなりません。
前年度の採用課題を明確にすることで、次年度の採用活動を改善できます。具体的に採用課題を特定するためには、以下の観点から調べるとよいでしょう。
【定量面】
- 各採用フローの参加者数
- 各採用フローの歩留まり
- エントリー経路ごとの歩留まり
【定性面】
- 求職者の志望動機の傾向分析
- 面接官ごとの評価基準の分析
- 合格者と不合格者の傾向分析
これらの点をチェックしておけば、自社の採用課題を把握でき、現実に即した採用計画を立てられます。
採用競合について調べる
最後に、採用の競合他社をリサーチしましょう。
注意したいのは、採用での競合は必ずしも同業他社だけに限らないことです。具体的には、以下の観点で採用競合を探し、リサーチをするようにしましょう。
- 業界・業種が似ている企業
- ビジネスドメインやビジネスモデル似ている企業
- 人事制度や福利厚生が似ている企業
- ミッション・ビジョン・バリューが似ている企業
- 仕事の進め方や社風が似ている企業
競合他社と比較したうえでの自社の特徴をとらえることができ、自社独自の採用計画を立てられます。
採用計画を作成する5つのステップ
前章の観点で確認が終わったら、いよいよ採用計画の作成へと進みましょう。
今回は一般的な5つのステップで採用計画の作成手順を解説します。
採用目的・採用目標の設定
採用目的の明確化は、人材採用によって実現したいことをすり合わせることです。
たとえば以下のような例をもとに、自社の採用目的を言語化するようにしましょう。
- 人員募集・離職者の補充
- 新規事業への進出
- 既存事業の拡大
- 職場の年齢構成の是正
- 将来の幹部候補の確保
次に、採用目標を設定します。目標設定ではQCD=Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の観点で考えることが望ましいです。
つまり「どのような人材を」「いくらの予算内で」「いつまでに」採用するかを設定します。
採用ターゲット(求める人材像)の設定
目標で設定した「どのような人材を」は、求める人材像としてもう一段深掘り・具体化することが望ましいでしょう。
求める人物像が漠然としていると、採用選考での判断基準にバラつきが生じたり、採用後の配属ミスマッチにつながったりしてしまいます。
今回採用する人は、どのようなポジション・役割で入社後に活躍してもらうのかを想定し、必要な人材要件を定性的・定量的の両面で具体化しましょう。
採用コンセプトの設定
採用コンセプトの設定とは、採用活動の一貫性を保つためのメッセージを設定することです。
採用に関わる社内関係者の意識統一ができ、採用活動に臨むエンゲージメントが高まる効果も期待できます。
また、外部に向けて発信するメッセージにも統一感が生まれるため、求職者への企業ブランディングが伝わりやすくなるでしょう。
採用予算・スケジュールの設定
採用スケジュール・予算の設定は「どの程度の予算で」「いつまでに」と目標化した指標を、さらにブレイクダウンすることです。
予算は、採用一人当たりのコスト設定はもちろんのこと、「採用媒体費」「説明会開催費」など、細かい内訳まで設定しておくと、採用活動の振り返りがしやすくなります。
採用スケジュールは、採用の開始と終了時期は必須で決めておきます。
さらに「いつまでに説明会を終えるか」「いつ頃から面接をスタートさせるか」と、採用フローごとにブレイクダウンしておくと、社内の関係者にスケジュール調整の依頼がしやすくなるでしょう。
採用フロー・手法の設定
採用フローは、母集団形成〜内定出しまで(もしくは入社式まで)の採用手段を決めることです。
母集団形成においては、求める人材が集まりやすい媒体選定が重要になります。採用計画の段階では、媒体のリサーチ期間をバッファとして確保しておくと、ゆとりがある採用スケジュールとなるでしょう。
同様に、説明会や面接も説明会資料の作成期間や面接官へのレクチャー期間など、事前準備の期間も計画に盛り込んでおくのを忘れないようにしてください。
新卒採用と中途採用の採用計画の違い
採用計画を立てる際は、新卒採用と中途採用の違いを理解する必要があります。
採用計画を立てる流れは同じですが、新卒採用と中途採用は、採用対象や採用基準などさまざまな点で異なります。採用計画を立てるときにもそれぞれの特徴を踏まえることが大切です。
具体的な新卒採用と中途採用の違いは、以下の表のとおりです。
中途採用計画 | 新卒採用計画 | |
---|---|---|
採用目的 |
|
|
対象人材 |
|
|
採用人数 | 少数 | 少数~多数 |
募集時期 | 通年または不定期 | 定期 |
社会人としての基礎研修 | 原則不要 | 必要 |
特に中途採用は不定期な募集となるため、人材採用が決定してから採用計画を組み立てる必要があります。
したがって、採用を希望している部署に「いつ頃、新しい社員が必要なのか」を確認し、そこに照準を合わせた採用計画を立てることが重要です。
採用計画で活用できるテンプレート
これまでのステップで設定した採用計画は、アウトプットとしてまとめておきましょう。初めて採用計画を作成する場合、汎用的なテンプレートを活用するとスムーズにアウトプットが進められます。
エクセルを使った方法
マイクロソフト社のエクセルは一般的に用いられる表計算ソフトです。
エクセルには、あらかじめ採用計画に役立つテンプレートが搭載されています。その他、インターネットで検索すると、無料のテンプレートも数多く見つかるでしょう。
採用計画と相性のよいテンプレートは、
- ガントチャート(プロジェクト管理表)
- ビジネス計画書、事業計画書
- 分析シート
などです。
テンプレートを流用して、自社向けにカスタマイズすると使いやすくなります。
Googleスプレッドシートを使った方法
Googleスプレッドシートにもエクセル同様、「テンプレートギャラリー」と呼ばれる標準的なテンプレートがインストールされています。
基本的な使い方はエクセルと同じですが、Googleアカウントを持っていれば誰でも共有して管理が可能なので、チームで採用計画を共有・更新するのに適しているでしょう。
採用担当、現場、経営者、教育担当など関係者が多い採用活動では、しっかりと進捗管理をおこなうことでトラブルを回避できます。
まとめ
今回は、採用活動の土台となる採用計画の作り方について紹介しました。
採用計画をしっかり立てることで、目的・目標にあわせた効率的な採用活動が展開できるため、求める人材の確保が期待できます。また、人材は採用して終わりではありません。入社後の定着や活躍まで見据えて、長期的な視点で採用計画を練っていきましょう。
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