コロナ禍での完全オンライン採用が大成功。採用活動のフローと成功ポイントを人事担当者に聞きました。 CASE

公開日:2020.07.16

更新日:2022.02.17

コロナ禍での完全オンライン採用が大成功。採用活動のフローと成功ポイントを人事担当者に聞きました。

コロナ禍で激変した2021年度の新卒採用。

自粛ムードが日々強まっていく中、新卒採用の実務を担う現場の人事担当者がどんなふうに対処し、内定出し・承諾までつなげたのか。

今回は、弊社クイックのリクルーティング事業部の新卒採用事例をご紹介させていただきます。

株式会社クイック リクルーティング事業部 大西沙季(採用担当者)

インタビューに答えてくれた人(大西沙季さん|弊社採用担当)
関西学院大学 教育学部卒業(保育士・幼稚園教諭免許所有)。2016年に企画営業職としてクイックに入社。入社3年目から採用活動に関わりはじめ、現在はリクルーティング事業部(西日本)の専任採用担当者として活躍中。

 

 

目次

コロナウイルスの影響で、事前の採用計画はほとんど白紙に

私が採用を担当しているリクルーティング事業部は、12~3月の早期と、3月1日以降の本選考期と大きく2つのルートで入社いただいています。

本格的にコロナの影響が出始めたのは、2月の半ばくらいからです。そのころには、早期の採用がほぼひと段落しており、最終選考もギリギリ対面で行うことができました。ここまでは予定通りでした。

ただ、2月半ばから3月以降は、コロナウイルスの感染拡大により、大人数の選考を自粛せざるをえなくなりました。

2月後半に予定していた直前のインターンシップは中止に。
3月~5月にかけて例年30~40回開催していた説明会もすべて中止になりました。

リクナビライブをはじめとする就活イベント参加も数件予定していましたが、こちらもすべてなくなってしまいました。

当初、見込んでいた母集団の形成手段が、3月を目前にしてなくなってしまったんです。計画がすべて白紙になってしまい、この時はかなり焦りました。

採用スケジュールは急遽、全面刷新

中止になった採用施策|リアル説明会、対面のインターンシップ、イベント参加、グループワーク、社員面談、面接

対面での採用活動を自粛すると社内決定した時点で、すぐにWEB開催に意識を切り替えました。

これまで弊社は、対面コミュニケーションを強みに採用活動をしており、WEB採用のノウハウはほとんどなかったので、ゼロからの試行錯誤になりました。

採用チームで話し合った結果、WEB採用を行うにあたっての課題・タスクは以下の5つでした。

  • スケジュール全体の組みなおし
  • 仕事内容の理解
  • 選考の歩留まり維持
  • 完全オンラインでの動機形成
  • 面接官などのスケジュール調整

採用シナリオを、オンラインに合わせて再構成

オフラインと異なり、オンラインでは一度にまとまった長い時間をとって頂くのが難しくなります。

そこで、オンライン化にあたり、目的ごとにコンテンツを切り分けることにしました。

オフライン|2.5時間の説明会、オンライン|説明会動画・座談会動画・仕事説明動画+WEB適性検査

これまでの説明会は、「会社理解」「仕事理解」「魅力の発信(先輩社員登壇)」「適性検査(選考)」と、複数の目的を一度に果たせるような構成でした。これを目的ごとに、コンテンツを分けて発信しました。

説明会は、目的を会社理解にしぼり、思い切って10分に短縮。エントリーしていただいた学生さんに動画のURLを送って視聴してもらう形にしました。

同時に、若手社員の座談会映像と仕事シーンを取材した映像もお送りしました。

動画サムネール|WEB説明会・座談会・仕事説明

1つ1つの動画は短時間なので、好きな時間に視聴してもらうことができます。
座談会と仕事説明の動画については、先輩社員の登壇で伝えていた、人の魅力や仕事のやりがいなどを補完する目的です。

説明会後に実施していた適性検査は、説明会の映像を視聴いただいた方に、後日、WEBで受検いただく方式に切り替えました。

一点気をつけたのは、誰が動画を見て誰が動画を見ていないかが測定できないため、面接官には、選考途中での会社・事業についての理解度は不問にしてもらい、選考を進めながら事業理解を深めてもらうようにお願いしたことです。

一次に予定していたグループ面接は原則廃止に

おかげさまで、たくさんの方にエントリーいただけることもあり、例年は適性検査後にグループ面接を実施させていただいていました。
ただ、今年はオンライン面接に切り替える都合で、グループ面接は中止に。

ZOOMのブレイクアウトセッション機能なども試しましたが、私たちが判断材料にしている要素がWEB会議だと見えづらくなってしまうため、選考方法そのものを見直すことにしました。

選考は、マンツーマンの面接からスタート

グループ面接を廃止し、適性検査を通過した方にはいきなり1対1のWEB面接を実施しました。

ここまでWEB動画のみでの説明になっている会社説明や仕事説明の部分について、マンツーマンでしっかり補完することが目的です。

一方で、いきなり1対1の面接からスタートするのは業務負荷が課題でした。
WEB適性検査に切り替えたことで例年よりも離脱は増えましたが、それでも3月~4月にかけて1ヶ月ほどの短期間に数百名の面接に対応しなくてはいけません。

業務負荷については、以下のような運営方法の工夫で乗り切ることにしました。

採用フローの変更点|グループ面接の廃止、いきなりマネージャー面接から、WEB面接の時間を二分の一に短縮、面接後にそのまま合格通知・次回予約

まず、対応策として、従来は40~60分あった面接時間を半分ほどに短縮しました。

短い時間で、会社の魅力を伝えながら、同時に選考もする必要があったため、この段階からマネージャーにも選考参加を依頼。シンプルな考え方ですが、選考人数が増えたぶんを、時短で対応する作戦です。

グループ面接という1工程が丸ごと省略され、選考速度そのものも上がりましたし、1次面接からいきなりマネージャーに選考をお願いすることで選考効率も大幅に上がりました。最初からマネージャーが面接することで、従来は1次と2次の2回にわけていた選考を、1回の面接に集約することができました。

例年であれば1次…2次…、とゆるやかに減っていく母集団が、今年は1次の段階で一気にしぼり込まれました。学生さんにとっても、他社の選考との兼ね合いのなかで、早い段階で合否が明確になるのは悪いことではなかったと思います。

また、グループ面接の廃止によって、面接官役の先輩社員に、個別で面接のお願い・日程調整していく工数も省けました。

使用していたWEB面接ツールについて

ちなみに、WEB面接のツールについてはいくつか試した結果、最終的にはFace Time(学生さんがiPhoneでない場合はGoogle Duo)をメインで使っていました。どちらも無料で使えるアプリです。

WEB面接

面接準備は、スマホをスタンドにセットするだけ。1対1の面接であればこれで十分です。操作が簡単なので学生さんが迷うこともありません。通信品質も安定しておりお勧めです。

選考の離脱防止と工数削減を同時に実現

WEB選考では、弊社が強みとしている、来社したからこそ感じられる、働く社員の雰囲気の良さなど、感覚的な魅力を伝えることがなかなかできません。仕事・企業理解も、短い時間のなかで伝えきるには限界があります。選考過程での離脱増加が心配でした。

そこで、選考途中での離脱を防ぐために、いくつか対策を講じました。
ひとつは単純に早く選考を進めるということです。WEB面接で1回の時間が短くて来社も不要なので、面接スケジュールをどんどん組んで、進められる人からどんどん選考を進めました。先ほどお伝えしたグループ面接の廃止もその一つです。

もう一つは、全てではないですができる限り、選考が終わったその場で合格を伝え、次回の面接予約を済ませるようにしました。

最初から志望度を高くもってくださる方もいますが、入社する方みんながそうではありません。面接の過程で志望度が高まってくるケースも多いので、一人でも多く、次のフェーズにつなげられるよう、今回のような対応に取り組みました。

その場で次回の予約をとることは、離脱防止のほか、これまでメールや電話で1件1件スケジュール調整をしていた業務の負荷軽減にもつながりました。

オンラインのみで内定出しへ

当初は、コロナウイルスの影響が落ち着いてきたら、途中からオフラインに戻そうと考えていました。

ただ、選考が進んできた段階でも緊急事態宣言の解除の目途もたたず、最終の役員面接もオンラインで実施することに…。
対面コミュニケーションを大事にしてきた弊社にとっては、大きな決断でした。

少しでも良い結果になればと思い、最終面接のときだけは、オフラインのときに毎回していたように、面接前のアテンドを行いました。接続のトラブルを防ぎ、学生さんに万全の態勢で、リラックスして悔いのない面接をしてもらうためです。

また、選考途中でも、テレビニュースや各メディア等の影響で、コロナ禍による採用中止を不安に思う方が多いことを考慮して、安心して選考を進んでいただけるように「うちは選考を中止することはないから安心してね」と、繰り返しお伝えをしていました。

オンラインに切り替えて、採用成果は過去最高に

2021年度は、昨年対比で145%の採用数を達成。
結果的に今年度の採用は大成功することができました。

同業他社の選考がコロナウイルスの影響で停滞しているときにも、いち早く意思決定して採用計画を軌道修正できたことが一番の要因だったと思います。

おかげさまで例年以上にハイレベルな学生さんにたくさん出会うことができました。あまりに優秀な方が多かったので、採用枠を当初予定よりも少し拡げたほどです。

今後の内定者フォローについては、コロナウイルスの状況を見ながらですが、できれば一度くらいはオフラインイベントも交えつつ、入社までサポートしていければと思っています。

オンラインの採用活動を通じて、オフラインの優位性も再発見

今期、完全にオンラインで採用活動して分かったメリットは2つです。

  • 場所や時間にしばられない選考ができる
  • 人物の見極めはオンラインでも意外とできる

 

企業側が優位で、一方通行的に「選ぶ」だけであれば、オンラインでも過不足なく選考は可能かもしれません。

ただ一方で、事業内容を理解していただいたり、仕事のやりがいを感じてもらったり、生き生きと働く先輩の姿を通じて「この企業で働きたい」と思ってもらうといった、いわゆる「自社のファンになってもらう」活動については、オンラインのみでは不十分になることも分かりました。

私たちとしては、今後、オフラインとオンラインのベストミックスを模索していくつもりです。学生さんの移動の負担を減らせるなど、オンラインの便利なところは残しながら、相互理解を育むようなウエットな部分は、これからも時間をかけて対面で伝えていきたい、そんな風に考えています。

 

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編集・執筆/中森規仁(中小企業診断士)

コピーライター、人事(採用担当)を経て、大手人材会社でディレクターとして、クリエイティブ企画や経営戦略にひもづいた人材採用・活用のコンサルティング業務などに従事。現在はIT企業勤務の傍ら、マーケティング・人材採用の領域を専門に中小企業支援を行っている。

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