【事例付】エンプロイヤーブランディングとは?メリットや導入ステップを解説 COLUMN

【事例付】エンプロイヤーブランディングとは?メリットや導入ステップを解説

企業が優秀な人材を惹きつけ、維持するための戦略として注目されているエンプロイヤーブランディング。

これは、単に採用活動だけでなく、企業全体の魅力を高めるための総合的なアプローチです。エンプロイヤーブランディングを導入することで、企業の競争力を強化し、従業員のロイヤリティを高めることができます。本記事では、エンプロイヤーブランディングの基本概念から、導入ステップ、成功事例までを詳しく解説します。

目次

エンプロイヤーブランディングとは

エンプロイヤーブランドは、企業が提供する働きやすさ、キャリアの成長機会、企業文化を従業員や求職者に伝えるブランドイメージです。

一般社団法人エンプロイヤー・ブランディング協会では、エンプロイヤーブランドを以下の3つの要素で構成されている「働く価値」と位置付けています。

  • 経済的な価値(給料や福利厚生などの金銭的報酬)
  • 心理的な価値(仕事のやりがいや人間関係などの精神的な恩恵)
  • 職務的な価値(仕事から得られる知識やスキルなどのメリット)

エンプロイヤーブランディングは、企業の魅力を伝えるだけでなく、求職者や従業員との長期的な関係を築くための重要な手段です。これらの価値を社内外に一貫して伝えることで、企業の魅力を高めることができます。

(※引用・参考)一般社団法人エンプロイヤー・ブランディング協会:「働く場の価値を創造し、伝える

インナーブランディングや採用ブランディングとの違い

エンプロイヤーブランディングは、インナーブランディングや採用ブランディングとは異なり、企業全体のブランド価値を向上させることに重点を置いています。

インナーブランディングは主に既存の従業員に対しておこなわれ、採用ブランディングは新規採用活動に焦点を当てます。一方、エンプロイヤーブランディングは、これらを包括して、企業の全体的な魅力を高める戦略である点に違いがあります。

エンプロイヤーブランディングが注目される背景

エンプロイヤーブランディングが注目される背景

エンプロイヤーブランディングが注目される背景には、人材獲得競争の激化、ソーシャルメディアの影響力増大、働き方の多様化があります。ここでは、それらの背景を説明します。

人材獲得競争のエスカレーション

技術革新や市場のグローバル化が進むなか、特定の高度なスキルを持つ人材に対する需要が増加しています。これにより、企業は優秀な人材を惹きつけるためにエンプロイヤーブランディングを強化する必要があります。特に、ITやAIなどの分野では、専門的な知識やスキルを持つ人材が不足しており、企業間での競争が激化しています。このような背景から、エンプロイヤーブランディングは企業が競争優位を保つための重要な手段となっています。

ソーシャルメディアの影響力増大

ソーシャルメディアや企業評価サイトの普及により、企業の評判はリアルタイムで広まりやすくなっています。そのため、企業はWeb上でのプレゼンスと評判を管理することが重要です。企業はSNSを通じて自社の魅力を発信するだけでなく、従業員の声や働き方に関する情報を共有することで、透明性を高めることが重要です。これにより、求職者や従業員の信頼を得ることができます。

働き方の多様化への対応

リモートワークの普及やフレキシブルな働き方への需要が高まるなか、これに対応する職場環境を提供する企業は、優秀な人材を惹きつけやすくなっています。

特にコロナ禍以降、多くの企業がリモートワークやハイブリッドワークを導入しています。柔軟な働き方を提供することで、従業員満足度とエンゲージメントが向上し、生産性も向上します。また、ワークライフバランスの改善により、従業員の健康やメンタルヘルスが向上し、長期的な企業の発展に貢献します。柔軟な働き方を取り入れることは、現代の競争激しいビジネス環境において不可欠な戦略です。

エンプロイヤーブランディングに取り組むメリット

エンプロイヤーブランディングに取り組むことで、企業は様々なメリットを享受できます。ここでは、エンプロイヤーブランディングに取り組むメリットを説明します。

Z世代など新世代求職者を惹きつけられる

Z世代を含む新世代の求職者は、企業文化や働きやすさを重視します。エンプロイヤーブランディングを強化することで、これらの求職者を惹きつけやすくなります。特に、Z世代は働き方の柔軟性やサステナビリティへの取り組みを評価する傾向があり、企業がこれらの価値観を積極的に発信することで、求職者の共感を得ることができます。

企業文化が形成され競争優位を築ける

強力なエンプロイヤーブランディングは、企業文化を形成し、従業員のロイヤリティを高め、競争優位を築くことができます。企業文化が明確で一貫している場合、従業員は企業のビジョンやミッションに共感しやすくなり、組織全体のパフォーマンス向上につながります。また、企業文化が強固であることは、求職者にとっても魅力的な要素となります。

従業員ロイヤリティを高められる

従業員が企業の価値観やビジョンに共感することで、ロイヤリティが高まり、離職率の低下につながります。エンプロイヤーブランディングを通じて、企業の一体感や従業員のエンゲージメントが向上し、結果として従業員の満足度が高まります。これにより、優秀な人材の維持が可能となり、企業の成長を支える原動力となります。

選ばれる企業になる|エンプロイヤーブランディング6つの導入ステップ

選ばれる企業になる|エンプロイヤーブランディング6つの導入ステップ

選ばれる企業になるためには、エンプロイヤーブランディングが不可欠です。ここでは、効果的なエンプロイヤーブランディングを実現するための導入ステップを紹介します。

【1】ゴールの設定

エンプロイヤーブランディングの導入において最初に行うべきは、ゴールの設定です。

明確なゴールを定めることで、取り組み全体の方向性と成果の指標を明確にできます。ゴール設定では、企業が達成したい具体的な成果を明示し、それに向けた短期・中期・長期の目標を設定します。例えば、優秀な人材の採用増加、従業員エンゲージメントの向上、離職率の低下などがゴールとして挙げられます。これにより、エンプロイヤーブランディング活動の効果を測定し、必要に応じて戦略を調整することが可能となります。

【2】自社の価値や魅力の明確化(EVPの策定)

エンプロイヤーバリュープロポジション(EVP:Employee Value Proposition)を明確にすることで、企業の魅力を具体的に伝えることができます。EVPは、企業が提供する独自の価値や魅力を明確にし、それを求職者や従業員に対して効果的に伝えるためのツールです。具体的なEVPの例としては、キャリア成長の機会、働きやすい環境、企業の社会的責任への取り組みなどが挙げられます。

【3】アンケート調査とフィードバックの収集

従業員や求職者からのフィードバックを収集し、現状の理解と改善点を明確にします。これにより、企業は従業員のニーズや期待を把握し、それに基づいたエンプロイヤーブランディング戦略を策定することができます。アンケート調査は、定期的に実施することで、従業員の意識や満足度の変化を継続的にモニタリングすることが重要です。

【4】EVPの統合とブランディング戦略の構築

収集したフィードバックをもとに、EVPを統合し、総合的なブランディング戦略を構築します。これにより、企業は一貫したメッセージを社内外に発信し、ブランドの信頼性を高めることができます。ブランディング戦略の構築には、経営陣から現場までの全てのレベルでの協力が不可欠であり、全社員が共通のビジョンを持つことが重要になります。

【5】外部とのコミュニケーション

企業の価値観やビジョンを外部に効果的に伝えるためのコミュニケーション戦略を実施します。これには、SNSや企業ウェブサイト、プレスリリースなどを活用して、企業の魅力を広く発信することが含まれます。外部コミュニケーションは、企業の透明性を高め、求職者やステークホルダーからの信頼を築くために不可欠な取り組みです。

【6】評価と改善

エンプロイヤーブランディングの効果を評価し、必要に応じて戦略を改善します。評価には、定量的な指標(例:応募者数、離職率、従業員満足度など)や定性的なフィードバックが含まれます。これにより、企業は継続的に戦略を最適化し、ブランド価値を高めることができます。改善のサイクルを継続することで、企業は常に最新のトレンドやニーズに対応することができます。

知っておきたいエンプロイヤーブランディングの成功事例

エンプロイヤーブランディングの成功事例として、ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 群馬工場とAmazonの例があります。ここでは、これらの事例を紹介します。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社 群馬工場の事例

同工場は、健康と成長を重視したエンプロイヤーブランディングを実施しています。

従業員の健康を支えるために、生活習慣病検診やストレスチェックのほか、職場の暑さ対策、シフトの見直しなどに取り組んでいます。また、自動化とデジタル化により作業効率を高めるなど、スマート工場を実現することで、自己成長の機会を創出し、社員のスキル向上を図っています。この取り組みにより、従業員満足度が向上し、離職率の低下と生産性の向上を実現しています。

(※参考)ランスタッド株式会社:「ここで良かった」と思われる工場を目指して。“健康”と“成長”を重視したエンプロイヤーブランディング

Amazonの事例

Amazonは、採用活動とエンプロイヤーブランディングを密接に連携させ、優秀な人材の獲得を目指しています。

リクルーティングマーケティングとエンプロイヤーブランディングを融合させることで、候補者に対してAmazonの魅力を効果的に伝えています。特に、在宅勤務体制の導入やSNSを活用したキャンペーンを通じて、働く環境の魅力をアピールしています。これにより、優秀な人材の応募が増加し、企業のブランド力の向上が実現されています。

(※参考)ランスタッド株式会社:『Amazonの採用マーケティング×エンプロイヤーブランディング 試行錯誤とこれから』 レポート①採用活動とエンプロイヤーブランドの密接な関係

まとめ

本記事では、エンプロイヤーブランディングの基本概念から、導入ステップ、成功事例までを詳しく解説しました。

エンプロイヤーブランディングは、企業が優秀な人材を惹きつけ、維持するための重要な戦略です。新任担当者を含む人事担当者は、これを効果的に活用することで、企業の魅力を高め、競争力を強化することができます。本記事を参考に、エンプロイヤーブランディングに取り組み、持続可能な成長を実現させましょう。

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