秋採用とは
秋採用とは、名称のとおり「秋にスタートする採用」のことです。
春・夏の新卒採用活動で思うような人材と出会えなかった、または予定人数の内定者が決まっていない、などの場合には秋採用は貴重なチャンスといえます。
事情があって春・夏に就職活動ができなかった学生にとっても、秋採用は大事な機会となっています。
秋採用の実施時期
秋採用の実施時期に明確な区分や決まりはありませんが、最近の時期のトレンドを2点お伝えします。
10月以降におこなう採用活動
一般的に秋採用とは、10月以降に実施する採用活動を指します。
10月をひとつの区切りとしているのは、10月初旬に内定式をおこなう企業が多いためといわれています。
なお経団連に加盟する企業は、採用選考指針により大学3年生の3月が広報解禁日と定められているため、内定式前9月までの「春採用・夏採用」が活動のメインシーズンとなります。
一方、秋採用がおこなわれる具体的な時期は、9~11月が多くなっています。
春採用・夏採用ほど各社が一斉に採用活動をおこなうわけではないため、他社の選考スケジュールを気にせずに採用プロセスを引ける利点があるでしょう。
近年は通年採用・秋採用・冬採用も増加
今回は「秋採用」をとりあげていますが、近年の傾向としては「通年採用」「冬採用」など、採用時期のバリエーションが広がりつつあります。
少数精鋭の採用をしている企業には、春採用・夏採用で他社と争いながら内定の取り合いをするくらいなら、時期をずらしてゆっくりと人材の見極めをおこないたいという意図もあるようです。
また、本業の繁忙期などに重ならないよう、あえて採用の時期を変更するなど、独自の採用時期を設定する企業もあります。
春・夏の新卒一括採用の動きが依然として主力ではあるものの、事業戦略とあわせて採用シーズンを調整する動きも、今後広がっていくかもしれません。
秋採用を実施する企業の特徴
現在秋採用を実施している企業の、代表的な特徴を紹介します。
大量採用をしている企業
大手企業や傘下のグループ会社など従業員数が多く、新卒採用においても大量募集をかける企業は、秋採用を実施している傾向があります。
春・夏にも採用活動はおこなっているものの、採用予定人数に達することができなかったため、秋採用で補充を狙いたいようなケースです。
また、春・夏時点からさらに事業が変化し、追加の人員が必要となり、秋採用で募集することもあります。
地方企業など知名度に自信がない企業
地方企業で知名度がそこまで高くない企業は、春・夏の新卒採用のピークを避けて、秋採用を展開するケースもあります。
かねてより、地方の地域密着型の企業では、公務員試験などがひととおり終了する秋頃から採用活動を始める傾向もあるようです。
最近はテレワークの普及により、働く場所や時間の自由が広がりつつあります。
地方拠点生活を望む若者の数も増えていることから、地方企業が秋採用で都心の学生を呼び込むような動きも、今後は増えていくかもしれません。
外資系・ベンチャー企業
外資系企業やベンチャー企業では、春・夏採用にこだわらず秋採用や通年採用を実施しているケースが多いでしょう。
特に外資系の場合は、海外の卒業シーズンにあわせ、9月から11月にかけて本格的に選考をスタートさせることもあります。
またベンチャー企業は、事業成長や変化のスピードが激しいため、環境変化に応じた募集をかける傾向があるようです。
そのため新規事業の立ち上げ時期にあわせ、秋に限らずほぼ通年で募集をしているケースもあります。
秋採用で出会える学生の特徴
多くの学生は春・夏で就職活動を終了させますが、秋採用だからこそ出会える学生もいるものです。
ここでは、秋採用に参加する代表的な学生の特徴をお伝えします。
公務員試験に落ちた学生
国家公務員Ⅱ種の試験であれば、9月に合否が判明します。
そこで不合格となってしまった学生は、この時期から企業への就職に意識を切り替えて、就職活動を開始させます。
基本的にそれまでは公務員試験の勉強に集中してきたため、就職活動の経験はありません。
自己PRや志望動機などは不慣れな可能性があるため、本来の意味でのポテンシャルを引き出す選考を心がけましょう。
また、司法試験や公認会計士試験の資格取得を目指していた学生も、秋採用の対象となり得ます。
部活・アルバイトに忙しかった学生
体育会の部活は春や夏に大会が集中するため、就職活動の時期と重なってしまう場合が多いです。
部活に専念するあまり、春・夏には就職活動ができず、秋採用で活動をスタートすることがあります。
厳しい部活生活で強いメンタルや規律性を養った学生を求めている企業の場合は、秋採用は狙い目といえるでしょう。
その他、アルバイトやボランティアなどの活動に精を出していた学生も、秋採用では出会える可能性があります。
海外留学をしていた学生
海外留学生は、基本的に国内での就職活動は帰国した期間でしかおこなうことができません。
9月から新学期が始まる国へ留学した学生の場合、留学期間が終わるのが7月頃です。そのため、帰国後から就職活動を始めると、秋採用の時期に該当することになります。
近年では、留学生の採用に関しては、通年採用の企業も増えています。
事前に簡単な面談をオンラインミーティングで実施し、秋採用の時期に直接面接をする流れも見られるようになりました。
内定先企業に迷いがある学生
春・夏の就職活動で内定を受諾したものの、迷いが生じている学生が、秋採用に参加することも考えられます。
就業経験がない新卒学生にとっては、春・夏の就職活動は緊張感が高く「とりあえずどこかから内定がほしい」という切迫感を抱いてしまう人も少なくはありません。
内定を獲得して一息ついた夏頃に「本当にこの会社に入社してよいのだろうか」と考え始めた学生は、秋採用で興味がある企業が見つかった場合、就職活動を再開する可能性があります。
秋採用ならではのメリット
春・夏採用には見られない、秋採用ならではのメリットを紹介します。
内定を迷っている優秀な学生に出会える可能性がある
秋採用ならではのメリットのひとつは、内定に迷いがある優秀な学生と出会える可能性がある点です。
優秀な学生であればあるほど、内定が出るスピードが速く、周囲より早めに就職活動をストップしたことも予想されます。
就職活動をストップさせたあとに、「自分が会社に求めるものは何だろう」と熟考を始めた層の学生は、秋採用で再チャレンジする可能性もあります。
その他、内定期間中に研修など会社との直接設定を持ったことで「この会社は違うかもしれない」と疑問を感じた学生も、秋採用への参加が予想されます。
春・夏採用と比較すると競争率が低い
秋採用を実施する企業数はそもそも少ないため、競争率が下がるというメリットがあります。
春・夏の採用活動で目標の採用人数を確保できた企業は、秋には採用活動を実施しません。その結果、秋採用を実施する企業数は、春採用のときに比べて大幅に減少します。
他社の選考の進み具合などを気にすることなく、じっくりと学生とのコミュニケーションがとれる点は、秋採用ならではの特徴でしょう。
秋採用の募集のかけ方
具体的に秋採用を実施したい場合、大きく分けて以下の3通りのやり方が考えられます。
就職サイト
複数の企業の人材募集をまとめた就職サイトでは、最近は「秋採用特集」などが組まれることも増えてきました。
特集がなかったとしても、秋採用の募集を掲載することは可能です。
その場合、「なぜ秋採用をしているのか」「今からの就職活動も大歓迎です」「事業拡大にともない、急きょ募集をします」など、秋採用を積極的におこなっているアピールをするようにしましょう。
春・夏シーズンでは就職サイトも大手企業の募集に埋もれがちですが、秋採用であれば自社の求人が注目されるチャンスにもなります。
新卒向けエージェント
新卒向けエージェントとは、企業側の募集要項にフィットした学生を厳選し、企業に紹介するサービスのことです。
料金体系は、成功報酬制度をとっているサービスが多いため、「コストをかけたにもかかわらず採用が叶わなかった」という問題は起こりません。
また、エージェントに在籍するアドバイザーが自社に合いそうな学生を選定してくれるため、応募者のミスマッチを防止する効果も期待できます。
秋採用では活動をしている学生の数が少ないため、効率的に求める人材を探すためにも、エージェントの活用もひとつの手段でしょう。
合同説明会
春採用・夏採用の就職活動と同様に、秋採用でも複数の企業が集まる合同説明会に参加することもできます。
一般的に、合同説明会は冬まで開催されているため、開催場所や日程の都合がつくイベントがあれば、参加してみるのもおすすめです。
合同説明会ならではのメリットは、直接学生とコミュニケーションをとれる点です。
自社の雰囲気も直接伝えられるため、効率的に密度の高いやり取りが可能になります。
「秋採用イベント」や「留学生EXPO」など、特色があるイベントも開催されているため、自社に合いそうなイベントを探してみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は、春・夏採用とは時期をずらした秋採用についてお伝えしてきました。
どうしても日本では「一括の新卒採用」という春・夏の採用活動がメジャーになりがちですが、秋採用には秋採用ならではのメリットがあります。
労働力確保が今後も日本企業の重要課題となるのは自明です。秋採用や通年採用などを活用するなど、柔軟な採用計画の組み立てをあらためて検討してみてはいかがでしょうか。
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