不採用通知とは?
不採用通知とは、企業から応募者に対して、採用されなかった旨を伝える手紙やメールのことです。不採用通知の有無や通知内容は企業のイメージやその後の採用活動に影響を与える可能性があるため、慎重な対応を行うことが求められます。
不採用通知の重要性
不採用通知を送らない場合や配慮のない通知内容となっている場合、求職者からネガティブなイメージを持たれてしまう可能性があります。
今回は不採用となった求職者であっても、将来の顧客やビジネスパートナーとなる可能性があるため、このようなことは避けるべきでしょう。
また、最近では就活における口コミの重要性も増しており、悪い評判を投稿されてしまうと翌年以降の採用活動に支障をきたす可能性もあります。
さらに、今回は不採用となった求職者が他のポジションで採用される可能性や辞退者が出たタイミングで採用が決まる可能性、将来同じポジションの募集をかけた際に採用となる可能性などが考えられます。
そのため、今回の採用においては不採用だった場合でも、誠意を持って対応する必要があります。
不採用通知を送るタイミング
不採用通知は、合否が確定したタイミングでできるだけ早く送る事が重要です。できれば面接日から3日以内、遅くとも1週間以内には伝えるようにしましょう。
不採用通知を遅らせてしまうと、求職者が次の採用活動に焦点を合わせることができなくなり、彼らの不満や不快感を招いてしまう恐れがあります。したがって、不採用の決定が確定したら、速やかに通知を送ることが肝要です。このような迅速な対応は、企業の信頼性を高めることにも繋がります。
通知が遅れてしまう場合は、事前に選考に時間がかかっている旨を伝えるようにしましょう。
不採用通知にの構成内容とポイント
不採用通知書は、採用プロセスの一環として必要不可欠な文書です。以下に、効果的な不採用通知書の構成内容とポイントを示します。
件名
件名は、受取人がすぐに内容を把握できるように明確で具体的なものであるべきです。就職活動中の求職者は企業から多くのメールが届いている可能性が高いため、「選考結果のご連絡」など件名でメール内容が伝わるようにしましょう。
宛名
宛名はフルネームで記述することが推奨されています。氏名は個人情報にあたるため、間違いの無いように送りましょう。
この際、「貴殿」などの語を用いて個人情報流出のリスクを避けることも有効な手法の一つではありますが、事務的な連絡である印象を持たれてしまうため、「貴殿」を使用することは避けることが好ましいです。
挨拶・謝意
不採用通知は会社を代表して送っている通知となるため、挨拶・謝意を伝えるようにしましょう。
丁寧な言葉遣いと共に、応募していただいたことへの感謝を伝えることが大切です。
選考結果
不採用通知は「選考結果」を伝えることが目的であり、必ず記載します。不採用であることを明確に伝えつつも、丁寧かつ穏やかな言葉で伝えることが好ましいです。
「今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。」など、求職者を配慮する言葉を用いるようにしましょう。
個人情報の取り扱い
個人情報の取り扱いについても明確に記載しましょう。受取人の個人情報は適切に保護され、機密情報として扱われることを保証することや、●ヶ月以内に責任を持って破棄するなど、どのように取り扱うかを伝達することがが重要です。
不採用理由は書かなくて良い
不採用理由は、不採用通知書に記載する必要はありません。仮に応募者から不採用の理由について質問があった場合でも、企業側に回答の義務はありません。不採用理由を記載することで、余計な誤解やトラブルを招く可能性があるため、不採用通知を伝えることは避けた方が良いでしょう。
不採用通知の伝達方法
不採用通知を伝える方法は、メールや郵送など、大きく以下に記載する4つの手法に大別されます。
メールを送る
不採用通知を行うには、メールを使用することが最もおすすめです。送信後すぐに応募者の手元に届くため迅速に情報伝達ができるのみらず、採用担当者が都合の良いタイミングで送信できるため、負担が少なく連絡を取ることができます。
また、履歴として残すことで不採用通知に関するトラブルを防ぐこともできます。
郵送を送る
郵送による不採用通知は、履歴書などの書類を返却する必要がある際に利用されます。応募者が多い企業様の場合、工数がかかってしまう点に注意が必要です。
電話で伝える
電話での不採用通知は現在は少なくなっていますが、直接的なコミュニケーションを取ることが可能です。ただし、文字に残らないため後のトラブルに繋がる可能性があることや、採用担当者の工数が増えてしまう点には注意が必要です。
人材紹介会社へ伝える
人材紹介会社経由で採用活動を行っている場合には、規約に従って人材紹介会社への通知を行います。通知内容や不採用理由は明確に伝えることは、次の紹介に役立てるためにも重要です。
採用・不採用通知書のテンプレート
メールで伝える場合
メールで選考結果を伝える場合の文例を紹介します。定型文となりすぎないよう、貴社のご状況に併せて文面を修正してご活用くださいませ。
メールで採否を通知する場合、応募者がメールを見逃してしまう可能性があるので、事前に「数日以内にメールで採否を通知する」と応募者に伝えておくと安心です。
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件名:選考結果のご連絡(社名)
(応募者氏名)様
(社名)の(採用担当者名)でございます。
先日はお忙しい中、弊社の(最終面接、採用試験など)にお越しいただきまして、誠にありがとうございました。
選考の結果、誠に残念ながら、この度は採用を見送らせていただくことになりました。
ご希望に添えず恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願いいたします。
応募書類につきましては、こちらで責任を持って処分させていただきます。
改めて、多数の企業の中から当社に応募頂きましたことを心より感謝いたします。
末筆ではございますが、(応募者氏名)様の今後のますますのご活躍をお祈り申し上げます。
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書面で伝える場合
書面で伝える場合、以下のような内容の書類を送付することが一般的です。
(応募者氏名)様 〇〇年〇〇月〇〇日
(社名)
代表取締役 〇〇〇〇
採用通知書
拝啓 ますますご健勝のこととお喜び申し上げます。
この度は、多数の企業の中から弊社に応募いただきまして、誠にありがとうございました。
また、先日はお忙しい中、最終面接にお越しいただいたこと重ねてお礼申し上げます。厳正なる審査の結果、誠に残念ではございますが、今回は採用を見送らせていただくこととなりました。ご希望に添えず恐縮ではございますが、ご了承くださいますようお願いいたします。
なお、応募書類につきましては、こちらで責任を持って処分させていただきます。
末筆ではございますが、(応募者氏名)様のより一層のご活躍をお祈りいたします。
敬具
記
・同封書類 〇〇書 1枚
〇〇契約書 1枚
返信用封筒 1枚
・提出書類 〇〇書、〇〇契約書
・返送期限 〇〇年〇〇月〇〇日
以上
お問い合わせ先:株式会社〇〇〇〇
人事部 (採用担当者名)
TEL:(電話番号)
不採用通知書には、応募者に対して申し訳ない気持ちを伝えるために「誠に残念ではあります」や「ご希望に添えず申し訳ありません」といった気遣いのコメントを入れましょう。
なお、履歴書といった応募書類は個人情報保護の対象になるため、個人情報保護法に従って適正に取り扱わなければいけません。応募書類の処理方法について応募者に伝達していない場合は、不採用通知書に記載しておくと、応募書類に関連したトラブルの発生を防げます。
電話で伝える場合
不採用を通知する場合も、採用通知と同様、応募へのお礼をまず伝えます。いい加減な対応をすると、それが口コミで広がるなどして自社の印象に悪影響を与える可能性があるため、丁寧な対応を心掛けてください。
以下に電話で不採用を伝える際のテンプレートをご紹介します。ただし前述の通り、工数とリスク管理の観点からメールによる通知が最もおすすめです。
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(応募者氏名)様でしょうか?(社名)人事部(採用担当者名)でございます。今、お時間よろしいでしょうか?
先日は最終選考にお越しいただきましてありがとうございました。慎重に検討しましたところ、残念ながらこの度は採用を見送らせていただくことになりました。このようなお返事を差し上げる形になりまして申し訳ございません。この度はご応募いただき、誠にありがとうございました。
なお、応募書類につきましては、こちらで責任を持って処分させていただきます。
(応募者氏名)様の今後のご活躍をお祈りしております。ありがとうございました。
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補欠採用となったときの連絡の取り方
前提、補欠採用の可能性がある場合は、事前に不採用通知書にその旨を示すことが重要です。これにより、応募者に対する誠実さと配慮が伝わります。
連絡の方法は、まずはメールで連絡し、その後電話での確認を行うのが望ましいです。一度不採用通知を送った後の連絡という事実を踏まえて、丁寧で礼儀正しい態度で接することが重要です。
以下に、補欠採用の際の例文を紹介します。
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件名:●●職募集のご案内(社名)
(応募者氏名)様
(社名)の(採用担当者名)でございます。
前回は (応募者氏名)様のご希望に沿わないご連絡を差し上げてしまい、申し訳ございませんでした。
現在、以前(応募者氏名)様がご応募いただいた●●職に欠員が発生し、貴重な人材を探しております。
(応募者氏名)様にはご応募いただいたご縁を大変貴重に感じており、大変恐縮ではございますが、現在も就職活動を行われているようでしたら再度ご検討いただきたく思いご連絡させていただきました。
もしご興味をお持ちいただけましたら、何卒ご連絡いただけますと幸いです。
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まとめ
本記事では、不採用通知の適切な書き方や送り方の解説とテンプレートの一例を紹介しました。
不採用通知は企業イメージや採用評価に大きく影響を与えるため、非常に重要な採用プロセスの一つですが、採用規模が大きくなればなるほど送信する数も増え、その都度個別に文章を作成するのは負担が大きいでしょう。また、不採用の通知を受け取る側にとっても送る側にとっても、精神的な負担が生じることがあります。そのため、最低限必要な内容を含んだ丁寧なテンプレートを用意し、適宜編集して送ることが望ましいです。
人事や採用担当者は企業の代表として応募者と接することになるため、不採用となる応募者に対しても丁寧な対応を心がけましょう。
応募者が多くの場合不採用となる場合は、求人の内容に改善の余地があるかもしれません。
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