ソーシャルリクルーティングのメリット・デメリット
誰にとっても身近であるSNS。うまく活用すれば話題づくりを兼ねた採用活動ができますが、オープンな媒体であるがゆえのリスクもあります。
ソーシャルリクルーティングを行うメリット
採用におけるSNS活用のメリットは、心理面、資金面での「ハードルを下げられる」のが大きなポイントです。
双方向のコミュニケーションができる
企業が一方的に発信するメディアと異なり、SNSでは双方向のコミュニケーションができます。投稿への「いいね!」やコメントで候補者や消費者の関心が高い話題を知ることができ、採用のアピール強化などにつなげられます。
候補者を詳しく知ることができる
SNSでは、採用面接だけでは推し量ることのできない人柄や情報リテラシーを把握できるメリットがあります。採用候補者を含む一般のユーザーが日常の様子や自身の意見などを発信しており、緊張感ある選考の場とはまた違った一面を知ることができます。
また、ユーザーの何気ない投稿から、情報リテラシーの低い人をふるいにかけることもできます。個人情報や機密情報の漏えい、不適切な発言などによるトラブルは企業にとって大きなリスクです。面接だけでこのような不安材料を見抜くことは至難の業ですが、日頃の生活と結び付いているSNSでは、社会人として問題があるケースを前もって発見できることもあります。
転職潜在層へもアプローチ可能
SNSで長期的に採用広報を展開していたり、継続的にコミュニケーションをとっていたりすれば、ポストに空きが出た時にマッチング度の高い方に求人の案内をするといった活用も可能です。
SNSでの情報発信は、採用情報を公開するだけではなく、投稿内容の面白さや一般ユーザーとの関わり方などで自社のファンを増やす側面もあります。企業広報と採用広報をきちんとすみ分けして行っていれば、母集団形成に役立てられます。
※採用広報について詳しくは→「採用広報のノウハウ解説!トレンド、手法、ツール選択の秘訣も」
採用コストを抑えやすい
他のメディアにはないSNSの特徴として、無料で使用できるものが多いことが挙げられます。新規にサービスを利用するときにネックとなる予算の壁がなく、採用課題解決のきっかけになり得ます。また、ターゲット層に合わせて有料サービスとSNSを使い分けても良いでしょう。
ソーシャルリクルーティングのデメリット
このようにさまざまなメリットがあるソーシャルリクルーティングですが、SNSを運用するうえでのデメリットもあります。実際に導入を検討する場合は、コストが低いといった良さにだけ注目するのではなく、注意点とトラブル予防策も考慮する必要があります。
長期的な運用の負担が大きい
SNS運用にあたっては、企業の本音が見えるような投稿や業界の情報発信、ユーザーとのコミュニケーションを含めた長期的な運用が不可欠です。そのため広報未経験の担当者にとっては、投稿内容の企画やアカウントの管理が負担になってしまう心配も。メインの採用活動に支障をきたさないよう、あくまで採用活動の一手段として計画的に運用することが求められます。
炎上、情報漏えいのリスクがある
多くの人の目に触れるSNSでは、投稿が意図せず炎上してしまったり、設定ミスにより本来限定的に扱うべき情報が漏えいしてしまったりするリスクがあります。近年では消費者への配慮を欠いたPRや災害発生状況を無視した発信、社会的弱者やマイノリティへの差別的な発言、コンプライアンス違反が疑われる投稿などへの風当たりは強まっています。
炎上や情報漏えい、それに伴う企業のイメージダウンを避けるためには、投稿のダブルチェックを義務付けることが有効です。SNS利用のガイドラインを整備し、投稿内容と公開範囲、タイミングを2人以上で確認することをおすすめします。
ソーシャルリクルーティング、どのSNSを使う?
ソーシャルリクルーティングをより効果的に実施するには、SNSごとの特徴やユーザー層を理解し、目的に合わせて使い分けるスキルが必要です。SNS活用で外せないFacebookやTwitterから、昨今注目度が高まっているWantedlyまでまとめて解説します。
Facebookは実名登録、1人1アカウントが原則のSNSであり、信頼性が高いのが特徴です。フォーマルな話題が好まれる傾向にあり、一般ユーザーの投稿はボランティア活動や進学、就職、結婚といった内容が中心的です。国内月間アクティブユーザー数は2600万(2019年)で30代以上が多数派、プロフィールに学歴や職歴を記載するユーザーも多く、中途採用候補者を探す媒体としては差し障りないでしょう。
リクルーティングでの活用としては、企業アカウント(または採用広報用のアカウント)を開設し「情報発信」と「問い合わせの一次対応」を行うのがおすすめです。投稿する話題は、会社イベントの様子や社員インタビューなど社内の雰囲気が伝わるものと、説明会やインターン、求人情報など採用全般に関わるお知らせを織り交ぜるようにします。
問い合わせ回答に手間をかけすぎないよう、コメントの返信や個別のメッセージ対応はシンプルな内容にとどめ、自社への興味が強いうちに採用候補者との面談をセッティングするなど選考につなげることが重要です。Facebookに登録している社員個人がターゲットと直接連絡を取れる場合も、同様に面談や求人紹介のきっかけとして活用できます。
短文テキストと添付の画像、動画を投稿できるTwitterは、カジュアルな話題や速報性のあるニュースが好まれるSNSです。企業アカウントでも、かしこまった投稿よりも「中の人(投稿者)」のキャラクターを押し出した自由で個性的な投稿に人気が集まっており、採用活動においては「本音を隠さない情報発信」に向いています。
国内月間アクティブユーザー数は4500万(2018年10月)ですが、アカウントを複数作成できるため実際の人数はこれより少なく、匿名登録が可能なことから信頼性が不明瞭な部分があります。そのためTwitterを通じて採用することにはこだわらず、企業の情報発信の一環として利用するのが無難です。
画像、動画投稿に特化したInstagramは、国内月間アクティブユーザー数が3300万(2019年3月)を超え、10~20代のユーザーが多いSNSです。写真・動画が主役のため、ファッションや料理など鮮やかで見栄えするテーマ(被写体)を扱うブランドや、リゾート地や建築物など美しい景観を投稿できる業種との相性が良い媒体です。そのため文章での説明が必要な採用関連のテーマではなく、写真をメインとしたブランディングに適しています。
ただし、商品のPRなどのために人気のインスタグラマー(Instagramのフォロワーが多く、投稿の影響力が大きい人)を採用したいといった場合には、Instagramを直接活用しても良いでしょう。
LINE
無料通信アプリLINEは国内月間アクティブユーザー数が約8000万人(2019年12月期)に達しており、日常的に利用しているユーザーが約8割にのぼっています。10代~20代にとっては必須のコミュニケーションツールとなっているため、ビジネス向けアカウントであるLINE@の活用で、若手に効率的にアプローチできる可能性があります。
通常の個人アカウントでは管理が難しくなるため、採用活動ではLINE@を利用し、必要に応じて管理ツールの導入を検討しましょう。日常の連絡ツールとして利用されているため、内容は選考の日程調整などの個別連絡に適しています。
Wantedly
Wantedlyはビジネスのつながりに特化したSNSで、登録企業数は3万弱、個人ユーザーは130万人を超えています。業界はIT、Web関連、20代~30代の転職希望者が多く、選考よりカジュアルな面談を指す「話を聞きに行きたい」というボタンから企業側にコンタクトをとれるようになっています。
特徴的なのは、年収などの待遇の掲載が禁止されていることです。そのため年収の高さや福利厚生の安定感を売りにすることはできず、投稿内容を通じてビジョンや価値観への共感が重視される媒体です。企業での利用は有料ですが、成果報酬ではなく月額利用料のみとなっており、人材紹介料よりは費用を抑えることができます。
LinkedInは海外の利用者が多いビジネス特化型のSNSです。グローバル企業を目指している人や研究者など、海外での活躍も見据えて登録するユーザーが多くなっています。検索機能が充実しており、求める人材に必要なスキルを絞り込んで候補者を探し、アプローチをするのに適しています。各国に拠点があるなど、国をまたいだ事業に取り組む会社に向いているSNSです。
まとめ
SNSを活用するソーシャルリクルーティングは、工夫次第で自社の魅力をアピールして採用につなげることができます。今回紹介したSNSにはそれぞれの特徴があり、ビジネス特化型はWantedlyとLinkedinのふたつです。
ユーザー層を考慮し、社風に合った情報発信で効率的なソーシャルリクルーティングを目指しましょう。
無料ダウンロード

採用課題を解決に導く採用戦略構築のポイント
採用活動においても、パフォーマンスの要となるのは「戦略」の設計です。 コンサルティングサービス「採活力」は、貴社に最適な採用コミュニケーションを設計し、採用活動を成功へと導きます。
セミナー情報

あわせて読みたい