内定者フォローとは?
内定者フォローとは、内定者に対して食事会や職場見学などのイベント、人事面談を行う取り組みです。
ここでは、この内定者フォローの目的と重要性を解説します。
内定者フォローの目的
内定者フォローの目的は、主に次の3つです。
内定辞退を防止するため
一つ目は、内定辞退を防止するためです。
採用の現場では、人材不足から長引く採用活動に翻弄され、内定者を放置してしまうケースがありますが、内定者に不安が募り、内定辞退につながるリスクが高まります。
この内定辞退を防止するため、定期的に内定者と接点をもち、入社への動機付けをおこないます。
早期離職を防止するため
二つ目は、早期離職を防止するためです。
入社前の内定者フォロー期間は、懇親会やイベント、食事会など、内定辞退施策に注力する傾向が多くあります。しかし、内定辞退施策による「おもてなし」だけでは、入社後に「こんなはずではなかった」といったミスマッチを引き起こすリスクが高まります。
そのため、メリットばかりを訴求するのではなく、デメリットをも伝えることで採用ミスマッチを防ぎ、早期離職を防止することが重要です。
理念が浸透された状態で入社してもらうため
三つ目は、理念が浸透した状態で入社してもらうためです。
内定時期に自社の理念や価値観を浸透させることで、入社後の従業員エンゲージメントを高めることに大きく寄与します。この理念や価値観は、企業の事業特性や戦略、ビジョンのほか、これまでの企業の成り立ちなどから形成されるものです。そのため、内定時期から理念や価値観のマインドセットをすることがポイントになります。
理念や価値観は、「選考時期」には、採用基準に盛り込むことで自社に合った求職者を集めること。そして、「内定時期」には、この理念や価値観をマインドセットにより浸透させていくことが効果的です。
内定者フォローの重要性
内定者フォローは、定期的に接点をもつことで、内定者の不安を取り除くとともに、入社への動機付けをおこなう重要な施策です。ただし、単に内定者フォローを行うのではなく、候補者体験を高めることが大切です。
この候補者体験を高めるため、深い理念や価値観の共感、深い仕事理解のうえで、動機が高い状態で入社してもらうことが内定者フォローのポイントになります。
候補者体験を高める内定者フォローの具体的な手段とポイント
これまで、内定者フォローの内容や重要性、候補者体験を高めることの必要性を解説してきましたが、ここでは「候補者体験を高める内定者フォローのポイント」を説明します。
一貫したコミュニケーションをおこなう
一つ目は、一貫したコミュニケーションをおこなうことです。
「求める人材像が統一されていない」「人によって方針・説明が違う」など、社内認識が統一されていないといった、構造的な問題があるケースがあります。こうした構造下では、人によって内定者に伝えるメッセージもバラバラで、内定者が離脱する恐れもあるでしょう。
候補者体験を高めるには、求める人材像を統一し、人事関係者の目線合わせるなど、一貫したコミュニケーションをおこなうことが重要です。
候補者の心理変容に着目する
二つ目は、候補者の心理変容に着目することです。
内定者は、自社を認知し、興味・関心をもって応募し、共感・理解を経て選考に進み、内定承諾をしています。しかし、他社との比較や選考が進むにつれて、内定者の心理は多様に変化します。
たとえば、「選考過程における他社との比較により、悩みが生じる」「内定承諾後に就職後の不安が生まれる」などです。
募集開始から入社までの採用過程で、内定者の心理変容に着目し、その悩みや不安を解消する取り組みをおこなうことが大切です。
定期的に行う
三つ目は、定期的におこなうことです。
内定者を放置してしまうと、不安や疑問点から、内定者は他社比較をするため、就活を再開することもあるでしょう。近年では、納得いくまで就活をするため、内定承諾後も活動を続ける内定者も増えています。
内定フォローを定期的におこなうことで、こうした動きを察知できるメリットがあります。また、内定者同士を引き合わせる、社内関係者との接点を多く作るなどにより、自社への入社動機を高めることも可能です。
ネガティブな情報も開示する
四つ目は、ネガティブな情報も開示することです。
内定辞退を防ぐため、ポジティブなことばかり説明してしまうケースもあるでしょう。しかし、これだけではミスマッチが起き、入社後に早期離職を引き起こす恐れがあります。
ネガティブな情報も開示することで、入社後の早期離職を防止するメリットもありますが、内定者にとっては、誠実な企業であると信頼性を高める効果も期待できます。
学生の意思決定にも内定者フォローが影響している
2020卒における就職活動調査によると、就職先を決定するにあたって、企業からのフォローが必要と答える学生は88.7%と報告されており、意思決定のためにフォローを必要とする学生が大半を占めることがわかります。
また同調査では、内定を得た企業へ意思決定が必要だと思うフォローで最も高い回答は、「食事会などの懇親会」で55.2%、次いで「現場社員との面談」が47.4%、「社内や施設などの見学会」が44.0%、「人事担当者との面談」が40.3%と続いています。
懇親会や面談、見学会が4割を超えていることから、自社への入社動機を高めるため、これらのフォローをおこなうことが重要だとわかります。
(※参考・引用)株式会社ディスコ:「2020年卒 6 月 1 日時点の就職活動調査 」
内定者フォローの事例
次に、内定者フォローの事例を紹介します。
内定式
「内定式」とは、内々定を出している学生に対し、正式な内定通知を渡すことを目的とした式典です。
政府より、「正式な内定日は卒業・修了年度の10月1日以降」と要請されていることから、一般的には10月1日に実施することが多いでしょう。内定式をおこなうことで、内定者に入社決意を高めてもらう効果もあります。
(※参考)内閣官房:「就職・採用活動に関する要請」
メール
内定者との接点をもつ手段として、メールも有効です。
内定者に送るメールは、内定式や入社式などの事務連絡のほか、入社への動機付けに活用可能です。内定者は、入社に向けて不安を多数抱えるものですが、この不安を取り除くためにメールを送りましょう。
なお、メールを活用する場合は、定期的に送ることが必要ですが、送る頻度は、内定者に負担がかかりすぎないよう適度におこないましょう。
また近年では、学生の反応の良さからLINEを活用する企業も多くあります。法人で利用可能な「LINEWORKS」の導入を検討することも有効でしょう。
内定者フォローに効果的なメール例文が知りたい方は、「内定者へのフォローメール例文集|新卒者に喜ばれるメッセージとは」の記事をご参考ください。
オウンドメディア
内定者フォローに、オウンドメディアを運用することも有効です。
採用サイトとは違いオウンドメディアは、人事担当者や社員がインタビューや、仕事の日常をアップするなど、多くの情報をタイムリーに公開できるメリットがあります。
求職者が気になる待遇や社風など、注目を集めそうな項目を洗い出して記事にすることが重要なポイントです。これにより、Web上で候補者体験を高めてもらうことが期待できます。
内定者懇親会
内定者懇親会は、内定者向けの食事会・懇親会です。
内定者に入社意思を固めてもらうために、必ずおこなうべき内定者フォローのひとつです。
内定者同士や社内関係者との接点を持たせることで、入社意思をさらに高めることができます。また、一緒に働く仲間と合わせることで、安心感を与える効果もあります。
内定式後におこなうことはもちろん、内定者をつなぎ留めるために、春から夏の時期の内々定対象者に実施することも効果的です。
内定者研修
内定者研修は、内定者同士の絆を強めるほか、学生から社会人へ切り替えるためのマインドセットをおこなううえでも、重要な取り組みです。
eラーニングやグループワークなどの教育が一般的ですが、企業独自の企画やビジネスゲームなど、面白い研修を実施するケースもあります。また、オンライン化が進む昨今、Webツールを活用することも多くなっています。
内定者研修を詳しく知りたい方は、「成功へ導く内定者研修の設計方法! コロナ禍での内定者の動向も解説」の記事をご参考ください。
面談
現場社員や人事担当者との面談をおこなうことも効果的です。
調査結果から、内定者懇親会に次いで、内定者フォローでおこなうべき項目のひとつです。内定者の不安や疑問を丁寧にヒアリングし、自社で働くことのやりがいや魅力を伝えましょう。ただし前述のとおり、ミスマッチ防止のため、ポジティブなことだけでなく、ネガティブな情報もしっかり伝えてください。
既存社員との座談会
先輩社員など、既存社員との座談会は、多く取り組まれている内定者フォロープログラムです。
ざっくばらんに話せるように、話しやすい雰囲気をつくることが重要です。会話が止まってしまうことがないように、ファシリテーターや進行表を準備してください。
人事担当者に聞きづらいことも聞きやすくするよう、人事担当者が席を外す時間を設けることも良いでしょう。
内定者インターン
内定者インターンは入社までの期間で内定者に就労経験をしてもらう取り組みです。アルバイトとして従事してもらうケースもあります。
入社前提のインターンなので、内定者にとっては、入社前に、事業や仕事内容の理解を深めることができます。
配属先のインターンであれば、受け入れする職場にとっても、教えたことが無駄にならないメリットがあります。
オフィス訪問
内定者にとっては、自分の働く環境や雰囲気など、オフィス環境は注目するポイントのひとつです。
内定者にオフィス訪問をしてもらうことで、働くイメージや雰囲気を理解してもらい、不安を払拭する効果が期待できます。
オフィス訪問時には、現場の視点で社員から職場や仕事の説明をしてもらうことで、内定者の入社意欲をより醸成することが可能です。
なお近年では、オンライン加速化の背景から、バーチャル職場訪問として動画公開する取り組みも見受けられます。
社内行事への参加
社内の式典や運動会、各種社内イベントに、内定者に参加してもらうことも効果的です。
社内イベントは、社員同士の絆を強める効果がありますが、この絆を内定者に見せることで、自社の社風を感じ取ってもらうことができます。
内定者を仲間として招くことから、会社に受け入れられたと認識してもらえる効果もあるでしょう。
内定者フォローの注意点
「アンケート調査で高い項目だから」といった理由だけで、とりあえずやってみるという姿勢は、失敗を招く可能性があります。
ここでは、内定者フォローの注意点を次のとおり解説します。
候補者体験を設計してから実施する
一つ目は候補者体験を設計してから、実施することです。
内定者が入社までに、どのような心理になっているかを踏まえて、候補者体験を設計することが重要です。
求職者は求職活動において、「認知→興味・関心→共感・理解→比較・不安解消→決意」という心理の変遷をたどり、それぞれのフェーズで企業から候補者体験の提供を受けます。
内定段階では比較・不安解消の心理状況のもと、候補者体験は内定者フォローが中心となります。しかし、内定者フォローだけに着目して、まずはやってみるという発想は除外すべきです。
応募から内定・入社・定着に至るまで、一連の候補者体験を通じて、入社動機が右肩上がりに高まるよう、候補者体験を設計しましょう。
社内の採用への認識を統一する
二つ目は、社内の採用への認識を統一することです。
求める人材像など、社内の採用への認識が統一されていない場合、人によって内定者に伝えるメッセージも一貫性がなくなり、内定者の不安を煽るおそれがあります。
一貫したコミュニケーションをおこなうよう、社内の採用認識をそろえることで候補者体験を高めることができます。また、これにより、既存社員の「従業員エンゲージメント」を高める効果も期待できます。
分析・改善まで行う
候補者体験を継続的に改善していくためには、各選考プロセスで分析・改善までおこなうことが重要です。
設計段階で立てた仮説と本来あるべき姿とのギャップを埋めるため、この分析・改善をもおこない、PDCAサイクルを回してください。
内定者フォローに使える便利なツール3選
コロナ禍を背景に、採用のオンライン化が浸透し、内定者フォローの現場でもツールの利用が加速化しています。
ここでは、内定者フォローに使える便利なツールを紹介します。
Chaku2NEXT
Chaku2 NEXTは、学生と人事担当者の双方にとって、うれしい機能が満載の内定者フォローにおすすめのツールです。
SNS機能で、先輩の声や画像を簡単に投稿でき、いいねスタンプやコメントも入力できます。
【主な特徴】
- 就活生・インターン生・内定者を同時にフォロー可能
- 学生が使いやすいSNSなどのアプリ機能
- 導入しやすいリーズナブルな価格設定
【価格】
要問い合わせ、無料お試し期間あり
【提供会社】
Schoo for Business
Schoo fo rBusinessは、オンライン型研修サービスです。社会人が身につけるべきビジネスマナーから、新社会人に向けたマインドセット研修まで、内定者フォローに最適なコンテンツを取り揃えています。
【主な特徴】
- 7,000本以上の豊富なeラーニングコンテンツが見放題
- 講師への質問が可能な生放送授業を毎日配信
- 動画を組み合わせてオリジナル研修コンテンツを作成可能
【価格】
1IDあたり月額1,500円
【提供会社】
内定者パック
内定者向けのeラーニングやSNSコミュニティなど、内定者フォローに特化したツールです。
オンラインで内定式をおこなえるほか、SNSサイトでは、人事だけでなく先輩社員が内定者をフォローできます。
内定ブルー解消におすすめの内定者フォローツールです。
【主な特徴】
- 先輩社員を巻き込むことができるSNSコミュニティを形成可能
- 内定者向けのeラーニングコンテンツが受け放題
- 内定者との連絡や必要情報収集をツール上でワンストップで実現
【価格】
- シンプルプラン(内定者一人あたり5,000円)
- eラーニングミニマムプラン(内定者一人あたり12,000円)
- eラーニングベーシック(内定者一人あたり15,000円)
- eラーニングアドバンス(内定者一人あたり18,000円)
※上記のほか、初期費用25,000円
※利用期間は、内定〜翌年6月まで
【提供会社】
まとめ:候補者体験を意識した内定者フォローをおこないましょう
本記事では、内定者フォローの重要性や候補者体験を高めるポイントのほか、事例、注意点、便利なツールを紹介しました。
内定者フォローを成功に導くには、内定時だけに焦点を当てるのではなく、「応募→選考→内定・入社→定着・活躍」の一連の候補者体験を高めるための設計をすることがポイントです。
この一連の候補者体験を通じて、内定者の入社意欲を右肩上がりに高めていけるよう、内定者フォローに取り組んでください。
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